アクア(MX系)vsカムリ(70系)徹底比較!トヨタの高級セダンが中古で買い得感アップ

アクア(MX系)vsカムリ(70系)徹底比較!トヨタの高級セダンが中古で買い得感アップ

10代目カムリ(70系)は、北米を中心としたグローバル市場においてトヨタの基幹車種と言える車種である。

10代目カムリは2017年にデビューし、当時は米国で乗用車販売台数No.1を15年連続で獲得。100カ国以上で販売され、累計販売台数は1,800万台を超えるグローバルベストセラーカーとなった。

日本国内では2.5Lハイブリッド車のみが発売されていたが、2023年に販売終了。後継となる11代目カムリは、セダン人気の低迷もあり、日本市場への導入は見送られている。

 

一方、トヨタアクアは言わずと知れた人気コンパクトハイブリッドカーだ。現行型となる2代目アクアは2021年7月に登場し、2025年1~6月の登録車販売台数ランキングでは、9位9位にランクインするなど、根強い人気を誇る。1.5Lハイブリッドによる超低燃費性能が大きな魅力である。

 

そんななか、ミドルクラスの高級ハイブリッドセダンであるカムリ(70系)は、セダン人気の低下により中古車価格が下落。今では、2クラス以上格下となるアクアの新車価格と同等レベルで購入できるようになってきた。

そこで今回は、新車のMX系アクアと中古車70系カムリを徹底比較した。

アクアは改良が施され、予防安全性能が充実

新車2代目トヨタ アクア(MX系)の特徴

2代目アクア(MX系)の全景の画像

※上図:2代目アクア(MX系)の全景

2021年7月に登場した2代目アクアは、全長4,050mm×全幅1,695mm×全高1,485mmと、初代同様に5ナンバーサイズを維持しているのが特徴だ。ボディ骨格にはヤリスと共通の「TNGA GA-Bプラットフォーム」を採用し、運動性能を飛躍的に向上させた。ホイールベースは先代比で50mm延長され、2,600mmとなり、リアシートの居住性も改善されている。

 

パワートレインは全車ハイブリッド仕様で、最高出力91ps・最大トルク120Nmを発生する1.5L直列3気筒エンジンとモーターを組み合わせたシステムを搭載。システム最高出力は116psとなる。バッテリーには、世界初採用となる「バイポーラ型ニッケル水素電池」を用い、モーターによる走行領域を拡大。燃費性能はWLTCモードで29.3~34.6km/Lを実現している。

 

駆動方式は、先代の2WD(FF)のみから進化し、2代目では「E-Four」と呼ばれる電気式4WDを新たに設定。

 

グレード構成は、デビュー当初、価格の高い順にZ、G、X、Bの4グレード展開で、すべてのグレードで2WD/4WDが選択可能だった。2022年の一部改良では、専用エアロパーツなどを装着し、走行性能を高めた「GR SPORT(2WD)」を追加。さらに、2024年8月の一部改良でエントリーグレード「B」は廃止された。

 

全グレードに最新の予防安全パッケージ「Toyota Safety Sense」を標準装備。交差点での右左折時の事故にも対応するプリクラッシュセーフティをはじめ、高速走行時の負担を軽減する全車速追従型レーダークルーズコントロール、操舵支援機能のレーントレーシングアシストなど、クラストップレベルの運転支援機能を備えている。

 

また全グレードに、オプションで駐車操作を車両が自動でアシストする「トヨタ チームメイト アドバンス パーク」、および接触回避をサポートする「パーキングサポートブレーキ」を設定。

 

2022年の改良では、ボディカラーの追加、新色インテリア(Zグレード専用)の採用、さらに自動防眩インナーミラー(ドライブレコーダー付)の全車オプション化などの装備充実が図られた。続く2024年の改良では、上質感を高めた特別仕様車「Z Raffine(ラフィーネ)」を設定。Zグレードには以下を標準装備した。

  • ブラインドスポットモニター(停車時警報機能付)
  • パーキングサポートブレーキ(前方静止物・後方接近車両)
  • パノラミックビューモニター(シースルービュー&ムービングビュー付)

Xグレードにはパーキングサポートブレーキ(前後方静止物)が標準化されたほか、自動防眩インナーミラー(ドライブレコーダー付)はZ、G、GR SPORTにも標準装備され、安全装備の充実が図られている。

