聞かれてみると、意外と分かっていないことも多い普通車と軽自動車の違い。
そこでまずは「小さいクルマ」というイメージが強い軽自動車の、具体的な定義を確認しましょう。そのうえで、以下の6つの側面から普通自動車と軽自動車の違いをご紹介します。
- 走行性能
- 安全性
- 車内の空間
- 車両価格
- 燃費
- 税金
- そもそも軽自動車とは?
- 走行性能は普通車に軍配が上がる
- 安全性は大差ないといえそう
- 居住空間は普通車の方が広いことが多い
- 軽自動車の方が車両価格が安いとは限らない
- 同じガソリン車で比べれば軽の方が低燃費
- 税金面では軽自動車が安い
- 【まとめ】税金以外の差は小さくなってきている
そもそも軽自動車とは?
軽自動車とは、道路運送車両法で「軽四輪」と定義されているクルマのことで、以下の条件を満たすクルマのことを指します。個人用の車両の場合、黄色のナンバープレートを付けています。
- 全長:3.4m以下
- 全幅:1.48m以下
- 全高:2.0m以下
- 排気量:660cc以下
- 乗車定員:4人以下
- 貨物積載量:350kg以下
これに対して普通車とは、「軽自動車以外の普通のクルマ」と理解すると分かりやすいでしょう。「普通のクルマ」としたのは、トラックや業務用の特殊自動車を含まないからです。
道路運送車両法では小型自動車(コンパクトカーなど)と普通自動車を区別していますが、一般的には、白いナンバーを付けているクルマはコンパクトカーもミニバンも一括りにして「普通車」「乗用車」と呼ばれることが多いです。
走行性能は普通車に軍配が上がる
先ほどご紹介した通り、軽自動車はエンジンの排気量が660ccに限られています。走行性能にも限界があり、「遅い」クルマが多いのが事実です。
しかし最近ではきびきび走る軽自動車も増えてきているので、日常の街乗りであれば気になることは少ないでしょう。「軽自動車でも走行性能にこだわりたい」という場合には、ターボ付きのエンジンを選ぶのもお勧めです。
安全性は大差ないといえそう
一昔前は「軽自動車は安全性に課題がある」と言われていました。確かに、広いボンネットや荷物スペースが確保されているクルマの場合には、事故の時にはその部分が衝撃を受けてくれるため、人が乗るエリアはより安全といえるでしょう。
ただし最近では、軽自動車と普通車の間で、衝突時の安全性テストの結果は差がなくなってきています。日産が公開したN-BOXの衝突実験では、エンジンルームが潰れるような衝撃であっても、運転席には人が動けるほどの空間が残されており、ドアも開閉可能なままでした。
また、最近では、事故を予防するための先進安全装置が進歩してきており、事故に遭うリスクは下がってきているといってよいでしょう。そして先進安全装備の搭載状況を見ると、ここ数年はコンパクトカーよりもハイト系/スーパーハイト系の軽自動車の方が充実しています。
それを考えると、安全性能に大きな差はないと考えてよいでしょう。
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居住空間は普通車の方が広いことが多い
「軽自動車は狭い」と言われていましたが、それも昔の話。最近では、室内高が120センチを超えるような、広い車内空間を備える軽自動車も増えてきています。
そうはいっても、軽自動車のサイズには法律で決まった上限があります。その点、普通車はコンパクトカー、ワゴン、ミニバンなど幅広い選択肢があり、中には圧倒的な居住空間を備えるクルマもあります。
軽自動車の方が車両価格が安いとは限らない
一般に「軽自動車は普通車より安い」と言われていますが、最近はそうでもないケースも増えてきているので注意が必要です。例えば人気軽自動車であるホンダ「N-BOX」の新車価格は、安いグレードでも150万円近く。高いグレードだと200万円越えと、安い普通車が買える値段です。
「軽自動車の方がコンパクトカーより安全装備が充実している」という逆転現象が起こっているのと同様、価格でも「軽自動車の方がコンパクトカーより高い」というケースも見られます。
同じガソリン車で比べれば軽の方が低燃費
軽自動車には大きさや排気量に制限があるため、クルマも軽く、その分だけ走らせるのに必要なエネルギーも少なくて済みます。そのため同じガソリン車で比較すれば、軽自動車の方が普通車よりも低燃費です。
例えばホンダの「N-BOX」、同社のコンパクトカーである「フィット」、そして同社のコンパクトミニバンである「フリード」のガソリン車の燃費はそれぞれ以下のようになっています。
- N-BOX 21.8km/L(WLTCモード)
- Fit 20.4km/L(WLTCモード)
- フリード 17.0km/L(WLTCモード)
(※記事公開時点の最新モデルより、最も低燃費のグレードを選出)
ただし普通車には、プリウスやアクアなど数多くのハイブリッドモデルが用意されています。例えばプリウスには40km/Lを超える低燃費なグレードもあり、必ずしも「軽自動車の方がガソリン代が安く済む」とは言えません。
税金面では軽自動車が安い
ガソリン代と並んで維持費に影響があるのが、毎年発生する税金や自賠責保険の保険料。以下は軽自動車にかかる自動車税、自動車重量税、自賠責保険料を、普通車で一番税額が安くなる場合と比較してみたグラフです。
軽自動車 | コンパクトカー | |
---|---|---|
自動車税/軽自動車税 | 年10,800×2年 | 年25,000円×2年 |
自動車重量税 | 5,000円 | 10,000円 |
自賠責保険(24か月分) | 25,070円 | 25,830円 |
2年分合計 | 51,670円 | 85,830円 |
1年分換算 | 25,835円 | 42,915円 |
(※コンパクトカーは1トン以下かつ排気量1000cc以下として算出。自動車税は2019年10月1日以降に初回新規登録を受けた車の場合、また重量税は本則税率適用の場合で算出)
上記のように、普通車で一番安い場合でも、軽自動車の1.5倍以上の費用が掛かります。より大きな普通車を選ぶと、さらにこの差は大きくなります。
【まとめ】税金以外の差は小さくなってきている
ここまで見てきたように、安全性や車両価格など、軽自動車と普通車の差がなくなってきています。また軽自動車でもターボ付きエンジンを選んで走行性能を強化できたり、普通車でも低燃費のハイブリッドモデルが選べたりと、弱点を克服する方法も用意されています。
その中で歴然とした違いがあるのが、税金です。少しでも費用を抑えたいのか、あるいは少し高くても居住空間や走行性能を重視したいのかで選ぶと良いでしょう。