国産高級車の代表格である、トヨタの「クラウン」と日産の「フーガ」。最近はともにハイブリッドモデルに力を入れているが、インテリアや走りから伝わってくるコンセプトは全く異なる。そこで、どこにどんな違いがあるのか、試乗レビューを交えて比較してみたい。

比較するモデル

日本を代表する国産高級サルーンの「クラウンアスリート」と「フーガ」からそれぞれ、ハイブリッド車の中間モデルを選んだ。
●トヨタ「クラウン ハイブリッドアスリートS」
●日産「フーガ Hybrid」

 

クラウンアスリート ~軽快な街中ドライブに

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●サイズ:全長4895(mm)×全幅1800(mm)×全高1450(mm)
●価格:421万7143円~591万4285円

丁度良いパワーと、屈指の低燃費。6代目クラウンは従来のイメージから大きく方向転換をしている。

搭載されているエンジンは直列4気筒だが、街中を走っている分には全く問題ない。加速が取り立て早いということはないが、滑らかで快適な走りが楽しめる。走行時の安定性も高いため、大型セダン、しかも重いモーターを積んでいるという感覚はほとんどない。

また特筆すべきは燃費性能だ。23.2km/Lという数字は、後述のフーガと比べても大きく上回っている。

インテリアはクラウンらしく、高級感がある丁寧な作り。以前のモデルに比べると、派手な高級感から、やや落ち着いた高級感にシフトしている印象を受ける。シートは国産車としては大きめで、包み込むような柔らかさが特徴的だ。

高級車としての課題の一つが、標準搭載の安全装備がそれほど多くないことだろう。

 

フーガHybrid ~パワフルな高速での運転に

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●サイズ:全長4980(mm)×全幅1845(mm)×全高1500(mm)
●価格:513万9720円~687万4869円

2015年にマイナーチェンジをしたフーガだが、その主義主張は一貫しているように見える。パワフルで、存在感のある一台だ。

エンジンは、V型6気筒エンジン。アクセルを踏んだときの反応は力強く、加速も素早い。有り余るパワーで高速を走り抜けるには、クラウンよりもフーガだろう。高速時も安定した走りを見せてくれる。しかし速度を少し下げると、横に振られる感覚があり、車体の大きさ・重さを感じるシーンもあった。
燃費性能は、18.0km/Lと、クラウンには大きく水をあけられている。

インテリアは「高級感がある」と書いてしまうとクラウンと大きな差がないように見えるかもしれないが、高級感の向かう方向は少し異なる。華やかで、派手な印象が強い。シートは、座り心地には不満はないが、サイズはやや小さい印象がある。しかしリアシートに座ったときの足元の広さは、クラウンよりも余裕があった。

安全装備が充実しているのも、マイナーチェンジ後のフーガの特徴の一つである。衝突回避のためのアラームや緊急ブレーキなどが、多くのモデルで標準装備になっている。

 

寸評

クラウンとフーガの車格や企業ブランドには大きな差はない。また価格はフーガの方が100万円ほど高いものの、安全装備が充実しており、かつマイナーチェンジを済ませたばかりということを考えると、それほど大きな価格差とはいえないだろう。

選択のポイントは、燃費とパワーのどちらを重視するか、そしてインテリア・エクステリアのテイストの好みだろう。パワーがあり、よりアグレッシブな走りを楽しみたいのであればフーガを、使いきれるパワーとコストパフォーマンスのよさを重視するならクラウンということになる。