2022~2023年はトヨタのミニバンラインアップが一新された。さらに、激戦区のミドルサイズミニバンは、日産やホンダも新型にスイッチしている。世代交代であるフルモデルチェンジは、中古車相場が最も活発に動くタイミングだ。
そこで今回は【コンパクトミニバン/新車】の10系シエンタハイブリッドと、1クラス上だがシエンタと同価格帯で手に入る【ミドルサイズミニバン/中古車・旧型】C27型セレナe-POWERの燃費性能や機能、デザインなどを徹底比較する。
どの程度の予算で探したら良いか分からない…
- 新車10系シエンタの価格で、1クラス上のC28型セレナが中古で買える!
- トヨタ 10系シエンタハイブリッド(3代目)の特徴
- 日産 C27型セレナe-POWER(5代目)の特徴
- 圧倒的な低燃費性能のシエンタハイブリッド。まずまずの燃費となったセレナe-POWER
- 後期型でも200万円台前半で手に入る中古C27型セレナe-POWER
- シエンタの納期は約4カ月。需要期前なら、お得なC27型セレナe-POWER
- ペットを彷彿させるデザインの10系シエンタとプレーンなC27型セレナe-POWER
- 広いた室内空間と、使い勝手の良さが魅力のC27型セレナe-POWERが優位
- やや差が付いた自動ブレーキの検知機能
- 安定感あるシエンタ。乗り心地重視のセレナ
- 人気の高いハイブリッドミニバンだが、リセールバリューの高さは10系シエンタが圧倒!?
- 普段5人しか乗らないならば10系シエンタ。3列目シートを頻繁に使うならばC27型セレナ
- 10系トヨタ シエンタトヨタ シエンタのスペック
- C27型日産セレナe-POWERのスペック
新車10系シエンタの価格で、1クラス上のC28型セレナが中古で買える!
10系シエンタ(3代目)と、C27型セレナ(5代目)は、ボディサイズが異なる。だが、ガソリンエンジンとハイブリッドという2種類のパワートレインを選べるミニバンの人気モデルという点は共通している。
【新車/中古車価格】
【新車】3代目10系シエンタハイブリッド |
200万円台半ば~300万円台前半 |
【新車】5代目C27型セレナe-POWER |
300万円~300万円後半 |
【中古車】5代目C27型セレナe-POWER |
170万円~300万円(2019年式) |
*中古車相場は2023年12月調べ
C27型セレナe-POWERの新車価格は、シエンタよりもおよそ100万円以上高価だった。さらに全長は510mm長く、全高は170mmも高いため、居住スペースも広くなる。ミニバンはファミリーカーとして購入するユーザーが多いので、室内の広さは大きなメリットのひとつだ。
2024年1月現在、C27型セレナe-POWERの中古車は、10系シエンタハイブリッドの新車と同等程度の価格帯になっている。
そこで、10系シエンタハイブリッドと、C27型セレナ-POWERを徹底比較し、どちらを購入したほうが良いのかを検証する。
トヨタ 10系シエンタハイブリッド(3代目)の特徴
※上図:10系シエンタの全景
10系シエンタは2022年8月に登場した。クルマの骨格となるプラットフォーム(車台)には、GA-Bを採用した。
このプラットフォームをベースに、主要な骨格を連結させた環状骨格構造を採用している。さらに結合部の剛性を向上させたことで、軽量でありながらバランスの取れた高剛性ボディを実現し、上質な乗り心地と優れた操縦安定性を両立させている。
また、車両主要骨格に採用されている構造用接着剤や、ルーフパネルに採用されているマスチックシーラーの一部を高減衰タイプにすることで、操縦性、乗り心地、静粛性を向上させているのが特長だ。
現行型である10系シエンタのボディサイズは、全長4,260mm×全幅1,695mm×全高1,695mm(ハイブリッド4WD車は1,715mm)だ。新設計のプラットフォームは、フロア地上高が330mmと低く、段差のないフラットなフロアを実現している。パワースライドドアの開口部を1,200mm(従来型比+60mm)に拡大することで、後席への乗り降りがよりスムーズになった。