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カムリは低燃費で広い室内、上級セダンらしい快適な乗り心地

10代目トヨタ カムリ(70系)カムリの特徴

10代目カムリ(70系)の全景の画像

※上図:10代目カムリ(70系)の全景

2017年7月に登場した10代目カムリは、トヨタの「TNGA」に基づいてプラットフォームやパワートレイン、電子系統まで全てをゼロから開発。これにより、エモーショナルで美しいデザイン、意のままに操れる走行性能、上質な乗り心地を実現した。

また、運転しやすさを追求したインターフェースや質感の高い内装、さらに最新の運転支援システムを搭載し、新世代のミッドサイズセダンとしての完成度を高めている。

 

搭載パワートレインは、2.5L直列4気筒のダイナミックフォースエンジンとモーターを組み合わせたハイブリッドシステムのみ。エンジンは最大熱効率41%を達成し、WLTCモード燃費は21.6~22.7km/Lと、国産ミドルクラスセダンとしてはトップクラスの燃費性能を誇る。

 

駆動方式は、登場当初は2WD(FF)のみだったが、2019年の一部改良で全グレードに電気式4WD「E-Four」搭載車が追加され、降雪地域のニーズにも対応可能となった。

 

グレード構成は、デビュー当初はX、G、G“レザーパッケージ”の3タイプ展開。その後、2018年の一部改良で、エッジの利いたスポーティなデザインと上質感を両立させた「WS」を新たに追加。さらに本革シートを標準装備した「WS“レザーパッケージ”」も用意された。

 

安全装備については、全車に衝突回避支援パッケージ「Toyota Safety Sense P」を標準装備。また、トヨタブランドとして初めて、後退時に左右後方から接近する車両を検知し自動ブレーキ制御を行う「リアクロストラフィックオートブレーキ」を採用した。

 

2019年の改良では、ブラインドスポットモニター(BSM)や、リアクロストラフィックオートブレーキ[パーキングサポートブレーキ(後方接近車両)]を標準装備し、安全性能を強化。さらに、ディスプレイオーディオ(DA)および車載通信機(DCM)も標準化され、スマートフォンとの機能連携やコネクティッドサービスの利用が可能となった。

 

2020年の改良では、アクセルとブレーキの踏み間違いによる衝突被害を軽減する「インテリジェントクリアランスソナー[パーキングサポートブレーキ(静止物)]」をXグレードに標準装備し、全車標準化。また、BSMやリアクロストラフィックオートブレーキの標準装備範囲をWSおよびGグレードにも拡大した。

 

2021年の一部改良では、先進機能を強化した最新の「Toyota Safety Sense」を搭載。運転支援機能をさらに充実させ、安全性と安心感を高めている。

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70系カムリの燃費は驚異の27.1km/L

1.燃費性能

新車アクア(MX系)の評価は4.0

中古車カムリ(70系)の評価は4.5

 

両車の燃費(WLTCモード)は下記の通り。

 

アクア(MX系)1.5L直3DOHCエンジンハイブリッド

  • 2WD:3~34.6km/L
  • 4WD:0km/L       

 

カムリ(70系)2.5Lエンジンハイブリッド

  • 2WD:3~27.1km/L
  • 4WD:6km/L   

搭載パワートレインは、アクアが1.5L直列3気筒DOHCエンジンにモーターを組み合わせたハイブリッドの1種類。一方のカムリも、2.5L直列4気筒DOHCエンジンを搭載するハイブリッドのみの設定で、両モデルともハイブリッド専用車となっている。

 

アクアに対して、カムリはエンジン排気量がちょうど1.0L大きく、ボディサイズも2クラス以上大きい。

それでも、燃費性能はアクアがWLTCモードで29.3~34.6km/Lなのに対し、カムリは21.6~27.1km/Lと健闘。排気量・車格・車重を考えれば、燃費値でアクアに劣るのは当然だが、それでもカムリの燃費性能は国産ミドルクラスセダンとしてはトップレベルの数値といえる。

 

とにかく燃費重視ならアクアが有利だが、広い室内空間や快適性も重視するなら、カムリを選ぶ価値は十分にある。

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ボディサイズが許容できるなら、カムリのコスパは高い!

