美しさを兼ね備えた、地球環境に配慮したクルマ

 GMは、2007年デトロイト・オートショー(北米国際自動車ショー)で、コンセプトモデル「シボレー・ボルト」を世界初披露した。

 同車は、バッテリーで駆動する4シーターの電気自動車である。ガソリンエンジンで発電を行うことにより、航続距離の延長を実現。1996年に導入され、「EV1」をベースに開発された。110ボルトのコンセントに1日6時間ほどプラグを差し込むだけで充電が完了する。リチウムイオンバッテリーだけを使用した場合、通常の市街地走行で40マイル(約64.4km)の走行が可能で、バッテリーが切れた場合でも、1リッター3気筒ターボチャージャー・エンジンが一定の速度および回転数で駆動、発電することで、バッテリーに電力を補充すし、燃費と航続距離が飛躍的に向上したという。

 さらに、エタノール85%、ガソリン15%の混合燃料であるE85エタノール燃料で駆動するようにも設計されており、E85エタノール燃料を使用した場合の燃費は、ガソリン使用時の燃費に換算すると525 mpg(1リッターあたり約220.5 km)に相当する。また、充電を忘れたり、長距離ドライブを続けなければならないような場合でも、エンジンの動力によりガソリンを電力に変換することで、50 mpg(1リッターあたり約21 km)の走行が可能となった。これにより、通常のガソリン車の2倍以上に相当する最長640マイル(約1,030 km)まで航続距離の延長が可能になった。

 通常、EVレンジ・エクステンダーと呼ばれるこのタイプの電気自動車には、約400ポンド(約180 kg)のバッテリーパックが必要となるが、これには見当たらない。ボルト・コンセプトはGMのE-flexシステムを軸に設計された初の自動車である。

 GMグローバル・プログラム・マネジメント担当副社長のジョン・ラウクナー氏は、「我々が、ガソリンエンジン駆動タイプのEVレンジ・エクステンダーではなく、水素燃料電池駆動式のシボレー・ボルトを用意したのもここに理由がある。将来、ジェネレーターを駆動して発電し、バイオディーゼルを使用するディーゼルエンジンが生まれるかもしれないし、最終的に100%エタノールの燃料で駆動するエンジンが組み合わせられるかもしれない。つまり、これらの選択肢すべてがE-flexシステムで活用できるという点がポイントなのだ」と語る。

 GMのE-flexシステムは、共通のシャシーに多様な推進システムを組み合わせることが可能な電気駆動システムで、世界のエネルギー源の多様化に役立つとともに、それらエネルギー源のひとつとして電気を生み出すことができるという。

 「シボレー・ボルト」のスタイリングは、流麗で機敏性と洗練性を感じさせるものになっている。21インチホイールやエッジの効いた張りのある面構成は、その個性を強く印象づける。エクステリアは、スタイリッシュなパッケージングに包まれ、カマロやコルベットを彷彿とさせるようなシボレースピリット溢れる仕上がりとなっている。一方、インテリアには、近未来的なテクノロジーや革新的なマテリアルが採用され、それらが絶妙に配置された間接照明によって美しく照らされ、明るく軽快かつ使い勝手の良い設計となっている。