サーブは、10月11日、「アルコキー」の実証テストを行う準備を進めていると発表した。

 アルコキーは小型の携帯電話ほどのコンパクトなサイズで、ユニットには蓋のついた吹込み口が内蔵されており、ドライバーはエンジン始動前に息を吹き込むと、無線送信機によって自動車の電子制御装置に信号が送信され、エンジンの始動が可能となる。呼気中に法定許容範囲を超えるアルコールが検知されると、エンジンは始動しない仕組みとなっている。

 アルコキーは、ドライバーの血中アルコール濃度が許容範囲を超えている場合に、確実に運転できないようにするための効果的な手段を求めるニーズに応えるものである。アルコキーは、スウェーデン市場で販売されているサーブ9-5および9-3モデル向けのオプションとして提供される予定とのこと。

 サーブでは、今後6ヶ月間にわたり、サーブの経営陣やタクシー会社や一般ユーザーが参加する予定のテストが実施されるという。バッテリーの寿命を最長化するための開発の結果、現時点でのバッテリーの寿命は、1日5回使用した場合で約12か月となっている。また手軽に使用できるよう、自動車のイグニションキーとは独立している。

 エンジンを始動するには、ドライバーはまずアルコキーのスイッチを押し、装置が信号音を発するまで3秒ほど吹込み口に息を吹き込む。呼気が装置内の微細なセンサー部を通過するとすぐに、アルコキーの表面にあるライトが緑色か赤色に点灯する。緑色のライトは呼気中のアルコール濃度が許容範囲内であることを示し、アルコキーの無線信号によってイモビライザーが解除され、エンジンの始動と発進が可能となる。赤色のライトが点灯した場合は、アルコール濃度が許容範囲以上であることを示し、イモビライザーが作動した状態のままとなり、エンジン始動ができない。アルコキーに緑色の信号が表示されてから1分以内にエンジンを始動させないと、再度呼気テストをする必要が生じる。

 さらにアルコキーは、呼気の温度を検知することができるため、アルコールチェックの回避をはかろうと風船などを使って空気を吹き込んでも、通常の人間の呼気と区別されてしまう。ドライバーが乗車前に呼気を吹き込んだ場合でも、イモビライザーを解除するプロセスはわずか3〜4秒となっている。

 実証テストでは、アルコキーの利便性と使い勝手の良さに重点が置かれており、また現時点においては、スウェーデン市場のみを対象としている。