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一枚の名車絵 第7回 シボレー コルベット(Chevrolet Corvette) 4代目(C4)


各国にはそれぞれ代表する本格的スポーツカーがあります。イタリアならフェラーリ、ランボルギーニ。フランスならアルピーヌ、ドイツならポルシェ、日本ならGT-R・・・そしてアメリカには、シボレー・コルベットがあります。最新のコルベットは1954年に登場の初代“C1”から数えて現在7代目、“C7”となっていますが、常にアメリカのスポーツカーの象徴として君臨して来ました。


◆コルベットのスタイリングを確立したC4


コルベットは1954年、ほぼ同じ時期に登場したフォード・サンダーバードと並びアメリカ初のスポーツカーとして登場しました。当初のコンセプトはイギリスのMGやイタリアのアルファロメオなどと同じく、小型スポーツカーだったのですが、結果的にはV8エンジン搭載で開発されています。

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その中でも、現在のC7に通じるスタイリングを確立したのは4代目”C4”です。ロングノーズ(かなり長い)・ショートデッキというスタイルは初代から異なることはありませんが、明確なウェッジ・シェイプ、抑揚が抑えられたフェンダーは、C4からの特徴です。C4は1984年から生産が開始されていますが、デザインの変更のみならず、基本設計も既存のコルベットから大きく変更されたエポックなモデルでもあります。

ペリメーターフレームにフロント:ダブルウィッシュボーン、リア:リンク式/横置きリーフというサスペンション構造は不変ながらすべて新設計とされアルミを多用して軽量化が図られている他、リアは5リンクへと進化、リーフサスもFRP製となりました。モダンとなったボディのCd値はC3の0.44から0.34へと大幅に改善されています。


◆DOHCも投入された伝統のV8エンジン


copyright_izuru_endo_2016_04_corvette_1280_796(クリックで拡大)エンジンは伝統のV8、5.7リットルで、デビュー当初は205psでしたが、1985年に230ps、1987年には240ps、1988年は245ps、1990年ではエンジンが新設計となり(LT1)ついに300psへと順次パワーアップ。1989年にはさらなるハイパフォーマンスモデル「ZR-1」を投入、このエンジンはOHVではなくDOHC32バルブとなり、370ps(のちに405ps)を発生するに至り、コルベットを世界の“スーパースポーツ”と肩を並べる存在へと引き上げたのです。

また、C4コルベットにはZ51と呼ばれる仕様が存在します。これは、エンジンはそのままなのですが、固められたサスペンション、ワイドタイヤを持ちMTのみというハードなスポーツモデルでした。なお、1991年には「Z07」というモデルに進化しています。

C4コルベットは1997年に5代目”C5”が登場することでフェードアウトしましたが、現在に続くコルベットの流れを作った重要な世代として歴史に名を残すモデルといえるでしょう。


【イラスト/文 遠藤イヅル】
フリーのカーイラストレーター/ライター。東京都出身。自動車雑誌、WEBサイトにクルマをテーマにしたイラストや記事を多数提供。世界各国の生活感があるクルマを好み、20年間で18台のクルマを乗り継ぐ。クレイジーなほど深くて混沌としたクルマ知識を持つ元自動車系デザイナー。自身のクルマ体験をもと、独創的な視点で切り込むイラストやインプレッション記事は、他にないユニークなテイストとして定評がある。2015年7月現在の愛車はプジョー309SI。最新の掲載誌は遠藤イヅルのfacebookで確認!

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