車のエアコン使い方-夏場で効かないときの対策も解説

車のエアコン使い方-夏場で効かないときの対策も解説

暑い夏場にエアコンを効かせる方法

暑い夏場は、すこしでも早く快適な車内にしたいですが、高温の車内をすぐに冷やすのには時間がかかります。そこで、乗車時に効率的にエアコンを効かせる方法を3つ紹介します。

乗る前に車内の暑い空気を換気する

炎天下に駐車していた車内の温度は、50℃を超えることも珍しくないです。
モワッとした暑い空気を乗車前に換気することで、効率的に車の中を冷やすことができます。
換気の方法は、ドアを3〜5回あおぐようにして開閉します。
このとき空気の通り道を作るために、対角線上のドアの窓を全開にしておくのがポイントです。
空気を入れ替えることで、5〜8℃ほど車内温度が下がるというJAFの調査結果もあります。

最強冷&風量全開でエアコン作動

早くエアコンを効かせるには、最も低い温度設定で風量を全開させることです。
単純で意外と見落としがちなポイントですので、車に乗り込みエアコンをONにしたら設定を確認しましょう。

外気導入・内気循環の使い方

エアコンの外気導入と内気循環の説明

エアコンには「外気導入」と「内気循環」の設定があります。
エアコンを効率的に効かせたいときは、はじめの5分ほどだけ外気導入にして、暑くなった車内の空気を入れ替えてから、内気導入にするのがよいです。

車内が冷えてからも「外気導入」にしたままだと、熱いエンジンルーム付近の空気を取り込むことになります。そのため、すでに冷えた空気を車内で循環させる「内気循環」と比較してエアコンの効きが悪くなるので注意しましょう。
オートエアコン機能のついた車で、オートに設定していると、上記のような作動を自動でおこなってくれる車もあります。

エアコン以外の夏場を快適に過ごすおすすめ方法

エアコンの使用以外にも、夏場の車内で快適に過ごすための機能やアイテムがあるので、2つ紹介します。

ベンチレーション機能

もっとも効果的かつおすすめなのが、シートにベンチレーション機能を持たせることです。ベンチレーションとは、簡単に言うと涼しくなるシートで、シートヒーターの真逆の機能と思っていただけると分かりやすいです。
一部の高級車などに純正採用されることが増えてきていますが、シートヒーターと比べるとまだまだ一般的ではありません。


そこで、カー用品店やネット通販では、後付けできるベンチレーション機能付きのシートカバーやクッションを販売しています。
風を送るタイプと、吸い出すタイプの2つがあります。
簡単に設置できるものもあれば、設置に時間を要するものもあります。
このあたりはお好みで選ぶのが良いでしょう。
ベンチレーションは、慣れると手放せないひとが続出の魅力的な機能(アイテム)です。

扇風機

車内に扇風機を設置することも、夏の車の中で快適に過ごすための有効な手段です。
ヘッドレストに取り付けるタイプや、クリップでお好みの位置に取り付けるものがあり、電源はアクセサリーソケットから取るものが多いです。
そのため、簡単に設置できる暑さ対策アイテムです。

また、扇風機はUSBで充電できるハンディタイプで代用するのもよいです。
本来カー用品ではないですが、電源を取るために配線が邪魔になることもありません。
ドリンクホルダーなどに挿して使えば、手が塞がることもないです。

Q.エアコンをつけっぱなしだとバッテリーは上がる?

A.エアコンの使用がバッテリー上がりの直接的な原因ではありません。車の発電機能の不具合がバッテリー上がりの原因と考えられます。

エアコンがつけっぱなしでバッテリーが上がるのは、イグニッションONでエンジンが掛かっていない状態で使い続けたときです。
しかし、エンジンが掛かっていないとエアコンのコンプレッサーが作動しないので、そもそも冷えた風が出てきません。
よって、この状況でエアコンをつけっぱなしにすることは、操作ミスや確認ミスをしたうえで、車内にいない状況でもない限りありません。

Q.車のエアコンをつけると燃費は悪くなる?