2.価格比較

新車アクア(MX系)の評価は3.5

中古車カムリ(70系)の評価は3.5

※中古車相場は、2025年7月調べ

 

アクア(MX系)とカムリ(70系)量販グレードの新車価格と中古車相場を比較したのが下記の表だ。

 

  • アクアZ 2WD新車価格:256万5000円
  • カムリ5WS 2WD 2020年式 中古車相場:約230万円~290万円
  • カムリ5WS 2WD 2020年式 当時の新車価格比:約57~71%

 

アクアは2021年に登場したモデルで、運転支援機能「Toyota Safety Sense」や便利なアクセサリーコンセントを全車標準装備している点が魅力だ。ただし、運転席のパワーシートや前席のシートヒーターなどの快適装備はパッケージオプション扱いとなっており、この点ではカムリが優位といえる。

 

売れ筋グレードの「Z」では、10.5インチのディスプレイオーディオを標準装備。インフォテインメント面ではアクアにもアドバンテージがある。

 

一方で、走行性能に影響するリアサスペンションの構造を見ると、アクアの2WD車はトーションビーム式、4WD車はダブルウィッシュボーン式。一方、カムリは全車にダブルウィッシュボーン式を採用しており、2クラス以上上位モデルであることも踏まえると、乗り心地の上質さではカムリが一歩リードしている。

 

カムリは2017〜2023年に販売されたモデルで、販売終了から約1年半が経過。徐々に中古車相場は下落傾向にあるが、注目すべきはそのリセールバリューだ。他メーカーのセダンが大幅に値下がりする中、カムリはセダン人気が低迷しているにもかかわらず、高値を維持している。これは、中古車市場での流通台数が少ないことや、優れた燃費性能、そしてセダンの中では依然として高い人気を誇っていることが理由と考えられる。

 

今回ピックアップしたWSグレード(2020年式)は、運転席8WAYパワーシートを標準装備。さらに、「Toyota Safety Sense」に加えて、インテリジェントクリアランスソナー、ブラインドスポットモニター、リアクロストラフィックオートブレーキといった安全装備も充実しており、非常に魅力的な仕様となっている。

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マイナーチェンジ後のアクアの値引きは渋め傾向

3.購入時の値引き術

新車アクア(MX系)の評価は3.5

中古車カムリ(70系)の評価は2.5

 

アクアは、マイナーチェンジ前はやや値引きが拡大傾向にあったが、マイナーチェンジ直後は一旦「値引きゼロ」に戻る可能性が高い。ただし、マイナーチェンジから半年も経てば、徐々に値引き幅が広がっていくと予想される。

 

商談時には、日産 ノートやオーラ、ホンダ フィットなどのライバル車と競合させることで、効果的に値引きを引き出すのがポイント。とくにノート系やフィットはモデル後期に差しかかっており、値引き額が大きくなってきているため、アクアでも同等レベルの値引きを要求しつつ、販売店側の反応を探るとよいだろう。

 

一方、カムリは中古車での購入となるため、基本的には値引きゼロと考えるのが無難。加えて、中古車市場での流通台数が少ないことから、販売店側が強気な価格設定をするケースも少なくない。

 

そのため、購入を急いでいない姿勢を見せながら、コーティングなどのオプション用品のサービス提供を交渉材料にするのも、有効な戦術といえる。

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デザインは親しみやすいアクア、スポーティなカムリ

4.デザイン比較

新車アクア(MX系)の評価は4.0

中古車カムリ(70系)の評価は4.0

 

多くの人の好まれるフレンドリーなデザインを採用したアクア

2代目アクア(MX系)の後景の画像

※上図:2代目アクア(MX系)の後景

アクアのデザインキーワードは「Harmo-tech(ハーモテック)」。これは「知性・感性を刺激する、人に寄り添う先進性」を意味し、そのコンセプトのもとに「上質」「シンプル」「クラスレス」をテーマとしたデザインが採用されている。

 

キャビンは前後に伸びやかなモノフォルムシルエットとし、左右に張り出したリアフェンダーと組み合わせることで、アクアらしいスマートでエモーショナルな印象を演出している。

