欧州のCAFÉ(企業別平均燃費基準規制)に影響を受け、EV化が一気に進んでいる。
スポーツカー並みに走る国産EV車も増加中だ。
今回は高い走行性能を誇るEV車の、マツダMX-30 EV MODELとホンダeを徹底比較。
燃費性能、価格、デザイン、車内空間、安全装備、走行性能などを比較・評価した。
- この記事の目次 CONTENTS
- マツダMX-30 EV MODELの特徴
- ホンダeの特徴
- 1.航続距離比較
- 2.価格比較
- 3.購入時の値引き術
- 4.デザイン比較
- 5.室内空間と使い勝手
- 6.安全装備の比較
- 7.走行性能の比較
- 8.リセールバリュー比較
- 9.まとめ・総合評価
マツダMX-30 EV MODELの特徴
マツダMX-30 EV MODELは、2021年1月に登場した。
SUVのMX-30をそのままEV化したモデルのため、ガソリン車とほぼ同じ内外装になっている。
搭載されるリチウムイオンバッテリーの容量は35.5kWh、航続距離は256km(WLTCモード)だ。
マツダはこの車体を「スカイアクティブ ビークル アーキテクチャー」と呼んでいる。
EVの他にPHEVやレンジエクステンダーも計画中だ。
ホンダeの特徴
ホンダeは、2020年10月にデビューした。
EV専用モデルのため、ガソリン車やハイブリッド車は設定されていない。
細部に渡りホンダのこだわりが凝縮されている。
たとえばボンネットは、非常に短くユニークなデザインとした。
走行性能にもこだわり、後輪駆動を選択している。
インパネにはワイドビジョンインストルメントパネルが装備されている。
これは世界初5つのスクリーンを水平配置した、先進感あふれるパネルである。
小さなボディながら、搭載されるリチウムイオンバッテリーの容量は35.5kWhと大容量だ。
航続可能距離は、エントリーグレードで283km(WLTCモード)となっている。
1.航続距離比較
MX-30 EV MODELの評価 3.0
ホンダeの評価 3.0
ほぼ互角の航続距離
車種名 | 航続距離 |
---|---|
マツダCX-30 EV MODEL | 256㎞ |
ホンダe | 283㎞ |
ホンダe アドバンス | 259㎞ |
※すべてWLTCモード
両車の航続距離に大差はない。
リチウムイオンバッテリー容量が、双方ともに35.5kWhであるためだ。
ただ、ボディサイズは大きく異なる。
車種名 | 全長 | 車重 |
---|---|---|
マツダCX-30 EV MODEL | 4,395mm | 1,650㎏ |
ホンダe | 3,895mm | 1,510㎏ |
CX-30 EVの方が、車体はより大きく重い。
だが航続距離差はそれほどはない。
モーター出力はホンダeの方がパワフルなので、効率と言う面ではほぼ互角といったところだろう。
ただ、ホンダeはコンパクトなボディながら、少々車重が重い。
今後は軽量化が重要な要素になる。
軽量化が進めば、走行性能を含め大幅なパフォーマンスアップが期待できる。
実際の航続距離は、2台とも恐らく200㎞程度だろう。
この航続距離では短いと感じるかもしれない。
ただ、一般的なドライブでは、無充電で200㎞走ることは少ないはずだ。
急速充電器が設置してある所で休息すれば、休憩中に継ぎ足し充電が可能となる。
こうした使い方をすれば、航続距離が200㎞でもそう困ることなないだろう。
2.価格比較
MX-30 EV MODELの評価 2.0
ホンダeの評価 2.5
既存モデルベースのMX-30 EVは、安価でなければ意味がない
車種名 | 価格 |
---|---|
マツダMX-30 EV MODEL | 4,510,000円 |
マツダMX-30 EV Basic Set | 4,587,000円 |
マツダMX-30 EV Highest Set | 4,950,000円 |
ホンダe | 4,510,000円 |
ホンダe アドバンス | 4,950,000円 |
マツダMX-30 EV MODELとホンダeの新車価格は、見事なくらいピッタリ一致している。
こうなると、車体の大きいMX-30 EVの方がコストパフォーマンスに優れるように感じる。
しかし、実際はホンダeのほうがお買い得感があるのだ。
MX-30 EVは、既存のマイルドハイブリッド車とほぼ同じ車体で、その他多数の共通部品がある。
しかしホンダeは、すべてが新設計だ。
開発コストや生産コストは、MX-30 EVの比ではない。
しかも、先進装備も満載だ。
たとえば世界初となる5つのスクリーンを水平配置した、ワイドビジョンインストルメントパネルを採用している。
さらに、サイド/センターカメラミラーシステムも搭載した。
ここで、同じEV車である日産リーフと価格を比較してみよう。
車種名 | バッテリー容量 | 価格 |
---|---|---|
日産リーフ | 40kWh | 3,326,400~4,189,900円 |
日産リーフ | 62kWh | 4,411,000~4,998,400円 |
マツダMX-30 EV MODEL | 35.5kWh | 4,510,000円 |
ホンダe | 35.5kWh | 4,510,000円 |
マツダMX-30 EV MODELとホンダeは、大容量電池を搭載したリーフよりも高価だ。
CX-30 EVは既存車をベースにしたため、さらにコストダウン出来たはずである。
ならば、もっと安価な価格設定ができるはずだ。
3.購入時の値引き術
MX-30 EV MODELの評価 2.5
ホンダeの評価 2.0
MX-30 EVは、そろそろ値引き開始?
