輸入(格安!)中古車の達人『外川 信太郎』が教えるオススメ輸入車 その1「オペル・ベクトラ」編

買いに買った10数台!乗ってわかった格安輸入中古車の『ツボ』

 私は、これまでに50万円以下で購入できる格安輸入車を十数台!乗り継いできました。中には「駐車場のオブジェ」となってしまい、数日で手放したものもありましたが、その反面2年間まったくのトラブルレスの固体もありました。「腐っても鯛」ではありませんが、どれも歴史あるメーカーが作り上げた輸入車達。ツボさえ押さえておけば、安価な予算であなたの良き相棒になってくれることでしょう。
 そんなワケで第一回は、現在私の「通勤快速号」として活躍してくれている先代の「オペル・ベクトラ」をご紹介します。

【オペル ベクトラのツボ その1】膨大な費用を投じて開発された空力ボディ

 今回紹介するのは先代のオペル・ベクトラ(通称「タイプB型」)。1996年に日本デビューを果たし、競合多きDセグメント市場に一石を投じたモデルです。エッジの効いたフロントラインからリアエンドにかけて流麗なラインを描くエクステリアは、優れた空力特性の具現化といえるでしょう。
 エンジンは前期モデルで3タイプ。直4DOHCの1.8リッターと2.0リッター、そしてトップレンジのV6DOHC2.5リッター。オペル自社製のエコテックエンジンはいずれも経済性にも優ています。
 後期モデルではヘッドライトがアクリル製のマルチ・リフレクター式に変更。テールレンズの形状も変更され、エンジンは直4が2.0→2.2リッター、V6が2.5→2.6リッターに変更。(1.8リッターは生産中止)
 02年に現行モデルが登場するまで生産され、欧州では96年〜98年まで3年連続ベストセラーカーとして君臨しました。また日本国内でもB型ベクトラは通算4万台あまりの販売台数を誇り、アストラと並びオペルのヒット作といえるでしょう。

【オペル ベクトラのツボ その2】低く構えた精悍な顔つき

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 空力を徹底的に研究した結果生み出されたボディは、肉感的にして、かつクリーンな印象。一見地味な印象のB型ベクトラですが、前方を走るクルマのミラーに写る姿は意外にも迫力があり、高速では容易に道を譲ってもらえます。

【オペル ベクトラのツボ その3】空力のツボとなるボディ一体型ミラー

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 ボンネットに刻まれたV字状のラインと一体化したサイドミラーは、B型ベクトラ最大の特徴。視覚的にも、Dセグメントセダンのものとは思えない、コンペな印象を受けます。このミラーのお陰で、Cd値0.28と現在でも最高レベルを達成。アウトバーン領域の速度でも、風切り音は驚くほど少ないのには驚かされます。代償として、視認性はお世辞にも良いとはいえません…。

【オペル ベクトラのツボ その4】風を見方にしたサーフェイスボディ

輸入(格安!)中古車の達人『外川 信太郎』が教えるオススメ輸入車 その1「オペル・ベクトラ」編

 オペル伝統のエアロダイナミクスは、空気の流れに逆らわない造型。クーペのようなCピラーのラインは上品な雰囲気を演出。そしてキュッと持ち上がったヒップは、B型ベクトラの特長です。

【オペル ベクトラのツボ その5】古さを感じさせないヒップライン

輸入(格安!)中古車の達人『外川 信太郎』が教えるオススメ輸入車 その1「オペル・ベクトラ」編

 登場から10年が経過した現在でも、このリアビューを模したクルマが多く登場しています。先日、最新のメルセデスCクラス(W203)と並べてみましたが、ベクトラのプロポーションに魅力を覚えるほどでした。

【オペル ベクトラのツボ その6】ラゲッジの開口部も広く、大容量

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 6:4の分割可倒式の後席を持つラゲッジルームは、同クラスでは比類なき空間面積を誇ります。また、バンパーの付け根から大きく開くので、荷物の積載も容易です。ただトランクの油圧ダンパーがややへたりやすいところが×。

【オペル ベクトラのツボ その7】高回転域が美味しいエコテックエンジン

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 直4DOHC2.0Lエコテックエンジンは、オペル自社製。エンジン制御は、ドイツの総合電機メーカー「シーメンス」製です。実はこのエンジン、スペック上では、136psと控えめですが、積極的に回りたがる性格。4ATの「Sモード」を選択すれば、レブリミットの6750rpmを飛び越え、7000rpmあたりまで回ろうとします。
 100Km/h巡航時のエンジン回転は、2150rpmとハイギヤードなため静粛性は高いのですが、アイドリング時の篭り音、振動はやや大きめです。
 同社のリアルスポーツ「スピードスター」やケータハム「スーパーセブン」にも搭載されたこのユニット。潜在能力はとても高いといえます。
 ご自慢の空力ボディのお陰で、カタログ値での最高速度は215Km/h、メーター読みでは、230Km/hオーバーと快速です。
 欠点はオイル消費量が多く、1500キロ走行で1リッターほど消費すること。トランクにオイルボトルは常備ですね〜。 

【オペル ベクトラのツボ その8】巨大なローター&キャリパーは強力な制動力を生み出す!

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 タイヤサイズは195/65R15と昨今のクルマと比較した場合小径。しかし、ホイール径一杯のディスクローターと巨大なキャリパーは、1××Km/hからでも安心して踏んでいけます。真綿を閉めるような踏力に比例したフィーリングは、強力無比。
 ブレーキキャリパー&ローターはドイツ、Ate(アーテ)製、ホイールはドイツ・ロナール製を採用しています。

【オペル ベクトラのツボ その9】あのレカロが全車純正採用!

