EVS 22(第22回国際電気自動車シンポジウム)レポート!

電動車両分野で世界最大のシンポジウム

 10月23日〜10月28日、パシフィコ横浜にて「第22回国際電気自動車シンポジウム(EVS−22)」が開催されている。EVS−22は、電気自動車・ハイブリッド車・燃料電池自動車など電動車両分野における世界最大の国際シンポジウムとなる。世界電気自動車協会の傘下で、アメリカ、欧州、アジア太平洋の3地域持ち回りで開催されていて、日本での開催はEVS−13(1996年・大阪)以来10年ぶり2回目の開催となる。
 環境に優しく、省エネルギーに貢献する電動車両関連技術を、車両・関連機器・電池・燃料電池・エネルギー・環境・インフラ・交通システム・施策・教育など様々な側面から総合的に紹介するといった内容で、自動車メーカーをはじめ多くの企業・団体や大学などが出展した。
 

トヨタ・トヨタ車体・ダイハツ・日野、グループ出展

GS450hカットモデル(ベアシャシー)

 トヨタは、持続可能なモビリティ社会実現に向けた取組事例として、2003年から実用化している「FCHVバス」のカットモデルを展示。さらに、第39回東京モーターショーに出展された燃料電池車コンセプトモデル「Fine-X」、ハイブリッド技術では「GS450hカットモデル(ベアシャシー)」を展示し、タッチパネルを用いて紹介した。

「コムス FCHV」

 トヨタ車体は、21世紀に求められる循環型社会に貢献する活動として、次世代自動車開発の取り組みを紹介。展示されたのは、現在市販している密閉型鉛電池搭載車の「コムス」に加え、愛地球博でも活躍したという小型高効率の燃料電池システムを搭載した「コムス FCHV」(写真)と、リチウムイオンバッテリを採用し、軽量化と1充電走行距離アップを実現したコムス。

コペン EV

 ダイハツは、燃費向上と排出ガス低減を実現した軽商用車初の「ハイゼット カーゴ ハイブリッド」や、大人4人がゆったり乗れる広々空間を実現し、一充電走行距離を向上させた「タント FCHV」、クリーンエネルギー車ながらも気持ち良い加速感を持ち、高性能でスポーティなデザインの「コペン EV」を展示した。

デュトロ ハイブリッド

 日野は、デュトロハイブリッドを出展。日野デュトロハイブリッドは、先進のハイブリッドシステムとクリーンディーゼルテクノロジー“DPR”を組み合わせた世界初の小型ハイブリッドトラック。モーターは、減速時には発電機となり減速エネルギーをニッケル水素電池に蓄積。発進、加速時はモーターとしてエンジンをアシストする。

日産、「エクストレイルFCV 05モデル」と歴代の電動車両を出展

 日産は、「クルマ:電動化の推進」をテーマに燃料電池車「エクストレイルFCV」をはじめ、歴代の電動車両「たま電気自動車」や「ハイパーミニ」および、日産独自の「e・4WDシステム」や将来の電動車両として「Pivo」の革新的な技術などを紹介。

「たま電気自動車(1947年)」
「たま電気自動車(1947年)」
1947年に発売された日産初の電気自動車。最高速度35km/h、1充電走行距離65kmを実現。
 
「ハイパーミニ(1999年)」
「ハイパーミニ(1999年)」
都市コミューターに最適な2人乗りの超小型電気自動車。
マイクロUV
「マイクロUV」
オーテックジャパンが、NEDOの委託事業として開発。

ホンダ、「シビック ハイブリッド」のIMAエンジンなど紹介

 ホンダは、エンジンとモーターアシストの両方を大幅に高性能化した「シビック ハイブリッド」とそのIMAエンジンや、次世代の燃料電池技術を採用した新次元プレミアムセダン「FCX コンセプト」とそのパワートレインのほか、家庭用水素供給システム「ホーム エネルギー ステーション III」、製造時のエネルギーや二酸化炭素発生を従来の半分に抑える次世代型薄膜太陽電池など、最先端環境技術の一部を紹介した。

シビック ハイブリッド
シビック ハイブリッド
 
FCX コンセプト
FCX コンセプト

三菱、「i(アイ)」ベースの電気自動車『iMiEV』を展示

『iMiEV』

 三菱は、先日グッドデザイン大賞を受賞した「i(アイ)」をベースに、大容量リチウムイオン電池と小型・高出力モーターを搭載した電気自動車『iMiEV』を出展。「リヤ・ミッドシップレイアウト」の活用により、居住スペースを変えずにEV化部品を床下搭載し、日常での使用に充分な航続距離と軽快な走りを実現しているという。

【三菱 iMiEV 新車速報】三菱 i(アイ)の電気自動車「i MiEV(アイ・ミーブ)」、電力会社との共同研究スタート!

