この記事の目次 CONTENTS
電子化の目的
車検証の電子化で変わること
サービスの開始時期と軽自動車への対応
電子車検証は一般ユーザーにもメリットがある

ライター紹介

 

221616 編集部

世の中の自動車ニュースとは一味違う視点でスローニュースを発信。編集部員はクルマ初心者からクルマをこよなく愛するマニアまで幅広いメンバーで構成。全国のガリバーで売れている中古車や車のスタッフレポートなど、生の情報をお届け中。

2023年1月より、車検証がICタグを装備した電子車検証に変更されます。電子車検証の概要を紹介するとともに、電子化で何が変わるのか、自動車ユーザーにとってどのようなメリットがあるのかを解説します。

電子化の目的

国土交通省は、車検証を電子化する目的を「自動車ユーザーや自動車関係事業者の利便性向上」と説明しています。具体的には、継続検査や変更登録などの一部手続きで陸運支局への出頭を不要にし、各種手続きにかかる手間や時間をカットします。
また専用アプリを用いて車検情報の確認を容易にするとともに、車検の有効期限を通知する機能も搭載する予定とのことです。

ワンストップサービス(OSS)の普及促進も目的の一つ

今回の電子化の背景には、国土交通省が2005年から導入している「ワンストップサービス(OSS)」の普及促進という狙いもあります。OSSとは、自動車関係の各種手続きや税金・手数料の納付をオンライン上で行えるようにしたサービスです。

一見便利に思えるこのサービスですが、これまではオンライン上で手続きができても、車検証などを陸運支局まで取りに行く必要がありました(現在は郵送受取が可能です)。また一部地域では利用できない手続きも存在し、2022年8月現在も高知県は継続検査のみOSSを利用することができます。

今後は車検証の電子化により一部手続きで陸運支局への出頭が不要となるため、OSSの普及が期待されています。

車検証の電子化で変わること

車検証の電子化に伴う主な変化は以下の通りです。

  • 車検証のサイズ・仕様の変化
  • 専用アプリで車検証情報の閲覧が可能に
  • 一部手続きでの陸運支局への出頭が不要に

車検証のサイズ・仕様の変化

電子車検証の大きさ

現行の車検証はA4サイズですが、電子車検証はA6の厚紙にICタグが付いた大きさです。A6は文庫本と同じサイズなので、大きさとしては比較的コンパクトになります。

電子車検証の記載情報

現行の車検証に記載されている情報は、電子車検証でそれぞれ以下のように分けられます。

  • 【A】車検証本体に記載
  • 【B】ICタグに格納
  • 【C】二次元コード読取

【A】車検証本体に記載される情報(券面記載情報)
車検証本体には、変更登録などで影響を受けない以下のような情報が記載されます。なお車両識別符号は、車検証の電子化に伴って新たに追加される記載事項です。

  • 自動車登録番号・車両番号
  • 車台番号
  • 交付年月日
  • 使用者の氏名又は名称
  • 車名・型式
  • 自動車の種別
  • 長さ/幅/高さ
  • 車体の形状
  • 車両識別符号(車両ID)など

【B】ICタグに格納される情報
陸運支局への出頭を不要とするため、継続検査や変更登録に関わる情報は車検証本体に記載せず、ICタグに格納されます。

  • 車検証の有効期間
  • 所有者の氏名・住所
  • 使用者の住所
  • 使用の本拠の位置

【C】二次元コードで読み取れる情報
バージョン情報など、現行の車検証の二次元コードに記載されている情報の多くは、引き続き同様の方法で読み取れるようになっています。ただし車検証の有効期間のみは確認が不可能になります。

専用アプリで車検証情報の閲覧が可能に

電子車検証の専用アプリ

2023年1月より、車検証の情報を閲覧できる専用アプリが利用可能になります。このアプリではリコール情報や二次元コードの情報も確認できます。さらに、車検の有効期限が近づいたら自動車ユーザーに更新時期を通知する機能も搭載される予定です。

一部手続きでの陸運支局への出頭が不要に

これまでは車検の更新や記載情報の変更のたびに陸運支局に出頭し、新たな車検証を受け取る必要がありました。しかし一部の情報をICタグに格納することで車検証本体の変更が不要となるため、継続検査や変更登録などの一部手続きで陸運支局への出頭が不要になります。

サービスの開始時期と軽自動車への対応

電子車検証の発行は2023年1月4日から開始されます。なお軽自動車は、普通自動車より1年遅れて2024年1月より車検証が電子化される予定です。

電子車検証の交付は、2023年1月4日に全ての車両に対して行われる訳ではありません。1月4日以降に車検を受けた車両から順次交付されていきます。早く電子車検証を入手したいと思っても、次回車検時まで待つ必要があります。反対に、従来の紙面型の車検証は1月4日以降交付を受けることができません。

電子車検証は一般ユーザーにもメリットがある

車検証の電子化で最もメリットを得られるのは車検業者でしょう。運輸支局長等から委託を受けていれば、今後は陸運支局に出頭せず代理で車検証情報を書き換えることができ、作業負担が軽減されます。しかし一般の自動車ユーザーにとっても、今回の車検証電子化は以下のようなメリットがあります。

  • 車検にかかる時間の短縮
  • アプリで車検情報や有効期限の確認が可能
  • 一部手続きで陸運支局への出頭が不要になる

これまでは車検整備の時間に加えて、車検業者が陸運支局で手続きを済ませて戻ってくるまでの時間が必要でした。今後は陸運支局との往復時間や手続き時間をカットできるので、条件が良ければ1時間程度で車検が完了できるといわれています。また365日24時間アプリで車検情報を気軽にチェックできる点や、有効期限の通知機能が搭載されれば車検切れも防止できます。変更登録などの一部手続きがオンラインで完結できるようになるのもメリットです。

車検を受けるタイミングは、人によっては車の買い替えを検討する時期でもあります。「長く乗っていて整備費用が高くなりそう」といった方は、車検前に車の査定をしてみるといった検討情報の収集をしてみるのもよいでしょう。