マツダMX-30 EV MODELのベースモデルである、MX-30が苦戦している。
EVも同様な状態だ。
元々、販売目標も年間500台なので、積極的に宣伝やセールもしていない。
とはいえこのまま低迷状態だと、非常に厳しい結果となる可能性が高く、一定数売りたいことには間違いない。
すでに、マイルドハイブリッド車のMX-30含め値引き額が大きくなっているようだ。
EVもホンダeやリーフと競合させれば、一定の値引きが引き出すことが可能だろう。
ホンダeは、個性的なデザインとスポーティな後輪駆動車であるため、デビュー直後のから話題になった。
生産台数が限られることから、期間を分けて販売する手法を取っている。
1期と2期は、あっという間に販売が終了した。
3期の販売は2021年2月に開始した。
2021年5月現在、まだ受付していることから、徐々に販売台数も落ちてきたと思われる。
今のところ値引きゼロベースだが、少しずつ値引きが可能になってくるだろう。
大幅値引きというよりは、数万円程度からになることが想定される。
ただ、何もしないと値引きはゼロになるので、MX-30 EVやリーフなどと競合させることが重要だ。
4.デザイン比較
MX-30 EV MODELの評価 3.5
ホンダeの評価 4.5
MX-30 EVはマイルドハイブリッド車と区別がつかないデザインが痛い
マツダMX-30 EV MODELのデザインコンセプトは「Human Modern」だ。
同じセグメントとで姉妹車関係にある、マツダCX-30の魂動デザインとは異なる手法でデザインされている。
マツダデザインの新たなチャレンジといえ、従来のマツダファンとは異なる顧客へのリーチも可能だ。
全体的にユニークなデザインで、愛着の湧くかわいらしさを感じさせる。
インテリアは、浮き上がったようなシフトパネルやコルク材を使った暖かみのある素材を使い、独自の世界観を表現した。
またCX-30 EVは、色々なパワーユニットにひとつのボディで対応し、コストを下げようとしている。
たとえばマイルドハイブリッド車や、今後投入されるエクステンダーやPHEVなどが当てはまる。
EVであっても専用デザインにできないという制約があるのが悩ましい点である。
そのため残念ながらCX-30 EVの内外装デザインは、マイルドハイブリッド車MX-30とまったく同じだ。
EVならではの先進感や環境性能の良さなど、サステナビリティなどを表現したデザインであるとより良かっただろう。
そんなCX-30 EVとは逆に、ホンダeはホンダの考える新世代のEVらしさを前面に押し出した個性的なデザインが特徴だ。
デザインはとくに重視されている。
ホンダeの初期開発では、FF(前輪駆動)で検討されていた。
しかし初期のデザインスケッチ通りにすると、短いボンネットにパワーユニットが入らないということが判明した。
デザインスケッチを優先し、パワーユニットを後方に移したため後輪駆動になったのだ。
ホンダeは、特別なクルマとして、新しい時代になじむシンプルでモダンなデザインとしている。
自動車デザインの過去と未来とをつなぐ架け橋を目指したという。
先進感を感じさせるインテリアは、世界初となる5つのスクリーンを水平配置するワイドビジョンインストルメントパネルを装備。
先進さをアピールしながら、心安らぐリビングのような空間とした。
5.室内空間と使い勝手
MX-30 EV MODELの評価 3.5
ホンダeの評価 4.0
ボディサイズの大きいMX-30 EVのほうが広いはずなのだが・・・
車種名 | 全長 | ホイールベース |
---|---|---|
マツダMX-30 EV MODEL | 4,395mm | 2,655mm |
ホンダe | 3,805mm | 2,530mm |
ボディサイズは、二回りくらいMX-30 EVの方が大きい。