2代目アクア(MX系)のフロントフェイスの画像

※上図:2代目アクア(MX系)のフロントフェイス

フロントマスクは、シャープなヘッドランプシグネチャーにより精悍さを表現。さらに、グリルガーニッシュとグリルモールによる立体的なフロントグリルで、親しみやすさも感じさせるデザインとなっている。

2代目アクア(MX系)のリヤエンドの画像

※上図:2代目アクア(MX系)のリヤエンド

スポーティな「GR SPORT」グレードでは、専用フロントバンパーとラジエターグリルを装備。フロントバンパーは、タイヤ周辺の空気を整流して後方へ導くことで空気抵抗を低減。さらに、バンパーサイドまで回り込むロア加飾バーと「ファンクショナルマトリックスグリル」を融合させることで、機能性と上質感を両立している。

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低重心さを強調したスポーティなデザインで購入層拡大を狙ったカムリ

10代目カムリ(70系)の後景の画像

※上図:10代目カムリ(70系)の後景

カムリのデザインは「TNGA」に基づき、エンジンや乗員のレイアウトを低く設定することで、低重心でエモーショナルかつ美しいシルエットを実現している。

10代目カムリ(70系)のフロントフェイスの画像

※上図:10代目カムリ(70系)のフロントフェイス

フロントマスクには、トヨタ独自のキーンルックを進化させたデザインを採用。スリムなアッパーグリルと、大胆かつ立体的に構えたロアグリルとのコントラストにより、低重心かつワイドなスタンスを強調している。

10代目カムリ(70系)のリヤエンドの画像

※上図:10代目カムリ(70系)のリヤエンド

また、サイドウィンドウをコンパクトな形状とすることで、スポーティな印象が際立ち、全体的なスタイリングもより若々しい印象に仕上がっているのが特徴だ。

 

なお、日本のユーザーから見るとやや奇抜に感じられる部分もあるが、これはカムリが北米市場を主戦場とするグローバルモデルであるため。北米のユーザーが好む、ダイナミックで存在感のあるデザインが意識されているといえる。

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ボディサイズの差は歴然! 室内空間はカムリの圧勝

5.室内空間と使い勝手

新車アクア(MX系)の評価は3.5

中古車カムリ(70系)の評価は4.5

 

アクアとカムリのボディサイズ・室内サイズ・荷室容量を比較した。

 

アクア

ボディサイズ

全長4,050〜4,095mm × 全幅1,695mm × 全高1,485〜1,505mm

ホイールベース

2,600mm

室内サイズ

室内長1,830mm × 室内幅1,425mm × 室内高1,190mm

荷室容量(5人乗車時)

205〜291L

 

カムリ

ボディサイズ

全長4,885〜4,910mm × 全幅1,840mm × 全高1,445〜1,455mm

ホイールベース

2,825mm

室内サイズ

室内長2,010mm × 室内幅1,535mm × 室内高1,185mm

荷室容量(5人乗車時)

524L

2代目アクア(MX系)の内装:運転席の画像

※上図:2代目アクア(MX系)の運転席

2代目アクア(MX系)の内装:後席の画像

※上図:2代目アクア(MX系)の後席

アクアとカムリのスペック差は、まさに一目瞭然だ。全長は約800mm、全幅は145mmもカムリの方が大きく、ボディサイズの違いが明確に表れている。これは、カムリの主戦場が北米市場であることも大きく影響しており、このクラスのセダンとしても、カムリはかなり大柄な部類に入る。

10代目カムリ(70系)の内装:運転席の画像

※上図:10代目カムリ(70系)の運転席

10代目カムリ(70系)の内装:後席の画像

※上図:10代目カムリ(70系)の後席

そのため、ボディサイズの差はそのまま室内空間やラゲッジルームの広さに直結している。カタログ数値上では室内長の差が比較的小さく見えるが、これはアクアが5ドアハッチバック、カムリがトランクが独立した4ドアセダンというボディ形状の違いによるもの。実際には、特にリアシートのニースペース(膝まわりの余裕)においてカムリの方が圧倒的に優れており、後席に人を乗せる機会が多いのであれば、カムリを選んだ方が満足度は高いだろう。

2代目アクア(MX系)の荷室の画像

※上図:2代目アクア(MX系)の荷室

10代目カムリ(70系)の荷室の画像

※上図:10代目カムリ(70系)の荷室

ラゲッジ容量を比較すると、アクアの最大291Lに対し、カムリは524L。実に233Lもの差がある。アクアはリアシートを倒すことで多彩なシートアレンジが可能だが、容量という面ではカムリ(AX70系)に軍配が上がる。