バックドアの開口部の高さは、従来型より15mm拡大、さらに荷室高も20mm高くなった。荷物の出し入れがよりラクに行えるようになっている。荷室空間を最大にすると、27インチタイヤも積載出来るほどの広大な空間が出現する。
10系シエンタに搭載しているパワートレインは、1.5Lガソリンと1.5Lハイブリッドの2タイプだ。
駆動方式は2WD(FF)が中心だ。ハイブリッド車にはE-Fourという電気式4WDを設定している。従来はガソリン車に4WDが設定されていたが、新型シエンタではハイブリッド車に待望の4WDを設定した。安定感のある走りとハイブリッド車の超低燃費性能を得ため、降雪地域に住む人にとってのメリットが強まった。
燃費性能はガソリン車が18.3~18.4km/L、ハイブリッド車は25.3~28.8km/L(それぞれWLTCモード)と優れた性能を発揮している。
日産 C27型セレナe-POWER(5代目)の特徴
※上図:C27型セレナe-POWER(マイナーチェンジ前)の全景
C27型セレナは、2016年8月に発売開始した。新世代日産のデザインアイコンである「Vモーション」をフロントグリルに採用している。さらに3代目モデルから取り入れられているサイドウィンドウ下端部のシュプールラインを継承するなど、日産の新旧のデザインエッセンスが取り入れられている。
C27型セレナは5ナンバーサイズだ。全長×全幅×全高は以下の通り。
ハイウェイスター |
4,770mm×1,740mm×1,865mm |
標準グレード |
4,770mm×1,695mm×1,865mm |
室内長は先代モデルより180mm延長され3,240mmとなり、当時クラストップの室内空間の広さだった。
装備面ではオートスライドドアが改良され、利便性が高まっている。
- ハンズフリーオートスライドドア(インテリジェントキーを身に着けている状態でスライドドアの下にキック操作するだけでドアが自動開閉)
- デュアルバックドア(上部のガラス部分のみの開閉も可能なハーフバックドアを採用)
2018年2月には、e-POWERという1.2Lエンジンを使ったシリーズハイブリッドが追加された。搭載されている1.2Lエンジンは発電のみを行い、駆動は発電した電力を使いモーターで行う。駆動方式は2WDのみで、WLTCモードで17.2~18.0km/Lという低燃費性能を発揮している。
※上図:C27型セレナe-POWER(マイナチェンジ後)の全景
C27型セレナe-POWERは、2019年8月にマイナーチェンジを行った。内外装の変更と同時に、安全装備を拡充させている。
運転支援機能は以下の機能などが全車標準装備となった。
- インテリジェント BSI(後側方衝突防止支援システム)…走行中に隣接レーンの後側方の接近車両との接触回避を支援
- BSW(後側方車両検知警報)
- RCTA(後退時車両検知警報)…後退時、後方を横切ろうとする車両を検知して注意喚起
さらに2020年に行った一部改良で、インテリジェントFCW(前方衝突予測警報)が全車に標準装備され、安全性が向上している。
燃費性能や運転支援機能は新しいモデルのほうが向上している。ただし、C27型セレナe-POWERは、2019年のマイナーチェンジ以降のモデルを狙えば、現行モデルとそれほど差がないと言える。
圧倒的な低燃費性能のシエンタハイブリッド。まずまずの燃費となったセレナe-POWER
1.燃費性能
3代目 10系シエンタハイブリッドの評価は 5.0
5代目 C27型セレナe-POWERの評価は4.0
10系シエンタ(1.5Lハイブリッド車)と、C27型セレナe-POWER(1.2L e-POWER)の燃費(双方WLTCモード)は下記の通りだ。
|
FF(2WD) |
4WD |
シエンタ |
28.2~28.8km/L |
25.3km/L |
セレナe-POWER |
17.2~18.0km/L |
- |
10系シエンタとC27型セレナは、それぞれガソリン車とハイブリッド車が存在する。今回燃費性能に関しては、ハイブリッド車のみ言及する。
