対決シリーズ第2回
ドイツ/BMW 540i ザ対決 日本/日産 フーガ450GT 第2回V8Lクラスサルーン編
ROUND2 達人によるコダワリ評価
評価するのはこの達人たち
松下 宏 松下 宏

小さくて軽く、誰でも買える価格帯、そして燃費がよいということを信念としてクルマを評論。大本命といわれている車種さえ外してでも自らの信念を貫き通す熱いハートをもつ。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員としても、その信念は変わらない。

片岡 英明 片岡 英明

元教師という異色の経歴を持つモータージャーナリスト。クルマの細部まで見逃さない観察力はハンパではなく、徹底的に調べ上げてしまうほどのコダワリ。最新のクルマからヒストリックカーまで幅広い知識をもつ。

国沢 光宏 国沢 光宏

歯に衣を着せぬ原稿で、なにかと話題の自動車評論家。歯切れの良い文章も分かりやすく、多くのファンをもつ。カートップやベストカーなど多数の自動車雑誌に寄稿するだけでなく、WRCなどのTV解説まで幅広い活動を行なっている。

コダワリ評価GO!
エンジンフィーリング BMW 540i 日産フーガ 450GT
松下 宏

フーガには劣るが、306psのパワーと390N-mのトルクがあれば十分すぎる。ダブルVANOSの採用などによって、吹け上がりの滑らかさはフーガのV型8気筒以上だ。

10点

333psのパワーは圧倒的なものだし、46.0kg-mのトルクも排気量に見合っただけのもの。回転の上昇もスムーズで、パワーフィールに関しては文句がない。

9点
片岡 英明

滑らかさ、軽快感はV8エンジンのお手本といえるもの。低回転から力強いトルクを味わうことができ、レスポンスもシャープだ。6速ATの洗練度、滑らかさは一歩上を行く。

8点

333ps/46.0kg-mのスペックは伊達じゃない。7000rpmまで気持ちよく回り、トルクも分厚い。ATは5速だが、スポーティな味付けだ。エンジンサウンドにも主張が感じられる。

8点
国沢 光宏

「気持ちの良いエンジンフィール」をセールスポイントにするBMWながら、なぜかV8は「パワフルで滑らか」としか表現しにくい。直6のような「群を抜く個性」が無い。

9点

低回転域から高回転域まで太いトルクを発生。静かでスムーズなだけでなく、気持ちの良いサウンドも楽しめる。これで燃費が良ければ満点の10点を献上したいと思う。

9点
SUBTOTAL 27点
26点
走り BMW 540i 日産フーガ 450GT
松下 宏

前後均等の重量配分にこだわった走りのバランスの良さはBMWならではのもの。540iでは完全に50対50ではないが、素直で軽快感のあるフットワークは大きな特徴だ。

9点

たっぷりしたストロークを持つサスペンションによる安定感の高さは特筆もの。とくにリヤアクティブステアを備えたスポーツパッケージ装着車は高い次元の走りを実現する。

9点
片岡 英明

軽快なハンドリングで、ロールも抑えられている。ランフラットタイヤを上手に履きこなし、動きはしなやかだ。ブレーキの利きも秀逸。ハンドリングと乗り心地の妥協点は高い。

9点

19インチタイヤがハイパワーを上手に支配下に置いている。ダイレクト感に満ちたスポーティなハンドリングで、高速直進安定性も優秀だ。その反面、路面によっては硬さを感じる。

8点
国沢 光宏

ハンドルを握って5mも走れば「これは良いクルマだ」ということがわかることだろう。けっこう硬い足まわりを採用しているのだけれど、乗り心地もよい。

9点

普通に走っている限りは楽しめるハンドリングである。ただ高速域になると明らかな後輪のスタビリティ不足。勝手に流れ出すのだ。これではヨーロッパなどでは絶対通用しない。

