車のピラーとは|どこにあって何をするもの?運転時の注意点は?

車のピラーとは

ピラー(pillar)は英語で「柱」を意味し、車においてはルーフとボディをつなぐ骨格部分を指します。

家を支える柱と同様、車のピラーは車体の基盤となるとともに、ルーフを支えています。

ピラーはどこにあるのか

車のピラー、該当箇所の図

自動車ユーザーの間で語られるとき、ピラーは一般に各ガラス・ウィンドウの間の部分を指します。フロントガラスの両側に「Aピラー」、運転席・助手席と後部座席のウィンドウの間に「Bピラー」、後部座席のウィンドウ後ろに「Cピラー」があります。また「Dピラー」以降が存在する車もあります。

なお、ピラーは各ガラスやウィンドウの間の部分のみを指す訳ではありません。たとえば、Bピラーは運転席・助手席と後部座席の間にある柱全体を指します。

ピラーの役割

ピラーの役割は、主に以下の2つです。

  • 衝突時や横転時の乗員保護
  • 乗り心地や静粛性の向上

家の強度が柱によって高まるように、ピラーによって車の強度(ボディ剛性)は高まります。事故などで車が潰れる事態を防ぎ、乗員を守ることがピラーの重要な役割です。
また、ボディ剛性が高ければ、乗り心地や安定感、静粛性も高まります。車の快適性の確保も、ピラーの役割の一つです。

ピラーの注意点

ピラーは乗員を守る重要な部品である一方、運転において死角となりやすいデメリットがあります。特に、フロントガラスの両側に位置するAピラーは、斜め前方の視界を遮ってしまうので注意が必要です。

車によってはAピラーを細めに設計したり、Aピラーの下に三角窓をつけて死角を減らしたりしています。

一般的なピラーの種類

車のピラーの種類の図

ここでは、自動車ユーザーの間で語られることが多いガラス・ウィンドウの間のピラーの種類について説明します。

ピラーは、フロントガラス側から順番にAピラー、Bピラー、Cピラー…と名前が付けられています。また、乗用車ではミニバンやステーションワゴンにおいて、Dピラーが存在します。

①Aピラー

フロントガラスの両側にあるピラーで、フロントピラーとも呼ばれます。

車のデザイン性や空間効率、空気抵抗(燃費や静粛性)などに関わります。Aピラーの角度が浅いと、スポーティな見た目と快適な走りを堪能しやすいです。一方、ミニバンなどはAピラーを立てて車内空間を確保しています。

安全面では、前方からの衝撃を受ける役割があります。ただし先述の通り、Aピラーが太いと運転時の死角が大きくなります。

②Bピラー

運転席・助手席と後部座席の間に位置するピラーで、センターピラーとも呼ばれます。

側面からの衝突や横転の際に乗員を保護します。また、ドアやシートベルトを固定する役割も担っており、ピラーのなかでも特に高い強度が求められる部分です。乗り心地や走行安定性にも大きく影響します。

なお、現在は敢えてBピラーを外して利便性を高めている車も存在します。

③Cピラー

後部座席の後ろ側に位置するピラーです。軽自動車やコンパクトカー、セダンでは車体後部を支えています。

AピラーやBピラーと比べると、Cピラーは設計自由度が高いです。そのため「Cピラーを太くして高級感を出す」など、各メーカーのこだわりが見える部分でもあります。

ただし、Aピラーと同様、最後部のピラーが太すぎるとリアの死角が大きくなってしまいますので、注意が必要です。

④Dピラー

Dピラーは、ステーションワゴンやミニバンなどに存在するピラーです。セダンなどのCピラーと同じく最後部のピラーになるので、車によって形状の個性が出やすいです。

一部のピラーがない車も存在する

ピラーが1つもない車は存在しませんが、「Aピラーしかない」「Bピラーがない」といった車は存在します。

たとえば、2シーターのオープンカーはAピラーしか存在しません。また、Bピラーがない車としては、以下でご紹介するタントやN-VAN、ポルテなどが挙げられます。

具体例①ダイハツ「タント」

Bピラーが無い車の例:タントの車両画像

軽スーパーハイトワゴンとして人気のあるタント。その魅力の一つが、大開放の「ミラクルオープンドア」です。助手席側のBピラーをなくし、思う存分外の空気を取り込めるようになっています。

