10系ヤリスクロス ハイブリッド vs KF系CX-5徹底比較!中古車なら、1.5クラス上のモデルにすぐ乗れる!

10系ヤリスクロス ハイブリッド vs KF系CX-5徹底比較!中古車なら、1.5クラス上のモデルにすぐ乗れる!

トヨタのSUVはコンパクトからラージサイズまで、幅広いラインアップを誇る。中でも非常に高い人気を誇るのがBセグメントの10系ヤリスクロスだ。人気車ゆえに、納期は長期化傾向にある。

そんなヤリスクロスの新車価格と同じ価格帯で、中古車のマツダ KF系CX-5が手に入るようになってきた。1.5クラス上となるCDセグメントであり、中古車なので納期も短い。

そこで、今回は10系ヤリスクロス ハイブリッドの新車価格と同等程度のKF系CX-5を徹底比較した。

死角なし!? 文句なしのトップセラーモデル

トヨタ 10系ヤリスクロスの特徴

10系ヤリスクロスの全景

※上図:10系ヤリスクロスの全景

2020年8月31日に登場したコンパクトSUVの10系トヨタヤリスクロス。コンパクトカーであるヤリスと同じGA-Cプラットフォームやパワートレインを採用している。

 

ヤリスクロスのボディサイズは、全長4,180(一部4,185、4,200)mm×全幅1,765mm×全高1,590(一部1,580)mmのBセグメントだ。トヨタのSUVラインアップでは、ライズとカローラクロスの間となるボディサイズとなっている。同じクラスのライバル車には、ホンダ ヴェゼルやマツダCX-3がある。

 

ヤリスクロスに搭載されているパワートレインは、1.5Lガソリンと1.5Lハイブリッドの2タイプだ。駆動方式はガソリン車、ハイブリッド車ともに2WDと4WDを用意している。

ガソリン車の4WDは「ダイナミックトルクコントロール4WDシステム」といい、3つのモードから選択できるマルチテレインセレクトなどの機能を搭載。ハイブリッド車にはE-Fourという後輪側をモーターで駆動する電気式4WDを設定した。ハイブリッド車はクラストップレベルの燃費性能を実現している。

運転支援システムは、最新の予防安全パッケージ「トヨタセーフティセンス」を標準装備。コンパクトSUVながら、優れた予防安全装備性能を持つ。

 

2022年7月の改良では、GR SPORTとZアドベンチャーという2グレードを新設定した。GR SPORTは、量販のGグレードをベースに剛性アップパーツをはじめ、GRによるチューニングパーツを採用し走行性能に磨きを掛けた。GR SPORTはガソリン、ハイブリッドの両方に設定されているが、駆動方式は2WDのみとなっている。

Zアドベンチャーは、最上級Zグレードをベースにシルバー加飾の施された専用バンパーを前後に採用した。さらにシルバーのルーフレール、合成皮革(サドルタン)×ツイード調ファブリックの専用シート表皮を採用し、アウトドア色を強めたグレードとなっている。

 

2024年1月には、2度目の一部改良を実施した。GR SPORTを除くグレードで、外観ではアッパーグリルのパターンをよりSUVらしい力強いデザインに変更。インテリアでは、上級グレードにコンソールボックス付フロントソフトアームレストの採用や、7.0インチTFTカラーマルチインフォメーションディスプレイを標準装備した。

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モデル後期で熟成が進んで完成度がアップ

マツダ KF系CX-5(2代目)の特徴

KF系CX-5の全景

※上図:KF系CX-5の全景

KF系2代目マツダCX-5は2017年に登場した。マツダのデザイン哲学である「魂動デザイン」を採用。初代CX-5のカジュアル系から、ラグジュアリー系へデザインの方向性を大幅に変更している。シンプルな造形の中に美しい映り込みをつくり込んだフォルムなどにより、艶めきのある精悍な外観が特徴だ。

 

コクピットはドライバーとの一体感を高めている。ドライバーを中心に操作機器や計器類を左右対称に配置した効果だ。水平基調のインストルメントパネルにより運転に集中できる心地良い空間が広がっている。

KF系CX-5は2017年の発売以降、毎年のように改良が加えられ進化している。2018年2月には各エンジンに改良が加えられ、実用燃費や走行性能を向上した。安全性能では、駐車時などに便利な「360°ビュー・モニター」をオプションに加えた他、「マツダ・レーダー・クルーズ・コントロール」は操作性向上のため、スイッチ表示が変更された。

