スイフトスポーツ
スイフトスポーツ

スズキの世界戦略車であるスイフトをベースに生まれたのがスイフトスポーツ。今、世界中のレースカテゴリーで一番面白いといわれているJWRCでの勝利を宿命づけられたクルマ。

スイフトスポーツ

専用のフロントスポイラーが付いたりはしているが、ベースとなっているノーマルスイフトとエクステリア嬢の大きな違いはない。

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スズキのワークスカラーであるチャンピオンイエローは当然のこと、シュプリームレッドパール2など全6色のボディカラーが用意されている。

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控えめなリアスポイラーと2本出しのマフラーが新型スイフトスポーツの証。

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スイフトスポーツのリア回りを引き締めるデュアルエキゾースト。これくらいの手心しか加えられていないというのは、それだけノーマルの完成度がすこいのだ。

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エンジンは専用チューニングを施した1.6リッター直4VVT DOHC。最高出力は135馬力。

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スイフトスポーツのインテリアはブラックとレッドを基調としたモノに。スポーティー感は抜群だ。

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スイフトスポーツのスピードメーターは220km/hまで刻まれたもの。無論、これは飾りなどではない。

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スイフトスポーツのシートも黒と赤を基調としたモノに。専用レカロシートもオプションで設定されている。

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こちらがその専用レカロシート。レカロシートやHIDランプなどがセットになったセットオプションも設定されている。

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使用するダンパーはなんとモンロー!この辺のこだわりがスズキらしくて最高!

テンロクFFホットハッチ! 新型スイフトスポーツ登場!

 ホットハッチ。今や死語である。初代ゴルフがGTIというグレードを設定することにより誕生したカテゴリー。輸入車ではゴルフ、プジョーの205等が名を連ね、国産車ではEGシビック&CR-X、EP80スターレット、ファミリア、ミラージュ、シャレード、カルタス・・・メジャーな自動車メーカーがこぞってクルマを投入していた人気カテゴリーだった。

 1.5BOX、つまりはごくごくフツーのハッチバックにオーバースペックのエンジンを詰め込んだリーサルウェポン。何しろ、凄かった。今ほど技術が発達していない時代のFFハイパワーマシン。まさにじゃじゃ馬。あふれ出るパワーをねじ伏せてコントロールする。そんな荒技に一喜一憂する時代があったのだ。
 
 あれから幾年月。完全に途絶えてしまったホットハッチのジャンルに、超新星が現れた。その名はスイフトスポーツ。スズキは9月15日より新型スイフトスポーツ(AT車)を発売すると発表した(MT車は10月28日)。

すべてはJWRCで勝つために

 二代目になるスイフトスポーツ、当然ベースとなっているのはスズキの世界戦略車であるスイフト。外観上は専用設計の前部、後部バンパーを、車体側面下部のサイドアンダースポイラー、車両後部にルーフエンドスポイラーを採用するなどのリファインをおこなっているが、基本的にはノーマルと同じ。ノーマルのスイフトが持っている肉感的なプロポーションが生かされている状態となっているのだ。
 
 しかし、その肉体に隠された心臓部分には思いっきり手が加えられている。搭載エンジンはノーマルのスイフトには設定されていない1.6L直4DOHC。しかも、このユニットはノーマルエンジンのボア&ストロークをただアップしたモノではないのだ。
 
 まずは、ピストンに高強度の鍛造ピストンを、インテークマニフォールドにはアルミ製のものを採用しているのである。さらに、ピストンの裏側にオイルを吹き付けることで、ピストンの表面温度を下げる効果のあるピストンクーリングジェットも装着し、水冷式オイルクーラーまでも、取り付けているのである。
 
 市販車状態でここまで手の込んだことをしているのは、他にはランエボやインプレッサWRX・STIくらししかない。
 
 そうである。このスイフトスポーツはランエボやインプレッサWRXと同じく世界ラリー選手権に参戦しているのだ。ただ、スイフトスポーツは4WDでターボが許されているERカーやグループN(PWRC)ではなく、スーパー1600(JWRC)に参戦しているという違いはあるのだが。
 
 しかし、このスーパー1600(JWRC)というのがくせ者なのである。ほとんど何でもアリのWRカーや、市販車の状態であればなにをやってもいい(本当はあるのだけれど)グループNとは違い、スーパー1600(JWRC)には市販車の状態で大きな制約があるのである。
 
 スーパー1600(JWRC)のレギュレーションとは「1.6リッターまでの自然吸気エンジンを持つ、前輪駆動車」。さらにエンジンの最高回転数にリミットが設けられていたり、電子制御が禁止されていたりと厳しい縛りが存在し、当然のように改造範囲も非常に狭いモノとなっている。
 
 ここで勝つためにはどうすればいいのか? それは市販車の状態で最高のポテンシャルが発揮できるようにしておくことである。故のスイフトスポーツなのである。

無敵の称号を勝ち取った初代から引き継いだもの

 初代スイフトスポーツも当然、JWRCに参戦していた。軽自動車をベースとした背高のっぽのハッチバック。JWRCに参戦するフォードやシトロエン、フィアットといった各メイクスは「どーせ勝てないクルマだ」と、当初は見下していたらしい。
 
 が、スズキはバイクで何度も世界を制したメーカーである。その技術をフルに投入して開発された初代スイフトはむちゃくちゃ速かったのである。ほとんど無敵。シトロエンC2も、フォードフィエスタも、フィアットプントも、まったく歯が立たない相手として君臨してしまったのだ。
 
 そんな偉大なる初代のあとを受け継ぎ登場する2代目スイフトスポーツ。「なんだかんだいっても軽自動車を大きくしただけじゃないの?」(実はそんなことありません)と陰口をたたかれた初代に代わり登場した2代目は完全なる専用設計車。世界戦略車ということで徹底的に作り込まれた2代目は、ノーマルの状態であってもかなりポテンシャルが高いことは証明済み。
 
 それをベースに2代目スイフトスポーツへ。エンジン回りのチューニングは前述したとおり。他にも加速重視に専用のセッティングを施した5速MTや、直径200mmのクラッチディスクを採用したり、モンローのダンパーを用いて専用セッティングのサスペンションまで奢っているのである。
 
 FF車世界最速の称号を守るために登場した新型スポーツ。かなり硬派なホットハッチなのに、AT車の設定があったりする新型スイフトスポーツ。ATといっても、MT車とほとんど中身が変わらないのがうれしいところ。
 
 そんな新型スイフトスポーツの車両本体価格は5MT車が156万4500円。AT車が161万7000円となっている。

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代表グレード
スイフトスポーツ
ボディサイズ[mm](全長×全幅×全高)
3765mm×1690mm×1510mm
車両重量[kg]
1060kg
総排気量[cc]
1586cc
最高出力[ps(kw)/rpm]
125ps(92kw)/6800rpm
最大トルク[kg-m(N・m)/rpm]
15.1kg-m(148N・m)/4800rpm
ミッション
5速MT
10・15モード燃焼[km/l]
14.6km
定員[人]
5人
税込価格[万円]
156万4500円
発売日
2005年10月28日
レポート
神田卓哉(221616.com編集部)
写真
スズキ