水温警告灯とは?ついたり消えたり、不具合の原因について整備士が解説

水温警告灯とは?ついたり消えたり、不具合の原因について整備士が解説

水温警告灯は車の警告灯の種類のひとつです。昔はメーター内にあるゲージの針の動きで水温を表している車が多かったですが、最近の車の多くはゲージが廃止されて警告灯・表示灯で知らせるシンプルなタイプがほとんどです。
この記事では水温警告灯が、どんなときに点灯するのか?その見方や、万が一のときの対処法について現役整備士が解説します。

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水温警告灯とは?

水温警告灯の画像、青色と赤色

水温警告灯は、エンジン冷却水の水温が異常に高温な状態であることをドライバーに知らせる機能です。
赤色の警告灯で液面と温度計を表しています。

車に異常が発生していない限り、普段は点灯することはありません。
一方で、同じ記号で青色の表示等も点灯しますが、こちらは基本的に異常ではありません。

水温警告灯 青・赤の意味と点灯原因

水温警告灯には青色と赤色の2種類あります。それぞれの意味と点灯する原因を解説します。

青色は水温が低いことをお知らせする表示灯

青色は厳密には「警告灯」ではなく「表示灯」と表現するのが正しく、これは異常を示すものではないためです。
冷却水温が低いときに点灯するもので、エンジン始動&走行後に水温が一定温度に達すると消えます。
夏場は暑いので、エンジンのかけ始めでも水温が温まっていて青色の表示灯が点灯しない可能性がありますが、寒い冬場は水温も低いのでほぼ確実に点灯します。(もちろんメーカーや車種によってタイミングの差異はあります)

赤色は水温が異常に高温になると点灯する警告灯

赤色の水温警告灯は、エンジン冷却水温が異常高温になったことをドライバーに示す警告灯です。通常は点灯するものではありません。
よって、点灯を確認した時点で車には何かしらのトラブルがすでに発生しています。

水温警告灯がついたり消えたりする原因と対処法

青色の表示灯、赤色の警告灯それぞれが点いたり消えたりするときの原因と対処法について解説します。

青色の水温表示灯の場合

症状が発生するのは寒い季節で、オーバークールと呼ばれる状態になっていることが主に考えられ、サーモスタットの交換が必要になるケースがあります。
基本的に青色の水温表示灯が消えるまで水温が温まると、再度点灯するほどにまで水温が下がることはありません。
これは冷却水温度を適切に保つために、冷却水を冷やす役割を持つラジエーターに冷却水を送ったり送らなかったりと制御しているためです。この制御をしているのがサーモスタットと呼ばれる部品です。

中の弁が開きっぱなしで、常時冷却水が冷やされてしまうとオーバークールになります。場合によっては、青色の水温表示灯が点いたり消えたりする原因になります。
また、このとき暖房(ヒーター)が効きづらい不具合も同時に発生します。疑われる場合は、整備工場で確実な診断をしてもらって修理しましょう。

赤色の水温警告灯の場合

水温が高温になり、警告灯を点灯させるかどうかの温度まで上昇したとき、いきなり点灯することもありますが、その前段階でついたり消えたりすることがあります。
警告灯がつきっぱなしになるのも時間の問題なので、気付いたときにはまず安全な場所に車を停車させることを最優先します。
すぐにエンジンを切るか、しばらくヒーター(暖房)を全開にして、水温を下げるよう努めます。このとき、A/CボタンはOFFにしておきます。2〜5分ほどで水温警告灯が消灯しないときは、エンジンを切ります。
また、ボンネットを開けておくとエンジンルームの熱がこもらずに外に逃げるので、これ以上車へのダメージを増やさないためにも効果的です。

これ以外にクーリングファンの故障も考えられますが、赤色の水温警告灯が点いたり消えたりする原因については、次の項の「なかなか消えない原因」でまとめて解説します。

水温警告灯がなかなか消えない原因と対処法

最後に、点灯した水温警告灯がなかなか消えない原因と対処法についてまとめました。
ここまでは触れてこなかったマイナートラブルについても解説します。

青色の水温表示等がなかなか消えない原因と対処法

青色の水温表示灯がなかなか消えないときに考えられる原因には、以下のようなものがあります。
いずれの場合にも、オーナー自身でできる対処法はないので、正確な診断や修理は整備工場に依頼しましょう。

