制動力大幅強化! ひっかき新素材「テトラピック」を採用
梅雨明け宣言されてまだ数日という夏初旬だというのに、タイヤ業界はもう冬商戦に突入。ダンロップからデジタイヤスタッドレス「DSX」が発表された。
この新スタッドレスタイヤ「DSX」の最大のポイントは、なんとミラーバーン(氷上)での制動距離を約30%も向上させている点だ。ミラーバーンとは、ツルッツルのピッカピカになった氷の路面のことで、スタッドレスタイヤといえども十分なグリップを確保するのが困難だったりする。そのミラーバーンでの、より高いグリップを確保するために、タイヤメーカー各社がしのぎを削り、撥水ゴムを使ったりゴムの中にクルミを入れたりなど、独自の研究をしている。
そんなワケで、ダンロップの新スタッドレスタイヤ「DSX」にも独自技術が採用されているのだ。その独自技術とは「みうら折サイプ」と「テトラピック」と呼ばれる新素材。「みうら折」とは、折りたたみ式の地図から宇宙衛星のアンテナ収納技術にまで採用されている折りたたみの手法。この折り方をヒントにタイヤ表面のブロックに複雑なサイプと呼ばれる切れ目を入れてあるのだ。今まで、このサイプはブレーキ時に変形(倒れこみ)し、路面との隙間を作っていた。このみうら折りサイプを使用することで、この変形(倒れこみ)を抑え、路面との接地面積がなんと30%も増大したのだ。
まきびしのような「テトラピック」が氷をひっかきまくる!
さらに、従来品で採用したビッググラスファイバーにミクロレベルの引っかき素材「テトラピック」を配合。テトラピックとは、テトラポット形状の単結晶針状セラミック。イメージしにくいかもしれないが、忍者が追手から逃れるために、地面にまく「まきびし」のような形状だ。そんな形状のものがなんとタイヤ1本当り(195/65R15)で、3,800億個も配合されている。想像するだけで、ザックリザクザクと氷に刺さりタイヤのグリップを確保してくれそうな印象だ。
そんな新技術の恩恵で、氷上の制動距離は30%以上向上した。ダンロップの一定条件によるテストデータによると、従来モデルの氷上制動距離が 40.2mだったのに対し、DSXは30.9mになったというのだ。その差はなんと9.3m。DSXは9.3mも手前で停止することができるというのだ。とはいえ、テスト時の走行スピードが30km/hという低速であるということを考えると、スタッドレスタイヤをもってしても氷上ではブレーキが効かないかということをドライバーは再認識する必要はある。
DSXの発売は8月1日から。サイズは12〜19インチで全81サイズ。価格はオープン価格。従来モデルよりは、若干高めのプライスになるという。
レポート:大岡智彦(221616.com編集部)
カメラ:徳田 透(221616.com編集部)