タントのピラーの図

助手席のドアとスライドドアを開けば、傘をさしたまま車を乗り降りすることが可能です。また、ユーザーの中には「車内から花見などを楽しんでいる」といった人もいます。

具体例②ホンダ「N-VAN」

Bピラーの無い車の例:N-VANの車両画像※上記画像はN-VANのカスタム仕様車「MALIBU」

N-VANは軽貨物車で、主に商用で販売されている車です。こちらも助手席側のBピラーをなくしています。

N-VANのピラーの図

N-VANの大きな魅力は、助手席を床下格納できること。この機能により、ドアを開いたときにタント以上に広いスペースを確保できます。また、助手席だけでなく後部座席も格納できるので、車中泊に向いています。

具体例③トヨタ「ポルテ」

Bピラーの無い車の例:ポルテの車両画像

ポルテは2020年12月に生産を終了した車です。こちらも助手席側のセンターピラーがありません。

ポルテのピラーの図

タントやN-VANと異なるのは、助手席側のドアが1枚である点です。タントやN-VANは、助手席用のヒンジドアと後部座席用のスライドドアが存在します。これに対してポルテは、助手席と後部座席で1枚のドアとなっています。

Q. ピラーレス車の安全性は大丈夫?

ピラーレスといっても、車として販売するからには、一定の安全性を確保しています。特に、最近登場しているBピラーのない車はドア部分などの強度を高め、一般的な車と遜色ない安全性の高さを有しています。

ただし、オープンカーでロールバーをせずに走行した場合、事故時のリスクが高まることは否定できません。

Aピラーの死角が少ない車3選

Aピラーで「斜め前方が見えにくい」と感じる人は少なくありません。ここでは、Aピラーの構造が工夫され、前方の視界が良いと好評の車をご紹介します。

おすすめ①ダイハツ「タント」

Aピラーが特徴的な車の例:タントの車両画像

助手席側のBピラーをなくして利便性を向上させているタント。Aピラーについても、細めで立ち気味のデザインを採用しています。また、Aピラーを2本に分割するような形で小窓を挟み、死角を少なくしています。

Aピラー部分を2分割するデザインは、タントに限らず多くの軽スーパーハイトワゴンで採用されています。ここでは、その他のピラーの特徴も踏まえてタントをおすすめ車種に選定しました。

おすすめ②スズキ「スペーシア」

Aピラーが特徴的な車の例:スペーシアの車両画像

スペーシアも、多くの軽スーパーハイトワゴンと同じように、立ち気味で2分割したデザインのAピラーを採用しています。

また、現行スペーシア(2023年11月~)は軽自動車でもトップレベルの安全性能を誇ります。特に、衝突被害軽減ブレーキ(自動ブレーキ)が高性能で、右左折時の対向歩行者・自転車も検知対象なので、Aピラーの死角が原因となる事故の予防や被害軽減に役立つでしょう。

おすすめ③ホンダ「フィット」

Aピラーが特徴的な車の例:フィットの車両画像

Aピラーの死角が少ない車として特に評価が高いのが、ホンダのフィットです。フィットは他の車と比べてAピラーが非常に細いです。また、Aピラーの後ろには面積の大きい三角窓もついており、死角が少なく設計されています。

コンパクトカーの中でも、フロントの視野は抜群に広いです。見やすさ、運転のしやすさで車を選びたいのであれば、ぜひお勧めしたい一台です。

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Supervised by norico編集長 村田創

norico編集長_村田創

中古車のガリバーに勤務して20年以上のベテランが車の知識をわかりやすく解説します。車のことは、多くのメーカーを横断して取り扱うガリバーにぜひ聞いてください。「車ってたのしい!」を感じてほしいと思っています!