これだけボディサイズが大きいと、室内の広さと言う点では、完全にMX-30 EVの方が広いように思える。
ところが、前後のスペースなどはあまり大きな差を感じない。
ただ、ホンダeは4人乗りであるため、横方向のスペースはMX-30の方が広い。
荷室スペースはMX-30 EVの圧勝。
MX-30 EVの荷室容量が366Lなのに対し、ホンダeは171Lだ。
荷室スペースはボディサイズが大きいMX-30 EVの圧勝だが、細かい部分での使い勝手はホンダeが勝る部分が多い。
MX-30 EVはドアが観音開きなので、後席へのアクセスは必ずフロントドアを開けないと後席ドアは開かない。
ホンダeは、ボディサイズが小さく、最小回転半径が4.3mと軽自動車並みに小回りが利く。
狭い道や駐車場などでは、扱いやすい。
ホンダeは、サイドミラーがカメラになっている。
カメラの映像は、インパネサイドのモニターに映される。
慣れるまで少々時間がかかるが、距離感や夜間時などの視認性はよい。
使いやすいだけでなく安全でもある。
また、12.3インチスクリーンの2画面水平配置されたディスプレイは、慣れると自分好みや頻度によって左右画面を入れ替えたりでき、より自分仕様にカスタマイズできる。
「Ok, Honda」と呼びかけると起動するHondaパーソナルアシスタントも慣れれば便利だ。
6.安全装備の比較
MX-30 EV MODELの評価 4.0
ホンダeの評価 4.0
自動ブレーキの機能はMX-30、先進運転支援機能ではホンダe
マツダMX-30 EV MODELの予防安全装備である自動ブレーキは、昼夜の歩行者と昼間の自転車に対応している。
右折時の対向車両も検知することが可能だ。
ホンダeは、夜間の歩行者と右折時の対向車両には対応していない。
その他の予防安全装備関連では、ほぼ互角といったところだ。
両車共に機能的には標準レベルだが、考えられる予防安全装備がほぼ標準装備化されている。
どのグレードでも安心して乗れるクルマになっている。
ただ、運転支援機能ではホンダeが勝る。
全車速前走車追従式クルーズコントロールは、両車共に装備している。
しかし、ホンダeには、ステアリングやアクセル、ブレーキ、シフト操作を自動で制御することが出来る。
さらにホンダe アドバンスには、駐車時の運転をアシストするパーキングパイロットが装備されている。
7.走行性能の比較
MX-30 EV MODELの評価 4.5
ホンダeの評価 4
自然で運転しやすさが際立つMX-30 EV。切れ味鋭いホンダe
モーター出力 | 車重 | |
---|---|---|
マツダMX-30 EV MODEL | 145ps&270Nm | 1,650㎏ |
ホンダe | 136ps&315Nm | 1,510㎏ |
ホンダe アドバンス | 154ps&315Nm | 1,540㎏ |
モーターはホンダeアドバンスのパワフルさが際立っている。
MX-30 EVより車重が軽いので、加速性能の面ではホンダeが上回る。
しかし、クルマは加速性能だけではない。
総合的な走行性能は、両車素晴らしく甲乙つけがたい。
MX-30 EVは、マイルドハイブリッド車とは、まったく異なるクルマに仕上がった。
マイルドハイブリッド車であるMX-30の乗り心地も良かったが、MX-30 EVは、よりしなやかでフラットライドな乗り心地になっている。
EV化によりボディ剛性が上がったためだ。
そして、秀逸なのがハンドリング性能である。
フロアに大きく重いリチウムイオンバッテリーを搭載したことで、重心が下がりカーブでの安定感は抜群だ。
クルマの動きがスムースで違和感無く乗れる。
運転中のストレスもミニマムで、どこまでも走れる気分になる。
ハンドリング性能などを司っているのが、e-GVC Plus(エレクトリック・G-ベクタリング・コントロール プラス)だ。
MX-30 EV用に開発されたマツダの運動制御技術で、カーブが曲がりやすく安定する。
