BMW「Z4Mクーペ」 フロント

ロングノーズが描き出す、美しくセクシーなライン

 Z4Mクーペの先代に当たるZ3Mクーペは奇抜なスタイルとコンパクトなボディにM3の3.2Lのエンジンを搭載した車でした。スタイルは批判する人がいればいるほど特異なスタイルは私には魅力的に感じます。今回試乗したZ4Mクーペは先代の方程式に従ってロードスターをクーペにしてM3のエンジンを載せた車です。

 Z4クーペは魅力的なスタイルを持っています。ロングノーズが協調され、ルーフからリヤフェンダーにかけての流れるようなラインはZ4ロードスターよりセクシーです。何かとポルシェ・ケイマンと比較される事が多いですが、私は優雅なスタイルのZ4クーペの方が好きです。

シートに身を沈めると感じる、他と一線を画す「Z4Mクーペ」の個性

BMW「Z4Mクーペ」

 ドアを開けシートに身体を滑り込ませると、着座位置が低く他のBMW車とは性格の違いを感じます。またZ4ロードスターは明るく開放感がありましたが、クーペはルーフが付いた分、やや圧迫感を感じ、それがスポーツムードをより強調させます。

 クラッチは重めで、3.2L直列6気筒、343psとハイチューンですが、低回転から充分のトルクがあり、高いギヤでも1500rpmから加速する柔軟性があります。乗り心地は硬めですがしなやかで不快ではなく、この車のキャラクターに合っています。

思い通りに反応するも、ドライバーを試しているような感覚すらある

BMW「Z4Mクーペ」

 山道に入ると、エンジン及びエキゾースト音はドライバーを刺激し、アドレナリンが噴出し更に右足に力が入ってしまいます。しっかりとレブカンターの針を見ていないとエンジンはゼブラゾーンが過ぎてレッドゾーンに・・・。まだ、走行距離が少ないためかシフトレバーは渋めで、ギヤはクロスしているためエンジンの回転に合わせてのギヤチェンジは忙しい。
 
 コーナーでのターンインはスムーズで、フロント225/45ZR18、リヤ255/40ZR18と太いタイヤ、高剛性のボディと強化されたサスペンションは、どんなスピードでコーナーに進入しても路面からタイヤを離しません。アクセルペダルとエンジン出力は正確にシンクロしていて、猛獣を調教してドライブしているようなプレッシャーがペダルから右足に伝わってきます。ブレーキもリニア。自分の思った通りに止まります。懐が深いが、常に車がドライバーを試しているのではないかと感じてしまう、何故なんでしょうか? 

純度の高いスポーツカー、どんな人が買うのか?

BMW「Z4Mクーペ」

 全ての動きがダイレクトにセオリー通りに車が反応して気持ちが良いが、一方で誤魔化しがきかない車だと思います。最近忘れていた硬派のスポーツカーで、他のBMW車とは一線を引くように思えます。スポーツカーとしての純粋度ではM6、M5そしてM3より高く、MクーペはZ4になってもピュアなスポーツカーでした。

 購入するとなると800万円の価格が、また乗る人を選びます。そして運転に集中するためにも、また誰にでも運転出来るようにSMGが欲しいと感じるのですが、残念ながらマニュアルトランスミッションのみ。腕に覚えがあり、経済的にも余裕のある人にお勧めなんでしょうがはたして実際は「どんな人が買うのでしょうか?」。

BMW Z4Mクーペリヤスタイル
BMW Z4Mクーペフロントスタイル
BMW Z4Mクーペエンジン
BMW Z4Mクーぺ インパネ
BMW Z4Mクーペシート
BMW Z4Mクーペメーター
BMW Z4Mクーペエンブレム
BMW Z4Mクーペフェンダー
BMW Z4Mクーペホイール