ボディサイズはC27型セレナe-POWERのほうが大きく、広い室内空間を確保している。全長は510mm長く、全高は170mm高い。これだけボディサイズが異なると、車重も重い。そのため、10系シエンタハイブリッドの燃費性能はC27型セレナe-POWERを大きく上回る。
10系シエンタは優れた燃費値を誇る。同じクラスのライバル車であるホンダ フリードに対しても圧倒的な差をつけるほどだ。
対するC27型セレナe-POWERの燃費は、トヨタ ヴォクシー&ノアには及ばないものの、Mクラスミニバンの中では、及第点といったところだ。
とにかく燃費値重視であれば、10系シエンタ。室内の広さを重視しながら、できるだけ燃費が良いミニバンであれば、C27型セレナe-POWERという選択になるだろう。
後期型でも200万円台前半で手に入る中古C27型セレナe-POWER
2.価格比較
3代目 10系シエンタハイブリッドの評価は 4.0
5代目 C27型セレナe-POWERの評価は4.0
10系シエンタハイブリッドの新車価格と、C27型セレナe-POWERの中古車相場を比較した。
【10系シエンタ/新車価格】
- ハイブリッドX 5人乗り(エントリーグレード)FF(2WD)…238万円
- ハイブリッドZ 7人乗り(最上級グレード)4WD…310万8000円
【C27型セレナe-POWER/中古車相場】
- 2020年式…約220~320万円
10系シエンタハイブリッドの新車価格と、C27型セレナe-POWER(2020年式)の中古車相場は、ほぼ同等の価格帯になった。
どうしても4WDが良いなら、10系シエンタハイブリッドという選択になる。C27型セレナe-POWERには、4WDの設定がないためだ。だがC27型セレナe-POWERの2020年式は、まだ1回目の車検を通した直後くらいの高年式車なので、なかなか魅力的といえる。
ボディサイズクラスが異なる2台のどちらを購入するか検討する上で、最も重要なのは3列目シートの使用頻度と荷室の広さだろう。
コンパクトミニバンの現行型シエンタは、燃費性能や取り回し面で有利だ。しかし3列目シートの居住性や荷室の広さは、ボディサイズの大きな旧型セレナe-POWERには及ばない。
10系シエンタハイブリッドの安全性能は、最新の予防安全パッケージ「トヨタセーフティセンス」を全車に標準装備している。
- プリクラッシュセーフティ(事故割合が高い交差点でも支援)
- 検知範囲は車両、歩行者、自転車運転車に、自動二輪車(昼)
- プロアクティブドライビングアシスト(運転の状況に応じたリスクを先読みして、ドライバーのステアリングやブレーキ操作をサポート)
さらに、縦列駐車や車庫入れ時のアクセル、ブレーキ、ハンドル操作、シフトチェンジの全操作を車両が支援する高度運転支援技術「トヨタチームメイト」の機能「アドバンストパーク」を設定するなど、先代モデルから大きく進化している。
一方のC27型セレナe-POWERは、同一車線内の運転支援システムである「プロパイロット」を一部グレードに採用している。
そのほかにも以下の機能を搭載している。
- スマート・ルームミラー
- アラウンドビューモニター
- エマージェンシーブレーキ
- 踏み間違い衝突防止アシスト
- LDW(車線逸脱警報)
- インテリジェントパーキングアシスト(駐車枠を指定すると自動でステアリング操作を行い、駐車や車庫入れをサポート)
2019年8月のマイナーチェンジの際には、日産車初の「アダプティブLEDヘッドライトシステム」などを採用し安全性を向上している。これは、搭載されているフロントカメラで前方の状況を検知し、対向車や先行車の有無に応じて両側に12個ずつ配置されたLEDの照射パターンを変化することにより対向車がいる状態でもハイビームの維持が可能となる機能だ。
さらに、2020年に行った一部改良で、安全性の向上として、インテリジェントFCW(前方衝突予測警報)を全車に標準装備した。
