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【新型 レガシィ サーキット試乗会潜入レポ】(4)試乗記に挑戦!文章長いよ・・・

【CHECK&TRY】  written by コリマネ (2006.06.07)

雨、極悪の視界、ウェット路面の速度域だからこそ確認できたレガシィの走りの詳細を、コリマネ初挑戦のCHECK&TRY試乗記でお届けします。 >> 記事全文を読む


試乗前に筆者が熱烈ラブコールを送っていた6MTだが・・・

やっと慣れたマニュアルミッション車に出会い、じっくりとレガシィを味わえた。|レガシィ シリーズ サーキット試乗会

コースに慣れると次第にいろいろなことが見えてくる

まず、試乗前に筆者が熱烈ラブコールを送っていた6MT。
「クルマのオーナー」を引退してから(する前も)というもの、6MTを搭載する車両に乗りあわせたことが一度もなく、待ちに待った絶好の機会だけに期待したのだが、いざ冷静にレガシィの6MTを操作してみると、シフトストロークの大きさに「?」となった。

楽しみにしていた6MT|レガシィ シリーズ サーキット試乗会

もっとも、自分の中で比較対象の基準としていたのがショートストロークシフト化されたインプレッサ(GC8) STI Verだ。
マイナーチェンジ前のレガシィシリーズのカタログを見てみると、
「ショートストローク化をあえて行なわず、ストローク量とシフト剛性を綿密に調整(カタログによってはセッティングという表現)」
とある。
ところが、マイナーチェンジ後(つまり今回のモデル)のカタログでは、ストローク量云々にはまったく触れられていない。
理由は不明。

ショートストローシフトは、その名のとおり短いストローク、つまり短時間でギアを稼動させるため、当然ミッションにも負荷がかかる。
必ずしもフィーリングや剛性感の向上が約束されるものではない。
だから、カタログのストローク云々の記述はわからなくもないが、マイナーチェンジでその記述が消えたというのも気になる。

STIとは異なるチューニングの6速マニュアルトランスミッション

現行型インプレッサ STIの6MTについては、ドライブした経験がないため、フィーリングの比較ができない。
STIの6MTは、カタログでは独自開発の専用設計とうたわれているものの、トランスミッションのような開発の手間がかかるパワートレーン系をそう簡単に専用化するはずもなく、レガシィにも搭載という時点で、同じ6MTであると察することができる。

こちらはインプレッサ STIの6MT|レガシィ シリーズ サーキット試乗会

ただし、細かいチューニングは違っている。
インプレッサは4〜6速にカーボンシンクロを採用し、ギア比もクロスレシオで4〜6速が接近しているのに対し、レガシィは当然グランドツアラー志向であり、1〜4速こそインプレッサとまったく同じギア比のクロスレシオであるが、5〜6速はイップレッサよりも高速走行向けの設定となっている。

うーん。
個人的には、レガシィの6MTがそれほどタッチが良いMTとも思えない。
確かに素人のサーキット走行だから、丁寧な操作ができないという理由かもしれない。
が、逆にその程度の速度次元の操作領域でも、特別軽快な操作を味わうというほどでもなかった、ということだ。
つまりごくフツーのMT。
これは、今まで所有してきた5MT車との比較による印象だ。

ミッションフィールは楽しいドライブの大切な要素

筆者が所有していたGC8のSTI Verの5MTは、初代レガシィの頃から「ガラスのミッション」といわれた血を受け継ぐMTだが、競技レベルのユーザーが指摘する欠点に反して、素人の私にはコクコクと決まって結構気持ちよかった。
もちろん、初代レガシィの時代から世代を重ね、トランスミッション自体のチューニングも進んでいるし、一般ユーザーの走行レベルで不満が出るはずもない。

そういえば、所有したその他のクルマも自分でショートストロークシフトに交換していたのを思い出した。

絶対的なパワーが少ない車両と比較するのはおかしいが、その後に乗ることになったホンダ DOHC VTEC車3台の5MTは、インプレッサに比べれば当然劣る(古い車もあった)ものの、フィーリングに関しては比較的良い印象が残っている。FF車特有のぐにゃり感もなく、純正の状態でも不満はなかった。

いぜれにせよ、結局はATの件と同じく、単に慣れの問題かもしれないし、街中や高速道路の体験もできていない。長期使用をしないとわからないことがたくさんある。実際に所有しないとわからないものだ。

そもそも、筆者のサーキット走行(というかMT車のドライブ自体)そのものにもブランクの期間もあるわけで、運転技術が未熟なままだ。
筆者レベルの人間がインプレを書く資格があるのかということは、この際忘れていただくとしても、所詮はド素人のコリマネのつぶやきであることをご理解いただきたい。

