車のライトの種類とつけ方。交換目安についても整備士が解説

車のライトの種類とつけ方。交換目安についても整備士が解説

車のライトにはそれぞれに用途があり、時にはライトに関係することで法令違反となることもあります。たかがライト、されどライト。
この記事ではプロの整備士が、車のライトの種類やつけ方、交換目安に関する知識を分かりやすく解説します。

ライトの名称と特徴一覧

一般的な車のライトの呼び方(名称)とそれぞれの特徴を車外、車内ライトに分けて表にしてみました。

車のライトは外観上で「フロント・リヤ・サイド」の3箇所のいずれか、または2箇所から認識できるものです。
また、それぞれに灯火色の指定や視認性、取付け位置や個数などの細かい規定があります。(この記事では詳細は省きます)

車外ライトの名称 意味・特徴
スモールライト(車幅灯) 暗い場所で、周囲に車幅を知らせるライト。ポジションランプのこと
ヘッドライト(ロービーム・すれ違い用前照灯) 夜間走行時に前方視界を照らすライトで、対向車や前走車がいるとき、市街地走行時に使用
ヘッドライト(ハイビーム・走行用前照灯) 夜間走行時に前方視界を照らすライト。基本的に、夜間はハイビームで走行することが法律で定められている
ウィンカー(方向指示器) 車両前後についていて、前後方および両側面からライトの点灯を視認できる必要がある。よって、車種によっては、サイドやドアミラーについている場合もある。橙色に光らなければいけない。
ハザードライト(非常点滅表示灯) 路上停車や、故障したとき、けん引する時など、周囲に危険を知らせる意味で使用する。点灯する箇所はウィンカーで光るところすべて
フロントフォグライト(前部霧灯) 濃霧や大雨の時などの前方視界が良くないときに、視界確保のために使用する。ただし昨今はファッション的な要素で採用されている車種もある
デイライト(昼間走行灯) 車の前方についている。点灯箇所がスモールライトと兼用のもと、そうでないものがある。昼間も常時点灯することで、周囲に対して自車の位置を知らせる意味を持つ
コーナリングライト(側方照射灯) ハンドルを切ったとき、またはウィンカーに連動して、車両進行方向側を照らすライトのこと。フォグランプなど他のライトを兼用している場合もある
テールライト(尾灯) リヤのスモールライトと呼ぶ場合もある。夜間に後方から自車を認識してもらうためのライト。ポジションランプのこと
ライセンスランプ(ナンバー灯) 夜間、リヤのナンバープレートの文字を認識するために照らすライト
バックランプ(後退灯) バックする時に周囲に自車の動きを知らせるためのライト。夜間は、後方視界の確保の役に立つこともある

また、車内にもさまざまなライトが使用されています。

車内ライトの名称 意味・特徴
ルームランプ 室内を照らすためのランプ。車のサイズが大きくなるほど複数個ついている
カーゴランプ・ラゲッジルームランプ・トランクルームランプ 車の荷室内を照らすためのライト
バニティランプ サンバイザー裏の鏡を使用する時に、顔を照らしてくれるライト
ドアカーテシランプ サイドドアの内側下部についている。ドア開閉時に点灯し、夜は暗い足元を照らしてくれ、なおかつ後続車にドアが開いていることを知らせる役割も持つ
メーターイルミランプ メーターの照明
インパネイルミランプ エアコンパネルや、各操作スイッチ、シフト回りの照明
アンビエントライト(間接照明) フットライトや、インパネのデザインに沿った照明など、車種によってさまざまなタイプがある

これら以外にもメーカーにより名称の違い等はありますが、さまざまな室内に設けられているライト類があります。

主なライトの交換時期一覧

車のライトは種類が多いですが、交換が発生しそうなランプは限られています。各所、長いカーライフのなかで一度交換することがあるかないかくらいの交換頻度です。


また、最近はヘッドライトやテールライトなどで純正採用されているLEDライトは、バルブ単体で交換ができないメンテナンスフリーのものが増えています。
そんな中でも、いくつか交換が発生しそうな箇所をピックアップします。

交換が発生しそうなライト 交換時期の目安
ヘッドライト(HID) 3年
ヘッドライト(ハロゲン) 5年
ブレーキランプ(LED除く) 5年
そのほかのライト類 都度

主だって交換する機会があるのはヘッドライトのバルブ、ブレーキランプのバルブくらいでしょう。
そのほかの箇所は、交換する機会は極めて低くいです。
特に純正でLED採用されている箇所は、不具合などがない限りは基本的に交換することは稀です。
また、ご自身で社外品のLEDバルブや、ヘッドライトを社外品のHIDに交換している場合は、著しく寿命が短いことがよくあります。
特に安価な社外品だと、数日や数ヶ月でバルブが切れてしまうことも珍しくないので、注意しましょう。

ライトのつけ方

車のライトのつけ方

ヘッドライトのつけ方

ヘッドライトのつけ方について、一般的な国産車を元に簡単に解説します。
運転席からステアリングを見て右手側がライトスイッチです。(左手側はワイパー)
ライトスイッチにはどういった操作をすれば、どのライトがつくのかが文字またはイラストで書いてあります。
スイッチを回すとヘッドライトがつきます。

