走りの血中濃度を高めたモデル、それがRSだ
人馬一体。その純粋さを極めていったモデルがRSである。クルマとしての成り立ちは何も変わっていない。手頃なサイズ、手頃なパワーをスタイリッシュなボディに詰め込んだ2シーターオープン。しかし、その純度が違うのだ。
全グレード標準でダンパーはモノチューブダンパー。しかし、RSだけはビルシュタイン製を装着。標準ダンパーに対して、リアダンパーのピストン径を拡大するとともにフロント/リアともロッドを拡大し、操縦安定性と乗り心地をより高い次元で両立させているのである。また、VSには6速MT車にのみメーカーオプション設定されているトルクセンシング式スーパーLSDがRSでは標準装備となり、ホイールサイズも17インチとなる。
このように書くと、かなり本気のスポーツモデルのように思えてしまうが(実際はそうなのだが)、ストイックすぎて快適性が損なわれてしまっていると言うことはいっさいない。オーディオリモートコントロールスイッチ付本革巻ステアリングや、フルオートエアコン、AM/FMラジオ/CDプレイヤー+4スピーカーといった快適装備もれなく付いてくる。
RSとは快適に走りを愉しむために設定されたモデルなのである。
RSに設定されているインテリアカラーはブラックのみ。その性格からして、一番似合うカラーリングとなっている。しかし、そのスパルタンさのなかには十分すぎる快適装備が隠されているというのも自慢のポイントだ。さらに言えばブラックのインテリアには、先代モデルに比べて大幅に向上された高剛性ボディが隠されているのである。ホイールベース間のセクションにあるスチールの板厚を適正に下げながら大断面構造化し、高剛性と軽量化を両立させたり、ヨー慣性モーメントに直結する前後のオーバーハング部分に使うスチール部品を削減することで、先代モデルよりも軽いボディでありながら、曲げ剛性で22%、捻り剛性で47%もボディ剛性をアップさせているのである。
バケットシートはスプリング式クッションフレームを採用し、路面振動の絶縁性をより向上させている。また、シートフレームに軽量高強度の高張力鋼板を採用することなどにより、剛性をアップさせている。シートに関してもドライビングプレジャーを追求するために様々な工夫がなされているのである。なお、この点に関してはRSもVSも同じである。
走りのグレードたるRSはそれ以外のグレードとは違ったモノが装着されている。タイヤサイズは205/45R17(他グレードは205/50R16)となっている。ホイールデザインもVSやROADSTERが5本スポークになっているのに対して、RSは10本スポークとなっている。
搭載エンジンは全グレード共通でMZR2.0リッターDOHCエンジン。吸気抵抗を先代モデル比で57%、排気の圧力損失を40%それぞれ低減し、2500rpm〜6700rpmで最大トルクの90%以上を、トップエンドで95%を発生しているのも全グレードで同じ。しかし、RSのエンジンルームにはこの字型のバーで左右のフロントダンパーユニット上部とカウル部を結合するフロントサスタワーバーが標準装備されている。
RSとVSはどちらも6速MTを設定している。この6速MTは1〜4速にトリプルコーンシンクロを採用した新開発ユニットとなっている。クロスレシオ、ショートストローク、滑らかで確実なシフトフィールと相まって、エンジンパワーをフルに使って楽しく走れるような配慮がなされている。
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