スポーツモードはジェントルな2.0GT ターボエンジン

さて、今回も色々と手が加えられた2.0GT ターボエンジンの印象だが、意外にジェントル。
もっとも、強烈なパンチ力を誇るインプレッサSTI Verの高回転型エンジンを筆者は所有者としてリアルに体感していたのに加え、今回のサーキット走行のような全開高回転維持の状況では、余計にそう感じたのかもしれない。
しかし、イマドキこのテのクルマを選択するユーザーの方の中には、ハイパフォーマンスカーの「出力インフレ状態」に慣れた方たちも多いだろうから、筆者と同じ感想を持つ人も多いのでは?

EJ20 水平対抗4気筒 2.0L DOHC ターボエンジン|レガシィ シリーズ サーキット試乗会

2回目以降の試乗では、1回目の試乗で試せなかったSI-DRIVEのスポーツ・モードとスポーツ#・モードの切り替えを試してみた。
インテリジェントモードは操作の習熟不足のため、残念ながら試していない。
(SI−DRIVEの操作ダイヤルをプッシュすることでインテリジェントモードになる。)

まず、スポーツ・モード。
これは既存モデルのエンジンセッティングに一番近いのであろう、と推測できる。
先のブリーフィングにおいても、リニアでオールラウンドなグランドツアラーとしてのセッティングとの説明があったが、つまりは家電製品的な表現でいくと「標準」モードなのだろう。

SI-DRIVEのスポーツ・モード

搭載エンジンの仕組みに対する予備知識を持ったドライバーが、
「こう踏めばこう加速する」と、
イメージする走りとエンジンの返す反応が同期している感覚。
こちちらの予測通りにパワーが盛り上がるのだ。

スポーツ#・モードにスイッチすると、エンジンは豹変する。
ブリーフィングでの「鋭いレスポンス」という説明は、的確に再現されていて、低回転のパーシャルスロットルから
『ンンガァァーッ』
とグワァングワァン回る。
NAの高回転域のようなレスポンスでありながら、トルクはきっちりと出ていて、低回転域からググっと加速する。
もちろん、パワーの絶対値が変化しているわけではないし、馬力やトルクの値に変化はない(はず)。

SI-DRIVEのスポーツ#・モード

ちなみに、スポーツ#・モードは水温計と連携しており、エンジンが温まってある程度水温が上昇しないと選択できない仕組みになっている。
また、スポーツ#・モードでエンジンを切った後、次の再始動時にはスポーツ#・モードの「以前」に選択していたモードになる。
つまり、それだけエンジン負荷をかけるモードであるということを、よく理解しておかなければならない。

しかし、出力がピークとなるポイントやトルクカーブを変化させることで、性格は大きく変わり、アクセルを踏むのがよりいっそう楽しくなる。
90年代のホンダの味、DOHC VTECの高回転がもたらす過剰な「演出」に近い。

スピードの絶対値が低くても、ドライビングは楽しくありたいものだ。
シフトを5速に放り込む機会もそんなにないような、自分なりに楽しめる遅いスピード領域でも、
『ぐわぁおぉぉぉーんんんんー』
というボクサーエンジンのシフトダウンサウンドを存分に楽しんだ。
技術がなくても遅くても、2速でコーナーを立ち上がり、Gを感じる快感を味わう権利は、誰にでもある。

それにしても、冷却水温と連携させなければならないようなモードスイッチを、ツーリングワゴンのような売れ筋量産車に設けるなんて、良くも悪くもスバル。
その分、スバルがアピールする、スポーツ#・モードの価値がわかっていただけることだろう。

SI-DRIVEという「キャラクター」は必要なのか?

へろへろ状態の大岡編集長|レガシィ シリーズ サーキット試乗会

大岡編集長は「SI-DRIVEのモードの違いはわからない」と言っていたが、筆者は低速度の次元でも違いは味わえると思う。
しかし、それがレガシィのキャラクターに合うのかといえば、各人で意見が異なるだろう。

スバル側の説明では、時に楽しく、時には快適に、時には経済的に、を1台のクルマで楽しめるようにとのことだった。
確かに、ヤンチャなドラマッチックさと、大人らしい落ち着きのある走りを両方味わえるメリットは、言葉による説明以上に大きい。

「レガシィは大人にならなきゃいけないけど、それだけじゃヤダ。
 おとなしく走るだけじゃなくて、走りの気持ちよさも知って!
 引退した人も思い出して!」
先述のブリーフィングレポートのように、ドライバーズブランドであり続けることのみが、スバルにとって唯一の生きる道なのかもしれない。

視界は最悪・・・でも最も楽しめた3回目のドライブ

2.0GTのターボエンジンのフィーリングは、無理にパワーを捻り出している感じもなく、悲壮感もない。
遊び心とグランドツアラーをうまく両立していた。
ただし、この後に3.0Rに乗ってしまうと、気持ちはどうしてもそちらに傾く。

最後になんとか3.0Rに乗ることができた。が、この霧。走る頃には視界は50mほどに??