7点
SUBTOTAL 27点
24点
パッケージング BMW 540i 日産フーガ 450GT
松下 宏

ワイド&ローのバランスの取れたプロポーションが5シリーズの特徴。室内広さはフーガに対しても見劣りするものではない。ラゲッジスペースの十分な空間が確保されている。

8点

全幅は5シリーズより狭いが、全長の長さを生かして後席の足元には余裕の空間が広がる。ラゲッジスペースも含めてまあ文句のない水準の居住空間が確保されている。

8点
片岡 英明

キャビンはBMWらしいデザインで、シートも大ぶりだ。当たりは硬めだが、ホールド性のいいフロントシートは特等席である。後席は着座位置が低く、中央部の張り出しも大きめ。

7点

長いホイールベースを活かしたパッケージで、キャビンは前席/後席ともに広い。後席には十分なレッグスペースが確保さており、シートもいい出来だ。快適装備も充実している。

8点
国沢 光宏

450GTと違い、上に7シリーズというフラッグシップモデルが存在する。したがって5シリーズは「最上級のパーソナルカー」という位置づけ。この点は狙い通りかと。

8点

大柄なボディ&価格のわりに、インテリアボリュームは小さい。日産のフラッグシップだということを考えれば、リヤシートはもっとユッタリと座われるスペースが欲しかった。

7点
SUBTOTAL 23点
23点
安全性 BMW 540i 日産フーガ 450GT
松下 宏

ESPなどによるアクティブセーフティの高さに加え、8つのSRSエアバッグを装備するなど、パッシブセーフティの面でも高いレベルにある。タイヤ空気圧警報も標準だ。

9点

フーガではVDCも標準で装備するなど、日産車の中では安全装備の充実度が高い。SRSエアバッグは6つだが、安全性に関してBMW5シリーズに対して大きく劣るわけではない。

8点
片岡 英明

車両安定制御のDSCのほか、舵角連動ヘッドランプや車間制御式クルーズコントロールなどを装備する。また、高剛性ボディやアクティブステアリングなど、予防安全装備も多い。

9点

車両安定制御システム(トラクションコントロール付きのVDC)やサイドエアバッグ、低速追従機能付きのインテリジェントクルーズコントロールなど、充実している。

9点
国沢 光宏

衝突時の安全性だけでなく、低速から最高速までの全走行速度で優れたアクティブセーフティ性能を持っている点に注目だ。ESC(姿勢制御装置)のセッティングも素晴らしい。

10点

衝突安全性についてはキッチリと確保できていると思う。日本国内の走行速度域なら、アクティブセーフティ(事故に至らないようにするための事前の安全性)も十分であろう。

8点
SUBTOTAL 28点
25点
プレミアム度 BMW 540i 日産フーガ 450GT
松下 宏

運転する楽しさを実現する上級セダンとしてBMW5シリーズの評価は高いレベルで安定している。過去の実績を背景にブランド力という点ではフーガに対して大差がある。

10点

セド/グロに代わる日産の新しい高級車として新しい名前で登場したが、ブランド力の高さはまだ十分とはいえない。プレミアム性での評価が固まるにもまだまだ時間が必要だろう。

7点
片岡 英明

7シリーズはステータス性が高いが、5シリーズはアッパーミドルセダンの印象が強い。V8エンジンを積むトップグレードといえども、多くの人はプレミアムを感じにくいだろう。

7点

日産自慢のプレステージセダンだし、インフィニティでも上級のポジションを与えられている。北米ではそれなりのブランド力を獲得しているが、日本ではセドリックの後継車。

7点
国沢 光宏

5シリーズはBMWのラインナップでもっともイメージが薄い。高額なわりに目立った部分を持たないせいだと思う。コストパフォーマンスという点ではかなりきびしい。

7点

このところ日産のブランド力が大幅に低下してきてしまった。これといった先進技術を持たず、モータースポーツにも出ていない。残念ながらプレミアム感もイマイチである。

7点
SUBTOTAL 24点
21点

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