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 B型ベクトラに採用されているシートは全車、あのレカロ社が生産。スポーツカーではありませんので、座面に「レカロ」のロゴは刻印されておりません。俗に言う隠れたレカロ「カクレカロ」ってヤツです。レカロ社のシートはメルセデスやVWをはじめとする各ドイツ車や、ルフトハンザ航空、さらにドイツの新幹線ICEにも純正採用されております。

【オペル ベクトラのツボ その10】伝統のオンボードディスプレイは多岐の情報を表示

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 オペルは、BMWやメルセデスが採用する前からオンボードディスプレイを装着しています。B型ベクトラでは、外気温度、平均燃費、瞬間燃費、巡航可能距離、使用燃料残量、各種警告(ブレーキパッド残量警告やオイルレベル、冷却水レベル、各種灯火玉切れ)など実に多岐にわたります。
 このディスプレイ、非常に正確なのですが、液晶のドット抜けが発生している可能性が多いので要注意です。ちなみに、製造はドイツ「シーメンス」が担当。

【オペル ベクトラのツボ その11】人間工学を取り入れた優れたロジック

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 色気こそないですが、ロジックは非常に優秀。上段には、リアガラスの電熱線やハザード、トラクションコントロールON/OFFスイッチを配置。
 オーディオは、6連奏CDチェンジャー付きでパナソニック製です。フロントスピーカーは、ドアパネルに配され、ウーハー、スコーカー、ツイーターの3ウェイ。リアドアには、ウーハー、ツイーターの2ウェイタイプの計10スピーカーシステム。
 センターコンソール下部には、フルオートエアコンを全車装備。左から、温度調整、風量、風向き調整の3連式。
 エアコンの効きも良く、トラブルも最小限です。ちなみにコンプレッサーは日本の「サンデン」製です。

【オペル ベクトラのツボ その12】トラブルフリーの日本製ミッションを搭載

輸入(格安!)中古車の達人『外川 信太郎』が教えるオススメ輸入車 その1「オペル・ベクトラ」編

 電子制御の4速ATは、わが国のアイシン製を採用しています。通常走行のエコノミーの他、シフトレバー先端のボタンにはエンジンを高回転域まで引っ張るSモード、レバー左側には滑りやすい路面での発進をサポートするウインターモードを装備。
 パワーウインドウスイッチは、フロント・リア用に計4個を配置されていますが、先端に発光ダイオードが灯るだけの簡素なスイッチなため、使い勝手は×。

【オペル ベクトラのツボ その13】メーターの視認性はピカイチ!

輸入(格安!)中古車の達人『外川 信太郎』が教えるオススメ輸入車 その1「オペル・ベクトラ」編

 扇形のメーターは、左から6700rpmからレッドゾーンのタコメーター、260Km/h表記のスピードメーター。そして一番右側には水温計(上)と燃料計(下)のコンビネーション式。
 スピードメーターは「指針可変式」を採用。欧州実用域の140Km/hまでは目盛りの間隔を大きく取ることで、視認性を向上しています。この方式の採用はオペルが元祖で、スピードメーターはパルスによる電子式と指針駆動制御モーターによって実現したものです。
 製造は、ドイツの老舗計器メーカーVDO製です。

輸入(格安!)中古車の達人『外川 信太郎』が教えるオススメ輸入車 その1「オペル・ベクトラ」編

 イルミネーションは、全面透過光式を採用。照明色はオペル伝統の「ウォーム・ホワイト」。照度は、非常に高いのですが、目に優しい柔らかなイルミネーションが、ナイトドライブの演出にも一役かってくれます。

こんなに凄くて、こんなに安い!

 現在、B型ベクトラは日本上陸当初のモデルでは、なんと10万円程度から探すことが出来ますが、市場で最もタマ数が豊富なのは、98年〜あたり。50万円も出せば、驚くほどの好物件を探すことが出来ます。
 最新のクルマと比較しても安全装備などで劣っている部分もなく、両席エアバックはもちろん、シートベルトプリテンショナー、4チャンネルABS、トラクションコントロールを備えながらも、格安で手に入る実にお買い得なクルマといえるでしょう。

【オペル ベクトラのツボ まとめ】達人が斬る!『B型ベクトラの○と×!』

<ココが○!>

・Cd値0.28が生み出すエアロダイナミクスボディは風切り音が非常に低く抑えられ、高速でも静か。

・エンジンスペックは大したことはありませんが、活発に回りたがる性格で十分速い。

・ステアリングフィールはスローな味付けですが、リア4リンクのサスペンションはしなやかな乗り心地を提供。セダンとは思えないほどロールやピッチングが抑えられ、ワインディングでも十分速い。

<ココが×・・・>

・空力を徹底的に研究したミラーはカッコイイのですが、視認性は正直最悪です。車線変更の時は目視が必須です。

・カムシャフトセンサーの不良はほぼ8割発生してます。このセンサーがイカれると、エンジンがセーフティモードに切り替わり、最高出力の7割程度にパワーが抑えられます。そのため、4000rpm以上回らなくなり、実にかったるくなってしまいます。メーター内の「カミナリマーク」が点灯していたら、要注意!です。

・集中ドアロックの不良が多く、4枚ドアのいずれかが不動になっているケースが多いです。購入時にはしっかり開閉ができるかチェックしたいですね。

・環境に配慮した水性塗料を世界に先駆け採用したオペルですが、酸性雨や小傷にはめっぽう弱いです。

まだまだある!『ツボ』なオススメ格安輸入中古車!

 いかがでしたでしょうか?安価でも、ツボさえ押さえておけば、意外なほど楽しい輸入車ライフを楽しめますよ!今後も、オススメの格安輸入車をセレクトし、徹底研究をしていきます。

written by 外川 信太郎