2018年10月には最高出力230psを発生する2.5L直4ガソリンターボエンジンを追加し、ラインナップを強化。さらに運転のしやすさ、車両の安定性を向上させる「G-ベクタリングコントロールプラス」が追加された。安全装備では、「アドバンスト・スマート・シティ・ブレーキ・サポート」の検知対象に夜間の歩行者が追加された。また、高速道路などで追従走行が可能な「マツダ・レーダー・クルーズ・コントロール」や「交通標識認識システム」が全車に標準装備となった。

2019年の一部改良では4WD車に「オフロード・トラクション・アシスト」を採用。悪路における想定外のスタックした際にAWDとトラクションコントロールを協調制御することで、悪路からのスムーズな脱出をサポートする機能だ。

2020年の一部改良では、ディーゼルエンジンの最高出力を200ps、最大トルク450Nmにアップ。高速道路での合流や追い越し加速シーンでの加速を持続的に発揮させた。またアクセルペダルの操作力を最適化することで加減速のコントロール性を向上させている。インテリアでは、センサーディスプレイのサイズを10.25インチに拡大した。

 

2021年には大幅改良を実施。外観のデザイン変更をはじめ、多用化するユーザーに向けて、スポーツアピアランス、フィールドジャーニーという特別仕様車を追加し、すでに発売されていたエクスクルーシブモードと合わせて3つの世界観を表現した。走行シーンに応じて、スイッチ一つで任意に走行モードが切り替えられる「Mi-DRIVE(ミードライブ)を採用し、オンロードだけでなく、オフロードでも人馬一体感を向上させている。

安全装備ではアダプティブ・LED・ヘッドライト(ALH)の進化やクルージング&トラフィック・サポート(CTS)を採用し運転支援機能を拡充している。

 

KF系CX-5は毎年のように改良が加えられていて、中古車の場合ターゲットを絞りにくい。だが、2021年式以降であれば、最新モデルとの機能差はほとんどないだろう。

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燃費性能重視なら、ヤリスクロス。ロングドライブ中心ならCX-5

1.燃費性能

トヨタ 10系ヤリスクロス ハイブリッドの評価は5.0

マツダ KF系CX-5の評価は4.5

ヤリスクロス、CX-5の画像

※上左図:ヤリスクロス、上右図:CX-5の画像

ヤリスクロス ハイブリッドの燃費(WLTCモード)は下記の通り。

 

FF(2WD)

4WD

1.5Lガソリンエンジン車

17.6~19.8km/L

17.1~18.4km/L

1.5Lハイブリッド車

25.0~30.8km/L

26.0~28.7km/L

 

CX-5の燃費(WLTCモード)は下記の通り。

 

FF(2WD)

4WD

2.0Lガソリンエンジン車

14.6km/L

14.0km/L

2.5Lガソリンエンジン車

13.8km/L

13.0km/L

2.5Lガソリンターボエンジン車

12.6km/L

12.2km/L

2.2Lディーゼルターボエンジン車

17.4km/L

16.6km/L

ヤリスクロス ハイブリッドの燃費は、クラストップレベルの超低燃費性能を誇る。この燃費値には、内燃機関しかないCX-5では勝負にならないレベルだ。燃費性能を重視するのであれば、ヤリスクロスハイブリッドがお勧め。1.5Lガソリンエンジンの燃費も良好だ。

 

対するCX-5の中古車は排気量の異なる 4種類のエンジンを搭載(2種類のガソリンエンジン、2.5Lガソリンターボエンジン、2.2Lディーゼルエンジン)。使い方に合わせて選ぶことができる。ディーゼルターボエンジン以外のガソリン車の燃費は、クラス平均レベルといったところ。とくに、燃費面で注目すべき点は残念ながら無いため、選択しにくい。

 

CX-5のパワートレインでユニークなのが2.2Lディーゼルターボだ。非常に力強いだけでなく低燃費なのが特徴的。このディーゼルターボエンジンは、燃料に軽油を使う。軽油は、レギュラーガソリンより20円/L前後も安価だ。燃料費視点では、ヤリスクロスハイブリッドとの差がグッと縮まる。燃費重視でCX-5を選ぶなら、ディーゼルターボエンジンがお勧めだ。

