【2023年】新型セレナは旧型とどう違う?新旧比較-日産セレナe-POWER

セレナ新旧比較

2022年~2023年、すべての国内Mクラスミニバンが最新モデルになる。国内では、SUVに次ぐ人気カテゴリだ。2022年の登録車販売台数ランキングではノアが11位、セレナが12位、ヴォクシーが13位、ステップワゴンが16位だ。
Mクラスミニバンのフルモデルチェンジで、最後発となった6代目C28型セレナe-POWER。今回は新型セレナと旧型である5代目セレナの新旧モデルを徹底比較、評価した。

日産セレナe-POWERの歴史・概要

セレナ歴代モデル

発売年

型式

初代

1991年~1999年

C23型

2代目

1999年~2005年

C24型

3代目

2005年~2010年

C25型

4代目

2010年~2016年

C26型

5代目(比較:旧型)

2016年~2022年

C27型

6代目(新型)

※2023年春

C28型

※6代目セレナのガソリン車は2022年12月に発売、e-POWERは2023年春発売予定。

初代日産セレナは、1991年に登場した。商用バンをベースとしていたため、FR(後輪駆動)だった。

1999年にデビューした2代目C24型セレナからは、現在のような乗用専用車でFF(前輪駆動)となった。このモデルが、ある意味セレナのルーツといえる。乗用専用となったことで、乗り心地や静粛性、室内スペース、シートアレンジなどが大幅に向上した。

2代目セレナは、ミニバンブームに乗り大ヒットを記録し、人気モデルへの道を歩むことになる。歴代セレナはビッグ、イージー、ファンというキーワードをコンセプトとして着実に販売台数を伸ばしていった。

 

2014年、トヨタがヴォクシー&ノアのハイブリッド車を投入する。C26型4代目セレナは2012年時点でマイルドハイブリッドを搭載したSハイブリッドを投入していた。だが燃費で大差がつき厳しい戦いが続いた。

旧型セレナ

※上図:旧型セレナ(5代目)

2016年に登場したC27型5代目セレナは、2018年の改良でノートe-POWERのシステムを用いたハイブリッドシステムを搭載し、発売直後から一気に販売台数を伸ばした。

5代目セレナには、デビュー当時の最先端だった運転支援機能であるプロパイロットを搭載した。こうした技術が高く評価され、2016-2017日本カー・オブ・ザ・イヤー、イノベーション部門賞を受賞している。

新型セレナ

※上図:新型セレナ(6代目)

2022年11月末、コロナ禍における半導体や部品不足が続く中、C28型6代目セレナe-POWERが発表された。シリーズハイブリッドシステムであるe-POWERシステムは、第2世代へバージョンアップを果たしている。また、「プロパイロット2.0」を標準装備したグレード「ルキシオン」が設定された。ナビで目的地を設定し、システムが一定条件をクリアした場合、高速道路上でハンズオフが可能となる機能だ。

コンセプト&エクステリアデザイン比較

新型セレナは迫力系デザインに先進性をプラス

C28型6代目日産セレナのデザインは、Mクラスミニバンのトレンドを踏襲した迫力系デザインだ。

大きな顔とグリルに、サイド上部の薄型LEDヘッドライトが組み合わされている。デザインは異なるが、手法としてはトヨタ ヴォクシーなどと同じだ。

6代目セレナのルキシオンとハイウェイスターは、顔全体がVモーショングリル風で、水平基調のグリルでワイド感を表現している。グリルのグラフィックで、先進感を上手く表現しており、先代セレナの面影は、ほとんど感じさせない。

やや古さを感じるようになった旧型セレナ(5代目)

C27型5代目日産セレナのデザインは、当時人気だったトヨタの迫力系デザインとはやや異なり、スポーティさが魅力だった。

顔の大きさを強調するのではなく、ボンネットのラインも前方に傾斜し、引き締まった軽快感ある印象を与えている。そこに、極太フレームのVモーショングリルを加え、迫力をアップさせている。

「フローティングルーフ」という、まるで浮いているように見える屋根がキャビンの広さを感じさせるデザインを採用するなど、独自性を追求していた。

全般にトヨタやホンダとは異なるデザインテイストで、オリジナリティがあるデザインといえる。ただ、2016年に登場したモデルということもあり、最近では少し古さを感じさせるようになってきた。

安全装備&インテリア比較

ハンズオフ機能をもつ最先端運転支援機能「プロパイロット2.0」が設定された6代目

C28型6代目日産セレナの自動ブレーキは、昼夜の歩行者や昼間の自転車を検知し衝突回避、もしくは被害軽減が可能だ。先代C27型セレナでは、歩行者のみだったので若干進化している。

しかし、交差点内での右左折時の歩行者や右折時の対向車などには対応しておらず、最新ヴォクシーなどと比べると、やや安全装備の機能は物足りなさを感じる。ただ、以下の予防安全装備は、全車標準装備されており安心できるレベルにある。

  • インテリジェント BSI(後側方衝突防止支援システム)
  • BSW(後側方車両検知警報)
  • RCTA(後退時車両検知警報)

