スズキ スイフト・スポーツ

フツーのスイフトも、とてもよい!

スズキ スイフト・スポーツ

 軽自動車の世界でトップの座にあるスズキのクルマ造りが変わりつつある。それを端的に示しているのが、スズキのスイフトだ。先代のスイフトは軽自動車をベースに開発された。当然、 クルマ選びに厳しい目を持つヨーロッパの人たちは合格点を出していない。
 だが、2代目は違う。デザインを一新しただけでなく、プラットフォームまでも専用に開発している。スイフトは改良型の1.3Lと1.5Lの4気筒DOHCエンジンを積んでデビューした。ミッションは5速MTと4速ATを用意している。
 先代よりパワーアップされた1.3Lエンジンは軽快なパワーフィーリングだ。タウンユース中心の使い方では不満を感じない。1.5Lエンジンは、さらに実用域のトルクに厚みがある。加速は冴えているし、混んだ街中でもフレキシブルだ。4速ATも滑らかにつながる。
 それ以上に感嘆するのが冴えたハンドリングだ。気持ちいい操縦フィールとしなやかに動くサスペンションを手に入れ、運転するのが楽しい。基本的に安定志向のセッティングだが、操縦フィールは軽やかだ。優れた接地性能を身につけ、狙ったラインに乗せやすい。ワインディングロードでは鼻先が気持ちよく向きを変える。ボディ剛性も高い。

刺激的な走りを見せるスイフト・スポーツ

スズキ スイフト・スポーツ

 素性のよいスイフトの魅力をさらに広げたのが、9月に加わったホットハッチの『スイフトスポーツ』である。ジュニア世界ラリー選手権に出場しているスイフト・スーパー1600を彷彿とさせるルックスだが、走りの実力も非凡だ。まさに「山椒は小粒でもピリリと辛い」のこのことわざのように、刺激的な走りを見せる。 エンジンは1.6Lの4気筒DOHCで、2速から5速をクロスさせた5速MTと4速ATを設定した。名門モンロー(テネコ製)のショックアブソーバーを奢るなど、サスペンションも専用にチューニングしている。

運転する楽しさを十分に味わえる。

スズキ スイフト・スポーツ

 エンジンは気持ちいいパワーフィールだ。5速MT車は7000回転まで実用になり、レスポンスも鋭い。とくに4000回転を超えてからの力強い加速と切れのよさが印象的である。フットワークも素晴らしい。正確な操舵フィールを身につけ、オン・ザ・レールの走りを見せつける。運転する楽しさが全身から感じられる、ヨーロピアンテイストの正統派ホットハッチだ。本物志向の走りを満喫できる。

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達人プロフィール: 片岡英明
職業:モータージャーナリスト
学校の先生から自動車雑誌編集者経て、モータージャーナリストになったという異色の経歴を持つ。元教師ということもあり、分かりやすい評論に定評がある。さらに、クルマの細部まで見逃さない観察力はハンパではなく、徹底的に調べ上げてしまうほど。最新のクルマから、ヒ...