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ヤリスクロスの新車価格帯で中古CX-5の上級グレードも狙える

2.価格比較

トヨタ 10系ヤリスクロス ハイブリッドの評価は3.5

マツダ KF系CX-5の評価は4.5

 

ヤリスクロス ハイブリッドとCX-5の最量販グレードの新車価格と中古車相場を比較。

  • ヤリスクロス ハイブリッド Zアドベンチャー 2WD:292万5000円、4WD:315万6000円
  • KF系CX-5 XDスポーツアピアランス2WD(2022年式):約280万~約340万円

※中古車相場は、2025年2月調べ

 

燃費性能や取り回し面ではコンパクトSUVであるヤリスクロス ハイブリッドが有利。しかし、リアシートの居住性やラゲッジスペースの広さは、ボディサイズの大きなCX-5が優勢だ。さらに、本革シートや電動シートなどの快適装備も新車価格では高額なCX-5の方が充実している。

 

安全性能面で比較すると、ヤリスクロスは最新の予防安全パッケージ「トヨタセーフティセンス」を全車に標準装備。国産コンパクトSUVの中でトップレベルの充実度を誇っている。

一方のCX-5は、アイアクティブセンスというマツダの安全技術を採用している。アドバンスト・スマート・シティブレーキ・サポートは、先行車や歩行者などを検知してブレーキを自動制御し、衝突被害の軽減を図る機能だ。

2021年の大幅改良の際には、アダプティブ・LED・ヘッドライト(ALH)の進化やクルージング&トラフィック・サポート(CTS)を採用し、計14の運転支援システムの機能を標準装備している。

 

ヤリスクロス、CX- 5ともに2025年3月現在も新車を販売しているモデルだ。両車の新車価格の差額である約100万円は、快適装備の差に直結している。

 

コンパクトSUVのヤリスクロスのシート表皮は、最上級グレードでも合成皮革。しかし、CX-5の最上級グレードでは高級なナッパレザーを使用している。また、自分好みのシートポジションを設定できる電動調整式のパワーシートもヤリスクロスは運転席側のみだが、CX-5では助手席側にもパワーシートが用意され、高いホスピタリティを誇っている。さらに、CX-5のフロントシートには涼しい風を出すベンチレーション機能も搭載。快適装備の差は大きい。

 

荷室の扉にも差が出た。ヤリスクロスはスイッチ一つで開閉できるハンズフリーパワーバックドアを上級グレードにオプション設定。対するCX-5は全グレードでパワーリフトゲートを採用し、上級グレードではハンズフリー機能付だ。元々の新車価格が高いCX-5は広い室内空間だけでなく、快適装備も充実している。

快適装備を重視するのであれば、中古車のCX-5はより魅力的に映るだろう。

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長期納期が悩みの種なヤリスクロス ハイブリッド

3.購入時の値引き術

トヨタ 10系ヤリスクロス ハイブリッドの評価は3.5

マツダ KF系CX-5の評価は3.0

 

人気モデルであるヤリスクロス ハイブリッドは2020年に登場したため、値引きガードはやや緩め。15~20万円程度の値引きは、商談次第では比較的簡単に引き出せるだろう。同じクラスのライバル車である、ホンダ ヴェゼルハイブリッドと競合させれば、値引き額がアップする可能性が高くなる。競合させないと値引き額は10万円以下程度になることもあるので注意したい。

値引き以上に悩ましいのが納期だ。未だ納期は長期化しており、3カ月前後以上(2024年2月調べ)かかるようだ。すぐに乗りたい人には、あまり向いていない。

 

対するCX-5は中古車なので、基本的に値引き無しが相場だ。値引きが提示されても、数万円程度が限界だろう。もし、大幅値引きしますというお店であれば「何かある」と疑ってみる必要がある。それほど、最近の中古車販売はギリギリの利益で販売しているからだ。また、CX-5は中古車なので、納期は短い傾向にある。

