新型車市場導入時期の1年以上の短縮を目指す

 フォード・モーター・カンパニーは、4,300万ドルを投資し、ディアボーン自動車性能試験場を、世界レベルのディアボーン開発センター(DDC:Dearborn Development Center)として開設、自動車業界における最先端のテストコースを発表した。DDCはフォード北米事業の包括的な再建計画「Way Forwardプラン」の中核をなすもののひとつで、商品開発工程を効率化し、新型車導入までの期間を1年以上短縮する試みの一環である。

 今回の投資により、81年の歴史を持つディアボーン自動車性能試験場は、燃費測定と定型的な走行試験用の施設から、世界で最先端の自動車テスト機能を備えた施設DDCとして生まれ変わった。
 新しいテスト設備は、クオリティとセーフティ、とりわけ風切音、振動、パワートレインのパフォーマンスの向上に活用される。

 DDCは、環境面や周辺の地域社会に対しても、好影響を与えている。設備の改善により、近くを流れるルージュ川の湾曲部分を復元、また近隣の観光地であるグリーンフィールド・ヴィレッジを流れるルージュ河畔の野生動物のための自然湿地帯を復元し、川を楽しむ場所を作り出す。さらに、DDCは地元の道路建設プロジェクトで出た破砕コンクリートを再利用して建てられている。これにより、50万トンものコンクリートが節約された。

ディアボーン自動車性能試験場の歴史

 ディアボーン自動車性能試験場は、デトロイトとシカゴを結ぶ民間機専用空港として1925年に開設、同年フォード・エア・トランスポーテーション・サービスが米国初の定期航空会社として就航、2都市間の運行を行った。その空港は当時、最大かつ最も近代的で、常設のエプロンを持つ、ヘンリー・フォードによって作られた唯一の個人所有の空港であった。

 1938年、空港の滑走路周辺に自動車のテストコースが作られ、フォードのディアボーン自動車性能試験場となった。1947年にはフォード・エア・トランスポーテーション・サービスはデトロイト・メトロポリタン空港に移転したため、365エーカーの施設すべてが自動車試験場となった。