トヨタは2020年にヤリスクロスを投入した。
BセグメントのコンパクトSUVは、トヨタ、ホンダ、日産、マツダと4メーカー激戦カテゴリーになった。
ホンダ ヴェゼルのフルモデルチェンジも行われ、販売合戦は熾烈を極めている。
今回は2代目ヴェゼルとヤリスクロスに着目し、詳しく比較・評価した。
- この記事の目次 CONTENTS
- ホンダ ヴェゼルの特徴
- トヨタ ヤリスクロスの特徴
- 1.燃費比較
- 2.価格比較
- 3.購入時の値引き術
- 4.デザイン比較
- 5.室内空間と使い勝手
- 6.安全装備の比較
- 7.走行性能の比較
- 8.リセールバリュー比較
- 9.まとめ・総合評価
ホンダ ヴェゼルの特徴
ホンダ ヴェゼルは、2021年4月にフルモデルチェンジし2代目となった。
2013年に登場した初代ヴェゼルは、デビュー直後から大ヒットし、何度も登録車SUV新車販売台数ランキングでナンバー1に輝いている。
その人気の秘密は、スタイリッシュなデザインと室内の高い質感、1.5Lハイブリッドの低燃費性能があげられる。
また、3代目フィットと同じプラットフォーム(車台)をもつことから、広大な室内スペースも大きな魅力だ。
2代目ヴェゼルは、初代ヴェゼルのプラットフォームを継承し、広大な室内スペースを確保した。より大きく見えるデザインや、上質感の高めたインテリアなど、非常に高いレベルにまとめ上げている。
パワーユニットも刷新された。1.5Lのe:HEVが採用により、燃費性能が大幅にアップした。
4WDシステムは、プロペラシャフトを持ち、エンジンのトルクを直接後輪に伝えることができるリアルタイムAWDを採用している。リアルタイムAWDは、後輪をモーターで駆動するヤリスクロスのE-Fourよりも大トルクを後輪に伝えることができるため、走破性をより高めている。
トヨタ ヤリスクロスの特徴
トヨタ ヤリスクロスは2020年8月にデビューした。車名からも分かる通り、ヤリスクロスはBセグメントのコンパクトカーであるヤリスと同じプラットフォーム(車台)をベースとしてSUV化したモデルだ。
パワーユニットも共通化されており、1.5Lハイブリッドを搭載している。優れたシステムに加え、ボディなどを大幅に軽量化している。その結果、ヤリスクロスハイブリッドの燃費は、30.8Km/L(FF、WLTCモード)となった。このクラスでは世界トップレベルの実力を誇っている。
ヤリスクロスは、走行性能や使い勝手など、全方位で高いレベルにまとめられている。乗り心地も良好で、荷室も十分なスペースを確保している。また、降雪地に住む人やウインタースポーツ、アウトドアレジャーなどを楽しむ人にも向けて、4WD性能も強化された。従来は滑りやすい路面での発進アシスト程度だった4WDシステムE-Fourだったが、モーターの出力を向上したことで、悪路走行でも十分な走破性を得た。
1.燃費比較
ヴェゼルの評価 4.0
ヤリスクロスの評価 5.0
軽さを生かし、燃費性能で圧倒的大差を付けたヤリスクロスハイブリッド
ヴェゼルとヤリスクロスの燃費は以下の通りだ。(すべてFF、WLTCモード)
ハイブリット車の燃費 | ガソリン車の燃費 | |
---|---|---|
ヴェゼル | 24.8~25.0km/L | 17.0km/L |
ヤリスクロス | 27.8~30.8km/L | 18.8~20.2km/L |
燃費性能はハイブリッド車、ガソリン車ともにヤリスクロスが大幅に上回った。ハイブリッドの差は約12.0~23.0%になっている。ガソリン車も同様に、約11.0~19.0%の差がついた。
これはハイブリッドシステムの差も若干ある。しかし最大の要因は車重だ。
以下はヴェゼルとヤリスクロスの車重と全長である。