装備面でC27型セレナe-POWERは高価格車らしい充実度が目立つ
C27型セレナe-POWERの装備の中で、特筆したいのがデュアルバックドアだ。これはラゲッジルームに荷物を入れる際に、バックドアのガラス部分だけを開閉できる機能だ。バックドアの大きなミニバンの場合、スペースがないと開閉できない。だが、デュアルバックドアがあると狭い場所での荷物の出し入れが可能で非常に重宝する。
また、C27型セレナe-POWERは、ボディサイズの大きさを活かしたシートアレンジの多彩さも有している。売れ筋グレードにはサードシートにスライド機構が採用されており、居住性はより向上する。
そして、C27型セレナe-POWERの装備で最も注目すべき点は、オプション設定のプロパイロットだ。高速道路でアクセル、ブレーキに加えてハンドル操作も行う同一車線運転支援機能である。慣れてしまえば、プロパイロット無しでは、高速道路を走りたくないと感じてしまうほど利便性が高い。
C27型セレナe-POWERの中古車は、グレードによる装備差が大きい。また、流通している中古車のほとんどがエアロパーツを装着した3ナンバー車のハイウェイスター系だ。売れ筋グレードのハイウェイスターVそして上級グレードのGのプロパイロット装着車を狙うのがベストな選択と言える。
シエンタの納期は約4カ月。需要期前なら、お得なC27型セレナe-POWER
3.購入時の値引き術
3代目 10系シエンタハイブリッドの評価は 3.0
5代目 C27型日産セレナe-POWERの評価は 3.5
10系シエンタハイブリッドの新車納期はガソリン車、ハイブリッド車ともに4ヶ月待ちとなっている(2023年12月末現在、トヨタホームページより)。若干、納期は短くなっているようだ。
これだけ納期が長いと、売り手が有利だ。値引きを要求すれば、商談期間が長引き、納期も延びてしまう。最終的には、大幅値引きするくらいなら、売らない方がいいという判断にもなりかねない。
そのため、あまり値引きは期待できない。10万円程度がまずまずの値引き額で、それ以上なら良好といえるだろう。値引き交渉が行き詰まったら、用品値引きなどに切り替えることをお勧めする。
一方、C27型セレナe-POWERは中古車での購入となるため、基本的に値引きはないものと考えたい。もし、容易に大幅値引きが提示された場合は、慎重に車両を見るなり、比較するとよいだろう。
中古車を購入するには、1~3月は絶好のタイミングだ。多くの中古車店が決算直前で、最もクルマが売れる繁忙期になるからだ。こうした時期であれば、中古車でも値引き交渉に応じてもらえるケースも多くなる。現金値引きが厳しい場合、有料保証や用品サービスなどに切り替えるとよい。
流通台数の多いC27型セレナe-POWERの中古車ならば、自分の条件にあったクルマを見つけやすい。中古車は一期一会なので、繁忙期の1~3月に探すのが正解だ。
ペットを彷彿させるデザインの10系シエンタとプレーンなC27型セレナe-POWER
4.デザイン比較
3代目10系トヨタ シエンタハイブリッドの評価は 4.0
5代目C27型日産セレナe-POWERの評価は4.0
10系シエンタは、愛くるしい表情で家族の一員をアピール
※上図:10系シエンタの全景
10系シエンタのデザインキーワードは「Active&Emotional」だ。
一方、C27型セレナのデザインキーワードは、標準車が「家族を包み込む明朗なハッピーカプセル」、ハイウェイスターが「ダイナミックな高速カプセル」となっている。
10系シエンタは、アクティブさを狙った先代モデルから、ライフツールとしての機能性を表現する「Emotive Life Tool」“日常を彩り、愛着が沸くちょっといいモノ”という方向へシフトしている。コーナー部を丸くすることで、ボディをコンパクトに見せる効果だけでなく、取り回しの良さにもつながる“シカクマル”シルエットを採用している。
※上図:10系シエンタのフロントフェイス
フロントマスクにあるフロントグリルのモールは、グレードによってブラックと金属調加飾により、親しみやすさを演出した。運転席からの見切りも良くなり、運転しやすさにも貢献している。