ややオフローダー的なヤリスクロス、都会派のCX-5

4.デザイン比較

トヨタ 10系ヤリスクロス ハイブリッドの評価は4.5

マツダ KF系CX-5の評価は4.5

ヤリスクロス:コンパクトなボディ故にカタマリ感を演出

10系ヤリスクロスの後景

※上図:10系ヤリスクロスの後景

ヤリスクロスのコンセプトは「EASY FAST SMART」だ。日常の生活を基軸にその中に見られる驚きや発見、そしてアクシデントも含めた「日常の中の“非日常”」に着目し、これまでのコンパクトSUVでは表現できなかった独自の魅力を追求している。

10系ヤリスクロスのフロントフェイス

※上図:10系ヤリスクロスのフロントフェイス

このコンセプトを受けたデザインの目指す方向性はロバスト(凝縮された力強いプロポーション)。かつ無駄のない洗練されたミニマリスト(無駄を削ぎ落とした美しさ・洗練さ)。独自の方向でコンパクトモデルならではの凝縮感を活かした魅力を表現している。

10系ヤリスクロスのリヤエンド

※上図:10系ヤリスクロスのリヤエンド

CX-5:無駄を削ぎ落とし、景色の移ろいをボディに映し出す

KF系CX-5の後景

※上図:KF系CX-5の後景

CX-5のデザインテーマは「REFINED TOUGHNESS=洗練された力強さ」だ。外観デザインは、先代モデルの躍動感に満ちた個性を成長させ、精悍かつ堂々とした佇まいを創出している。ボディを前後方向に貫くひとつの大きな動きを中心に据え、しなやかに加速するスピード感を表現している。

KF系CX-5のフロントフェイス

※上図:KF系CX-5のフロントフェイス

強い前進感とスタンスを強調する骨格や、シンプルな造形の中に美しい映り込みを作り込んだフォルム、随所に取り込んだ彫りの深いディテールデザインにより、艶めきのある精悍な外観を実現している。大幅改良でフロントヘッドライトの形状やグリルデザインが変更されているが、ひと目でCX-5とわかる個性が際立っている。

KF系CX-5のリヤエンド

※上図:KF系CX-5のリヤエンド

居住性はボディサイズの大きいCX-5が優勢だが、ヤリスクロスのパッケージングも秀逸

5.室内空間と使い勝手

トヨタ 10系ヤリスクロス ハイブリッドの評価は4.0

マツダ KF系CX-5の評価は3.5

 

ヤリスクロスとCX-5のボディサイズ・室内サイズ・荷室容量を比較した。

 

ヤリスクロス

ボディサイズ

全長4,180~4,185mm×全幅1,765mm×全高1,580~1,590mm

ホイールベース

2,560mm

室内サイズ

室内長1,845mm×室内幅1,430mm×室内高1,205mm

荷室容量

390L(5人乗車時)

 

CX-5

ボディサイズ

全長4,575mm×全幅1,845mm×全高1,690mm

ホイールベース

2,700mm

室内サイズ

室内長1,890mm×室内幅1,540mm×室内高1,265mm

荷室容量

505L(5人乗車時)

KF系CX-5の運転席

※上図:KF系CX-5の運転席

KF系CX-5の運転席

※上図:KF系CX-5の後席

ヤリスクロスとCX-5のボディサイズで最も異なるのがボディの長さだ。CX-5のほうが全長は395mm、ホイールベースは140mm長いため、リアシートの居住性はCX-5に軍配が上がる。

KF系CX-5の荷室

※上図:KF系CX-5の荷室

ラゲッジ容量も同様だ。ヤリスクロスが390L、CX-5は505Lと、ボディサイズが大きいCX-5の方が優勢である。

10系ヤリスクロスの運転席

※上図:10系ヤリスクロスの運転席

10系ヤリスクロスの後席

※上図:10系ヤリスクロスの後席

10系ヤリスクロスの荷室

※上図:10系ヤリスクロスの荷室

ただしヤリスクロスの荷室や室内空間は、同じBセグメントSUVの中ではトップレベルだ。

 

狭い駐車場での出し入れなどの指標となる最小回転半径は、ヤリスクロスが5.3mでCX-5が5.5mとなっている。ボディサイズの小さいヤリスクロスの方が、小回りが効くのは当然のことながら、CX-5の5.5mというのもなかなか優秀だ。

2021年の大幅改良後のCX-5ならば差はやや縮小

6.安全装備&運転支援機能の比較

トヨタ 10系ヤリスクロス ハイブリッドの評価は4.5

マツダ KF系CX-5の評価は3.5

 