車重 | 全長 | |
---|---|---|
ヴェゼル | 1,350~1,400kg | 4,330mm |
ヤリスクロス | 1,160~1,190kg | 4,180mm |
ヴェゼルはヤリスクロスより大幅に重い。190~210kgもの重量差があると、勝負にならないレベルだ。これだけの差がついたのは、ヴェゼルの全長がヤリスクロスよりひと回り大きいことだろう。
最も大きな要因はプラットフォーム(車台)の違いだ。ヴェゼルのプラットフォームは、2013年に登場した3代目フィットがベースとなっている。初代ヴェゼルも同様だ。改良が加えられているとはいえ、基本的な部分は同じで、設計時期がやや古い。
2020年2月に登場し、初投入されたヤリスの最新GA-Bプラットフォームと比べると、非常に厳しい結果になるのは当然だろう。
2.価格比較
ヴェゼルの評価 3.0
ヤリスクロスの評価 3.5
ヴェゼルの装備は充実しているものの、価格はやや高め
ヴェゼルとヤリスクロスの新車価格は以下の通りだ。
ハイブリット車の価格 | ガソリン車の価格 | |
---|---|---|
ヴェゼル | 2,658,700~3,298,900円 | 2,279,200~2,499,200円 |
ヤリスクロス | 2,284,000~2,815,000円 | 1,798,000~2,441,000円 |
ヤリスクロスのガソリン車エントリーグレードであるX Bパッケージは、トヨタセーフティセンスが装備されていない。歩行者検知式自動ブレーキを含む予防安全装備がないので、おすすめできないグレードだ。
購入検討できるヤリスクロスのガソリン車価格は、トヨタセーフティセンスが装備されたXの1,896,000円からだといえる。
全体的に、かなりヤリスクロスの価格が安く見える。例えば、ヤリスクロスハイブリッドの最上級グレード、Z E-Fourの価格は2,815,000円だ。ヴェゼルe:HEV Z 4WDの価格が3,118,500円なので、約30万円の価格差がある。
ヤリスクロスハイブリッドは、パワーバックドアやブラインドスポットモニターなどがオプションだ。若干、ヴェゼルe:HEVの標準装備の方が充実している。それでも、約30万円の価格差は埋まらない。
初代ヴェゼルのプラットフォーム(車台)を改良して使っていることをふまえると、パワーユニットが刷新されているとはいえ、ヴェゼルはさらに高価な印象が強くなる。
3.購入時の値引き術
ヴェゼルの評価 3.0
ヤリスクロスの評価 3.5
1歩も引けないライバル同士、値引きの期待も大
2021年6月現在、トヨタ ヤリスクロスは、デビューから約1年が経過した。そろそろ値引きが拡大する時期に入っている。ところが、全世界的に半導体不足に陥り、各社生産が思う通りに進んでいない。その影響でバックオーダーが増え納車できない状態になっている。
これは、ホンダ ヴェゼルも同様だ。
恐らく、こうした状態は徐々に解消されていく傾向にあるものの、2021年中には完全解決しないとみられている。バックオーダーばかり増えると商売にならないため、値引き額もアップしない傾向になる。
ただ、各社混沌とした状態のため、ライバル車の納期が少しでも早いなどの状況になると、値引きしてでも受注することもある。そのためには、しっかりとライバル車と競合させ、「今のうちに受注しておかないと」と営業マンを焦らせる必要があるのだ。
ヴェゼルが本命なら、必ずヤリスクロスの見積りを取り商談するべきだ。ヤリスクロスの納期を少し短く伝え、値引きも大きいなどと駆け引きしてみるのもいいだろう。その上で、値引き次第でヴェゼルを待ってもいい、と条件を出してみるのもおすすめだ。ヤリスクロスが本命なら、逆パターンで商談すればいい。また、見積りを取るライバル車を増やすのも効果的だ。その他のライバル車は、日産キックスやマツダCX-3がある。
