車の修理期間はどのくらい?期間が長い場合や主な箇所について整備士が解説

車を修理に出している間は、少しでもはやく、自分の車が手元に戻ってきてほしいと誰しもが思うことでしょう。
故障ケース別の車の修理にかかる期間や長引く原因など、みなさんが不安に感じることについて現役の整備士が解説します。

車の修理にかかる期間の目安

車の修理期間は凹みや軽度の擦り傷、エンジン部品の交換・修理であれば半日から1日程度が目安です。
ただし、車の修理にかかる期間は修理や工場の状況、部品の入荷までかかる時間などの要因で変わってきます。
主な修理内容ごとの期間の目安について一覧でまとめました。なお、「事前に診断や見積もりが終わっていて、修理内容が確定している場合」での最短の修理期間を示していますのでご理解ください。

修理内容 修理期間の目安
バンパー凹み 半日~1日
ボディ擦り傷 半日~1週間
足廻り 半日~2日
エンジン部品交換 半日~1日
エンジン載せ替え 半日~1週間
フロントガラス交換 半日~2日
カーエアコン 2時間~2日
トランスミッション 2日~1週間
ブレーキ廻り 2時間~1日
冷却水漏れ 2時間~1日

以下で各項目ごとの修理期間の目安について詳しく解説していきます。

バンパー凹みの修理期間

バンパーの凹み修理は、バンパー交換となることがほとんどです。
作業は1〜2時間で終わる場合もあります。
最近の車でバンパー内部に安全装置のセンサーがある場合は、センサーの学習(エーミング調整)が必要になることもあり、半日〜1日かかることもあります。

擦った傷の修理期間

ボディを擦って傷をつけたときの修理期間は、簡単なクイック板金・塗装で対応できる傷の場合で半日ほどです。
板金塗装工場で本格的な修理が必要となる場合には、3日〜1週間程度かかることがあります。

足廻りの修理期間

足廻りの修理期間は、劣化したサスペンションの交換や、ブーツ類の破れを修理する場合であれば、最短で半日〜1日ほどです。

車種によって整備性も大きく異なってくるので、整備に必要な時間も変わります。
例えば、事故によって歪んだ足廻りの交換になると、修理後に四輪アライメントの調整などが必要になります。四輪アライメントシステムは、どこの工場にも設備があるわけではないので、外注に頼ることもあります。
このような足廻りの修理でも大掛かりなものになると、1日〜2日ほど、またはそれ以上の時間が必要になることもあります。

エンジンの修理期間

エンジン部品の交換や修理の場合、短いもので1時間程度で修理が完了する場合もありますが半日〜1日程度を目安にしましょう。
エンジン本体そのものの修理(オーバーホール)となると、期間は1週間〜1ヶ月またはそれ以上に及ぶことがあります。
エンジン本体を載せ替える修理であれば最短で2〜3日、目安としては1週間前後で見込んでおくとよいでしょう。

フロントガラスの修理期間

フロントガラスの修理期間は、ガラスリペア可能な場合は1時間程度〜、ガラスの交換が必要な場合は半日〜1日、ガラスの交換に伴って安全装置のカメラやセンサーの学習(エーミング)が必要になる場合は1〜2日です。

エアコンの修理期間

エアコンの修理は簡単なものもあれば、室内のダッシュボードの脱着を伴う大がかりなものまで様々なパターンがあります。2〜3時間で終わるものもあれば、1〜2日を要することもあります。

トランスミッションの修理期間

ATやCVT、MTを総称してトランスミッションと呼びます。

トランスミッションの修理は、最近ではほとんどが載せ替え対応となることが多く、その場合は2日〜1週間ほどの修理期間となります。

それぞれの中まで分解して修理する場合には、繊細な作業になることもあり1週間以上の修理期間が目安です。

ブレーキ廻りの修理

ブレーキ廻りの修理期間の目安は2〜3時間から1日程度です。
部品が揃っていれば比較的、長期間に及ぶことは少ないです。

冷却水漏れの修理

冷却水漏れの修理期間の目安は2〜3時間から1日程度です。
ただし、冷却水漏れは突発的に発生することがほとんどで、そのまま走り続けることは避けたほうがよいです。
よって「不具合発生→診断→部品の手配→修理」までの一連の流れを、一度入庫するとそのまま預けたままで済ませるパターンが多いです。そうなると4日〜1週間程度の期間を要します。