 

一方で、取り回しの良さを左右する最小回転半径は、アクアが5.2〜5.3mに対して、カムリは5.7〜5.9mとかなり大きめ。都市部の狭い路地や駐車場では、カムリは取り回しにやや苦労するシーンも出てくるだろう。

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2021年1月の一部改良以降のカムリなら、最新アクアと互角の予防安全装備

6.安全装備&運転支援機能の比較

新車アクア(MX系)の評価は4.5

中古車カムリ(70系)の評価は4.0

※上図:2代目アクア(MX系)のインパネデザイン

アクアは2021年に登場した比較的新しいモデルということもあり、運転支援機能を含む予防安全装備の充実度は、国産コンパクトカーの中でもトップレベルを誇る。

 

標準装備される最新の「Toyota Safety Sense」には、以下を含む5つの先進安全機能がパッケージ化されている。

  • プリクラッシュセーフティ(交差点での右左折時の事故にも対応)
  • 全車速追従型レーダークルーズコントロール(高速道路での快適な追従走行を支援)
  • レーントレーシングアシスト(車線の中央をキープするよう操舵支援を行う)
  • プラスサポート(ペダルの踏み間違いによる急加速を抑制)

2代目アクア(MX系)のメーターの画像

※上図:2代目アクア(MX系)のメーター

加えて、トヨタのコンパクトカーとしては初採用となる技術も多数盛り込まれている。

  • トヨタチームメイト アドバンストパーク(駐車時のすべての操作(ハンドル・ブレーキ・アクセル・シフトチェンジ)を車両が自動でアシスト)
  • パーキングサポートブレーキ(前後に加えて側方の静止物も検知対象)

運転時から駐車時まで幅広くドライバーをサポートしてくれる。

 

ただし、ブラインドスポットモニターやパノラミックビューモニターがZグレードにのみ標準装備されている点は、やや物足りなさを感じる部分でもある。

10代目カムリ(70系)のインパネデザインの画像

※10代目カムリ(70系)のインパネデザイン

一方、カムリもモデルライフ中に運転支援機能のアップデートが図られ、2021年2月の改良モデルではアクアと同等の最新「Toyota Safety Sense」を搭載。それ以前のモデルでは、機能面ではやや古さが見られるが、それでも当時の水準では及第点といえる内容だった。

10代目カムリ(70系)のメーターの画像

※上図:10代目カムリ(70系)のメーター

ロングドライブが多いなら10代目AX70系カムリの一択

7.走行性能の比較

新車アクア(MX系)の評価は4.0

中古車カムリ(70系)の評価は4.5

 

アクアとカムリのパワートレインスペックは、以下のとおり。

 

アクア:エンジンハイブリッド用1.5L直3エンジン

  • 最高出力91ps、最大トルク120N・m
  • フロントモーター最高出力80ps、最大トルク141N・m
  • リアモーター最高出力4ps、最大トルク52N・m
  • システム最高出力 116㎰

 

カムリ:ハイブリッド用2.5L直4エンジン

  • 最高出力178ps、最大トルク221N・m
  • フロントモーター最高出力120ps、最大トルク202N・m
  • リアモーター最高出力2ps、最大トルク55N・m
  • システム最高出力 211㎰
アクア:EV走行領域が増えたことで静粛性が向上

2代目アクア(MX系)のエンジンルームの画像

※上図:2代目アクア(MX系)のエンジンルーム

アクアは、システム最高出力116psを発揮するハイブリッドシステムを搭載している。数値だけを見ると少々物足りなさを感じるかもしれないが、電動モーターならではの瞬時に発生する大トルクにより、数値以上の力強さを実感できる。日常域での加速性能に関しては、まったく不満のないレベルといえるだろう。

 

静粛性の高さもアクアの大きな魅力のひとつ。特に注意していないとエンジンが始動しているのか停止しているのか分からないほどの静かさで、街中での低速走行時には多くのシーンでEV走行となるため、なおさらその静けさが際立つ。

 