ヤリスクロスは、すでに中古車が流通している。あまり値引きに積極的にならないようなら、新車のヤリスクロスと中古のヤリスクロスを競合させるのも良いだろう。
4.デザイン比較
ヴェゼルの評価 4.0
ヤリスクロスの評価 3.0
大きく見え、質感の高いヴェゼル
ホンダ ヴェゼルのエクステリアデザインは、全席で爽快な視界を提供するための「スリーク&ロングキャビン」を採用した。ホンダは、初代ヴェゼルと同様にクーペライクなデザインとしているもの。2代目ヴェゼルになると長く水平基調のルーフラインをもち、伸びやかで重厚感あるスタイルとなっている。
ボンネットフードが高く設定されたことで、フロントフェイスはより大きく迫力のあるものになった。こうしたデザインはミニバン同様、売れるデザインなのだ。ホンダはステップワゴンやオデッセイを、マイナーチェンジで大きく見え迫力のあるフェイスデザインに変更した経験が生かされている。
このフロントフェイスの特徴は、インテグレーテッドグリルデザインを採用したことだ。一般的なグリルにある外枠のフレームがない、個性的なデザインである。多少、好き嫌いが出るデザインともいえる。
インテリアデザインは、ひとつひとつの動作がスムーズに行える「美しい所作」を意識してデザインされている。水平基調で広がりのあるインパネデザインが採用された。スッキリとした印象が強く、質感の高い素材が採用されていることもあり、コンパクトSUVながら、より上級なラグジュアリーSUV的な仕上がりをもつ。
トヨタ ヤリスクロスのデザインキーワードは「ENERGETIC SMART」だ。気楽さ・機動性・利便性に特化し、無駄のない都市型ミニマルなSUVを狙った。
ヤリスクロスの外観デザインはミニマルとしているものの、意外と複雑な線と面が組み合わされていて、なかなかコッテリ系なデザインだ。ヴェゼルが都会派ラグジュアリーSUV系デザインなのに対して、ヤリスクロスは正統派タフネス系SUVデザインと対極にある。
ヤリスクロスは、ヤリスと言う名があるものの、コンパクトカーであるヤリスのイメージとはまったく異なるデザインが採用されている。
ヤリスクロスのインパネデザインは、シンプルで広がり感あるインパネデザインが特徴だ。センターコンソール部分のデザインをややワイドにしたことで、SUVらしい力強さ感を演出している。ただ、全体的にスッキリまとめ過ぎたようで、外観のデザインほど力強さは感じない。ヴェゼルと比べると、やや質感が低く感じる。
5.室内空間と使い勝手
ヴェゼルの評価 4.0
ヤリスクロスの評価 4.0
それぞれ、一長一短。広さのヴェゼル。使い勝手のヤリスクロス
ヴェゼルとヤリスクロスのボディサイズは以下の通りだ。
全高×全幅×全高 | ホイールベース | |
---|---|---|
ヴェゼル | 4,330mm×1,790mm×1,590mm | 2,610mm |
ヤリスクロス | 4,180mm×1,765mm×1,590mm | 2,560mm |
全幅や全高はほとんど差が無いが、全長とホイールベースは、ヴェゼルの方がやや大きくなっている。ホイールベースは、室内スペースの広さに直結するため、室内空間はヴェゼルの方が広く快適だ。特に後席の広さはヴェゼルの大きなメリットになっている。
荷室容量は、両車共に390L前後とほぼ同等レベルだ。使い勝手面でも両車それぞれ独自の工夫がみられる。ヴェゼルのリヤシートは6:4分割なのに対し、ヤリスクロスでは、Z、G系グレードがリヤシートを4:2:4の分割可倒式とした。6:4分割より使い勝手はよい。さらにヤリスクロスは、荷室はデッキボードを使い上下2段に分割することも、左右で6:4分割も可能になっている。
