フリードは2023年にフルモデルチェンジが予想されている。コンパクトミニバンとして比較されるシエンタの新型が出ても、モデル末期ながら売れている人気モデルだ。
今回はフリードの値引きやお勧めグレードなどを解説する。「ミニバンでも大きすぎないコンパクトミニバンの購入を検討している」という人はぜひ参考にして欲しい。
- モデル末期なのに、販売絶好調のフリード
- ホンダ フリードの歴史・概要
- 多くの部分で古さを感じさせる
- フリードとシエンタどちらを買うかは試乗して決めよう
- ガソリン価格高騰、リセールバリューを加味するとフリードはハイブリッドがお勧め
- お勧めグレードはGかクロスター
- ホンダ フリードの値引き、中古車と新車のどちらがおすすめ?
- 新車値引きが少ないのであれば中古車がお勧め
- 性能面では、ライバルのシエンタが圧倒! フリードは3代目の登場を待て!
- ホンダ フリード価格
- ホンダ フリード スペック
モデル末期なのに、販売絶好調のフリード
ホンダ フリードが、売れている。
2代目フリードは、2016年にデビューした。2023年1月現在、すでにモデル末期でいつフルモデルチェンジしてもおかしくない。通常なら、販売台数は大きく落ち込んでいるはずだ。
しかし、2022年の登録車新車販売台数ランキングでは、驚きの7位を記録。ホンダ登録車の中で、最も売れているモデルとなった。ライバル車であるシエンタは2022年8月にフルモデルチェンジしたが、フリードのほうが売れている状態だ。さらにヴォクシーなどのMクラスミニバンも抑え、2022年ミニバン販売台数ナンバー1にも輝いた。
フリードが売れている理由は納期が一因
なぜ、モデル末期のフリードが売れているのか?その大きな理由のひとつが納期だ。
フリードの納期は、2022年12月末時点で一部タイプ・カラーであれば1~2ヵ月とのことだ。コロナ禍における半導体不足や部品不足の影響をあまり受けていない。
対するシエンタはコロナ禍の影響をダイレクトに受けており、納期は「要販売店問い合わせ」という不透明な状態だ。しかも、一部グレードやオプションによっては、2023年4月以降の生産だという。
納期が長期化すると、下取車の車検時期の関係もあり、1~2ヵ月で納車可能となるフリードを選択する人も増えるだろう。モデル末期なのに絶好調というのも納得できる。
ホンダ フリードの歴史・概要
初代ホンダ フリードは2008年に登場した。コンパクトカーであるフィットのプラットフォーム(車台)を使って開発されている。このプラットフォームは、ホンダ独自の「センタータンクレイアウト」という技術で開発され、優れたスペース効率がメリットだ。全長4,215mmというコンパクトなボディの中、3列シートが使えるモデルとして大ヒットした。
尚フリードには、3列目シートを無くし5人乗りの荷室重視のモデルとしてフリード スパイクも投入されている。
2011年には、待望のハイブリッド車が投入された。ハイブリッドシステムは、IMA(インテグレーテッド・モーター・アシスト)という1モーター式のシンプルなシステムを搭載した。
2代目フリードは2016年に登場した。全長は4,265mmと少し大きくなった。プラットフォームも刷新され、初代フリードを大幅に上回る室内空間を手に入れた。
ハイブリッドシステムは、当時では最新のSPORT HYBRID i-DCDを搭載した。大幅に燃費を向上させたものの、ライバル車であるシエンタの燃費を超えることはできなかった。
2019年にはマイナーチェンジを実施した。内外装のデザインが刷新され、SUVルックのクロスターが追加された。また、歩行者検知式自動ブレーキを含む予防安全装備パッケージ「ホンダセンシング」を全車に標準装備した。
多くの部分で古さを感じさせる
ホンダ フリードの性能(燃費、ボディサイズなど)
2代目ホンダ フリードは、3代目フィットをベースとしたコンパクトミニバンだ。全長4,265mmという小さなボディでありながら、両側スライドドアと3列シートを搭載した、スペース効率に優れたモデルだ。全幅も1,695mmと細く、日本の狭い道や駐車場でも使いやすい。