2020年に登場したヤリスクロスと、2017年に登場、2023年に最も新しい一部改良を行ったCX-5の予防安全装備の機能を比較すると、設計が新しいヤリスクロスが有利だ。また、CX-5は中古車なので、年式により予防安全装備の機能が異なる。2017年8月の改良では、歩行者検知式自動ブレーキなど予防安全装備が大幅に進化した。この改良前のモデルだと、予防安全装備が物足りないので、2017年8月改良後のモデルがお勧めだ。

10系ヤリスクロスのインパネデザイン

※上図:10系ヤリスクロスのインパネデザイン

ヤリスクロスは8つの機能がパッケージ化されたトヨタセーフティセンスを標準装備。プリクラッシュセーフティをはじめ、レーダークルーズコントロール(全車速追従機能付)が含まれている。

重要な衝突被害軽減ブレーキは以下を検知し衝突回避が可能と高性能だ。

  • 歩行者:昼夜、右左折時の対向歩行者
  • 自転車:昼夜、右左折時の対向自転車
  • 自動二輪車:昼
  • 自動車:右折時の対向車両

10系ヤリスクロスのメーター

※上図:10系ヤリスクロスのメーター

以下はグレードによって装備可能か異なる機能だ。

  • アダプティブハイビームシステム:Z・Zアドベンチャーのみオプション設定
  • ブラインドスポットモニター+安心降車アシスト、後方接近車両に対応したパーキングサポートブレーキ、パノラミックビューモニター:Z・Zアドベンチャー・GR SPORTは標準装備、Gはオプション、Xは設定不可
  • 運転支援機能であるトヨタチームメイトアドバンスドパーク+パーキングサポートブレーキ(周囲停止物):ハイブリッド車のZ・G・KINTO専用のUはオプション

ハイブリッドZもしくはGR SPORTといった高額なグレードを選ばないと装着できない装備が多いのは物足りない。

KF系CX-5のインパネデザイン

※上図:KF系CX-5のインパネデザイン

一方で、CX-5は、アドバンスド・スマート・ブレーキ・サポートをはじめとした12の機能が全グレードで標準装備だ。グレードで異なるのは、2021年の大幅改良で搭載されたクルージング&トラフィックサポート(CTS)がエントリーグレードのスマートエディションだけ装着されていないことだ。運転支援機能は、グレードによる装備差がCX-5は非常に小さい。

KF系CX-5のメーター

※上図:KF系CX-5のメーター

CX-5の中古車は一部改良を重ねて運転支援機能が充実しているが、200万円台前半でも手に入る2021年の大幅改良後のモデルならば、ヤリスクロスとは差がやや小さくなる。

街乗りが得意なヤリスクロスとロングドライブが得意のCX-5

7.走行性能の比較

トヨタ 10系ヤリスクロス ハイブリッドの評価は4.0

マツダ KF系CX-5の評価は4.5

 

ヤリスクロスとCX-5のパワートレインのスペックは以下のとおり。

 

ヤリスクロス

1.5L直列3気筒DOHCエンジン

最高出力120ps、最大トルク145N・m

 

1.5L直列3気筒DOHCエンジンのハイブリッド

システム最高出力 116㎰

 

CX-5

エンジン

最高出力

最大トルク

2.0L直列4気筒DOHCエンジン

156ps

199N・m

2.5L直列4気筒DOHCエンジン(2WD)

190ps

252N・m

2.5L直列4気筒DOHCエンジン(4WD)

188ps

250N・m

2.5L直列4気筒DOHCガソリンターボエンジン

230ps

420N・m

2.2L直列4気筒DOHCディーゼルターボエンジン

200ps

450N・m

ヤリスクロス:車高の高さを感じさせない低重心でフラットな乗り味が特徴

10系ヤリスクロスのエンジンルーム

※上図:10系ヤリスクロスのエンジンルーム

ヤリスクロスのパワートレインは、1.5Lガソリンと1.5Lハイブリッドの2種類だ。人気のハイブリッド車には1.5L直列3気筒エンジンを搭載。小型・軽量化を徹底的に追求し、クラストップレベルの低燃費・動力性能・環境性能を発揮する。

街中ではモータードライブ車らしく低速域から力強い走りを披露する。平坦な街中走行で、繊細なアクセルワークを駆使すれば、多くのシーンでモーターのみで走行可能に。グングンと燃費が伸びていく。