積載する荷物により色々な使い方ができる点は、ヤリスクロスがヴェゼルを上回る。
ところが、ヴェゼルには後席座面を跳ね上げることができるチップアップ機能がある。長さのある荷物を立てて積みたい場合などに便利な機能だ。しかし、チップアップ機能は、あまり使うシーンが少ないので、全般的に荷室の使い勝手はヤリスクロスの方が優れている。
6.安全装備の比較
ヴェゼルの評価 4.0
ヤリスクロスの評価 4.5
クラスを超えたトップレベル、高機能な予防安全性能を誇るヤリスクロス
ホンダ ヴェゼルは、歩行者検知式自動ブレーキを含む予防安全装備ホンダセンシングを全車標準装備されている。自動ブレーキは、歩行者と自転車を検知することが可能だ。その他、誤発進抑制機能や車線維持支援など計11もの機能をもつ。運転支援機能では、全車速追従式クルーズコントロールもあり、渋滞時のストップ&ゴーにも対応している。ドライバーの疲労を軽減してくれる機能だ。
とくに優れた機能はないものの、多機能で十分なレベルの予防安全装備といえる。また、サイド&カーテンエアバッグも全車標準装備である。
トヨタ ヤリスクロスの予防安全装備であるトヨタセーフティセンスの機能は、クラストップレベルの実力を誇る。ただし、すべてのトヨタセーフティセンスは同じ機能ではないので、しっかりと機能をチェックする必要がある。
ヤリスクロスのトヨタセーフティセンスは最新式で、昼夜の歩行者検知に昼間の自転車検知が可能だ。さらに、右折時の対向直進車や右左折後の横断歩行者まで検知することが出来る。こうした実際に起きている事故パターンに対応しているので、より安全なクルマといえるだろう。
また、欧州車では多く装備されているセカンダリーコリジョンブレーキも搭載している。このセカンダリーコリジョンブレーキは、エアバッグが開くような衝突時に、クルマが動き他のクルマと再び衝突したりするなどの二次衝突を回避・被害軽減する機能だ。
ヤリスクロスは、横風でフラフラする車両を安定して走れるようにした横風対応制御付きのS-VSCをトヨタで初めて搭載した。ヤリスクロスは全高が高いSUVなので、重心も高くなり、横風などでは不安定になりやすいので重宝するだろう。
ヤリスクロスの予防安全装備は、非常に高いレベルにある。しかしヤリスクロスでも、おすすめできないのがエントリーグレードのX Bパッケージだ。安全重視の時代にトヨタセーフティセンスが唯一標準装備化されていないだけでなく、オプションでの装備もできない。
2021年現在、自動ブレーキは装備が義務化されている。現在は猶予期間なので、付けていなくても問題はない。しかし、あえて装備しないというのは、安全を軽視しているように思える。これでは、トヨタがアピールしている「交通死亡事故ゼロ」という方針に対して大きく乖離している。世界トップレベルの自動車メーカーであるトヨタであることを踏まえると少々残念だ。
なおホンダ ヴェゼルは、ホンダセンシングを全車標準装備化している。
7.走行性能の比較
ヴェゼルの評価 4.0
ヤリスクロスの評価 4.0
両車の目指す方向性が、やや異なる
ホンダ ヴェゼルのハイブリッドシステムは、基本的にフィットと同じ1.5Lのe:HEVを積んでいる。しかし出力は車重が重いためフィットから22psアップした131ps&253Nmになった。
加速感は十分なもので、急勾配の坂道も難なく走る。ほとんどのシーンでモーター走行するヴェゼルだが、良くも悪くもモータードライブ感が薄く自然なフィーリングが印象的だ。
一般的にモーターは、瞬時に最大トルクを発生するため、アクセルを踏むとドンとトルクが立ち上がり力強さを感じる。ところが、ヴェゼルはあえてこうした演出を嫌い、アクセル操作に対するリニアな加速感に仕上げている。このあたりは、少々好みが分かれる部分でもある。
