BMW中古車はやめた方がいい?安い理由と購入の注意点を解説

BMW中古車はやめた方がいい?安い理由と購入の注意点を解説

BMWは高級輸入車ブランドの一つだ。中古車価格が高く、購入を失敗したくないと思う場合もあれば、中古車価格が安すぎる車があり不安に思う場合もあるだろう。今回はBMWの中古車をやめた方がいいと思われる理由や購入時の注意点について解説する。

BMWの中古車はやめた方がいい? その理由は?

根拠なき「輸入車は壊れやすい」というイメージが原因

1965年に自動車の完全輸入自由化が始まって以降、日本には数多くの海外メーカーのクルマが輸入されてきた。その当時、日本車も含め品質はまだ低く、クルマが壊れることはよくあることだった。

その後、日本車は「壊れない」ことを重要視し品質を高めていった。高い品質で世界のマーケットを席巻したのだ。

その一方、日本車品質に追いつけない輸入車メーカーも多かった。「日本車よりもはるかに高額な輸入車なのに、日本車より頻繁に壊れる」という口コミが広がり「輸入車は壊れやすい」という都市伝説が生じたと思われる。

マイナスのイメージが先行したのは、BMWだけの問題でなく、輸入車全般にこうした傾向がある。

BMW中古車が安い、と思われる理由とは?

高級輸入車であるBMWだが、安い中古車があると「何か不具合があるのではないか?」と不安に思うだろう。BMWの中古車が安いと思われる理由は大きく3つある。

  • 新車購買層の傾向(中古車になると、買い手が少なくなる)
  • ボディタイプ毎の人気傾向(BMWの中古SUVは高値維持)
  • 未使用車の存在

中古車になると、買い手が少なくなる

BMWは、プレミアムブランドだ。新車価格は、最も安価なコンパクトカーであっても約400万円を超えるため、高額車に分類される。そのため、新車で購入できる顧客は金銭的に余裕がある人に限られる。こうした人々は、やはり新車を好む傾向にある。中古車で高額なプライスタグが付けられていると、なかなか買い手が見つからないので価格を下げていくしかないのだ。

 

BMW車全般に言えるのが、グレードによる価格差だ。BMWの多くの車種には、エアロパーツや大径ホイール、専用サスペンションなどを装着したスポーティグレード「Mスポーツ」がある。高値をキープしているMスポーツと他のグレードでは、中古車価格に大きな差がある。こうしたMスポーツ車以外のモデルが、BMWの中古車がより安価に見せている。

BMWの中古SUVは高値維持

中古車価格は、マーケットでの人気に比例する。そのため、ただ単純にBMWの中古車が安い訳ではない。確かに、日本で人気の低いセダン系やコンパクト系は、中古車価格も安価傾向にある。

しかし、こうした傾向は、国産車でも同じだ。白熱するSUV人気によって、国産車だけでなくBMWの中古SUVも高値を付けている。これは、どの輸入車も同様な傾向にある。

未使用車の存在が中古車価格を下げている

BMWだけではないが、多くのインポーターが未使用車を生み出していることも中古車価格を下げている原因のひとつと言える。

未使用車とは、メーカーやディーラーの都合で、買い手がいないのに登録しただけの車両を指す。一度登録すると中古車扱いになるため、中古車店に並ぶ。こうした未使用車は、インセンティブの関係や長期在庫車の処分などで生まれるケースが多い。

未使用車は、ほぼ新車状態ながら、新車価格と比べると大幅に安価になっている。中には新車コンディションなのに100万円以上も安くなっている車両が出てくることがあるほどだ。

 

未使用車が多くなると、高年式の中古車は価格を下げないと売れなくなる。つまり、未使用車が増えれば増えるほど、中古車相場は下落傾向になるのだ。

ただ、買い手にとって未使用車は、大きなメリットがある。自分好みの色やグレード、オプション装着車であれば、とにかく安価に買える。一度登録されたとはいえ、ほとんど新車状態なので安心だ。

ただし、新車登録から半年以上経過している車両は新車コンディションとはいえないので注意が必要だ。

BMW中古車、購入時の注意点

BMWの中古車購入で注意すべき点は他の輸入中古購入時に気にする点と同様だ。ただ、スポーツモデルが多いBMWについてはカスタマイズやサーキット走行がされていた車両であったのかは注意が必要だ。具体的な例をあげながらBMW中古車購入の注意点を解説する。

中古車相場より極端に安価な車両は要注意

中古車相場は、中古車検索サイトなどで、車種・グレード・年式を選択し、価格が安価な順に並べてみると、おおよその相場が分かってくる。

中古車店は、多くの利益を上げたいと考えるが、高価すぎると売れないため、中古車相場を注視しながら価格付けをする。そのため、中古車相場より極端に安価な場合、何かしらの理由があるのでは? と、疑ってみることが重要だ。基幹部分の調子が悪いとか、どこかが壊れそうなど、売り手にとって都合の悪いことが隠されているかもしれない。

カスタマイズした車両、サーキット走行した車両は要注意

BMWはスポーティなモデルが多く、カスタマイズされた中古車もよく流通している。ホイール程度の変更で、純正ホイールが付属しているのであれば、それほど気にする必要はない。

