アルファ156から159へと大幅な進化を遂げたのと同様に、GTからブレラへの進化の幅もも大きい。特に一新されたパワーユニットが新しい走りを実現する。
まずV型6気筒3.2Lは直噴仕様のJTSエンジンに変わり、パワー&トルクも大きく向上して191kW/322N・mを発生する。3.2Lはフルタイム4WDのQ4なので車両重量が1750kgと重いのだが、それを苦にしないだけの実力だ。ただ、ギア比がややハイギアードな設定で、芦ノ湖スカイラインや箱根スカイラインなどでは3速ギアがほとんど使えず2速ギアで引っ張るような走りになる。シチュエーションによるところも大きいが、2速ギアでは室内騒音も大きくなるので、もう少し気持ち良く走れる感じが欲しい気もした。
それに比べると2.2Lの4気筒エンジン搭載車では走り実感が強く感じられた。動力性能は136kW/230N・mだから、V6の3.2Lに比べたら大きな差があるが、従来の2.0Lに比べたら大きく進化しているし、Q4ではなくFF車になるため200kgくらい軽いことが走りの気持ち良さにつながっている。芦ノ湖スカイラインでも楽しく走れるクルマだった。
乗り心地はともにとても良い。当たりの取れた角のない柔らかめの乗り心地で、コーナーでも適度にロールしながら軽快に駆け抜けていく感じがある。某誌のM編集長が“偏差値が上がった”と表現していたが、正にそうした印象のあるクルマだった。
●まとめ
ブレラはアルファらしい魅力を備えたクルマであるのは確かだが、現実の商売として考えると左ハンドルのマニュアル車だけという設定はやや厳しいものがある。アルファのユーザーならマニュアル車の楽しさを良く知ってはいるが、大都市部に住む人が多いだけに渋滞時のことを考えるとマニュアル車に手を出す前に二の足を踏みがちだ。左ハンドル車も同様で、左ハンドルのほうが見栄が張れると考える人は少なくなっている。
価格もベースグレードの2.2JTSで436万円からとやや高めの設定。3.2JTSでは584万円になるから、ますますAT車でないと売れない価格帯といえる。アルファファンの中には今すぐ欲しいという気持ちを抑えられない人も多いだろうが、普通のユーザーにはセレスピード&右ハンドル車の設定を待つことを勧めたい。