トヨタ ヤリスクロスも1.5Lのハイブリッドシステムを採用している。システム出力は116psとヴェゼルよりも低い数値だ。一見、ヤリスクロスハイブリッドの方が非力に感じるかもしれないが、加速感などはほぼ同等である。ヤリスクロスの車重がヴェゼルe:HEVよりも大幅に軽いからだ。
ヴェゼルの1.5Lガソリン車の出力は、118ps&142Nm、ヤリスクロスの1.5Lは120ps&145Nmだ。エンジンスペックは、ほぼ同等である。ただ、ヴェゼルは4気筒エンジンで、ヤリスクロスは3気筒エンジンとなっている。振動面では、ややヴェゼルが上回る。
ヴェゼルの車重はハイブリッド車同様、ヤリスクロスと比べるとかなり重い。そのため、加速感はヤリスクロスが上回る。ヴェゼルは、初代ヴェゼルよりも重いこともあり、急勾配の坂道や高速道路の合流区間などでは、やや非力感がある。
ヴェゼルの乗り心地は、快適性重視系だ。ただ、18インチホイールを履くe:HEVでは、大きな路面の凹凸を通過すると、リヤサスペンションからの突き上げ感があった。だが16インチホイールを履くガソリン車は、こうした突き上げ感もあまり感じず快適だった。e:HEVは、18インチタイヤを上手く扱いきれていないのかもしれない。
ハンドリングも、車重が軽いガソリン車の方が好印象だ。軽快感があり、自然で気持ちよく曲がる。e:HEVは、どちらかというと重厚感あるハンドリングである。キビキビ感は特にないが、ステアリング操作にはしっかり反応している。ゆったり気持ちの良い走りが可能だ。
ヤリスクロスハイブリッドの乗り心地は、ヴェゼルe:HEVを微妙に上回る快適さが魅力だ。とくに、4WDモデルのリヤサスペンションは、2リンク・マルチリンク式が採用されている。そのため、FF系モデルのトーションビーム式と比べると、若干乗り心地が良く感じる。
ただ、ガソリン車はハイブリッドと差が付けられており、静粛性や乗り心地面で1ランク以上下げられている。ヤリスクロスの3気筒エンジンは、やや振動も気になりノイジーだった。そのため、静粛性や乗り心地はヴェゼルのガソリン車が上回っている。
ハンドリング面では、ヤリスクロスとヴェゼルとでは、やや味付けが異なる。ヴェゼルは、ラグジュアリーSUVっぽい、自然でゆったりとしたハンドリングだった。
対するヤリスクロスハイブリッドは、なかなかスポーティだ。カーブでは、クルマの傾きや傾くスピードもしっかりと抑えられていて、ハイスピードでも安心感あるハンドリングが楽しめる。しかも、低重心で前後重量バランスもよい。
こうした走行性能部分は、ドライバーの好みによる。購入時には、両車を試乗して確かめるとよい。
4WDは、両車の考え方が明確に異なっている。ヴェゼルは、リヤタイヤをプロペラシャフトで直結した4WDシステムを採用している。この4WDシステムは、後輪に大きなトルクをかけることが可能になり、悪路での走破性を高めている。
ヤリスクロスハイブリッドは、リヤ側にモーターを設置したe-Fourを採用した。従来のe-Fourよりも、大きなトルクを発生するモーターを使ったことで、悪路での走破性を高めている。確かに、プロペラシャフトを採用したヴェゼルの4WDシステムの方が、悪路での走破性はヤリスクロスのe-Fourよりも高い。悪路での走破性を重視するのであれば、ヴェゼルの4WDモデルとなる。ただ、ヤリスクロスのe-Fourも片輪が浮くようなモーグルなども、難なく走り切る一定の実力がある。こうした性能部分は、自身が頻繁に使う悪路シーンを想定して選ぶことが大切だ。
8.リセールバリュー比較
ヴェゼルの評価 4.0
ヤリスクロスの評価 4.0
高リセールバリュー確実! お勧めグレードは?
