栄華を極めたいすゞの名車たちの足跡を辿る!

いすゞ、往年のクルマたち

 ボクは20代のころ、いすゞ車が好きだった。学生時代に『ベレット』と『117クーペ』を乗り継いでいる。もちろん、買ったのは中古車だ。いすゞの最初の愛車は、ミドルクラスの代表車だったベレットである。60年代後半、アメリカ志向のクルマ造りが強まった。だが、ベレットはヨーロピアンテイストあふれるスポーティモデルで、イタ車のようなキュートなルックスと軽快な走りを売り物にする。

独自の道を突き進んだ革命児「べレット」

 クーペバージョンの1600GTやDOHCエンジンを積むGTRだけでなく、セダンも走り味はスポーティだ。63年6月のデビューだが、その当時のファミリーカーとしてはダントツにフットワークがいい。ライバルの多くは、リアサスペンションがリーフスプリングによるリジッドアクスルだった。だが、ベレットは4輪独立懸架の凝ったサスペンションを採用し、冴えたフットワークを見せつけている。いすゞはグレードによってサスペンションのセッティングを変えるなど、きめ細かいチューニングを行っていた。だから70年代になっても現役だったし、走りの魅力も色あせていない。

愛好家に根強い人気の「117クーペ」

 意外だったのは、ジウジアーロがギア社にいた時代にデザインし、68年秋に発表された117クーペだ。今なお美しいフォルムで人々を魅了しているが、リアサスペンションはリジッドアクスルだった。トラックの設計で手馴れているし、ノウハウも豊富だから出来は悪くない。だが、ベレットから117クーペに乗り換えたときは、あまりのハンドリングの違いに愕然としたものである。でも、あのころはコニのショックアブソーバーを組み込み、毎週のように箱根のワインディングロードを走っていた。

 いすゞは今、トラック、バスの専門メーカーとなっている。往時のスポーティカーを知る人間にとってはさびしい限りだ。そこでミニカーを並べ、いすゞの栄華をたどってみた。

オレンジがテーマカラーの1600GTR

栄華を極めたいすゞの名車たちの足跡を辿る!

 ベレットのイメージリーダーが69年秋に発売された1600GTRだ。鈴鹿12時間レースで優勝した直後に発売された。エンジンは117クーペから譲り受けたG161W型4気筒DOHCを積む。これはエブロ製の43分の1スケールのミニカー。オレンジがテーマカラーだ。

ジウジアーロデザインの端麗なフォルムを再現

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 ブルーのベレット1600GTRと、兄貴分の117クーペ。このPA90型117クーペはボディのひずみなどをベテラン職人が修正し、組み上げていったため「ハンドメイド」と呼ばれたことがある。両車を並べてみると、デザインテイストが大きく違うことにビックリドキドキ。これは両方ともエブロ製のミニカーだ。

今なお色褪せる事ない美しいフォルムの117クーペ

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 いすゞの珠玉の逸品が、流麗なフォルムの117クーペは「走る芸術品」といわれた。70年秋には時代に先駆けて電子制御燃料噴射装置を付けたモデルを発売している。ボクが乗っていたのは、量産タイプとなるPA95型の初期モデルだ。最終型はヘッドランプが角型4灯式となり、インパネのデザインも変わった。

小技がきいてるチョロQ・ノスタルジックシリーズの117クーペ

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 チョロQのノスタルジックシリーズにも117クーペが用意されている。ブルーの117クーペの後ろはモーターショーをイメージしたジオラマだ。後ろにミッドシップのMX1600、左側にベレットR6があることから、これは69年の東京モーターショーだとわかる。こういう粋な演出には感激しちゃうね。

数々のレースで活躍したR6スパイダー

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 いすゞが69年の日本グランプリを目指して開発したレーシングカーがベレットR6。117クーペのG161W型4気筒DOHCをミッドシップに積む。これはオープンのR6スパイダー。3月26日のタイムマシーン・フェスティバルで浅岡重輝氏がステアリングを握った。

精密に作られたトミカリミテッド・ヴィンテージのベレット

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 これはトミカリミテッド・ヴィンテージのベレット。64分の1スケールで、白いボディカラーが4灯式ヘッドランプのベレット1300、ブルーはBタイプと同じ2灯式ランプのベレット1500デラックス。税別で980円だ。小さいが精密にできている。これは凄い。