乗り心地も良好で、軽快さもありキビキビとよく走る。注目したいのは4WDモデルの悪路走破性能だ。従来のE-Four(電動4WD)は、滑りやすい道でのアシスト的存在だったが、ヤリスクロスにはやや出力の大きいモーターを搭載。そのため、片輪が浮くような悪路でも走行が可能だ。機械式4WDほどではないが、悪路走破性も十分に期待できる。

CX-5:爽快な走りが可能となる2.2Lディーゼルターボ

KF系CX-5のエンジンルーム

※上図:KF系CX-5のエンジンルーム

CX-5のエンジンラインアップは、現在2.0/2.5Lガソリンエンジン、2.2Lディーゼルターボエンジンの3種類。だが、一時期2.5Lガソリンターボエンジンも搭載されていた。ここでは最も中古車の流通台数の多いディーゼルエンジンについて解説する。

2.2L直列4気筒ディーゼルターボエンジンは2017年のデビュー当初、最高出力175ps、最大トルク420Nmだった。2018年2月の一部改良で最高出力190ps、最大トルク450Nmに改善。現在では最高出力200psまで高められている。パワーアップと同時にレスポンスも向上され、ディーゼルエンジンとは思えないほどの鋭いアクセルレスポンスを実現した。

 

ディーゼルターボエンジンは低回転域から最大トルクを発揮するので、高速走行時の燃費性能は目を見張るモノがある。ロングドライブが多い人にとっては恩恵が大きい。

サスペンションも幾度も改良が加えられているため、年式の新しいモデルほど乗り心地やハンドリング性能が熟成されている。乗り心地は、しなやかさが際立ち快適だ。ハンドリングは、マツダ車らしくキビキビ感があるタイプ。背の高いSUVながら、気持ちよくカーブを抜けていく。走る楽しさが凝縮したフットワークだ。

圧倒的なリセールバリューを誇るヤリスクロス

8.リセールバリュー比較

トヨタ 10系ヤリスクロス ハイブリッドの評価は4.5

マツダ KF系CX-5の評価は3.5

 

ヤリスクロス ハイブリッドと、CX-5 XD系(ディーゼル)の中古車相場と当時の新車価格は以下の通りだ。

車種

中古車相場(2021年式)

当時の新車価格

ヤリスクロス ハイブリッド

約190~280万円

約228~282万円

CX-5 XD系(ディーゼル)

約220~300万円

約300~403万円

*中古車相場は、2025年2月調べ

 

ヤリスクロス ハイブリッドの中古車相場は、高値で安定している。2025年時点で4年落ちの2021年式で、新車価格の83~99%しか落ちていない。もはや、新車価格から値引きしてもらった程度といえる価格だ。ほとんど新車価格並みなので、中古車としてのメリットが無い。これは、新車納期が非常に長いことも大きく影響している。すぐに乗りたいという人が、新車価格並みの中古車を購入しているケースが多いからだ。

ヤリスクロス ハイブリッドのリセールバリューも非常に高い。ただし、これから数年後もこのリセールバリューの高さを維持できるかというと、少々微妙だ。新車納期が平常に戻ったり、フルモデルチェンジしたりすれば、リセールバリューは大きく落ち込む可能性がある。ただ、リセールバリューが落ちる可能性はあるものの、人気SUVであることは変わりない。一般的なコンパクトカーと比べると、かなり高いリセールバリューを維持できるだろう。そのため、ヤリスクロス ハイブリッドを売却するのであれば、高く売れる今がチャンスと言える。

ヤリスクロス ハイブリッドで、より高いリセールバリューが期待できそうなグレードは、オフローダーテイストを強めたアドベンチャー、スポーティなGRになるだろう。

 

一方、CX-5の中古車相場は、新車価格に対して、約73~74%と順調に価格を下げている。さらに、2025年度中には3代目新型CX-5が登場する予定なので、今後も徐々に値を下げていくだろう。3代目新型CX-5が登場すれば、さらにリセールバリューが下がるので、CX-5の売却は早めがよい。より高いリセールバリューが期待できるグレードは、ラグジュアリーなエクスクルーシブモード、スポーティ仕様のスポーツアピアランスだ。

CX-5のリセールバリューは、下落傾向にある。だが、CX-5も人気SUV。なので、大きくリセールバリューを下げるリスクは低いだろう。

ヤリスクロス ハイブリッドのリセールバリューは圧倒的だ。しかし、このリセールバリューの高さは異常値といえる。CX-5が正常と考えた方がよいだろう。

あえて、中古車CX-5を選択する理由は?