※上図:10系シエンタのリヤエンド
サイドビューは、ボディ下部に装着されたプロテクションが、ツール感や安定感を演出している。どことなくフランス車のような香りを漂わせる。リアビューは、高い位置にリアコンビネーションランプを装着することで、リアハッチの開口幅を拡大できるだけでなく、安定感のあるスタイルのデザインとなっている。
C27型セレナ ハイウェイスターは、大きなフロントグリルで存在感を演出
※上図:C27型セレナe-POWERの全景
C27型セレナの前期型(2018年~2019年販売)は、より精悍で立体的な力強いイメージをアピールしている。二段構成のヘッドランプと日産車のアイコンであるVモーショングリルで日産らしさを表現した。
サイドはセレナのトレードマークであるシュプールラインをより伸びやかにし、スポーティな印象を与えると同時にドライバーの視界の良さを両立させている。
※上図:C27型セレナe-POWERのフロントフェイス
2019年8月に行ったマイナーチェンジで、ハイウェイスター系は特徴的な専用パーツを採用した。
- ダブルVモーショングリル
- クロームを贅沢にちりばめた宝石のようなグリルパターン
- 上品さで押し出しの強いフロントマスク
- 縦長のリアコンビランプ
セレナが持つ品格のある佇まいはそのままに、より力強くスポーティに進化している。
※上図:C27型セレナe-POWERのリヤエンド
サイドビューは、フローティングルーフを採用した。AピラーとDピラーをブラック化し、まるでルーフが浮いているかのように見える。ハイウェイスターは、ボディ面と専用サイドシルプロテクターとの一体感にこだわっている。
リアビューには、次世代の日産デザインの象徴となる「ブーメランランプシグネチャー」を用いている。リアのセンターにフォーカスしたデザインにより、スピード感とシャープさを表現した。
2019年8月のマイナーチェンジでは、これまでの水平基調のフロントグリルから、人気の縦長の大きなフロントグリルへと変更した。スポーティ感とともに存在感を強調している。
マイナーチェンジ後のモデルは、それほど古さを感じさせないのも魅力のひとつだ。
広いた室内空間と、使い勝手の良さが魅力のC27型セレナe-POWERが優位
5.室内空間と使い勝手
3代目 10系シエンタハイブリッドの評価は 3.5
5代目 C27型セレナe-POWERの評価は 4.5
現行型である10系シエンタと旧型であるC27型セレナe-POWERのボディサイズ・室内サイズ・荷室容量を比較した。*室内サイズは参考値
【3代目 10系シエンタ】
全長×全幅×全高 |
4,260mm×1,695mm×1,695mm |
ホイールベース |
2,750mm |
室内長×室内幅×室内高 |
2,545mm×1,530mm×1,300mm |
荷室容量 |
177~724L(5人乗車時) |
【5代目 C27型セレナ】
全長×全幅×全高 |
4,770mm×1,740mm×1,865mm |
ホイールベース |
2,860mm |
室内長×室内幅×室内高 |
3,240mm×1,545m×1,400mm |
荷室容量 |
357~800L(5人乗車時) |
※上図:10系シエンタの運転席
※上図:10系シエンタの2列目シート
※上図:10系シエンタの3列目シート
10系シエンタとC27型セレナで最も異なるのが、ボディの長さだ。旧型セレナe-POWERは全長で510mm、室内長で695mm上回っている。この差がリアシートやサードシートの居住性に加えて、ラゲッジスペースの容量に大きな影響を与えている。
※上図:10系シエンタの荷室
※上図:C27型シエンタe-POWERの荷室
ラゲッジ容量は、サードシートを格納した状態の差は小さいが、フル乗車した際の容量はC27型セレナが倍となっている。
このように、コンパクトミニバンの10系シエンタと、ミドルサイズミニバンのC27型セレナでは、3列目シートまで使用した時のラゲッジスペースと3列目シートの居住性に大きな差が出る。
