ザ・対決 フォルクスワーゲン ゴルフ VS フィアット グランデプント
第5回 輸入ハッチバック編
輸入ハッチバック対決

最近は国産車でもひとつのカテゴリーを確立しているものの、ハッチバックの本場といえば、やっぱりヨーロッパ。扱いやすいコンパクトなサイズと絶妙に考えられたパッケージングに加えて、キビキビとした走りも披露してくれたりと、じつに奥が深かったりする。今回は、初代より世界のFF2ボックスのベンチマークとして高い評価を得ているゴルフと、ホットハッチの故郷イタリアより上陸したばかりのグランデ プントを対決させてみることに。その味付けの違い、いかに?

高橋ゆみ
PHOTO/和田清志 構成/近藤暁史
モデル/ 高橋ゆみ

ROUND1:ファーストインプレッション

フォルクスワーゲン ゴルフ
フォルクスワーゲン ゴルフ
高級車の風格すら漂う
完成度

 2ボックスの基準を作り上げたとまでいわれる、1974年に登場した初代ゴルフ。それからちょうど30年後の2004年に誕生したのが5代目だ。FFの2ボックスという初代からのコンセプトは不変なのだが、サイズはコンパクトと呼ぶには少々大きくなってしまったといっていい。それでも、限られた空間をうまく利用したパッケージングなど、代々培ってきたノウハウが存分に投入され、じっくりと使い込めるキャラクターに仕上がっているのはさすがゴルフと思わず納得だ。さらに注目なのは走りで、とかくGTやGTIに目が行くが、スタンダードグレードもじつに高いレベルに仕上がっている。エンジンはVW自慢の直噴ユニットのFSIとし、今回テストに連れ出した2リッターのほかに、1.6リッターも用意。特筆すべきは両車ともに、クラス初となる6速ATを搭載していることで、キビキビとした走りが楽しめるだけでなく、省燃費性などについてもしっかりと確保されている。そのほか5代目になってマルチリンク化された足回りなど、熟成という言葉がピッタリくる内容である。

[価格帯]240.45〜439.0万円

フィアット グランデプント
フィアット グランデプント
イタリアンテイスト溢れる
デザインに注目

 1993年に登場した初代やそれ続く2代目と、ヨーロッパで大ヒットを続けてきたプント。今まで600万台以上を販売し、ヨーロッパではゴルフとライバルとして真っ向勝負となっているほど。ただしグランデ プントはただの後継車ではなく、「大きなプント」という車名からもわかるように、サイズや車格などはひと回り上で、あくまでも流れを受け継いでいるに過ぎないという点が注目だ。まずそのデザインだが、先代がフィアット社内だったのに対して、今回はフィアット社内とジウジアーロ率いるカロッツェリア、イタルデザインの共同となっており、複雑な面構成を取り入れて見る角度によってさまざまな表情を見せてくれる。パワーユニットについては、1.4リッターながら軽快な吹けのおかげでパワーに不満はなく、さらに6速MTを駆使すればキビキビとした走りが楽しめる。秋には同じ1.4リッターながら8バルブとなるユニット搭載のモデルが追加され、5ドアなど4グレードが登場する予定となっている。


[価格帯]209.0〜224.0万円

フォルクスワーゲン ゴルフGLi(FF)
ボディサイズ(全長x全幅x全高)
4205x1760x1520mm
車両重量
1380kg
エンジンタイプ
直4DOHC
総排気量
1984cc
最高出力
150ps(110kW)/6000rpm
最大トルク
20.4kg-m(200N・m)/3500rpm
ミッション
6速AT
10・15モード燃費
12.0km/l
サスペンション(前/後)
ストラット/4リンク
ブレーキ(前/後)
ベンチレーテッドディスク/ディスク
税込価格
279.3万円
グランデ プント 1.4 16V スポーツ レザー(FF)
ボディサイズ(全長x全幅x全高)
4050x1685x1495mm
車両重量
1160kg
エンジンタイプ
直4DOHC
総排気量
1368cc
最高出力
95ps(70kW)/6000rpm
最大トルク
12.7kg-m(125N・m)/4500rpm
ミッション
6速MT
10・15モード燃費
-km/l
サスペンション(前/後)
ストラット/トーションビーム
ブレーキ(前/後)
ベンチレーテッドディスク/ディスク
税込価格
224.0万円
エンジン

今やVWのスタンダードとなりつつある直噴ユニットのFSI。燃料噴射量をきめ細かく制御することで、パワーと低燃費を両立している。

195/65R15

タイヤサイズは195/65R15と、実用性を重視したサイズ。足まわりの味付けはじつにしっとりとしていて、かなり粘ってくれる。

エンジン

現状ではエンジンとミッションは1.4リッター16バルブと6速MTの組み合わせの1タイプのみ。軽快に回るエンジンは、低速トルクも十分にある。

205/45R17

17インチの割にはあまりボリュームを感じさせないホイール。205/45R17と低偏平のタイヤを履くのでゴツゴツ感がある。

インパネ

質実剛健という言葉がピッタリくるインパネ。正直なところ、派手さはないが、質感もよく、使い込むほどに味わいが湧いてくる。

ラゲッジ

大きめのボディサイズを活かして、ラゲッジルームはじつに広大。日本流にいえば、ゴルフバッグ4つをちゃんと積めるほど。

インパネ

フィアットに限らずイタリア車といえば、インテリアも凝ったデザインが多いが、ことグランデ プントに関しては派手さはない。

ラゲッジ

ボディサイズを考えると十分すぎるスペースのラゲッジ。従来のプントでは採用されていたのに、分割可倒式ではないのがじつに残念だ。

フロントシート

シートは硬めで体をしっかりとホールドしてくれるタイプ。着座姿勢も日本人が乗ってもとくに無理するようなこともない。

リヤシート

リヤシートまわりのクリアランスも十分で窮屈な感じはまったくない。大人4人がゆったりと乗って、長距離を移動するのも可能。

フロントシート

イタ車の伝統である手と足が前に伸びるスタイルはグランデ プントでも同様。シートは肉厚で懐深く、乗る者を包み込んでくれる。

リヤシート

今回は残念ながら、3ドアということでゴルフとそのまま比較するわけにはいかないが、スペース自体は余裕たっぷりで遜色はなし。

ゴルフ&グランデプント

ゴルフが5代目になってさらに大型化しているので、スリーサイズを比較してみると、グランデ プントのほうがひと回りほど小さい。フィアットとしては装備などで上級車に肩を並べるとしている。