9.まとめ・総合評価

新車ヤリスクロス ハイブリッドがお勧めな人

  • とにかく燃費重視
  • 全方位バランスよく仕上がっているモデルが欲しい
  • 新車納期が長くても問題ない

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中古車CX-5がお勧めな人

  • 広い室内とラゲッジスペースが欲しい
  • ディーゼルターボのパワフルさと、安価な燃料経済性に魅力を感じる
  • ラグジュアリーでスポーティなSUVが好き
  • 納期が短いほうがいい

新車ヤリスクロス ハイブリッドの場合、とにかく長い納期が悩みの種だ。納期が早い中古車ヤリスクロス ハイブリッドの高年式車は、新車価格越えか新車価格並みと選びにくい。

こうなるとグッと魅力的になるのが、中古のCX-5だ。ボディサイズが1.5クラス大きく、上級グレードであれば豪華装備も満載。新車ヤリスクロス ハイブリッドの納期や装備に物足りなさを感じるのであれば、あえて中古車CX-5という選択もお勧めだ。

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10系ヤリスクロス ハイブリッド

KF系CX-5

総合得点(40点満点)

33.5

32.5

1.燃費

5.0

4.5

2.価格

3.5

4.5

3.購入時の値引きしやすさ

3.5

3.0

4.デザイン

4.5

4.5

5.室内空間と使い勝手

4.0

3.5

6.安全装備

4.5

3.5

7.走行性能

4.0

4.5

8.リセールバリュー

4.5

3.5

 

10系トヨタ ヤリスクロス ハイブリッド新車価格

  • ハイブリッドX(FF):2,295,000円
  • ハイブリッドZアドベンチャー(4WD):3,156,000円

KF系マツダCX-5新車価格(最新モデル)

  • 20S iセレクション(FF):  2,810,500円
  • XDエクスクルーシブモード(4WD):4,225,100円

トヨタ ヤリスクロス スペック

代表グレード

ハイブリッド Z 2WD

ボディサイズ

4,180mm×1,765mm×1,590mm

ホイールベース

2,560mm

最低地上高

170mm

車両重量

1,190kg

エンジン型式

M15A-FXE

エンジンタイプ

直列3気筒DOHC

総排気量

1,490cc

最高出力

91ps(67kW)/5,500rpm

最大トルク

120N・m(12.2kgm)/3,800~4,800rpm

モーター型式

1NM

モーター最高出力

80ps(59kW)

モーター最大トルク

141N・m(14.4kgm)

燃費(WLTCモード)

27.8km/L

駆動方式

前輪駆動(FF)

トランスミッション

CVT

サスペンション型式

前:ストラット 後:トーションビーム

タイヤサイズ 前後

215/50R18

最小回転半径

5.3m

2代目マツダ CX-5 スペック

代表グレード

XDスポーツアピアランス 2WD

ボディサイズ

4,575mm×1,845mm×1,690mm

ホイールベース

2,700mm

最低地上高

210mm

車両重量

1,650kg

エンジン型式

SH-VPTS型

エンジンタイプ

直列4気筒DOHCディーゼルターボ

総排気量

2,188cc

最高出力

200ps(147kW)/4,000rpm

最大トルク

450N・m(45.9kgm)/2,000rpm

燃費(WLTCモード)

17.4km/L

駆動方式

前輪駆動(FF)

トランスミッション

6速AT

サスペンション型式

前:マクファーソンストラット 後:マルチリンク

タイヤサイズ 前後

225/55R19

最小回転半径

5.5m

ライター紹介

クルマ評論家 CORISM代表

大岡 智彦 氏

CORISM編集長。自動車専門誌の編集長を経験後、ウェブの世界へ。新車&中古車購入テクニックから、試乗レポートが得意技。さらに、ドレスアップ関連まで幅広くこなす。最近では、ゴルフにハマルがスコアより道具。中古ゴルフショップ巡りが趣味。日本カー・オブ・ザ・イヤー実行委員