2代目フリードが登場したのは2016年のことだ。すでにモデル末期なので、ライバル車であるトヨタ シエンタと比べると、多くの部分で古さを感じさせる。
燃費
フリードのパワーユニットには、1.5Lのガソリンと1.5Lハイブリッドが用意されている。
以下、シエンタとの燃費比較だ。(すべてFF、WLTCモード)
|
1.5Lガソリン |
1.5Lハイブリッド |
フリード |
17.0km/L |
20.9km/L |
シエンタ |
18.3~18.4km/L |
28.2~28.8km/L |
1.5Lハイブリッド車の燃費は、シエンタの圧勝だ。大差の要因は、フリードのハイブリッドシステムが古い点にある。フリードのSPORT HYBRID i-DCDは、ダイレクト感ある走行フィールは良いものの、トヨタ最新のハイブリッドシステムには敵わない。ホンダも既にSPORT HYBRID i-DCDは使っておらず、シリーズハイブリッドシステムをベースとしたe:HEVに移行している。
予防安全装備パッケージ
「ホンダセンシング」の機能も旧世代だ。フリードの自動ブレーキは歩行者と車両が対象だが、ライバル車のシエンタでは昼夜の歩行者と自転車、昼間の自動二輪車も検知する。
フリードの運転支援機能であるアダプティブクルーズコントロールも、渋滞時のストップ&ゴーに対応していない。設計が古いので仕方がないのだが、その差はかなり大きい。
フリードとシエンタどちらを買うかは試乗して決めよう
室内の広さや使い勝手は、シエンタと同等レベルにある。しかし、静粛性や乗り心地、操縦安定性などの走行性能面でも、やはり設計の古さは隠せない。最新のシエンタと比べると大きな差が付いた。
この設計の古さによる性能差は、仕方のないレベルだ。実際に購入する場合、フリードとシエンタをしっかり試乗することをお勧めする。その上で、こうした性能差を受け入れられるかどうかが重要だ。
ガソリン価格高騰、リセールバリューを加味するとフリードはハイブリッドがお勧め
ホンダ フリードのグレード体系は以下の3タイプだ。
- G
- 特別仕様車ブラックスタイル
- クロスター
すべてのグレードに1.5Lガソリン/1.5Lハイブリッド、FF/4WDの設定がある。
現在のガソリン価格高騰やリセールバリューを含めて考えると、ハイブリッド車がお勧めだ。ガソリン車より約36万円(G、FF比較)ほど高価になるものの、燃費や走りの質も含め満足度は高くなる。
「約36万円の価格差は大きく、とにかく安価に済ませたい」というのであればガソリン車も良いだろう。約36万円の価格差は、燃費で元を取ることが非常に難しいからだ。
お勧めグレードはGかクロスター
ガソリン車かハイブリッド車かを検討した上で、次はグレードの選択だ。
グレード選択でまず外したいのが、特別仕様車ブラックスタイルだ。サイドエアバッグやカーテンエアバッグが装備されていないのは、安全面でお勧めできない。最新の軽自動車でも、サイド&カーテンエアバッグが標準装備化されているくらいだ。しかも、ブラックスタイルでは、オプション選択もできない。
残る選択肢は、GかSUVテイストのクロスターとなる。Gを選択した場合、サイド&カーテンエアバッグをオプション選択する必要がある。クロスターは標準装備だ。
Gとクロスターの価格差は約27万円だ。Gに必須のサイド&カーテンエアバッグやコンビシートや15インチアルミホイールなどが装備されるSパッケージを選択すると、クロスターとの価格差はわずかになる。
こうなると、どちらもほぼ同じだ。予算を抑えたいのなら、GでSパッケージを選択しないという方法がよいだろう。また、クロスターは6人乗りのみ。7人乗りが必須ということであれば、Gしかない。予算に余裕があるのであれば、やや装備がよいクロスターがお勧めだ。
ホンダ フリードの値引き、中古車と新車のどちらがおすすめ?
