ライター紹介

2級整備士

ヒロ 現役整備士 氏

国産ディーラー整備士、輸入車ディーラー整備士の経験がある、現役の整備士。 整備士経験は10年以上で過去にはエンジニアとして全国規模のサービス技術大会に出場。 車の整備に関する情報をtwitterで発信している。 整備士ヒロのtwitter

普段見慣れないエンジン警告灯がメーター内に点灯すると、このまま走行しても大丈夫か?事故につながらないか?など、不安になりますよね。
そもそもエンジン警告灯は、どのようなときになぜ点くのでしょうか。
点灯したときに落ち着いて対応できるように、現役整備士が、エンジン警告灯についてくわしく解説します。

エンジン警告灯の役割

エンジン警告灯の役割は、車に不具合や異常が発生したことをドライバーに知らせることです。
「エンジンチェックランプ」「MILライト」などと違った呼び方をすることもあります

エンジン警告灯が点灯する原因

エンジン警告灯が点灯する原因は多岐にわたります。
特に2000年代以降、車に搭載されるコンピュータやセンサーの数は右肩上がりで増えており、その分警告灯が点灯する原因も、ひと昔前と比較しても増えています。
エンジン警告灯という名称ですが、決してエンジンに関することだけには限りません。
また、大きく分けると以下の4つの部位の不具合が考えられます。

  1. センサー
  2. コントロールユニット(コンピュータ)
  3. アクチュエーター(作動部品)
  4. ハーネス(配線)

車の部品は様々なセンサー(入力部品)からの信号を元に、コントロールユニットが演算・制御をおこないます。
そしてコントロールユニットが、アクチュエーター(作動部品)を作動させるための信号を送ります。
これらのやりとりは、配線を介して行われます。

例)排気管についてるO2センサーが排ガス中の残存酸素濃度を測定→その濃度に応じて、他のセンサーからの信号も参考にしながらコントロールユニット内で演算→エンジンが吸う空気の量や、シリンダ内への点火のタイミング、燃料の量などの微調整を行う→イグニッションコイルやインジェクター、EGRバルブなどにどのような動きをするのがベストか、コントロールユニットから指令を出す。

異常時の症状一覧

警告灯が点灯する原因が多岐にわたるのと同じように、異常時に考えられる症状も様々です。

具体的に分かりやすい異常時の症状を以下に紹介します。

  • 車が加速しない
  • エンジンのパワー不足
  • エンジン不調(ガタガタ鳴る)
  • エンジンが止まる・掛からない
  • 車の変速がおかしい
  • エアコンの作動不良
  • 予防安全機能が停止する
  • ブレーキに違和感を感じる
  • ドアロック・キーレス機能が正常に作動しない

このように、エンジン警告灯と言っても症状は非常に幅広いです。

原因1.センサーの不具合

車のさまざまな情報を得るためのセンサーの不具合により、エンジン警告灯が点灯します。
不具合により、センサーが正しい信号をコントロールユニットに送ることができないために、コントロールユニットが正しい制御を行うことができなくなります。

原因2.コントロールユニットの不具合

コントロールユニットの不具合により、以下のような状態になります。

  • センサーからの正しい信号を受け取れない
  • アクチュエーターに作動信号を正しく送ることができない
  • コンピュータが正しい演算ができない

これらが原因で車に不具合を発生させる可能性があるので、エンジン警告灯を点灯させます。

原因3.アクチュエーター(作動部品)の不具合

アクチュエーター本体に不具合が起きると、コントロールユニットからの指令通り(思い通り)に部品を作動させることができません。
つまり、これは異常であると判断してエンジン警告灯を点灯させます。

原因4.配線の不具合

センサー、コントロールユニット、アクチュエーターの多くは配線でつながっています。
配線を通して、信号のやり取りや電気を送ったりしています。
そのため、配線に断線・短絡・接触不良といった不具合があると、このやり取りが正常にできなくなるので、エンジン警告灯を点灯させます。
エンジン警告灯を点灯させるいずれの不具合も、壊れてしまって常に不具合が発生しているものもあれば、一時的に不具合が発生して現在は正常復帰していることもあります。

