日本の道路が走りにくい理由。

 ボクは年間4万km以上クルマを運転している。北海道でも沖縄でも走る。地方に行って他人の運転で乗るケースも含めると、道路上を移動する距離は長い。そして出張で海外を走るチャンスも毎年8回から10回くらいある。
 その経験から日本の道は走りにくいところがいっぱいあると考えている。そのひとつの原因がおかしな道路標示にある。
 現地のドライバーは慣れているから走れるが、初めてそこを走るドライバーはまごついてしまうという表示の道が多い。

橋を渡ったら直進できない!?

 まず車線の表示について。みなさんも自分が走っている車線が突然左折専用レーンになってしまったり、突然右折専用レーンになってしまったりした経験があるだろう。
 2車線あったらキープレフトで左側の車線を走っているのが正しい走り方だ。その走行車線をそのまま走っていれば、その道はずっと走れるのが原則でなくてはならない。それなのに左折専用レーンになってしまうために、事前に右車線に移っていなければならないというテクニックが必要になる。

 具体例をお話しよう。東横線の綱島駅のそばを走る綱島街道を横浜方面に向かって走ると、東横線を右に見ながら鶴見川を渡る。この橋の上は2車線で、右側の車線は右折専用レーンで左側の車線は直進と左折できるレーンになっている。ところが橋を渡ったところにある信号を過ぎると突然、左車線は鶴見方面に向かう左折専用レーンになり、右側車線が直進できる車線になる。
 橋の手前までは1車線だから橋の終わりまでは問題ない。しかし橋を渡った後は左折専用レーンになってしまったことを知って右車線に移ろうとすると、地元のクルマはさっさと右車線に移って加速しているからあとから右に移ろうとするクルマはスムーズに車線変更できない。

 東京から国道1号線を下っていき、多摩川大橋を渡る通称第二京浜道路も、神奈川県に入ると車線表示が急に変わる。東京では3車線あって交差点では右折レーンが追加されるパターンの車線表示だったのに、神奈川県に入ると交差点では一番右車線が右折レーンになる。つまり直進できるのは左の2車線だけになる。交差点が終わるとまた3車線になるのだが、交差点ごとにボトルネック状態だから走りにくい。
 なぜ国道なのに東京から神奈川に入っただけでこんなに走り方を変えなくてはいけないのか。少なくとも地方道ではなく国道である。統一した車線表示にしなければならない。それぞれの地域の特性に合った車線表示しているという言い訳が聞こえてきそうだが、多摩川大橋を渡っただけでそんなに交通状況が変わるとは思えない。

すべてにおいて優しいヨーロッパの道路標示。

 ヨーロッパに行くと日本から行ったボクでもほとんど戸惑うことなく走ることができるのは、どこへ行っても原則が守られているからだ。
 初めてそこに来たドライバーでも走りやすいということは、地元の人にはより安全な道になる。ビギナーにとって難しい道はベテランにとっても危険が潜む。ビギナーに優しい道はベテランドライバーにはより安全な道になるはずだ。
 ボクは昨年から社団法人全国道路標識・表示行協会の理事をしている。これは業界団体ではあるが、日本全国でおかしな道路標示や標識を正しく直したいと思い理事を引き受けた。皆さんも地元の道路でおかしな道路標示や標識があったら教えていただきたい。
あて先は komodakiyoshi@yahoo.co.jp です。