車検は荷物を積んだままでもいい?受ける前に気を付けたい点を整備士が解説

車検は荷物を積んだままでもいい?受ける前に気を付けたい点を整備士が解説

自家用車であれば2年ごと、新車に限り初回は3年後に迎えるカーライフにおける大きなイベントのひとつが車検です。
数年に一度のことなので、用意するものや、手順が分からなくなってしまうものです。
そのなかで気になるのは、車の荷物は積んだままでも問題ないかという点です。この疑問に現役の整備士がお答えします。また、合わせて他にも車検前に気を付けておきたい点も分かりやすくまとめていますのでご参考ください。

車検は荷物を積んだままでも受けられる?

車検時に荷物を積んだままでも車検は受けられます。
実際の現場において、私は15年以上整備士として仕事をしていますが、一般的な乗用車のお客さまで車検に通らないような荷物を積んでいるケースはほとんどありません。

ただし、荷物の大きさや重量によっては車検に支障が出るケースがあります。
また、トラックやバンなどの貨物・商用車両は普段どおりに荷物を載せたままだと車検に通らないケースがあります。

荷物があると車検に支障が出るケース

荷物があることで車検に支障が出るケースとしては、制動力の計測が困難になったりヘッドライトの光軸が変わったりすることが挙げられます。主な具体的内容について解説します。

制動力に変化が出てしまう

車検の検査において、ブレーキを使用したときの「制動力」を計測する項目があります。
この制動力は数値化され、車両重量によって合否に関わる数値が異なります。
そのため、あまりに重量のある荷物を載せたままだと正確な制動力の計測が困難となるので、車検に支障が出てしまいます。
トラックやバン車両で車検に通らないケースがあるのはこの部分に該当するためで、普段仕事で荷台・荷室内に多くの仕事道具などを載せている車は注意が必要です。
もちろん、乗用車であっても数十キロ単位の重量物を載せている場合は同様です。
たとえば、車検のときに夏↔︎冬タイヤに付け替えをするとき、来店時にはタイヤを車に載せて行くケースがあると思いますが、車検整備後の完成検査時は、わたしたち車屋側でタイヤを降ろした状態で各計測を実施します。

ヘッドライトの光軸が変わってしまう

荷室に重いものを載せていると、車は前上がり、後ろ下がりになります。これによりヘッドライトの照射位置が高くなってしまいます。
照射位置を補正するためにヘッドライトの高さを下向きに調整するレベライザー機能が、平成18年以降に製造されている車には備わっています。
車検の光軸点検はレベライザーによる補正が0の位置でおこなうので、それに伴って荷物も降ろしておく必要があります。

運転時の視界を妨げる

よくある事例として、ぬいぐるみや置物をダッシュボードの上に置いているケースがありますが、場合によっては前方視界不良にあたり車検に不適合となることがあります。
フロントサイドの三角窓も視界を確保するためにあるものなので、ぬいぐるみなどを置くのにちょうど良い…と思っていると、それが原因で保安基準不適合の状態になっている可能性があるので注意が必要です。

可燃物などを載せている

ライターやモバイルバッテリーなど真夏の車内にあると爆発・破裂のおそれのあるものは、車検の合否に関係がないものでも社内規定等により、車から降ろしておくことを促されるケースがあります。
そもそもが危険なので、載せっぱなしにしておかないように注意してください。

車検前に降ろしておいた方がいい荷物一覧

車検に支障が出るもの以外でも、車検前に降ろしておいたほうがいい荷物があります。
車検前に降ろしておくことをおすすめする荷物を以下にまとめました。

  • 視界を妨げるおそれのあるぬいぐるみや置物など
  • フロント、フロントサイドガラスに取り付けるサンシェード
  • ライター
  • モバイルバッテリー
  • 貴重品
  • 現金・クレジットカード
  • ETCカード
  • タイヤ・ホイール
  • プライバシーに関わるもの
  • 社外秘の書類やデーターが保存されたもの
  • 仕事で使う道具・工具などで重たいもの
  • 荷室に組んでいるラック(棚)

いくつかピックアップして、くわしく解説します。

貴重品や他人に見られたくないものはトラブル防止のため降ろしておく

車検整備時にはグローブボックスやトランクを開けて、車検に必要な書類のチェックや点検に関わるものを出し入れしたりする可能性があります。
車検の合否に直接関係はありませんが、貴重品・現金やクレジットカード、プライバシーや社外秘に関わるものや、他人に見られたくないものも降ろしておくことをおすすめします。
こうしたものは、お店とお客さまとの間でトラブルのきっかけになるものです。