また、乗り心地は全体的にソフト寄りのセッティング。同じクラスのコンパクトハイブリッドカーであるヤリスが、やや硬めの足回りでスポーティさを強調しているのに対し、アクアは乗り心地重視の設計。より幅広い層に受け入れられる、快適性を重視した乗り味に仕上がっている。

カムリ:意外なほどスポーティなハンドリング

10代目カムリ(70系)のエンジンルームの画像

※上図:10代目カムリ(70系)のエンジンルーム

カムリは、システム最高出力211psを誇るハイブリッドパワートレインを搭載。この出力により、全長約4.9mという大型ボディを余裕たっぷりに、そして滑らかに加速させることができる。ハイブリッド車かつ高級セダンということもあり、静粛性の高さも非常に優秀。それでいて、低燃費性能にも優れているのが、カムリの大きな魅力といえる。

 

また、スポーティな外観にふさわしく、ハンドリング性能も想像以上にシャープ。低重心設計のGA-Kプラットフォームを採用したことで、車両の動きは素早く、安定感も高い。

 

さらに、専用エアロパーツやチューニングサスペンションを装備するスポーティグレード「WS」では、その傾向がさらに強調され、コーナリング時のキレ味も鋭い。まさに、見た目どおりのスポーティセダンと呼ぶにふさわしい走行性能を備えている。

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高年式は高値のカムリ。長期間安定のアクア

8.リセールバリュー比較

新車アクア(MX系)の評価は3.5

中古車カムリ(70系)の評価は3.5

*アクア(MX系)とカムリ(70系)の中古車相場は以下の通り(2025年8月調べ)。

 

アクア(MX系)

  • アクアZ中古車相場(2023年式):約170~190万円
  • 当時の新車価格:約240万
  • 中古車相場の新車価格比:約71~79%

 

カムリ(70系)

  • カムリWSレザーパッケージ中古車相場(2023年式):約400~440万円
  • 当時の新車価格:約449万
  • 中古車相場の新車価格比:約89~98%

 

アクアのリセールバリューは、中古車市場での流通台数が多いため、全体的に順調に値下がりが進行中。中古車であれば、手ごろな価格での購入が可能となっており、コストパフォーマンスの高い選択肢といえる。

 

一般的に、コンパクトカーのリセールバリューはSUVやミニバンよりも低めとされるが、アクアはトヨタの人気車種であることから、他社の同クラスと比べればやや高値傾向を維持している。そのため、他メーカーのコンパクトカーと比較するとリセール面での優位性があるのも魅力だ。

 

なお、先代アクアの2015年式(2025年時点で10年落ち)の中古車相場は約40〜90万円前後となっており、この傾向からも現行アクア(MX系)もリセールが急激に下がるリスクは小さいと見られる。長期的にも安定したリセールバリューを期待できる点は安心材料だ。

 

一方のカムリは、新車販売台数が少なかった影響もあり、中古車市場での流通台数も非常に少ない。その希少性とセダンファンからの根強い支持により、特に高年式車は人気SUV並みの高リセールバリューを維持している。中でも、2023年式はカムリの生産終了年ということもあり、プレミア的な価値を帯びているのが特徴だ。

 

ただし、2020年式のWSグレードに関しては、中古車相場が約230〜290万円と、年式がわずかに古くなるだけで一気に価格が下がる傾向も見られる。そのため、2023年式カムリもいつ相場が下落するかは不透明であり、もしカムリを売却する予定があるなら、早期売却を検討した方が有利といえる。

 

一方で、リセールバリューが大きく下がった年式のカムリは、購入側にとっては非常にコストパフォーマンスの高い中古車ともいえる。年式やグレードによって賢く選ぶことで、高品質なセダンをお得に手に入れることができるだろう。

ボディサイズに制約が無いなら、中古車カムリがお勧め

9.まとめ・総合評価

新車トヨタ アクア(MX系)をお勧めしたい人

  • 駐車場のスペースなど、ボディサイズの制限がある人
  • とにかく、新車であることが重要
  • 最新の予防安全装備であることが最重要

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中古車トヨタ カムリ(70系)をお勧めしたい人

  • 少ない予算で、より大きく立派に見え、さらに燃費のよいクルマに乗りたい。
  • できる限り、広い室内空間や荷室を重視
  • スポーティな走行性能をもつクルマに乗りたい