5代目セレナでは一部オプションだったサイド&カーテンエアバッグは、6代目セレナでは全車標準装備化された。極端な進化ではないものの、6代目セレナの安全装備は着実に充実している。

 

大幅に進化したのは、運転支援機能である「プロパイロット2.0」が、最上級グレード「ルキシオン」に標準装備化されたことだ。他のグレードには、オプション装着できないのが悩ましい。

このプロパイロット2.0は、ナビで目的地を設定後、高速道路上で一定の条件を満たした場合、前方注視といつでも手動に切り替わってもOKな状態であれば、ハンズオフが可能となる。ハンズオフでの走行は、想像以上にドライバーの疲労軽減に効果がある。一度体験すると便利過ぎてやめられないくらいの機能だ。

自動運転時代を感じさせるこの装備は、日産車でも一部の車種しか装備されていない。こうした機能は、5代目セレナでは太刀打ちできない。

高級感で圧倒的な差となった新型と旧型のインパネデザイン

新型セレナのインパネ

※上図:新型セレナ(6代目)のインパネ

新型セレナのメーター

※上図:新型セレナ(6代目)のメーター

インパネデザインも、新旧セレナで大差がついている。6代目新型セレナでは、ルキシオンを除き、一部グレードで12.3インチカラーディスプレイがオプション選択可能だ。パネルタイプの先進的なデザインになっていて、高級感もある。スッキリまとめられたエアコンまわりや、水平基調でシンプルなデザインなど、高級感は6代目新型セレナが圧倒する。視界が良く、運転もしやすい。

旧型セレナのインパネ

※上図:旧型セレナ(5代目)のインパネ

旧型セレナのメーター

※上図:旧型セレナ(5代目)のメーター

広い室内もさらに進化

歴代日産セレナは、広い室内を誇り使い勝手も良好だった。新型セレナ(6代目)は、5代目セレナの改良版プラットフォーム(車台)を使っている。本来なら、先代モデルと同等程度の広さとなるケースが多いのだが、6代目セレナの室内はより広く使い勝手も改善された。

新型セレナの運転席

※上図:新型セレナ(6代目)の運転席

新型セレナの2列目シート

※上図:新型セレナ(6代目)の2列目シート

新型セレナの3列目シート

※上図:新型セレナ(6代目)の3列目シート

新型セレナの荷室

※上図:新型セレナ(6代目)の荷室

6代目セレナの有効室内長は、5代目セレナの2,610mmから110mmアップの2,720mmとなった。また、5代目セレナではe-POWER用バッテリー積載位置の影響で7人乗りのみの設定だったが、6代目では新たに8人乗りも設定された。また、クラス唯一の3列目シートスライドも継承し、荷室も若干広くなった。

旧型セレナの運転席

※上図:旧型セレナ(5代目)の運転席

旧型セレナの2列目シート

※上図:旧型セレナ(5代目)の2列目シート

旧型セレナの3列目シート

※上図:旧型セレナ(5代目)の3列目シート

旧型セレナの荷室

※上図:旧型セレナ(5代目)の荷室

走り、メカニズム

第2世代のe-POWER搭載!後悔しない走りと快適性

5代目、6代目日産セレナe-POWERの出力と燃費、車重は以下の通り。

(双方ハイブリッド車、燃費はWLTCモード)

 

最高出力

最大トルク

燃費

車重

5代目(1.2L)

136ps

320Nm

17.2~18.0km/L

1,760~1,780kg(FF)

6代目(1.4L)

163ps

315Nm

19.3km/L

1,790~1,850kg

よりパワフルになった第2世代e-POWERを搭載した6代目セレナ

日産セレナe-POWERは発電専用のエンジンで発電した電力を使い、モーターで走行するシリーズハイブリッドシステムだ。

旧型セレナのエンジンルーム

※上図:旧型セレナ(5代目)のエンジンルーム

5代目セレナは、大ヒットしたノートe-POWERのシステムを流用し、出力をアップした仕様だ。当時は画期的だったが、今となっては洗練さに欠けていた。そのため、ヴォクシー&ノアやステップワゴンのハイブリッド車と比べると、静粛性に欠け、出力不足感もある。

新型セレナのエンジンルーム

※上図:新型セレナ(6代目)のエンジンルーム

そうした5代目セレナe-POWERの洗練さ不足を解消したのが、6代目セレナe-POWERだ。第2世代へと移行したe-POWERシステムを使う。使用するモーターはEM57型で、5代目セレナe-POWERやリーフと同じだ。しかしエンジンは1.2Lから1.4Lに排気量をアップし、最高出力と最大トルクが向上している。より発電できる仕様になったことで、6代目セレナe-POWERの最大出力も5代目の136psから163psに大幅アップした。

 

5代目セレナは、低速トルクは十分だったが、速度域が高くなるとパンチに欠け少々非力感があった。しかし6代目セレナでは、伸びがあり力強い加速を手に入れている。この差は、かなり大きい。6代目セレナは高速道路も余裕ある走りが可能となった。