人気BセグメントコンパクトSUVなので、両車共に高リセールバリューは確実だろう。初代ホンダ ヴェゼルの中古車価格は、2代目ヴェゼルが登場しても、それほど下がっていない。とくに、後期モデルはハイブリッド車を中心に高値が続いている。
2019年式ヴェゼルハイブリッドの中古車相場は、180~220万円といったところだ。新車価格より50~90万円程度安くなっている。多少無理ができるのであれば、新車を購入した方がよいだろう。
ただ、2代目ヴェゼルがデビューしたことで、これからは下取りに入った初代ヴェゼルが多く中古車マーケットに流通しはじめる。しばらくすると、初代ヴェゼルの中古車価格は下がってくる。それからが中古車の買い時だ。
ヴェゼルやヤリスクロスは人気が高く高リセールバリューが期待できる。だが、どのグレードでも高価で売却できるわけではない。高価で売却するためには、グレードや色、オプションなどに気を付けて選択したい。
まず、初代ヴェゼルの高リセールバリューになっているのは、スポーティさで人気なグレード、ハイブリッドRSだ。もしくは、ハイブリッドZになる。こうした傾向を2代目ヴェゼルに当てはめると、高リセールバリューが期待できるグレードは、e:HEV Zかe:HEV Playとなる。プラス査定が期待できるオプションは、純正ナビ、マルチビューカメラ、プレミアムオーディオだろう。ボディカラーは、2トーンカラー系でブラック、シルバー、ホワイト系なら高査定が期待できる。
トヨタ ヤリスクロスは新型車で、安定した中古車相場になっていない。ただ、トヨタの人気SUVなので、価格が下がる可能性は低く、高値安定は確実だろう。
もちろん、ヤリスクロスもグレードにより、高査定になるグレードがある。高査定となるのは、最上級グレードのハイブリッドZだ。このグレードに、オプションである純正ナビやパノラミックビューモニター、パワーバックドアなどが装備されていれば、更なる高査定の期待ができる。ボディカラーでは、2トーンカラーの白・黒・シルバー系なら、まず大丈夫だろう。赤や青系は、査定が低くなる可能性が高い。ゴールド系は、今後の人気次第と流動的になりそうだ。
9.まとめ・総合評価
甲乙つけがたい、微妙な差。なにを重視するかで結果が変わる
2代目となったホンダ ヴェゼルは、初代ヴェゼルと同じプラットフォーム(車台)を使っている。だが2代目は、走行性能やデザインなど、すべてが異なり方向性で開発されていて、初代とはまったく違うクルマになった。
キビキビとした走りを優先した初代ヴェゼルに対して、2代目ヴェゼルは、小さなラグジュアリーSUV感があり、非常にリラックスして乗れ、高級感も十分だ。ガソリン車も意外なほど完成度が高い。高速道路などでは少々非力だが、街乗り重視であれば十分なレベルでコストパフォーマンスに優れる。
また、プロペラシャフト直結で後輪の駆動する4WDは、ヤリスクロスより大きなトルク配分が可能で、悪路走破性で上回る。
トヨタ ヤリスクロスハイブリッドは、走りの質感という面で、微妙に上回っている。SUVであっても低重心、前後重量バランスに優れオンロードでスポーティな走りの良さを十分に感じさせてくれ、静粛性や乗り心地も高いレベルにある。
ただ、ヤリスクロスのガソリン車に関しては、静粛性や乗り心地などがハイブリッド車と大きく差が付けられていて、あまりおすすめはできない。
予防安全装備では、ヤリスクロスのトヨタセーフティセンスはクラスを超えた高性能なもので、ヴェゼルの機能とでは差が付いている。予防安全性能重視なら、ヤリスクロスがおすすめだ。
燃費性能や予防安全性能よりも、後席の広さや、ゆったりとした乗り心地やハンドリング重視というのであれば、ヴェゼルという選択も悪くはない。クルマも大きく見え、インテリアの質感も高い。
それぞれ、一長一短があるヴェゼルとヤリスクロス。単純明快に、どちらがよいという判断は非常に難しい。甲乙つける場合、まず自分がどういう部分を重視するかをしっかり決めて、最終的に試乗して評価することが重要だ。
ヴェゼル | ヤリスクロス | |
---|---|---|
総合得点(40点満点) | 30.0点 | 31.5点 |
1.燃費 | 4.0点 | 5.0点 |
2.価格 | 3.0点 | 3.5点 |
3.購入時の値引きしやすさ | 3.0点 | 3.5点 |
4.デザイン | 4.0点 | 3.0点 |
5.室内空間と使い勝手 | 4.0点 | 4.0点 |
6.安全装備 | 4.0点 | 4.5点 |
7.走行性能 | 4.0点 | 4.0点 |
8.リセールバリュー | 4.0点 | 4.0点 |
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ヴェゼルのカタログ情報
- 現行モデル
- 令和3年4月(2021年4月)〜現在
- 新車時価格
- 227.9万円〜377.6万円
ヴェゼルの在庫が現在563件あります
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