しかし、ローダウンされていたり、社外のエアロパーツなどが装備されている車両には注意が必要だ。車体に負荷かかかっている可能性も高く、車両のコンディションが良いとはいえないからだ。

特に注意したいのはハイパフォーマンスモデルの「Mスポーツ」だ。Mスポーツには、サーキットを走行した履歴がある車両もある。修復歴が無く、点検をしっかりと受けていても、サーキット走行は、車体のいたるところに負荷がかかっている。不具合が早く出る可能性が高くなっているので、サーキット走行の履歴がある車両はなるべく避けた方がよい。

輸入車ビギナーは、高年式車両を選ぶようにしよう

BMWに限らず、輸入車ビギナーは、高年式車両を選ぶと無難だ。

クルマは経年劣化する。そのため、年式が古く走行距離が多い車両ほど、故障のリスクが高くなるからだ。

また、高年式車であれば中古車でも新車の保証継承が可能だ。手厚い新車保証が受けられれば、大きな故障時でも安心して乗ることができる。

安価な低年式車は、修理コスト大

BMWのフラッグシップセダンである7シリーズは、低年式になるとかなり安価に買える高級車だ。2016年式740i Mスポーツだと400万円以下で手に入るようになっている。新車価格が約1400万円だったので、新車価格の30%ほどの価格にまで落ちている。

車体は安価なのだが、整備費用や部品代などはフラッグシップセダン7シリーズらしく、かなり高価になる。

仮になんらかの故障があり修理が必要になった場合、輸入車の修理費や部品代はかなり高い。維持できなくなりすぐに売却する人も少なくない。

BMWお勧め中古車3選

BMWの購入検討で「やめた方がいい」と不安に思われる人に向けて、おすすめの3車を紹介する。高年式を狙えかつ、中古車価格も抑えめにしやすい車種を厳選した。

優れた実用性を兼ね備えたスポーツセダン

BMW3シリーズ(7代目G20系)

7代目BMW3シリーズ(G20系)は、2019年にデビューしたFR(後輪駆動)のセダンだ。2022年の新車販売で最も売れた、国内BMWの基幹モデルだ。

BMWらしい、走る楽しさが凝縮されたモデルでもある。特に、人気グレードのMスポーツは、正確無比のシャープなハンドリングとスポーティなルックスで多くのファンを獲得している。

さらに、高性能な運転支援機能が用意されている。一定の条件をクリアすると、高速道路上などの渋滞時にハンズオフが可能となる機能だ。高性能3眼カメラによって実現した。

2019年登場モデルながら、現在でも高いレベルの運転支援・予防安全機能をもつ。

 

そんな7代目3シリーズだが、2022年9月にマイナーチェンジを行った。これにより、マイナーチェンジ前の中古車は価格をやや下げており買い得感が出てきている。

320d xDrive Mスポーツ(2021年式)

※上図:320d xDrive Mスポーツ(2021年式)

マイナーチェンジ前である7代目3シリーズのお勧めグレードは、万人向けする320d xDrive Mスポーツだ。2.0Lディーゼルターボエンジンを搭載し、190ps&400Nmを発揮する。燃費も15.3km/L(WLTCモード)と良好だ。xDriveは4WDなので、降雪地域を走ることがある人にもお勧めできる。

320d xDrive Mスポーツの2019年式中古車相場は、約350~430万円だ。新車価格は約630万円だったので、新車価格の約56~68%となっている。なかなかリーズナブルな価格帯と言える。

 

より先進性の高いPHEVである、もお勧めだ。通常走行なら、EVで56.5km/L(WLTCモード)の距離を走行可能だ。日々の買い物や送迎、通勤などの短距離移動では、ほとんどガソリンを使わない生活が可能になる。電力が無くなると、ハイブリッド車として走行するため、電欠の心配もない。短距離移動であれば、CO2の排出量もかなり少ないので、現実的な次世代車として注目されている。

最先端のPHEVである330e Mスポーツだが、中古車だとお買い得だ。まさに、あえて中古車で購入すべきモデルと言える。中古車相場は、2020年式で410~460万円程度だ。新車価格が620~670万円位だったので、新車価格の約66~69%にまで落ちている。これだけの高年式であれば、かなり買い得感がありお勧めだ。

 

安価にBMWらしさを楽しめるコンパクトスポーツハッチ

BMW1シリーズ(2代目F20)

2代目F20系BMW1シリーズは、2011~2019年まで発売された。1シリーズは、BMW車の中で最もコンパクトなモデルで、Cセグメントに属する。輸入車の直接的なライバル車は、フォルクスワーゲン ゴルフやメルセデス・ベンツAクラスなどが当てはまる。

 

魅力は、「販売当時も今もCセグメント唯一のFR(後輪駆動)車である」という点にある。FRにこだわるBMWの走る楽しさを、小さなボディに凝縮したモデルだ。M135系やM140 系のグレードでは、豪快なドリフト走行も実現する。スポーツカーといえる高い走行性能を誇る。また通常モデルは、価格も安価になってきておりBMWの神髄を知るエントリーモデルとして最適だ。

