F1アメリカGPはフェラーリの完全復活!

25ポイントの重み

F1アメリカGPはフェラーリの完全復活!

 今年のF1はカナダまでの前半戦を終え、昨年覇者のルノー&フェルナンド・アロンソが、2位のフェラーリのミハエル・シューマッハに25ポイントの差を付けリードしている。そして、シリーズ後半戦はミハエルがアロンソとのポイント差を詰められるかに注目が集まる。
 ここまで9戦中6勝のアロンソが圧倒的に有利であることは誰の目にも明白だが、F1界一の予算を持つといわれるフェラーリに不可能は無いともいえる。そして、7度ものシリーズチャンピオンを経験したミハエルのパワーを持ってすれば、不可能とも思える逆転劇が可能となってくるかもしれない。とはいえ、残り9戦で全てミハエルが優勝しても、アロンソが全て2位に入賞すれば縮まるポイントは毎戦2ポイント。最大で18ポイントしか縮まらないのだ。ミハエルが優勝しアロンソがリタイアか下位入賞となれば話しは別だが。

予選はフェラーリ&ブリヂストンの強さが際立つ

F1アメリカGPはフェラーリの完全復活!

 7月1日の予選では、フェラーリ&ブリヂストンの強さが際立った。ミハエルは唯一1分10秒代に入れる好タイムで、2位のフェリペ・マッサも11秒台前半とライバル達に差を付けて決勝グリッドのフロントローを占めた。昨年は予選で速さを見せたミシュラン勢も、安全性の問題からか際立った速さが見られない。昨年のアメリカGPではタイヤの安全性の問題からミシュラン勢14台が決勝レースをボイコットした。今年はそういった状況を避けたいところだろう。
 そしてここでの注目がもう一つ。ブリヂストンタイヤを履くスーパー・アグリF1の佐藤琢磨が予選18番グリッドを獲得した。それぞれトラブルを抱えていたとはいえ、ウィリアムズ・コスワースのニコ・ロズベルグやトヨタのヤルノ・トゥルーリを抑えた堂々の結果だ。マシンは相変わらず4年落ちの中古車だが、ホンダパワーと佐藤のドライビングテクニックがこの順位をモノにしたといえ、決勝レースが期待された。

フェラーリが完璧な勝利!

F1アメリカGPはフェラーリの完全復活!

 迎えた日曜日、決勝レースはかなり荒れたレースとなる。1周目にマクラーレンなど中段グループで接触があり、一気に7台がリタイアとなる。残り15台だ。そしてこの間セーフティカーが導入され、事故の影響を受けたホンダのジェンソン・バトンがリタイアしている。トップのマッサ、2位ミハエル、3位アロンソ、4位ルノーのジャンカルロ・フィジケラ、5位ホンダのルーベンス・バリチェロの順で7周目に再スタート。
 予選で18番手と期待が持たれた佐藤だが、リタイア続出で11番手にポジションを上げていたが、再スタート直後にモンテイロと接触しリタイア。予選が良くリタイア続出のためもしかしたら・・・・という夢は消えてしまった。モンテイロも9週目にリタイアし、ここで残り12台となる。
 その後レースは順調に進み、1回目のピットインが各車30週目前後で行われ、この間にミハエルがトップを奪取。その後そのポジションを明け渡すことなくポール・トゥ・ウィンを飾った。2位にはマッサが入りフェラーリの1-2と予選−決勝を通してフェラーリ&ブリヂストンタイヤのパッケージは最強だった。以下、3位フィジケラ、4位に予選19番手から1回ピット作戦で順位を上げたトゥルーリ、5位アロンソ、6位バリチェロ、7位レッドブル・フェラーリのデビッド・クルサード、8位トロ・ロッソ・コスワースのビタントニオ・リウッツィまでが入賞。完走が9台で内8位までが入賞なので、序盤の佐藤のクラッシュは悔やんでも悔やみきれない結果となった。

ポイント差が19まで減少

F1アメリカGPはフェラーリの完全復活!

 注目のチャンピオン争いは、ミハエルの優勝とアロンソの5位という結果で、ここで一気に19ポイント差まで詰まってきた。残り8戦と、まだミハエルの自力王者の可能性はないが、ここで6ポイントも詰まったというのは、残りシーズンを面白くさせる結果といえる。
 前半の戦いを見る限り、アロンソが5位に沈むようなことは今後考えにくく、まだまだアロンソ&ルノーのパッケージは最強といえる。しかし、ここに来てフェラーリが新エアロとパワーアップされたエンジンを投入するとみられ、ルノーとフェラーリの差が一気に詰まることが考えられる。そこで、キーとなってくるのがフェラーリのセカンドドライバーであるマッサの働きだ。ミハエルが優勝し、マッサが2位に入ればポイント差は最大で4ポイント縮まる。アロンソとの差を簡単に逆転できる数字だ。
もちろんミハエルが勝ち続けるのは難しいし、ミハエルとアロンソの間にマッサが入ることはもっと難しいだろう。最終的にどちらが優勝するにせよ、チャンピオンシップの争いを面白くするには、マッサの働きが重要であるといえる。
そして、次戦フランスの後となるスーパー・アグリ・F1のニューマシン投入である。4年落ちのマシンで入賞は絶望的。何とか入賞できる可能性がこのニューマシンにかかっているといえ、準国産チームとして初の入賞に期待がかかる。そして、今回のような佐藤のクラッシュがないことにも期待したい。