修理が長期間かかる場合がある故障例

修理が長期間に及ぶ可能性のある事例として、外的な要因と故障そのものとに分けて解説します。

外的要因で修理期間が長くなる事例

  • 部品の在庫がない(バックオーダー)
  • 保険修理で協定が進まない

在庫が切れている部品を使用して修理しなければいけない場合、部品が届くまでの期間、作業がストップするので修理が長期化します。
早いものだと1週間程度で届くものもありますが、数ヶ月を要するパターンもあります。
部品の生産が終わってる場合には、中古品で対応しなければいけないこともあり、探す時間や適合確認などで時間が長引くこともあり得ます。

相手のいる事故の場合には、最終的な示談で問題がクローズにならなければ修理費用の保険金は支払われません。
また、あいにく無保険の車と事故をすれば、さらに支払いについてスムーズに話が決着することは難しくなります。
いずれの場合でも当然ながら、支払いの見込みが立たないのに、車屋は先走って修理を完了させることはできないので、修理が完了するまで長期間に及びます。

修理期間が長くなりがちな故障事例

以下のような修理は修理期間が長くなりがちです。

  • フレーム修正を伴う板金(事故)修理
  • エンジン内部の分解を伴う修理
  • 異音診断を伴う修理

フレームの修正が必要な板金修理は、フレーム修正機を使用しなければいけない大掛かりなものになるので修理に時間がかかります。
機械の順番待ちが発生することもあり、これも板金塗装修理のなかでも長くなりがちな理由のひとつです。

エンジン内部の分解とは、オーバーホールと呼ばれる作業です。
作業そのものが繊細で手間がかかりますが、なおかつ作業途中に追加で交換必要なものが出てくることも少なくありません。
また、これらの部品はお店に常備で置いているようなものではないので、作業途中に部品を発注して届くのを待たなければならず、全体を通して修理が長期間になりがちです。

また、異音修理も長い時間が必要な修理です。
そもそも異音の診断は難解な整備のひとつで、場所の特定やシチュエーションの特定、対策後の確認等に試走とトライ&エラーを重ねることで、時間を要することが多いです。

修理期間をなるべく短くするには?

修理期間をなるべく短くするためには、以下の方法があります。

  • 事前に整備工場で診断をしてもらう
  • 修理見積もりを出してもらい、部品在庫の有無を事前に確認してもらう
  • 修理入庫のスケジュールを事前に決め、予約を取る
  • 普段から入庫・整備するお店をひとつに絞っておく

基本的にはこのような事前の段取りが、修理期間を短くするための方法です

予約のない飛び込み来店や初来店は修理が長引きがち

予約をしない飛び込みでの来店や、初めて利用するお店での修理依頼は、修理そのものが長引く可能性が高いです。
これは整備工場や板金塗装工場は、先々まで予約で作業が埋まっていることがほとんどだからです。
基本的には予約優先のスケジュールとなるので、突発的な入庫は作業の合間での対応になってしまいます。
ちなみにわたしの勤めている整備工場では、1ヶ月先までのスケジュールが予約で常に埋まっている状態です。

修理期間を短くするためには事前見積もりが有効

実際に作業をおこなう期間を短くするためには、事前に見積もりや診断をおこなうことをおすすめします。
ただし安全のためにも修理までの間、車を使用するのに支障をきたさない場合に限ります。
それでも車の整備・修理は突発的なことや思いがけないことが起こりうるので、事前見積もりをしていても思いがけず修理期間が長引くこともあり得ることを理解しておきましょう。

車の修理は過去の整備履歴の把握も大切

車の整備・修理をスムーズに進めるためには、過去の整備履歴のようなカルテ情報も非常に重要です。
よって、普段からお世話になる整備工場を決めておくことは、万が一のときの修理期間を短くするために大切なことです。
まれに他の修理工場での作業が原因での不具合発生事例などがありますが、それこそ整備履歴やカルテ情報が分からなければ、原因の特定に無駄に時間を要することも珍しくありません。

整備士のまとめ

車の整備にはイレギュラーがつきものなので、思いもがけず修理に長期間を要するパターンがあります。
基本的には修理費用(特に工賃)が高額なときほど、長期間になることが多いです。
また、古い車や発売されたばかりの新型車であれば、部品の手配に時間がかかることで修理期間が長引くことがあります。
古い車の場合には、結果的に部品の手配が困難であることもあり得ます。
修理が長引くときには、費用や修理状況を踏まえて車屋さんと相談し、車の買い替えも視野に検討してみるのも良いかもしれませんね。

Supervised by 整備士 ヒロ

ヒロ 2級整備士

保有資格:2級整備士。国産ディーラー整備士、輸入車ディーラー整備士の経験がある、現役の整備士。 整備士経験は10年以上で過去にはエンジニアとして全国規模のサービス技術大会に出場。 車の整備に関する情報をtwitterで発信している。