廃車で還付される自動車税
毎年4月に、その年度の分を前払いする自動車税。年度の途中に廃車にした場合、この自動車税は還付されます。
還付されるのは月割にした内の未経過分。つまり4月10日に廃車にした場合は5月~3月までの計11か月分、9月20日に廃車にした場合は10月~3月までの計6か月分が還付されます。
なお、同じように4月に支払う税金でも、軽自動車の場合には還付制度はありません。
自動車税の還付を受けられない場合
ただし以下のような場合には、自動車税の還付を受けられません。
- 地方税に滞納がある場合(※滞納を超える還付金がある場合は差額を受け取れる)
- 廃車ではなく、誰かに譲渡した場合
「誰かに譲渡した場合」には、ディーラーでの下取りや中古車専門店での買取も含みます。なおガリバーでは、自動車税や車検費用の未経過分を買い取り金額に反映しておりますので、ご安心ください。
還付金を受け取る手続き
自動車税の還付を受け取るための特別な手続きは必要ありません。還付金がある場合には、自動車税納税者に対して都道府県から通知が届きます。
還付金受け取りまでの期間は、通常2か月程度かかります。
自賠責は手続きが必要
ただし、廃車によって還付金が受け取れるのは自動車税だけではありません。車検までの期間によっては、自動車重量税と自賠責保険料も還付制度があります。
このうち、自動車重量税については廃車手続き書類に振込先口座を記入する欄があるので、そこに記入すれば手続きが完了します。
それに対して自賠責保険料は自分で保険会社に連絡し還付金を請求する必要があります。まずは自分が加入している自賠責保険の保険会社のホームページを確認してみてください。
廃車時期で決まる還付金額
還付される凡その金額は「前払いした税額÷12か月×未経過の月数」で計算できます。前払いした税額は、以下の通りです。
排気量 | 自動車税(年額) |
---|---|
排気量1000cc以下 | 2万9500円 |
排気量1000cc超から1500cc以下 | 3万4500円 |
排気量1500cc超から2000cc以下 | 3万9500円 |
排気量2000cc超から2500cc以下 | 4万5000円 |
排気量2500cc超から3000cc以下 | 5万1000円 |
排気量3000cc超から3500cc以下 | 5万8000円 |
排気量3500cc超から4000cc以下 | 6万6500円 |
排気量4000cc超から4500cc以下 | 7万6500円 |
排気量4500cc超から6000cc以下 | 8万8000円 |
排気量6000cc超 | 11万1000円 |
(※ただし2019年10月以降に新車登録されたクルマは新税制のため減額。新規登録後13年以上経過したクルマの場合、多くの車両は上記税額に更に約15%の重課)
3月以降に廃車したら還付なし
自動車税の還付は月割なので、3月5日に廃車にしても、3月30日に廃車にしても、3月分は「経過済み」という扱いになります。
そのため3月になってから廃車手続きをした場合には未経過期間はなくなり、自動車税の還付は受けられません。
廃車が4月になってしまった場合
廃車時期でもう一つ注意をしたいのが、廃車が4月になってしまった場合。4月1日時点の所有者には1か月分の自動車税を支払う義務があります。金銭的に負担である他、納税のために税事務所や銀行に赴く手間もかかります。
そのため、年度の変わり目に廃車をする場合には、できるだけ3月中に廃車手続きを完了させるようにしましょう。
廃車後に自動車税納付書が届いたら?
「廃車にしたのに自動車税納付が届いた」という場合には、以下の3つが考えられます。
- 廃車が4月以降であるため納税義務がある
- 自動車税の納付忘れがあった状態で廃車にしてしまっていた
- 廃車業者や税事務所での、何らかの手違いやミス
まずは廃車の日付確認から
最も多いのが、廃車が4月以降であるという場合。そのため、思いがけず納付書が届いたら、まず廃車の日付を確認しましょう。
廃車の日付が4月になっている場合、上述のように4月1日時点の所有者には自動車税納税義務があります。納付書に記載されている税額が1か月分の場合は、それを支払えば手続き完了です。
納付額が1年分になっていた場合、廃車手続き書類の控えを持って税事務所に行き1か月分だけ納税するか、あるいは納付書を使って1年分を支払って後で未経過分を還付してもらいましょう。
次に納付忘れがなかったか確認を
自動車税の納付忘れのまま廃車にすると、廃車後に「滞納開始した4月~廃車月」までの納付書が送られてきます。既に納税を済ませている場合は無視をして構いませんが、未納の場合は早急に対応しましょう。
納税忘れがあったかどうか分からない場合は、税事務所に確認してみてください。
このどちらでもない場合は、廃車手続きか税務のどこかでミスがあったと考えられます。業者に廃車を依頼した場合は、まずは業者に確認してみてください。3月中に廃車をしていることが確認できた場合は、税事務所に連絡しましょう。
監修税理士からのコメント
自動車税、自動車重量税、自賠責保険料の還付のほかに、自動車任意保険料も還付される可能性があります。忘れずに解約や中断(一時停止)の手続きを行いましょう。
- Supervised by norico編集長 村田創
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中古車のガリバーに勤務して20年以上のベテランが車の知識をわかりやすく解説します。車のことは、多くのメーカーを横断して取り扱うガリバーにぜひ聞いてください。「車ってたのしい!」を感じてほしいと思っています!
- Supervised by 税理士 宮川 真一
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保有資格:税理士。1996年一橋大学商学部卒業。税理士法人みらいサクセスパートナーズ代表税理士。1997年から税理士業務に従事し、税理士として20年以上のキャリアがあります。 現在はM&Aや事業承継のコンサルティング、税務対応を行っています。自動車税、所得税といった身近にある税金関係の記事監修を得意としています。