霧は深くなる一方|レガシィ シリーズ サーキット試乗会

そろそろ試乗時間の終了が近づいてきた。
ピットで時計とニラメッコしながら、ずーっと指を加えてB4の3.0Rが空くのを待っていたのだが、
そんな気持ちを察したのか、スバル広報の方からお声がかかり、
「試乗『おかわり』ですか?B4の3.0R?残念ながらもう整備に入りました。」
とのお言葉。
ええぇぇぇ・・・

というわけで、3回目の試乗もツーリングワゴン、
3.0R SS-5AT ブリリアントシルバー
あああぁ結局、B4に乗ることができなかった・・・

時間は15:55。
途中、ピット内で撮影していたこともあって、予定時間ぎりぎりだ。
間違いなく、これが最後の走行機会。
視界はますます悪くなっている。
50mほど先までしか見えない。あとは霧の中。

さてこの3.0R、苦手なAT車ながらも、非常に楽しかった!
コースも覚えたことに加え、最悪の視界による慎重なアクセルワークが強いられたことで、自身の等身大でドライブできた影響もあるが、エンジン回転の上昇と加速感がマッチし、この雨でもコーナーが楽しみになる。
2回目の試乗で危なっかしかった箇所も、今度はきっちり減速し、街乗りでちょっとドライブを楽しむような感覚で駆け抜ける。

3.0Rはやはりレガシィに良く似合う

慣れるとなかなか楽しい!|レガシィ シリーズ サーキット試乗会

最後に乗ったレガシィの5ATは、スポーツシフトでシフトアップ&ダウンをしても、そのギアでホールドする設定になっていてMTと同じ感覚でシフトチェンジができた。
そのため、6気筒3リットルエンジンの高回転を意識的に味わうことも可能で、6MTのシフトストロークの件もあってか、次第にMTへのこだわりは消えかかっていたほどだ。
(シフトをホールドする設定法は不明のまま。メディア失格ですね・・・調べておきます!)

H6のエンブレムも誇らしげなEZ30型 水平対抗6気筒 3.0L DOHCエンジン|レガシィ シリーズ サーキット試乗会

正直、トップエンドの伸びやパンチは2リットルターボの方が「わかりやすい」。
SI−DRIVEの効果も顕著だ。
しかし、乗っていて車格なりのゆとりと楽しさを味わえたのは、やっぱり3リットルNAの方。
サーキットでは落ち着きがありすぎて、全体的にパンチ不足に感じるものの、トップエンドの伸びに至るドラマ性は、ターボとの優劣というより「性格」の違い。
ATとの相性も3リットルの方が良く、コントロールしやすかったが・・・

・・・おっとっと、
素人が勘違いして長文インプレを書いてしまった・・・
絶対的な評価は、評論家の先生方にお任せするとしよう。

とにかく、シャシーの落ち着きと相まって、結局は3リットル車のドライブが一番楽しめた。
本来NA派の筆者としては、買うならB4の3.0R。
ぜひ街乗りや山間路で走りを楽しんでみたいもの。
筆者レベルの速度域では、十分すぎるくらいの速さと楽しさを味わえそう。
もちろん、窓を開けて水平対抗6気筒エンジンのシフトダウン時の回転音を楽しむ!
(危ない・・・)

あとがき

大岡編集長、達人・こもだ先生がドライブするレガシィに同乗

喜び勇んで、こもだ先生の横に飛び乗る大岡|レガシィ シリーズ サーキット試乗会

「すごく良くなったね。クルマの動きがとてもスムースだよ」

達人こもだは、1週目のストレートで、レガシィB4スペックBをそう評価した。
雨、そして視界150メートル程度という霧による悪条件も、もはやレガシィのパフォーマンスをさらにアピールするための演出か?と、思うほどスルスルと無理なく、そして速く駆け抜ける達人こもだ。
SI-DRIVEに注目が集まりそうだが、基本性能のベースアップこそがレガシィの真価でであると感じた同乗走行だった。

( 大岡 )

written by コリマネ
職業:Webディレクター兼プロデューサ
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