※上図:C27型シエンタe-POWERの運転席
※上図:C27型シエンタe-POWERの2列目シート
※上図:C27型シエンタe-POWERの3列目シート
広さではボディサイズが大きいC27型セレナが10系シエンタを圧倒する。だが、狭い駐車場などでの扱いやすさは10系シエンタが勝る。最小回転半径は、10系シエンタが5.0m、C27型セレナが5.5~5.7mだ。この差は大きい。
ボディサイズのクラスが異なるので、室内空間の広さや使い勝手ではC27型セレナが優位だ。対する10系シエンタは、ボディサイズの小ささから得られる運転のしやすさや、狭い場所での扱いやすさがメリットとなる。
やや差が付いた自動ブレーキの検知機能
6.安全装備&運転支援機能の比較
3代目 10系シエンタハイブリッドの評価は 4.0
5代目 C27型セレナe-POWERの評価は 3.5
10系シエンタとC27型セレナでは、予防安全装備である自動ブレーキの検知機能に差がある。10系シエンタの自動ブレーキは、昼夜の歩行者と自転車、昼間の自動二輪、右左折時の歩行者と自転車、右折時の対向車両に対応している。しかし、C27型セレナは歩行者のみだ。
その他の予防安全装備は、5代目C27型セレナの2019年マイナーチェンジ後が充実している。10系シエンタに対して、グレードによる差が小さい。
※上図:10系シエンタのインパネデザイン
10系シエンタは、エントリーグレードのXは、ブラインドスポットモニターとパーキングサポートブレーキ(後方接近車両)がオプションとなる。
レーダークルーズコントロール(全車速追従機能付)は、ハイブリッド車のZにだけ停止保持機能がついている。
※上図:10系シエンタのメーター
また、Zグレードはアクティブハイビームシステム(AHS)が標準装備となるが、GとXは簡易型のオートマチックハイビームを標準装備している。そして、ハイブリッド車のZのみにドライバー異常対応システムが標準装備となる。
高度な運転支援機能であるトヨタチームメイトアドバンスドパーク+パーキングサポートブレーキ(周囲停止物)はハイブリッド車のZにのみオプション設定されており、ハイブリッド車のZを選ばないと装着できない。
※上図:C27型セレナe-POWERのインパネデザイン
その一方で、C27型セレナは、プロパイロット、インテリジェントパーキングアシスト(駐車システム)、インテリジェントDA(ふらつき防止)などがエントリーグレードのZやハイウェイスターを除く全グレードにオプション設定されている。そのほかは全グレードで標準装備となっており、高価格車らしく安全装備が充実している。
※上図:C27型セレナe-POWERのメーター
5ナンバーサイズの標準モデルであるXVやGもプロパイロットを装着可能だ。だが、中古車の流通台数が圧倒的に多いのはハイウェイスターVだ。このグレードに絞ってプロパイロット付きを狙えば、3代目10系シエンタと近い予防安全・運転支援装備となる。
安定感あるシエンタ。乗り心地重視のセレナ
7.走行性能の比較
3代目 10系シエンタハイブリッドの評価は 4.0
5代目 C27型セレナe-POWERの評価は 3.5
10系シエンタハイブリッドとC27型セレナe-POWERのハイブリッドシステムのスペックは以下の通りだ。
|
最高出力 |
最大トルク |
3代目10系シエンタハイブリッド(1.5L) |
116ps(システム出力) |
- |
5代目C27型セレナe-POWER(1.2L) |
136ps(フロントモーター) |
320N・m |
【10系シエンタハイブリッド】高効率なハイブリッドシステムの採用で心地良い走りを実現
※上図:10系シエンタのエンジンルーム
10系シエンタは1.5Lガソリン車と1.5Lエンジンのハイブリッド車の2種類があるが、ここではハイブリッドのみ解説する。
10系シエンタハイブリッドの1.5L直列3気筒エンジンは、小型・軽量化を徹底的に追求した。クラストップレベルの低燃費・動力性能・環境性能を発揮する。