  • サーモスタットの弁が開きっぱなし(閉じ不良)
  • 水温センサーの特性不良
  • メーターやコンピューターの内部不良
  • 水温センサーに関わる配線不良

基本的にはすでに解説したサーモスタットの不良が原因でオーバークール状態となり、エンジンが暖まるのに時間が掛かって、水温表示灯が正常なときと比較してなかなか消えない症状につながります。
稀に水温センサーの特性不良で、実際の温度とセンサーが検知している温度にズレがあるのが原因となる場合もあります。
さらに確率的には低いですが、メーターやコンピューター内の基盤の不良や配線不良による不具合も考えられます。

赤色の水温警告灯がなかなか消えないときの対処法

赤色の水温警告灯がなかなか消えないときに無理に走行すると、エンジンを損傷させてしまいエンジンの載せ替え等の高額な修理や、車自体を乗り換えなければいけないことになりかねません。
オーナー自身ができる対処法としては、気付いたときには車を安全な場所に停車させ、その後はレッカー業者に依頼するなどして、整備工場に車を搬入してもらうようにしましょう。
どうしても自走しなければいけないときは、冷却水が漏れて減っていれば、一旦水道水などを補充して短距離であれば走行することは可能です。
しかし、危険を伴うこともあるので車のメンテナンス・整備に関する知識がない場合には、おすすめしません。

赤色の水温警告灯がなかなか消えない原因

「赤色の水温警告灯が消えない」=「冷却水の温度が異常な高温のまま…」であるといえます。赤色の水温警告灯が消えない原因は9割以上の場合で冷却水の漏れです。
冷却水の漏れは、ラジエーターやウォーターホースの継ぎ目、ウォーターポンプ…など、さまざまな場所が考えられるので、整備工場で診断してもらい、該当箇所の修理をしてもらう必要があります。
また、原因の稀なケースとしては以下のようなものがあります。

その他原因 補足説明
クーリングファンの故障 クーリングファンが故障すると、エンジンの冷却水を冷やすラジエーターに風を送ることができません。この場合、走行中は走行風が当たるので異常がなく警告灯が消灯し、停車すると風が当たらずに水温が上がって警告灯が点灯するような症状になることも
ウォーターポンプの故障 ポンプの羽根が折損したりして、正常に冷却水を送ることができず、冷却水の冷却が間に合わずに高温になってしまう
冷却水通路の詰まり 錆や粗悪な添加剤、その他の要因で冷却水通路が詰まってしまうこともあります
エンジン内部の損傷 エンジン内部が損傷している場合には、漏れていないのに冷却水が極端に多く減ったり、冷却水が吹き返したりします。一度、オーバーヒートを経験していたり、過走行が原因であることが多い
水温センサーの特性不良 これらが原因のときは、実際の水温は正常範囲内である可能性もあります
メーターやコンピューターの内部不良
水温センサーに関わる配線不良

整備士のまとめ

水温警告灯が点灯したからといって、冷却水が漏れているわけではありませんが、一般的な使用環境において赤色の警告灯がつくことはまずありません。
大きなトラブルに見舞われる前に、早急に整備工場に診断と修理の依頼をするようにしましょう。
また、走行中であれば安全な場所に停車して自走はなるべく避け、レッカー業者に依頼して車を運んでもらうようにします。
冬の寒い時期に、エンジンのかけ始めに青色の表示灯がつくことは異常ではないので、赤色の警告灯と青色の表示灯違いについては、きちんと理解しておくようにしましょう。

Supervised by 整備士 ヒロ

ヒロ 2級整備士

保有資格:2級整備士。国産ディーラー整備士、輸入車ディーラー整備士の経験がある、現役の整備士。 整備士経験は10年以上で過去にはエンジニアとして全国規模のサービス技術大会に出場。 車の整備に関する情報をtwitterで発信している。