ザ・対決 日産 スカイライン VS トヨタ マークX
Mクラスセダン編
日産 スカイライン vs トヨタ マークX

セダンのなかでも、長年に渡って日本人に馴染み深いのがMクラスだ。どちらも日本のモータリゼーションとともに歩んできた伝統のモデルなのだが、それゆえにその立ち位置が今ひとつ明確でなくなってきているのは確かだ。しかし、最近ではミニバン卒業世代も現われつつあり、セダン回帰の流れもできつつあるともいわれてはいる。なかでも魅力的で扱いやすいMクラスセダンに注目が集まっているといっていいだろう。しかもここに来てスカイラインが新型にスイッチするなど、話題性も十分。その実力のほどをマークXとの対決で明らかに!

高橋ゆみ
PHOTO/佐藤靖彦 構成/近藤暁史
モデル/ 高橋ゆみ

ROUND1:ファーストインプレッション

日産 スカイライン
日産 スカイライン
日産らしく走りにこだわり
元祖GTセダンの面目躍如

 スカイラインに対する思いは人それぞれあるだけに、その理想を形にするのはとてもむずかしいことだろう。その点で見れば、12代目スカイラインの完成度は高いといってもいい。まずスタイルに関しては、アメリカ市場、つまりインフィニティブランドでの展開も考えて、あえて最近の日産顔を強調している。この点は少々国内では紛らわしいかもしれないが、丸テールを採用するなど、スカイラインらしさは十分だ。
 そしてなんといっても日産がこだわっているのが、走り。シャーシは先代で採用されたフロントミッドシップなどを実現するFMプラットホームに磨きをかけつつ、エンジンは定評を得ているVQ型を進化させたVQ-HR型を搭載する。2.5リッターと3.5リッターが用意されるが、どちらも完成度は高く、パンチのあるパワーと滑らかな吹けが存分に楽しめる。それだけにATが5速というのは残念だが……。また3.5リッターの350GTタイプSにオプション設定されるのが4輪アクティブステア。ハンドリングを大幅に向上させるディバイスとして注目である。

[スカイライン価格帯]
279.3〜380.1万円

トヨタ マークX
トヨタ マークX
車名も新たにして
新世代のサルーンを強調

 マークIIといえば、クラウンの下という絶妙な位置にあり、長期に渡って人気を維持してきたモデルだ。ただし、昔からのイメージが強くなってしまっているのもまた事実で、04年に現行モデルが登場した際に、マークXに車名が変更されている。
 もちろんそのコンセプトに変わるところはないが、高級感を失うことなく、スポーティさをうまくプラスしているのが、今までと違う点だ。エンジンバリエーションは2.5リッターと3リッターの2本立て。どちらも動力性能的には十分で、静粛性も高いのはさすがトヨタのエンジンといったところだ。とくに滑らかな6速ATのしつけのよさは特筆モノだ。
 プラットホームについてはクラウンと共通となっており、お買い得感という点ではじつはかなり注目のモデルだったりする。そして、内装に目をやってもじつに質感は高く、トヨタのサルーンらしい日本人好みの雰囲気が十分。インパネのそつのないデザインなどは万人受けする点だろうが、上級グレードについては天井に大型のイルミネーションが装着されるなど、ユニークな装備もある。

[マークX価格帯]
247.8〜362.25万円

日産 スカイライン 350GTタイプS
ボディサイズ(全長x全幅x全高)
4755×1770×1450mm
車両重量
1590kg
エンジンタイプ
V型6気筒DOHC
総排気量
3498cc
最高出力
315ps(232kW)/6800rpm
最大トルク
36.5kg-m(358N・m)/4800rpm
ミッション
5速AT
10・15モード燃費
9.2km/L
サスペンション(前/後)
ダブルウィッシュボーン/マルチリンク
ブレーキ(前/後)
ベンチレーテッドディスク/ベンチレーテッドディスク
税込価格
348.6万円
マークX 300Gプレミアム
ボディサイズ(全長x全幅x全高)
4730×1775×1435mm
車両重量
1530kg
エンジンタイプ
V型6気筒DOHC
総排気量
2994cc
最高出力
256ps(188kW)/6200rpm
最大トルク
32.0kg-m(314N・m)/3600rpm
ミッション
6速AT
10・15モード燃費
11.8km/L
サスペンション(前/後)
ダブルウィッシュボーン/マルチリンク
ブレーキ(前/後)
ベンチレーテッドディスク/ディスク
税込価格
362.25万円
日産 スカイライン エンジン

スカイラインに搭載されるVQ35HR型エンジンは、レスポンスを重視して開発された。そのためスポーティセダンらしいダイナミックな走りが楽しめる。

トヨタ マークX エンジン

マークXの3リッターV6エンジンは振動やノイズが少なくゆったりとした走りを味わえる。燃費や環境性能にも優れた新世代ユニットといえる。

日産 スカイライン タイヤ

前後異サイズの18インチタイヤ&ホイールを装着する。優れたハンドリングはもちろん静粛性にも優れ、快適な乗り心地を提供してくれる。

日産 スカイライン インテリア

高級感のなかにもスポーティな雰囲気を感じさせるインテリア。ナビの画面は視線の移動量も少なく見やすい位置に配置されている。

トヨタ マークX タイヤ

マークXは快適性を重視し、16インチタイヤが標準となる。300Gプレミアムのホイールは高級感のあるクロームメタリック塗装が施されている。

トヨタ マークX インテリア

オプションの本革シートは手触りがよくインテリアの質感の高さはさすがだ。木目調パネルを多用し、高級感を強く感じさせてくれる。

日産スカイライン シフトレバー

マニュアルモード付きの5速ATは、ステアリング脇のパドルでもシフト操作が可能。変速レスポンスも早く、スポーティな走りに貢献する。

日産 スカイライン ステアリング

スポーティな印象の3本スポークのステアリングを採用する。ステアリングのチルト操作に連動してメーターパネルが上下するのは先代と同様。

トヨタ マークX シフトレバー

ATはスカイライン同様マニュアルモード付きだが、こちらは6速となる。低燃費とダイナミックな加速を両立させることに成功している。

トヨタ マークX ステアリング

メーターは文字盤も大きくとても見やすい。木目と本革を組み合わせたステアリングで高級なイメージを演出することに成功している。

日産 スカイライン フロントシート

スポーツセダンらしくフロントシートはコーナーでもしっかり体をサポートしてくれる。ヘッドクリアランスも十分で快適性も満足いくもの。

日産 スカイライン リヤシート

リヤシートのサポート性も良い。大型のアームレストを装備しているので、ロングドライブでも快適に過ごすことができる。

トヨタ マークX フロントシート

シートはゆったりとしており快適性は十分以上。シフトレバーやオーディオなどのスイッチ類も扱いやすい位置に配置されている。

トヨタ マークX リヤシート

足元のスペースはとても広々としていて余裕たっぷり。クルマのシートというよりはリビングのソファといった雰囲気がある。

日産 スカイライン ラゲッジ

トランクスルー機能はないが、アームレスト部分にスキーなどの長尺物が積み込めるようになっている。ラゲッジのスペース自体は十分確保されている。

トヨタ マークX ラゲッジ

ラゲッジの広さはスカイラインにも引けを取らない。さらにトランクスルー機能があるので長尺ものはもちろん、かさばる荷物の積み込みも可能だ。

日産 スカイライン vs トヨタ マークX

どちらも排気量に余裕があるだけに高速道路でもゆとりのある走りを味わえる。マークXのほうがソフトな乗り味だが、スカイラインも路面のショックをうまく吸収しているので不快ではない。