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中古車とはいえ、乗り心地・静粛性・運転の楽しさといった総合的な走行性能では、カムリがアクアを2クラス以上上回っているのは間違いない。もし「駐車場の幅が限られている」「狭い道を頻繁に走る」など、ボディサイズに関する制約がなければ、中古車のカムリを選ぶことをおすすめしたい。

 

ただし、予防安全装備に関しては、新型アクアがリードしている。トヨタの最新予防安全パッケージ「Toyota Safety Sense」は、オプション装備が前提とはいえ、交差点での衝突回避や自動ブレーキなど、最新世代の安全性能を備えている。カムリも2021年の一部改良でアクアと同等レベルの「Toyota Safety Sense」を搭載しているが、該当する高年式の中古車は価格が高く、アクアの新車価格と同等では購入できないのが現状だ。

 

最終的な選択は「何を重視するか」によって異なる。走行性能や快適性を重視するならカムリ、安全装備の新しさや価格とのバランスを重視するならアクアが有力な選択肢となる。

 

とはいえ、新車時にはアクアの1.5倍以上の価格だった高級セダン・カムリが、中古車なら手が届く存在になるのは、中古車ならではの大きなメリット。こうした視点も取り入れながら、自分にとってベストな1台を見つけてほしい。

 

アクア(新車)

カムリ(中古)

合計点(40点満点)

30.5

31.0

燃費性能

4.0

4.5

価格比較

3.5

3.5

購入時の値引き術

3.5

2.5

デザイン

4.0

4.0

室内空間と使い勝手

3.5

4.5

安全装備

4.5

4.0

走行性能

4.0

4.5

リセールバリュー

3.5

3.5

2代目アクア(MX系)新車価格帯

  • X(2WD) 2,146,000円~Z(4WD)2,763,000円

 

10代目カムリ中古車相場

  • カムリ5WS 2WD 2020年式中古車相場:約230万円~290万円

 

2代目アクア(MX系)スペック

代表グレード

1.5ハイブリッドZ 2WD

ボディサイズ[mm]

4,050×1,695×1,485

ホイールベース[mm]

2,600

最低地上高[mm]

140

車両重量[kg]

1,130

エンジン型式

M15A-FXE

エンジンタイプ

直列3気筒DOHC

総排気量[cc]

1,490

最高出力[ps(kW)/rpm]

91(67)/5,500

最大トルク[N・m(kgm)/rpm]

120(12.2)/3,800~4,800

モーター型式

1NM

モーター最高出力[ps(kW)]

80(59)

モーター最大トルク[N・m(kgm)]

141(14.4)

システム最高出力[ps]

116

燃費(WLTCモード)

33.6km/L

駆動方式

前輪駆動(2WD)

サスペンション型式

前:マクファーソンストラット式 後:トーションビーム式

タイヤサイズ(前後)

185/65R15

最小回転半径[m]

5.2

 

 

10代目カムリ(AX70系)スペック

代表グレード

2.5ハイブリッドWS 2WD

ボディサイズ[mm]

4,910×1,840×1,445

ホイールベース[mm]

2,825

最低地上高[mm]

145

車両重量[kg]

1,590

エンジン型式

A25A-FXS

エンジンタイプ

直列4気筒DOHC

総排気量[cc]

2,487

最高出力[ps(kW)/rpm]

178(131)/5,700

最大トルク[N・m(kgm)/rpm]

221(22.5)/3,600~5,200

フロントモーター型式

3NM

フロントモーター最高出力[ps(kW)]

120(88)

フロントモーター最大トルク[N・m(kgm)]

202(20.6)

システム最高出力[ps]

211

燃費(WLTCモード)

24.3km/L

駆動方式

前輪駆動(FF)

サスペンション型式

前:マクファーソンストラット式 後:ダブルウィッシュボーン式

タイヤサイズ(前後)

215/55R17

最小回転半径[m]

5.7

ライター紹介

クルマ評論家 CORISM代表

大岡 智彦 氏

CORISM編集長。自動車専門誌の編集長を経験後、ウェブの世界へ。新車&中古車購入テクニックから、試乗レポートが得意技。さらに、ドレスアップ関連まで幅広くこなす。最近では、ゴルフにハマルがスコアより道具。中古ゴルフショップ巡りが趣味。日本カー・オブ・ザ・イヤー実行委員