「OFF⇔ポジションランプ⇔ロービーム」

オートライト付き車は、上記の位置のいずれかに「AUTO」があります。

ハイビームとロービームの使い分けについて

夜間の安全な走行、また周囲のドライバーに迷惑をかけないためにも、ハイビームとロービームの使い分けをきちんと理解しておくことが大切です。
一般ドライバーには意外と知られていませんが本来、夜間走行時に使う基本的なライトはハイビームです。
ハイビームは前方100m先、ロービームは前方40m先を照らすことができなければいけないことが、保安基準では定められています。
このことからもより遠くのものを照らすことができて、早期に危険を認知するためにもハイビームの使用がベストです。

一方で街中での走行や、前走車がいたり対向車がいる場合にはロービームを使用します。
ハイビームでの使用が周囲にとっては眩しくて、逆に交通の妨げや危険を招く恐れもあるからです。
ハイビームからロービームに戻し忘れて、周囲の車や歩行者に迷惑をかけている車は少なくありません。
基本的には、周囲の交通状況に合わせてハイビームとロービームを手動で切り替える運転をするように心がけましょう。

ハイビームのつけ方

ハイビームを使うときはロービーム点灯状態でスイッチを奥に倒します。
一部車種では手前に引くものもあります。
メーター内に青色の「ハイビームインジケーター」が点灯していれば、ハイビームが点灯しているということです。

ロービームのつけ方

ロービームはライトスイッチを操作して、ヘッドライト点灯(ロービーム点灯)の位置にすればつきます。

無灯火はダメ!ライトをつけるタイミング

ライトをつけるタイミング

昔の車と違い、メーターイルミネーションが常に発光している今の車に乗っていると、夜になってもライトがついていないことに気付かないドライバーが多いです。
その結果、無灯火で走行している車が少なくありません。
無灯火運転は非常に危険で、道路交通法違反による罰則対象です。
違反点数は1点、反則金は普通車(軽自動車含む)で6,000円です。(車の区分により異なります)

ライトをつけるタイミング

ライトをつけるタイミングは道路交通法で以下のように定められています。

  • 夜間(日没時から日出時までの時間)
  • 政令で定める場合においては、夜間以外の時間にあっても同様とする

しかし、日没のタイミングだと実際にはかなり暗くなっているため、ライトをつけるには遅いです。
薄暗くなってきたら、可能な限り早いタイミングでライトを点灯するようにします。
逆に早朝は、明るくなるまで消さないようにします。
また、トンネル内や立体駐車場のような日中であっても暗い場所を走行するときにも、かならずライトをつけます。
ライトをつけることは自分自身の視界確保のためだけではなく、周囲の車や人に自車の存在を知らせる役割が大きいです。
これは、車を運転するドライバーの責任として大切なことなので覚えておいてほしいです。
この理屈で言えば、雨の強い日や霧の出ている時などにも、ライトをつけることが非常に重要です。
こうした心掛けひとつが、周囲の交通の安全につながります。

オートライトの設定

法改正により、2020年4月1日以降に販売される乗用車(新型車に限る)には、オートライトの装着が義務化され、ライトスイッチには「OFF」の位置が無くなりました。
スイッチの基本位置は「AUTO」位置となります。

※フルモデルチェンジ予定のない新車も2021年10月1日までに完全義務化

これにより、ライトをつける必要がある時にうっかりつけ忘れたまま走行してしまう…ということがなくなります。
この点が、従来のオートライト付きの車と違う点です。
従来からオートライトシステムを装備する車は多くありましたが、あくまでドライバーが任意でライトスイッチを「AUTO」位置にすることで機能するものです。
またそれよりも古い車や、ついていない車への後付けオートライトシステムの場合は、ライトスイッチ以外の場所にオートライトの設定を切り替えるON/OFFボタンがあることもあります。

日頃のメンテナンスで気を付けたいこと

ライトのバルブ類に関して、日頃のメンテナンスで気を付けるべきことはあるのでしょうか。
特にユーザー自身が使い方として気を付けることはありませんが、必要以上に点けたり消したりを繰り返さない方がバルブの負担は少ないでしょう。
また、古い車のヘッドライトはガラス製でしたが、今の車はそのほとんどが樹脂製です。
樹脂製のヘッドライトは紫外線の影響や経年劣化により、かならず黄ばみやくすみが出てきます。
これらを放置していると、ヘッドライトの光量が低下してしまい、夜間の視認性が著しく悪くなってしまうので危険です。
ひどくなると、車検に通らない場合も出てくるので早めに対処するようにしましょう。

車のライトについて整備士まとめ

車にはさまざまなライトがあります。
取付や使用にはそれぞれに法令が絡んでいます。
しかし最近は、DIYなどで法令違反を犯したライト類のチューニングをしている車が増えています。
車のライトは自分自身が分かれば良い、見えれば良いというものではなく、他人から自車の動きを認識してもらうためにも、とても大切な役割を果たしています。
早めのライト点灯を心がけ、つけ忘れが心配なひとでオートライト装着車にお乗りの場合は「AUTO」にしておくようにしましょう。

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Supervised by 整備士 ヒロ

ヒロ 2級整備士

保有資格:2級整備士。国産ディーラー整備士、輸入車ディーラー整備士の経験がある、現役の整備士。 整備士経験は10年以上で過去にはエンジニアとして全国規模のサービス技術大会に出場。 車の整備に関する情報をtwitterで発信している。