1シリーズM140系

※上図:1シリーズM140系

イチオシは、後期のM140系だ。このモデルは、BMW伝統の直6ターボエンジンを搭載しており、340ps&500Nmものハイパワーを誇るスポーツモデルだ。気持ちよく走るために生まれてきたクルマと言える。

M140系はマニアックなファン層に高い人気を得ているため、中古車相場は通常の1シリーズに比べると高めを推移している。2017年式の中古車相場は、約340~400万円となっている。新車価格が、620万円程度だったので、新車価格の55~65%を維持している。

シリーズ118d Mスポーツ

※上図:1シリーズ118d Mスポーツ

リーズナブルに1シリーズを楽しめ、実用的でお勧めなのが118d Mスポーツ系だ。直4 2.0Lディーゼルターボエンジンを搭載している。新車価格は約410~420万円だった。このモデルの2017年式中古車相場は、190~240万円程度だ。新車価格の46~57%にまで落ちている。走行距離も短く程度のよい車両も多いので、200万円台以下であればお買い得といえる。

118dスタイル

予算重視であれば、118dスタイルやスポーツという選択もよい。新車価格は390万円位で、中古車相場はMスポーツよりグッと安価になり、2017年式でおよそ140~200万円位だ。初輸入車としてチャレンジしてみるには、ちょうどよい価格帯と言える。

BMW SUVシリーズで最もコンパクトなモデル

BMW X1

2代目BMW X1は2015~2023年まで発売されたCセグメントのコンパクトSUVだ。全長は4,455mm前後と、日本でも扱いやすいサイズのSUVと言える。BMWのSUVラインアップにおいて、X1は最もコンパクトだ。

初代X1は、FR(後輪行動)だったが、この2代目からFF(前輪駆動)に変更されている。小さなボディながらスペース効率はアップし、よりゆとりある室内となった。

ボディサイズは小さいものの、デザインは大きく見え迫力がある。スポーティな走りと共に高く評価され、2017年には輸入車登録台数ランキング9位に入る人気モデルとなっている。

 

2023年2月に、3代目となるX1がデビューした。これにより、2代目X1の中古車価格は下落傾向になるため、人気SUVながら買い得感が出てくるのでお勧めだ。

X1  xDrive 18d Mスポーツ

※上図:X1  xDrive 18d Mスポーツ

中でも買い得感が出てきているのが、2019年のマイナーチェンジ前のモデルだ。特に2018年式 xDrive 18d Mスポーツをお勧めしたい。2.0Lディーゼルターボを搭載した4WD車だ。

Mスポーツは、スポーティな内外装をもち、最も人気がある。中古車相場は、2018年式で約290~330万円だ。新車価格が510万円程度だったので、新車価格の57~65%にまで下がっている。人気のSUVらしく高値を維持している。

3代目X1のデビューによって、今後、さらに2代目X1の中古車価格は下がると見込まれる。これからが買い時のモデルだ。

Xライングレード

予算重視であれば、人気のMスポーツ以外がお勧めだ。xDrive 18d Xライングレードもよい。2018年式で中古車価格は260~300万円位になる。新車国産BセグメントSUVの価格帯で、中古車とは言え1クラス上の車格でプレミアムブランドのBMWが手に入る。

BMWの中古車は、積極的に選んだ方がいい!

BMWの中古車はやめた方がいい、という根拠はどこにも見つからなかった。むしろ、BMWは、セダンを中心に中古車になると買い得感が増していて、積極的に選ぶべきメーカーといえる。

 

注意したいのは、低年式の車両だ。かなり安くなっていて、買い得感があるものの、故障リスクはそれだけ高くなる。

BMWだけではなく欧州車全般に言えるのが「クルマはしっかりとメンテナンスして、長く乗り続けるもの」と認識されていることだ。そのため、消耗品は比較的早いサイクルで交換する必要がある。どうしても低年式車の欲しいクルマがある場合、車両購入費で予算を使い切るのではなく、突然起こる故障の修理費やメンテナンス費として少なくとも50万円くらいの現金を手元に残しておくべきだ。

 

また、メンテナンスがしっかりと行われていない車両だと、大きな故障にもつながる。日本車のように、最低限のメンテナンスさえしていれば、滅多に壊れることがないというタイプのクルマではないと理解すべきだろう。メンテナンスコストをかけることができない、もしくはメンテナンスコストをかけたくない人は、中古輸入車は選ばない方がよい。

また、初めてBMWを探す人は各シリーズの違いや見分け方について以下で紹介しているので参考にしてみて欲しい。

ライター紹介

クルマ評論家 CORISM代表

大岡 智彦 氏

CORISM編集長。自動車専門誌の編集長を経験後、ウェブの世界へ。新車&中古車購入テクニックから、試乗レポートが得意技。さらに、ドレスアップ関連まで幅広くこなす。最近では、ゴルフにハマルがスコアより道具。中古ゴルフショップ巡りが趣味。日本カー・オブ・ザ・イヤー実行委員