【新車情報】 (2006.10.12)

三菱は、電気自動車の研究車両「i MiEV(アイ・ミーブ)」を製作し、電力会社との共同研究を開始すると発表した。2010年頃の実用化を目指すという。 >> 記事全文を読む


スズキ、燃料電池車「IONIS(イオニス)」など展示

 スズキは、燃料電池車「IONIS(イオニス)」や、電動車いすのコンセプトモデルを展示、より良い交通社会と福祉社会に向けた取り組みを紹介した。

「IONIS(イオニス)」
「IONIS(イオニス)」
 
「IONIS(イオニス)」
「IONIS(イオニス)」

フォード「リフレックス・コンセプト」を展示

フォード「リフレックス・コンセプト」を展示

 フォードからは、2006年北米国際自動車ショーで発表された「リフレックス・コンセプト」が展示された。このコンセプトカーは、アメリカ車らしいデザインのボディーに高性能を犠牲にすることなく、リッター何と27km強の燃費を実現する先進のディーゼル・電気ハイブリッドエンジン等が採用されている。

「リフレックス・コンセプト」
「リフレックス・コンセプト」
「リフレックス・コンセプト」
 

東京電力、自動車会社と共同開発した車両を展示

 東京電力は、「環境に優しい電力会社の電気」、「電気自動車のあるオール電化の暮らし」、「急速充電器」などを紹介した。展示された車両は、自動車メーカーと共同で開発されたもの。新開発のリチウムイオン電池と急速充電器により、約15分で80%容量までの充電が可能だという。

「iMiEV」
三菱自動車と共同開発した「iMiEV」
「R1e」
富士集工業と共同開発した「R1e」
「R1e」
富士集工業と共同開発した「R1e」
 

慶應義塾大学、8輪駆動の電気自動車「エリーカ」を出展

「Eliica(エリーカ)」

 慶應義塾大学は、38社に上る企業と共同で開発した「エリーカ」を出展。「エリーカ」はリチウムイオン電池を使用した電気自動車で、8本の車輪の中にモータやブレーキをそれぞれ内蔵した8輪駆動を実現している。最高速度はなんと、370km/h!

EVS-22 テーマブース特別展示

ベイカーエレクトリック
【ベイカーエレクトリック】
20世紀初頭のアメリカで、蒸気自動車に次いで普及していたという電気自動車。この「ベイカーエレクトリック」は、取り扱いが簡単で、静かでクリーンなことに加えて上品さもあり、女性をはじめ医者など知的職業を持つ人達に支持されていたとのこと。ガソリン車の改良と普及に伴い1916年には姿を消したが、“トーマス・エジソン”が買った最初の自動車でもあったという。
 
ダイハツ DBC-1型 軽三輪電気自動車
【ダイハツ DBC-1型 軽三輪電気自動車】
1970年、新聞配達用、ランドリー用、工場運搬用など新たな分野でのEVの使用を目指し、排出ガス、騒音等公害防止に対処した小地域の集配用EVとして開発され、210台余りが日本経済新聞社を中心に活用されたとのこと。全体を非常に小型にまとめた、乗車定員1名、最大積載量100kgのオープンタイプの軽貨物自動車で、1970年11月に新型自動車として認可されたという。
 
i-swing
【i-swing】
トヨタが開発した、新しいパーソナルモビリティ。「着る」感覚で乗降できる一人乗りパッケージに、布素材で覆った衝撃を和らげる低反発ウレタンのボディや、状況に合わせて自在に映像表示ができるLED発光面など個性的なデザインをもつ。街中を走行するときは、専有スペースの小さい2輪走行スタイルとなり、歩く人と並んで会話しながらの走行も可能だという。