ヴィッツRS VS スイフトスポーツ

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すっかり日本にも定着したコンパクトカー。取り回しのよさなど、実用性の高さが人気の秘密といっていいが、スポーティな走りというのも魅力のひとつだったりもする。ホットハッチと呼ばれるように、軽量なボディとよく回るエンジン、さらに粘る足回りなどが生み出す軽快な走りは楽しさいっぱいだ。決してスピード自体は出なくても、自由自在に操ることができるというのはコンパクトならでは。今回はその代表格であるヴィッツのRSとスイフト スポーツを対決!

モデル/ 川口みさ
PHOTO/佐藤靖彦 構成/近藤暁史
ROUND1 ファーストインプレッション

先代から受け継ぐ、欧州仕込みの走り

RSというグレード名からもわかるように、実用性重視のヴィッツのなかにあって別格的存在といっていい。先代からRSの設定はあり、欧州仕様の足まわりを採用するなど本格派だった。ただし、新型に関してはヴィッツ全体の完成度が上がったこともあり、RS独自の味付けとして際だった部分は少なくなってしまい、スポーティさが薄れてきているのもまた事実だ。今回の対決で、この点がどう影響するかが楽しみなところ。
とはいえ、ヴィッツのなかでは最強なのは確かで、最大排気量の1.5リッターエンジンを搭載し、MTも用意されているのはRSだけだ。ちなみにCVTも用意されている。サスペンションには独自のチューニングが施されるとともに、内装なども専用のカラーリングとなる。こちらはトヨタ自慢のスーパーCVT-iで、滑らかさとリニアなトルク伝達を実現し、スポーティな走りをも可能としている。ヴィッツの高い実用性はそのままに、日常的に使えるスポーティハッチバックという絶妙なキャラクター付けに注目だ。

ヴィッツRS
ボディサイズ
(全長x全幅x全高)
3800x1695x1520mm
車両重量
1060kg
エンジンタイプ
直4DOHC
総排気量
1496cc
最高出力
110ps(81kW)/6000rpm
最大トルク
14.4kg-m(141N・m)
/4400rpm
ミッション
CVT
10・15モード燃費
18.6km/l
サスペンション
(前/後)
ストラット
/トーションビーム
ブレーキ
(前/後)
ベンチレーテッドディスク
/ディスク
税込価格
159.6万円

鍛造ピストンが生み出す軽快な吹け

WRCへの本格参戦も発表し、ますますモータースポーツにも力を入れるスズキ。背景にはヨーロッパでの販売拡大があるが、その分クルマの完成度も高まってきているといっていい。急先鋒がスイフトであり、コンパクトカーの本場、欧州でも高い評価を受けるほどとなっている。先代にも設定されていたスポーツが現行型にも登場したのは、フルモデルチェンジから遅れること約1年。それだけに満を持した内容で、エンジンや駆動系にもしっかりと手が入っているのには驚かされる。鍛造ピストンやアルミ製インテークマニホールド、オイルクーラー、大径クラッチなどを採用。さらに気持ちのいいシフトフィールを実現すべく、シフトケーブルにはフッ素コーティングを行なうという念の入れようで、まさにチューニングカーといってもいいスペックを誇っている。さらに内装もスパルタンで、バケットタイプのシート(オプションでレカロも用意)や大胆なカラーリングで熱い走りを演出してくれる。

スイフト スポーツ
ボディサイズ
(全長x全幅x全高)
3765x1690x1510mm
車両重量
1060kg
エンジンタイプ
直4DOHC
総排気量
1586cc
最高出力
125ps(92kW)/6800rpm
最大トルク
15.1kg-m(148N・m)
/4800rpm
ミッション
5速MT
10・15モード燃費
14.6km/l
サスペンション
(前/後)
ストラット
/トーションビーム
ブレーキ
(前/後)
ベンチレーテッドディスク
 /ディスク
税込価格
156.45万円
ヴィッツRS

ヴィッツでは最大となる1.5リッターエンジン。特別なチューニングなどは施されていないが、110馬力は1060kgの車重には十分すぎるほど。


ヴィッツRS

どちらもサイズ的にはコンパクトカー以外のなにものでもないが、そのキャラクターは際だっている。実用性もある程度重視したヴィッツに対して、スイフトはやる気満々だ。

スイフト スポーツ

チューニングカー並みに冷却機能装備の鍛造ピストンを組み込み、さらに吸排気系や駆動系にも手を入れることで、軽快なフィーリングを実現。


ヴィッツRS

ヴィッツのなかで唯一の15インチホーイルを装着。もちろんデザインも専用だ。ブレーキのタッチはソフトで、スポーティさに欠けるのが残念。

ヴィッツRS

他グレードはシルバーのラインがアクセントとなっているが、RSの場合はブラックで統一され、精悍なイメージを強調しているのが特徴。


ヴィッツRS

今回の試乗は事情によりCVTとなってしまったが、完成度の高さには驚かされる。あえてMTではなく、RSでCVTという選択も十分にありだと思う。

ヴィッツRS

とくにバケットタイプでもなく、ごく普通のシート。物足りない気もするが、構えることなく、自然に座ることができる。


スイフト スポーツ

伸びやかなイメージのスポークホイールは専用の16インチを標準で履く。さらにブレーキも大型化し、ストッピングパワーの強化にもぬかりなし。

スイフト スポーツ

黒を基調としつつ、赤やシルバーを効果的に取り入れたスパルタンなインパネまわり。気恥ずかしくなるぐらいのビビッドさで、走りを大いに強調する。


スイフト スポーツ

クロスレシオ化されたMTはキビキビとした走りをアシストしてくれるが、できるなら6速が欲しかった。スコスコ入って気持ちはとてもいい。

スイフト スポーツ

ベースは実用車だから、スペースはかなり広くて使い勝手はいい。ただし座り心地はかなり硬めで、ゆったり感はなし。

ヴィッツRS

ワインディングに持ち込んでみると、スイフトのほうの持ち味が存分に味わえる。ホットハッチの本領発揮だ。一方のヴィッツはCVTということもあるが、エンジンがパンチに欠けるのは残念。達人の皆さんはどう評価を下すか、気になるところ。



達人によるコダワリ評価
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