高速燃焼により熱効率の向上を実現し、最大熱効率は40%以上を達成している。低回転域からトルクフルな加速フィーリングにより、実用域での軽快感と燃費向上を高次元で両立させているのが特長だ。この1.5 Lエンジンを搭載したハイブリッドシステムは、エネルギーロスを抑えスムーズな加速性能とクラストップレベルの燃費性能を両立している。
プラットフォームは、低重心なGA-Bをベースに最適化した。背の高いミニバンながら、コーナリング時やブレーキング時の揺れを抑制している。運転のしやすさに加え、乗員に安心感を提供できる。
C27型セレナと比べると、安定感は10系シエンタが上回る。乗り心地は、やや硬めだが不快感はない。意外なほどキビキビ走る。
【C27型セレナe-POWER】電動車らしいスムーズな走りは、乗員みんなに優しい
※上図:C27型e-POWERのエンジンルーム
C27型セレナは、2018年2月に新パワートレインであるe-POWERが追加された。e-POWERは、1.2L直3気筒ガソリンエンジンで発電し、その電力を使いモーターを駆動させ走行する。駆動用モーターは、電気自動車であるリーフ用を流用した贅沢なシステムだ。
駆動用モーターは最高出力136ps、最大トルクは320Nmを発生させる。車両重量の重いミニバンのセレナでも、スムーズで力強い加速性能を実現した。
だが充電制御が惜しい。停止時に頻繁にエンジンが始動し充電する。やや高めのエンジン回転数で発電するので、停車中に充電が始まると、やや賑やかに感じるだろう。停止時に充電しない状況であれば、静粛性は高い。
走行安定性は、10系シエンタが勝る
走行安定性などの運動性能は、全高が低く、低重心のGA-Bプラットフォームを採用した10系シエンタが上回る。C27型セレナは重心が高いので、速度が上がるほど少し不安定な印象が強くなる。
乗り心地は、好みによる。やや硬めのしっかりした乗り心地が好きなら10系シエンタ。ややフワッとした乗り心地が好みなら、C27型セレナだろう。
駆動方式にも差がある。C27型セレナe-POWERは、FF(前輪駆動)しか選べない。10系シエンタハイブリッドは、FFに加え4WDも選択可能だ。
人気の高いハイブリッドミニバンだが、リセールバリューの高さは10系シエンタが圧倒!?
8.リセールバリュー比較
3代目 10系シエンタハイブリッドの評価は 4.5
5代目 C27型セレナe-POWERの評価は 4.0
C27型セレナe-POWERの2020年式の中古車相場は、約200~320万円だ。新車価格の約67~86%といった状況だ。
170系シエンタハイブリッドの中古車相場は、約170~230万円。新車価格の約77~88%となった。(10系シエンタハイブリッドはまだ登場したばかりのモデルなので、2代目にあたる170系シエンタハイブリッドで比較した。)
170系シエンタハイブリッドとの比較なので、あくまで参考値だが、シエンタハイブリッドのリセールバリューの高さが際立つ結果となった。
3代目10系シエンタハイブリッドの新車販売は絶好調だ。人気の高さから、170系シエンタハイブリッドを超えるリセールバリューになる可能性も高い。
こうした傾向を踏まえると、リセールバリューに関しては、10系シエンタハイブリッドが有利といえる。
もちろん、C27型セレナe-POWERも人気ミニバンなので、リセールバリューは高い部類に入る。
普段5人しか乗らないならば10系シエンタ。3列目シートを頻繁に使うならばC27型セレナ
9.まとめ・総合評価
10系シエンタハイブリッドとC27型セレナe-POWERは異なるハイブリッドシステムを使うが、どちらもスムーズな加速性能と高い静粛性を両立している。
両車どちらかを選択する際にポイントとなるのが、室内スペースの重要度だ。3列目シートの使用頻度とも言える。
例えば、2世帯家族で、頻繁に3列目シートを使うのであれば、C27型セレナe-POWERが便利だ。3列目シートの実用性も高く、大人が乗ってもそれほど不満はない。