エンジン警告灯が点灯したときの対処法

エンジン警告灯トラブルの対処法

エンジン警告灯の点灯だけでは、どう対処すれば良いか分からないドライバーも多いです。
よって、最近ではメーター内のインフォメーションやナビ画面に、簡潔にですがどうするべきかメッセージや案内が出る車が増えています。
いずれにせよ、まずやるべきことは安全な場所に車を一度、停車させることです。
その後、かかりつけの車屋(整備工場)に問い合わせして、プロの判断を仰ぎましょう。
ただし、口頭だけでは具体的にどこの何が悪いのかは判断できないことがほとんどで、診断機(テスター)を繋がないと原因はわかりません。
おおむね、通常の走る・曲がる・止まるという車の操作に支障がなければ、自走で工場への入庫を促されるでしょう。
走行が困難である場合は、レッカー搬入が安全かつ確実です。

エンジン警告灯が点灯した際にしてはいけないこと

整備工場からの指示がない限りは、走行を控えることがまずは大切です。
また、エンジン警告灯が点灯したときに、警告灯が消えるかもしれないと、何度かエンジンを掛けたり止めたりするが方がいます。
一時的な不具合により、車種やメーカーによってはこの方法で正常復帰することもあります。しかし、その後工場へ入庫して診断機に繋いだときにはエラーの履歴も消えてしまっていて、どのようなエラーが入っていたか分からないケースがあります。
こうなってしまうと、原因の特定・診断が困難になってしまいます。

可能であれば、エンジン警告灯が点灯した際はすぐに整備工場に問い合わせしたうえで、なるべくエンジンを止めずにそのまま入庫させるのがベストです。
また、エンジン警告灯が点いていると車検に合格できないので注意しましょう。

こんな時はどうする?エンジン警告灯のケース別対処法

具体的に4つのパターンに分けてケース別の対処法を解説します。
安全な走行に支障をきたす場合は、整備工場にレッカー搬入する流れが一般的です。
任意保険やJAFに付帯するレッカーサービスで、掛かりつけの整備工場へのレッカー搬入が可能かどうか、保険証券などで確認する必要が出てくるでしょう。

エンジン警告灯がついてガタガタする

エンジンそのものが正常に動くのに支障をきたす不具合です。
安全な自走が困難であることから、ハザードを点灯させて安全な場所に速やかに車を停車させます。
その後、整備工場に連絡を入れて指示を待ちます。
基本的には、レッカー搬入する流れとなるでしょう。

エンジン警告灯が消えたり点灯したり点滅する

エンジンをかけたりとめたり、または走行しているうちにエンジン警告灯が消えてしまうこともあります。
たとえ、体感できる異常がなくても、車はどこかに不具合を抱えている可能性が高いです。
点灯していたものが消えた=「直った」というわけではありません。
エンジン警告灯が消えていても、診断機で診断を進めていき、不具合箇所を推測できることもあります。
そのため、早めに整備工場へ入庫する段取りをしましょう。

エンジン警告灯が点滅してる場合は、現在進行形で不具合が発生している可能性が高いです。
メーカーや車種により対応が異なるので、この場合もやはり速やかに安全な場所に停車した上で、整備工場の指示に従います。

エンジン警告灯が消えた

対処法はエンジン警告灯が点滅する場合と同じです。
警告灯が消えたということは、現在は正常になっていると考えられます。
それでも原因によっては、診断機を接続すれば原因がわかる可能性があります。
この場合もやはり整備工場に問い合わせたうえで、入庫する流れが一般的です。

エンジン警告灯が点いて加速しない

エンジン警告灯が点灯したうえで加速しない場合は、安全な走行に支障をきたすので、とても危険です。
走行中に車の異常に気を取られて焦ってしまうと、さらに危険度が高まります。
気持ちを落ち着かせ、ハザードを点灯させて周囲に異常を知らせつつ、可能な限りすぐに安全な場所に退避します。
整備工場に連絡を入れ、レッカー搬入の流れが一般的なので、あとは整備工場からの指示に従いましょう。

エンジン警告灯の点灯への対処‐まとめ

エンジン警告灯が点灯すると、どうすれば良いか焦りがちですが、走行に支障があるときこそ落ち着くことが大切です。以下のような手順で対処するようにしましょう。

  • ハザードを点灯させる
  • 安全な場所に退避する
  • かかりつけの整備工場に連絡する

エンジン警告灯が点灯したものの走行に問題がない場合でも、整備工場への連絡が必須です。なぜなら、ユーザー自身で不具合の原因を判断することは困難な場合が多く、専用テスター・診断機を使った診断が必要だからです。
快適なカーライフのためにも、こういったトラブルの時に気軽に相談できる、かかりつけの車屋さんを作るようにしておきましょう。