静粛性が大幅に向上した6代目セレナ

e-POWERの制御も、洗練さを増している。5代目セレナは、発電のために頻繁にエンジンが始動する。エンジンの回転数を高めて発電するので、信号待ちでも室内は賑やかだった。

 

6代目セレナe-POWERは、極力エンジンを始動させない制御に変更された。停止時は、ほとんど発電しない。ロードノイズが大きく、エンジン音が気にならないような路面などで積極的に発電することで、車内の静粛性を高めている。さらに遮音材も追加され、5代目セレナと比べると静粛性は非常に高まっている。

快適な乗り心地と安定感を両立した走行性能

6代目セレナは、リヤサスペンションが新開発された。5代目セレナよりも剛性が50%アップし、突き上げ感が減少した。とくに、3列目シートの乗り心地が向上している。

スタビライザーは、ロール剛性を20%向上している。カーブなどでステアリングを切ったとき、車体が傾くスピードを抑制する。穏やかに車体が傾くようになり、カーブでより安定・安心して走れるようになった。カーブでグラグラしないので、クルマに酔いにくくなる効果もある。乗り心地とカーブでの安定感も、5代目セレナとは大きな差が付いた。

 

6代目セレナの1・2列目シートには、新ゼログラビティシートが装備された。座り心地はもちろん、腰をシッカリ支えることで、頭の揺れなども抑え、長時間運転での披露も軽減してくれる。

おすすめは5代目セレナ? それとも6代目セレナ?

6代目セレナは、e-POWERシステムが第2世代へと進化したこともあり、クルマの総合力では、やはり6代目セレナということになる。また、ルキシオンに標準装備されたプロパイロット2.0を使いたいというのであれば、もはや選択肢は6代目セレナしかない。

ただし、新型なったことで6代目セレナは、価格アップしている。売れ筋と予想できるe-POWERハイウェイスターVの価格は3,686,100円。これに対して、5代目セレナe-POWERの2019年式中古車相場は約250~330万円となる。Mクラスミニバンは、人気が高く中古車価格も高値維持状態。300万円を超える車両であれば、買い得感がないので6代目セレナe-POWERを選択すべきだ。

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価格次第で5代目セレナもあり!?

だが、250~270万円くらいの安価な価格帯の5代目セレナe-POWERは、6代目セレナe-POWERと100万円以上の価格差が付く。6代目セレナe-POWERも半導体や部品不足の影響で納期が長期化しているので、100万円以上安価ですぐに手に入るというのであれば、中古の5代目セレナe-POWERという選択肢ありだ。

5代目セレナe-POWERの中古車選びでは、ハイウェイスターVもしくはハイウェイスターG系のグレードで、インテリジェントアラウンドビューモニター、純正ナビを装着しているモデルがお勧めだ。ハイウェイスター系は人気が高く、短期の乗換えであればリセールバリューも高くなる。

5代目セレナは2016年8月に発売され、ハイウェイスターVは2018年8月に追加されたモデルだ。流量も多いため価格希望に合う車種も選びやすいだろう。

セレナ2018年式、2019年式の中古車情報をチェック>

セレナ2019年式以降の中古車情報をチェック>

6代目新型日産セレナ(C28型)価格・スペック

6代目新型日産セレナ(C28型)価格

e-POWERX

3,198,800円

e-POWERXV

3,499,100円

e-POWERハイウェイスターV

3,686,100円

e-POWERLUXION

4,798,200円

6代目新型日産セレナ(C28)燃費、ボディサイズなどスペック

代表車種

e-POWER ハイウェイスターV

ボディサイズ

全長4,765mm×全幅1,715mm×全高1,870mm

ホイールベース

2,870mm

最小回転半径

5.7m

乗車定員

8名

車両重量

1,810kg

サスペンション形式 前/後

ストラット/トーションビーム

エンジン型式・種類

HR14DDe型 直3DOHC

排気量

1,433㏄

エンジン最高出力

72kW(98ps)/5,600rpm

エンジン最大トルク

123Nm(12.5kgf・m)/5,600rpm

フロントモーター最高出力

120kW(163ps)

フロントモーター最大トルク

315Nm(32.1kgf・m)

燃費(WLTCモード)

19.3km/L

バッテリー種類

リチウムイオン

タイヤ前/後

205/65R16

セレナのカタログ情報

日産,セレナ
現行モデル
令和4年12月(2022年12月)〜現在
新車時価格
276.9万円〜479.8万円

セレナの在庫が現在805件あります

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ライター紹介

クルマ評論家 CORISM代表

大岡 智彦 氏

CORISM編集長。自動車専門誌の編集長を経験後、ウェブの世界へ。新車&中古車購入テクニックから、試乗レポートが得意技。さらに、ドレスアップ関連まで幅広くこなす。最近では、ゴルフにハマルがスコアより道具。中古ゴルフショップ巡りが趣味。日本カー・オブ・ザ・イヤー実行委員