商用車(バン・トラック)などで降ろしておくべきもの

車を仕事で使っている方は仕事道具などを降ろしておくことをおすすめしますが、その中でもバンなどで荷室にラック(棚)などを設置している場合は特に注意が必要です。
バン型の車は、エンジンやバッテリーが荷室の真下にある車種もあるので、荷室に荷物が大量にあるだけでも好ましくありませんが、さらにラックまで設置している場合には車検の作業や点検を進めうえで大きな支障となります。
また、運転席や助手席の真下にエンジンがある車はシートの座面を上げて、点検・整備をおこないます。
助手席シートの上に荷物が大量にあるのはもちろんのこと、後部座席に荷物がある場合でもシートの座面を上げるのに支障をきたします。
仕事でバンタイプの車を使われている方々は注意が必要ですが、最近ではアウトドアブームでハイエースなどをキャンプ仕様にして使われるオーナーさんも増えています。
その場合も荷物の積載状況には十分に注意して、必要に応じて降ろしておくようにしましょう。

車検の事前準備で荷物以外に気を付けたいこと

車検の事前準備で荷物以外にも気を付けないといけない点はたくさんあります。

  • 法定費用の用意
  • 点検・整備費用の用意
  • 自動車税の納税確認
  • 駐車違反の違反金支払い滞納の有無
  • 車検証と自賠責保険証の確認
  • 保安基準に適合する状態かを確認
  • (消耗品や交換部品の確認)

車検に必要なお金の用意

車検にはかならず、下記の法定費用がかかります。

  • 自動車重量税
  • 自賠責保険料
  • 印紙代

自動車重量税は車の車重によって税額が異なります。
以下の国土交通省の「次回自動車重量税額照会サービス」に車検証に記載の車体番号を入力することで、税額を調べることができます。

(参考:国土交通省 次回自動車重量税額照会サービス

法定費用に加えて、ディーラーや整備工場に車検を依頼する際は検査費用、24ヶ月法定点検費用、事務代行料などが必要になります。
当然、部品の交換や整備の必要が出てくればそれに応じて費用が増えます。
法定費用以外の項目は整備工場、車の状態によって大きく異なるので、よく確認しておきましょう。

自動車税の納税確認

毎年5月の上旬頃にに納付通知書が届く自動車税ですが、最新の分を納税していないと車検を受けることができないので注意が必要です。

駐車違反の違反金支払い滞納の有無

駐車違反をした際に、一定期間内に違反金を納付をしていれば大丈夫です。ただし、放置違反金の納付を滞納したままで公安委員会による督促状までいくと「車検拒否制度」により、車検を受けることができません。
前回の車検から今回の車検までの間に駐車違反をして違反金を滞納している方は、早急に納付が必要です。
車検直前での納付となった場合には、納付の事実を証明するものが車検時に必要となります。

車検証と自賠責保険証の確認

車検には車検証および自賠責保険証の原本の用意が必須です。
本来、車に常に載せておくべきものなので忘れるものではありませんが、稀に自宅に保管していたり紛失される方がいらっしゃいます。無ければ車検が受けられないので注意が必要です。
再発行は可能ですが、時間も費用も追加で必要です。

保安基準に適合する状態にする

車検は保安基準に照らし合わせて適合することが絶対条件です。
身近な例だとフロントガラス、またはフロントサイドガラスにドラレコやETCアンテナなどを除いて私的に貼り付けているものはNGです。
お守りやマスコット、サンシェード などがよくある例です。
また、知らずのうちに灯火類が法令違反となっているケースも多いです。(社外パーツの取り付け)
車にパーツを取り付けたり、交換している方は注意が必要です。

消耗部品や交換部品の確認

整備工場に点検・整備を含めて車検の依頼する場合はあえて確認する必要はありませんが、陸運支局に直接ユーザー車検として持ち込む場合には、保安基準の適合状態はもちろんのこと、各部品の交換の必要の有無を確認しておくことが大切です。
安全・安心な状態で乗り続けるためには、消耗部品の交換や必要に応じた修理が必須だからです。

整備士のまとめ

車検時には、注意しておきたい項目が多くあります。
車に積まれている荷物はオーナー個人のものなので、車屋や整備工場側で勝手に触ることはトラブルの元にもなるので、できる限り自分自身で車検に通る状態、または整備に支障をきたさない状態にしておくことが好ましいです。

Supervised by 整備士 ヒロ

ヒロ 2級整備士

保有資格:2級整備士。国産ディーラー整備士、輸入車ディーラー整備士の経験がある、現役の整備士。 整備士経験は10年以上で過去にはエンジニアとして全国規模のサービス技術大会に出場。 車の整備に関する情報をtwitterで発信している。