A.エアコン未使用時と比べると、おおよそ10%ほど燃費が悪化します。
車のエアコンをつけると、冷房を効かせるためにA/CがONのときは、エアコンコンプレッサーが作動します。
エアコンコンプレッサーは、駆動ベルトを通してエンジンの動力で作動します。
よって、エアコンコンプレッサーが作動するときは、その分だけエンジンにとって負担が増えるので燃費も悪くなります。


ハイブリッド車は電動コンプレッサーが採用され、直接的にエンジンの動力で駆動していませんが、電力を消費するという意味でエアコン未使用時よりも電力を必要とするので、燃費が悪化する点は同じです。

エアコンが効かないときの原因と対策

エアコンが効かない原因はどのようことが考えられるのでしょうか。
まずはA/CボタンがONになっているか確認しましょう。
その上で効かない原因について整備士の目線で解説します。

嫌な臭いもする場合はフィルターの交換

ほとんどの車には外気からのゴミやチリの侵入を防ぐために、エアコンフィルターが装着されています。
エアコンフィルターは、おおむね1年ごとの交換が推奨されています。
交換を怠ると、エアコン使用時の異臭の原因や詰まりによる風量の低下につながることもあります。


また、車種ごとにフィルターの形状や機能が異なり、交換の難易度も5分もあれば交換できるものから、工具が必要で整備士に任せなければ交換が難しいものまで多種多様です。

軽自動車であれば工賃も込みで5,000円ほどあれば交換できる場合もありますが、車種によっては1万円以上の費用がかかる場合もあります。

もちろん、セルフで交換する場合は、エアコンフィルター代のみの費用です。
シンプルな集塵フィルターであれば、数百円〜1,000円前後、花粉やPM2.5の集塵に対応していたり抗ウィルス、脱臭機能を備えた高性能なフィルターになると、5,000円前後で販売されているものもあります。

送風されない場合に考えられる原因

エアコンの使用時に送風されない(風が出ない)場合には以下の部品の不具合が原因と考えられます。

  • ブロワファンモーター
  • ブロワファンリレー
  • エアコンのコントロールユニット(オートエアコン付きの場合)
  • ファンレジスタ(マニュアルエアコンの場合)
  • エバポレータ温度センサ

これらの不具合箇所の特定は難しく、電気配線図や診断機、テスターが必要になってきます。
また、これらの不具合が起きないためにユーザー自身で対策できることはありません。
送風されない場合は、車屋さんで点検・診断してもらうようにしましょう。

冷房が全く効かないときの原因

風は出るのに冷たい風が出ない、風がぬるい場合に考えられる原因には以下のようなものがあります。

  • エアコンコンプレッサーの不良
  • エアコンリレーの不良
  • クーリングファンの不良
  • エアコンガス漏れ
  • エアコンガス過多
  • 圧力スイッチ(センサー)の不良
  • コントロールユニットの不具合
  • 外気温センサや内気温センサの不良
  • 日射センサの不良
  • エバポレータの温度センサ
  • コンデンサの詰まり
  • エキスパンションバルブの不良

このように冷房がまったく効かない原因は非常に多岐にわたります。
注意点は、「エアコンが効かない=ガスが足りない」と決めつけで判断して、十分なガス量が入っているにも関わらず、ガスを過充填してしまうことです。
車屋さんの中にも知識のないスタッフが、誤診断によりこうした対応をする場合があります。


そのため、ユーザー自身で不具合に対して対策できることはありませんが、冷房が効かないときには、信頼のできるプロの自動車整備士や電装屋さんに診断・点検をお願いすることを強くおすすめします。

エアコンの交換が必要なら買い替えも検討の時期かも

夏場のエアコンが必須の時期、ただエアコンをつける以外にも、すこしでも快適に過ごすための方法やアイデアはあります。
効率よくエアコンを効かせるためにも、この記事で紹介したことをぜひ、参考にしたり実践してみてください。
また、エアコンの効きが悪くなっている場合、初期不良であるパターン以外は、各部品の劣化であることが多いです。
エアコンの修理は部品代、工賃共に高額になる傾向にあります。
新車から年数が経過していたり走行距離が延びている場合は、修理を実施してまだまだ長く乗るのか、乗り換えを考えるのか、エアコンの不具合をきっかけ検討するよい機会かもしれません。

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noricoでは車に関するメンテナンス記事を発信しています。メンテナンスで交換が必要な部品が多くお困りの方は以下の記事も参考にしてみてください。

Supervised by 整備士 ヒロ

ヒロ 2級整備士

保有資格:2級整備士。国産ディーラー整備士、輸入車ディーラー整備士の経験がある、現役の整備士。 整備士経験は10年以上で過去にはエンジニアとして全国規模のサービス技術大会に出場。 車の整備に関する情報をtwitterで発信している。