「より大きなスペースが欲しいが、新車のMクラスミニバンは予算的に厳しい。我慢して、1クラス下の新車コンパクトミニバンを…」と考えているのなら、中古車でC27型セレナe-POWERを選んだ方がよいだろう。
対する10系シエンタハイブリッドの3列目シートは、小さな子ども用だ。大人は短距離移動用と割り切る必要があり、実用的とは言い難い。だが、燃費性能や予防安全性能、リセールバリューでは、10系シエンタハイブリッドが有利になる。
このように、どのようにクルマを使いたいかによって選択肢は変わる。中古車も選択肢のひとつとして入れることで、予算内でより自分にピッタリなクルマが見つかるはずだ。
シエンタハイブリッド |
セレナe-POWER |
|
総合得点(40点満点) |
32.0 |
31.0 |
1.燃費 |
5.0 |
4.0 |
2.価格 |
4.0 |
4.0 |
3.購入時の値引きしやすさ |
3.0 |
3.5 |
4.デザイン |
4.0 |
4.0 |
5.室内空間と使い勝手 |
3.5 |
4.5 |
6.安全装備 |
4.0 |
3.5 |
7.走行性能 |
4.0 |
3.5 |
8.リセールバリュー |
4.5 |
4.0 |
10系トヨタ シエンタトヨタ シエンタのスペック
10系トヨタ シエンタハイブリッド新車価格帯
- ハイブリッドX(FF、5人乗り):2,578,000円
- ハイブリッドZ(4WD、7人乗り):3,108,000円
代表グレード |
ハイブリッド Z 2WD 7人乗り |
全長×全幅×全高 |
4,260mm×1,695mm×1,695mm |
ホイールベース |
2,750mm |
最低地上高 |
140mm |
車両重量 |
1,370kg |
エンジン型式 |
M15A-FXE |
エンジンタイプ |
直列3気筒DOHC |
総排気量 |
1,490cc |
最高出力 |
91ps(67kw)/5,500rpm |
最大トルク |
120N・m(12.2kgm)/3,800~4,800rpm |
モーター型式 |
1NM |
モーター最高出力 |
80ps(59kw) |
モーター最大トルク |
141N・m(14.4kgm) |
システム出力 |
116ps |
燃費(WLTCモード) |
28.2km/L |
駆動方式 |
前輪駆動(FF) |
トランスミッション |
電気式無段変速機 |
サスペンション型式 |
前:ストラット、後:トーションビーム |
タイヤサイズ前後 |
185/65R15 |
最小回転半径 |
5.0m |
C27型日産セレナe-POWERのスペック
C27型日産セレナe-POWER中古車相場
- 約200~320万円:
代表グレード |
ハイウェイスターV 2WD (2019年8月マイナーチェンジ後モデル) |
全長×全幅×全高 |
4,770mm×1,740mm×1,865mm |
ホイールベース |
2,860mm |
最低地上高 |
140mm |
車両重量 |
1,760kg |
エンジン型式 |
HR12DE |
エンジンタイプ |
直列3気筒DOHC |
総排気量 |
1,198cc |
最高出力 |
84ps(62kw)/6,000rpm |
最大トルク |
103N・m(10.5kgm)/3,200~5,200rpm |
モーター型式 |
1NM |
モーター最高出力 |
136ps(100kw) |
モーター最大トルク |
320N・m(32.6kgm) |
燃費(WLTCモード) |
18.0km/L |
駆動方式 |
前輪駆動(FF) |
トランスミッション |
- |
サスペンション型式 |
前:ストラット、後:トーションビーム |
タイヤサイズ前後 |
195/65R15 |
最小回転半径 |
5.5m |
シエンタのカタログ情報
- 現行モデル
- 令和4年8月(2022年8月)〜現在
- 新車時価格
- 195.0万円〜323.5万円
シエンタの在庫が現在456件あります
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