自動車税を滞納したらどうなる?延滞金・差し押さえの可能性と対処法

延滞金や差し押さえの可能性も!自動車税を滞納した場合のペナルティと対処法

自動車税の支払い期限は531

自動車税(および軽自動車税)は、41日時点のクルマの所有者に課される税金です。翌年331日までの分を、原則は一括で払うこととされています。

納付書は5月上旬に届き、納付期限は一部自治体を除き基本的には531日です。(※青森県、秋田県は6月末日)

延滞すると起こるデメリット

この支払期限を過ぎても自動車税が未納の場合、以下のような不都合やペナルティがあります。

車検を受けられなくなる

車検を受けるには、自動車税の払い込みが完了したことを示す「自動車税納付証明書」が必要です。これがないと車検が受けられないため、クルマに乗ることができなくなります。

ちなみに車検を受けずに公道を走ると違反となり、6か月以下の懲役または30万円以下の罰金を課される可能性があるほか、交通違反点数が6点加算される可能性があります。(なお、違反点数6点は1発免許です。)

延滞金が発生する

支払い期限の翌日から実際に支払う日まで、以下の利率で延滞金が発生します(2024年の場合)。

期間 利率
納期限の翌日から1か月を経過する日までの期間 2.40%
納期限の翌日から1か月を経過した日以降の期間 8.70%

※延滞金の利率は年によって変わります。
※参考:国税庁「延滞税の割合」

延滞金の計算方法

例えば50日延滞した場合は、延滞金は以下のように計算します。

延滞金額=【納付書の税額×30日(最初の1か月分)×利率2.4%÷365日】+【納付書の税額×20日(50日-30日)×利率8.7%÷365日】

延滞金は1000円未満は切り捨て

ただし延滞金が1,000円未満は切り捨てとなります。

もともとの税額により変わりますが、現在の自動車税の最高税額である11万円の場合でも、50日延滞した場合の延滞金は741円なので、まだ切り捨て対象です。「督促状が来て未納だったことに気づいた!」という場合には、延滞金が発生しないうちに早急に納付しましょう。

財産を差し押さえられる

督促状が来ても自動車税を未納のまま放置し続けると、最終的には車両そのものや預貯金、給与などを差し押さえられる可能性があります。地方税法第331条第1項を見ると、以下のように記載されています。

「徴税吏員(市長から委任を受けた職員)は督促状を発した日から10日を経過した日までに完納しないときは財産を差し押さえなければならない」

必ずしも法文通りの差押処理がされるわけではありませんが、各自治体で実際に車両等が差押処分になるケースはあるようです。

2年以上の滞納で「嘱託保存」に
自動車税を2年以上滞納すると、「嘱託保存」といい車両が差押状態になります。自分で所有権を移す等の権利を行使できなくなり、クルマをずっと使わない状況であったとしても、廃車にもできません。

延滞した場合の流れ

延滞した場合の流れ

自動車税を滞納した場合、一般には以下のような流れで督促や差し押さえが行われることが多いです。

  1. 期限後20日前後に、未納を知らせる「督促状」が届く
  2. 差し押さえの可能性を伝える「催告書」が届く
  3. 最後予告となる「差し押さえ予告通知」が届く
  4. 差し押さえが実行される

ただしこれは自動車税を滞納し続け、また県税事務所や市町村の納税課にも何の連絡もしなかった場合です。まずは督促状が届いたタイミングですぐに支払えないという場合は、納税先にどのように対応するべきかを相談するようにしましょう。

滞納に気づいたら早急に対応を

自動車税の滞納に気づいたら、できるだけ早く納付するのが第一です。先述のように、滞納期間が短ければ、延滞金を支払わずに済ませることができます。

納付期限を過ぎた場合も、県税事務所(軽自動車の場合は市町村役場)や金融機関、郵便局ではそのまま自動車税と延滞金を納付できる場合が多いです。
※納付期限を過ぎた場合の支払場所や納税通知書の扱いは、自治体によって異なります。詳しくはお住まいの自治体に問い合わせてください。

納税できない場合も相談

「どうしても自動車税の支払いが難しい」という場合も、県税事務所や市町村の納税課に相談しましょう。災害や盗難、病気や負傷、事業の廃止や損失など「やむを得ない」と認められた場合には、1年以内の分割納付が認められることもあります。

自治体によっては支払い期限の延長など独自の措置をとっているところもあります。自動車税の場合は都道府県、軽自動車税の場合は市町村の管轄ですので、お住いの自治体のホームページなどを確認してみてください。

自動車税滞納に関する弁護士のコメント

公租公課についての処分は非常に厳格であることが一般的です。たかだか自動車税と思って支払いを怠っていれば、想定外の不利益を被ることもあり得ます。納税は全国民の義務であることから、課税当局も特別扱いはできません。必要な納税ができないようなことがないよう十分気をつけましょう。

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Supervised by norico編集長 村田創

norico編集長_村田創

中古車のガリバーに勤務して20年以上のベテランが車の知識をわかりやすく解説します。車のことは、多くのメーカーを横断して取り扱うガリバーにぜひ聞いてください。「車ってたのしい!」を感じてほしいと思っています!

Supervised by 弁護士 梅澤 康二

梅澤 康二

保有資格:弁護士。東京大学法学部卒業。アンダーソン・毛利・友常法律事務所入所後、2014年8月に弁護士法人プラム綜合法律事務所を設立。 15年以上弁護士として活躍。一般民事・交通事件・債務整理・相続問題に係る法律相談、刑事事件に係る法律相談に対応している。