短期納期を武器に渋めな値引き
ホンダ フリードはモデル末期なので、コロナ禍でなければ、大幅値引きが期待できた。しかしフリードはコロナ禍における半導体不足や部品不足の影響が小さい。2022年12月末現在で、納期が1~2ヵ月とかなり早い。この納期の早さが、販売好調の要因だ。
「納期優先」を逆手に取り、モデル末期ながら値引きも渋めとなっている。本来なら、30万円以上の値引きが当たり前になっていてもおかしくない状況だが、現在は多くが20万円以下に抑えられているようだ。
現状、圧倒的に売り手が有利といえる。大幅値引きを引き出すのは、かなり難しいだろう。しかし、何もしなければ10万円以下程度の値引きになるので、しっかりとライバル車であるシエンタと競合させたい。
ポイントは、商談時に納期よりも予算優先と伝えることだ。場合によっては、納車まで1年以上でも、フリードのフルモデルチェンジを待ってもいいと話し、納期優先ではないことをアピールしたい。
その上で、走行性能や燃費でシエンタと大差があることなどをアピールしながら、ジックリと時間をかけて商談したい。営業マンにとって、納期が短いフリードであれば、営業成績も読みやすい。タイミングが合えば、値引きしてでも受注したいと考えるはずだ。
とにかく、納期を強みにする営業マンには「納期だけなら中古車を買う」とするのもよいだろう。
新車値引きが少ないのであれば中古車がお勧め
新車納期の長期化の影響で、高年式の中古車価格が軒並み上がっている。モデル末期のフリードも同様だ。フリードハイブリッドで、マイナーチェンジ後である2020年式の中古車相場は、おおよそ210~240万円だ。新車価格が約256~302万円だったので、新車価格の79~82%と高値が付いている。3年落ちで、新車より少し安価というレベルだ。
モデル末期だというのに新車に買い得感がなければ(値引きが10万円以下など)、高値とはいえ安価な中古車で十分ともいえる。
フリードの場合、2019年のマイナーチェンジ以降が狙い目だ。歩行者検知式自動ブレーキを含む予防安全装備パッケージ「ホンダセンシング」が全車標準装備となった後のモデルである。
マイナーチェンジ前でホンダセンシングが搭載されていない中古車でも、それほど中古車価格は安価になっていない。多少無理してでもマイナーチェンジ後がお勧めだ。
性能面では、ライバルのシエンタが圧倒! フリードは3代目の登場を待て!
ホンダ フリードの競合車は?
コンパクトミニバンは車種が少なく、ライバル車はトヨタ シエンタのみだ。
シエンタは、2022年8月にフルモデルチェンジしたばかり。モデル末期のフリードと性能を比較すると大差が付く。コンパクトミニバンでのお勧めはシエンタだ。
降雪地域で、ガソリン車の4WDであることが最優先事項となると、選択肢はフリードしかない。フリードのガソリン車には4WDがあり、シエンタには4WDがないからだ。
ホンダファンで、どうしてもフリードというのであれば、3代目新型フリードが登場するのを待つべきだ。3代目新型フリードのハイブリッドシステムは、最新のe:HEVに変更され燃費値は大幅にアップするだろう。走行性能や静粛性、乗り心地も向上しシエンタと同等レベル以上になることは確実だ。今、あえて値引きの渋いフリードを買う理由があまり見当たらないのだ。
中古車も同様だ。3代目フリードが登場すれば、現行の2代目フリードの中古車価格はグッと下がる。そうなれば、買い得感が出てくるのでコスパもアップする。
ホンダ フリード価格
1.5Lハイブリッド車
|
FF/6人乗り |
FF/7人乗り |
4WD/6人乗り |
G |
2,633,400円 |
2,655,400円 |
2,798,400円 |
G特別仕様車ブラックスタイル |
2,699,400円 |
2,721,400円 |
2,864,400円 |
クロスター |
2,902,900円 |
- |
3,067,900円 |
1.5Lガソリン車
|
FF/6人乗り |
FF/7人乗り |
4WD/6人乗り |
4WD/7人乗り |
G |
2,275,900円 |
2,297,900円 |
2,440,900円 |
2,462,900円 |
G特別仕様車ブラックスタイル |
2,413,400円 |
2,435,400円 |
2,578,400円 |
2,600,400円 |
クロスター |
2,572,900円 |
- |
2,737,900円 |
- |
ホンダ フリード スペック
代表グレード |
フリードハイブリッドG 7人乗り FF |
ボディサイズ |
全長4,265mm×全幅1,695mm×全高1,710mm |
ホイールベース |
2,740mm |
最低地上高 |
135mm |
最小回転半径 |
5.2m |
車両重量 |
1,430kg |
総排気量 |
1,496cc |
エンジン種類 |
L15B型 直 DOHC |
システム出力 |
101kw(137ps) |
ミッション |
7速DCT |
WLTCモード燃費 |
20.8km/l |
バッテリー 種類 |
リチウムイオン |
サスペンション前/後 |
マクファーソン式/車軸式 |
タイヤサイズ |
185/65R15 |
フリードのカタログ情報

- 現行モデル
- 令和6年6月(2024年6月)〜現在
- 新車時価格
- 250.8万円〜343.8万円