引退を決めた最初のレース
イタリアGP決勝後の記者会見で7回もワールドチャンピオンに輝いたフェラーリのミハエル・シューマッハが今期限りでの引退を表明した。今シーズンも前戦イタリアGPまでポイントトップのフェルナンド・アロンソとのポイント差を2ポイントまで詰め寄るなど、まだまだ現役でも戦える力がある37歳。しかし、F1で戦うためのモチベーションを維持するには年齢が行きすぎたということだろう。
しかし、今年チャンピオンを獲得し引退するという新たなモチベーションを自らに与え、残る中国・日本・ブラジルと表彰台の中央に登ることを目標としている。アロンソの2年連続チャンピオン獲得には険しい道のりとなるだろう。
予選トップはアロンソ!ミハエルは6番手
中国GPはあいにくの雨模様と予選コンディションは厳しいものとなった。そこで好タイムをたたき出したのはマシンバランスに優れるルノーを駆るアロンソとジャンカルロ・フィジケラである。ミシュランのウェットタイヤも上海サーキットにマッチしており、フェラーリなどブリヂストン勢は苦戦し、フェラーリのフェリペ・マッサは予選13位、ミハエルは何とか6番手へと滑り込んだ。
その他のチームでは、ミシュランタイヤを履くホンダのルーベンス・バリチェロとジェンソン・バトンが1000分の1秒まで同タイムで 3番手と4番手を分け合うなど、ミシュランタイヤの優勢が予想される。決勝で雨が降るとブリヂストン勢はかなり苦戦しそうな結果となった。
タイヤ交換が優勝の鍵となった決勝レース
F1第16戦中国GPは前日と同じ雨のスタートとなった。路面がウェットの状態ではミシュラン勢の速さが目立ち、レースはルノーの1−2で進んだが、雨は上がり路面の雨水が徐々に少なくなる状況と、前日の予選とは違うコンディションへと変わっていった。
6番手スタートのミハエルは8周目にバリチェロをパスし、13周目にバトンもパスした。15周目ぐらいからピットインするマシンが増えてきた。その間にミハエルは3位まで進出しピットイン後は2位走行中のフィジケラの背後まで迫った。
この1回目のピットストップで、トップのアロンソはフロントタイヤを新品に交換し、2番手のフィジケラと3番手のミハエルはタイヤ交換せず、燃料補給だけでピットアウトした。これがこのレースの勝敗を決定付けることとなる。
29周目、路面が乾きつつあり新品のウェットタイヤを履くアロンソはペースが上がらずフィジケラにパスされると、30週目にはミハエルにもパスされ3位へと後退した。乾いた路面では磨り減って溝が少なくなったウェットタイヤの方が、新品のウェットタイヤより速かったのだ。アロンソはあわてて35周目にドライタイヤへと交換し、ミハエルの追撃を開始したが、40周目にドライタイヤに交換したミハエルはフィジケラをパスし独走状態。フィジケラをパスし2位に入るのがやっとの状態だった。
優勝ミハエル・シューマッハ、2位フェルナンド・アロンソ、3位ジャンカルロ・フィジケラ、4位ジェンソン・バトン、5位ペドロ・デ・ラ・ロサ、6位ルーベンス・バリチェロ、7位ニック・ハイドフェルド、8位マーク・ウェバーまでが入賞。
最終ラップに周回遅れの佐藤琢磨らと4位を争うニック・バトン・バリチェロらが交錯。4位走行中のニックは青旗を振られながらもブロックし続けられたとして、佐藤琢磨に抗議し14位完走の佐藤琢磨はレース後失格処分となった。
引退表明後の初レースを優勝で飾った皇帝ミハエル
イタリアGPで引退表明したミハエルは、表明後初戦を見事優勝で飾った。同僚のマッサの走りと比較して、残り3戦ということで優勝へのモチベーションが高まったといえるだろう。都内で行われたブリヂストンの記者会見で「表彰台の1−2位にふたりで登る。鈴鹿はブリヂストンのホームでもあるのでブリヂストンの為にも勝ちたい。」と気合は十分だ。
対するアロンソはシーズン途中でマスダンパーの禁止によりルノーのアドバンテージが少なくなり、勝ち星から見放されている。9戦目までで6勝を挙げていたのに、10戦目から1勝もできていない。その間に勝ち星を挙げたのがミハエルとバトンとマッサの3人である。