モーターのトルクを微妙に制御し、クルマが安定する最適な荷重移動をするためだ。
緊急回避などでドライバーがハンドルを素早く戻すシーンでは、旋回挙動を収束させるブレーキモーメント制御が協調作動する。
山岳路や高速道路などの滑りやすい路面で、より車両を安定方向に導いてくれる。
あまりに自然な制御言うこともあり、まるで運転が上手くなったように感じるだろう。
EVは減速時に使う回生ブレーキをコントロールすることが出来る。
減速度は計5段階、ステアリング奥にあるパドルシフトから操作可能だ。
慣れてくると、自在に速度を変えられる。
ホンダeは、後輪駆動で発生する315Nmという大トルクを、余すことなく駆動力にしている。
これだけの大トルクが瞬時にアウトプットするEVでは、前輪駆動になるとやや持て余し気味になることが多い。
加速時にトラクションがやや抜ける傾向となり、スポーツドライビングには少し不向きなのだ。
だがホンダeは後輪駆動にすることで、EVながら後輪をスライドさせて走ることも可能となった。
ドライバーのスキル次第で、ホンダeはスポーツカーのような走りができる。
アクセル操作ひとつでクルマの向きを自在にコントロールできるのだ。
ホンダeアドバンスはスポーツタイヤを履く。
205 / 45ZR17サイズのミシュラン・パイロットスポーツ4というタイヤだ。
ホンダのスポーティな走りをより引き出すためである。
EVはエコカーというイメージが強いが、ホンダeは紛れもなくスポーツカーだ。
ハンドリングはクイックで、グリグリと曲がる。
とくにタイトターンが続くような山岳路では、劇的に速い。
コーナーの立ち上がりも、アクセルを踏めば瞬時に315Nmという大トルクが後輪に伝わりグイグイと豪快に加速する。
病みつきになるような爽快感がある。
そんなキャラクターなので、ホンダeの乗り心地はやや硬めだ。
路面の凹凸をしっかりとドライバーに伝えてくる。
ただ、頭に響くような衝撃ではなく、角の取れたゴトゴトといった乗り味であまり不快感は無い。
8.リセールバリュー比較
MX-30 EV MODELの評価 3.5
ホンダeの評価 4.0
高残価率55%! 攻めの残価設定ローンを設定したMX-30 EV
日産リーフや輸入EVのリセールバリューは、低めの傾向になっている。
そのため、新車で買うより中古車で買った方が、買い得感がある。
MX-30 EVも既存のマイルドハイブリッド車と外観上大きな変化がないこともあり、リセールバリューは低めの傾向になることが予想できる。
しかし、マツダはそうした傾向を熟知しており、かなり攻めのリセールバリュー戦略を取っている。
なんと、残価設定ローンの場合の残価率を55%(3年)とした。
この残価率は、マツダの残価設定ローン対象車両の中で、最も高い残価率となっている。
EVのリセールバリューが低くなることを予想して、顧客が損をしないように配慮したものだ。
この残価設定ローンで買うのであれば、リセールバリューに不安は無い。
ただ、現金や通常のローンの場合、この残価は保証できないので、リセールバリューへの不安は残る。
ホンダeはユニークなモデルなので、しばらくの間は高いリセールバリューが期待できるだろう。
ただ、中古EV人気がこのまま低迷し続ければ、それに引きずられてリセールバリューも低くなることが予想できる。
中・長期的には、先行き不透明といった印象だ。
また、ホンダeのリセールバリューは、グレードにより差がでる可能性が高い。
装備が充実し、よりパワフルなグレードとなるアドバンスに人気が集中しそうだ。
高いリセールバリューを望むのなら、アドバンスがおすすめだ。
9.まとめ・総合評価
上質感あるクルマを求めるならMX-30 EV、先進性と走行性能ならホンダe
マツダMX-30 EV MODELとホンダeは、ボディサイズもカテゴリーも異なるため、単純比較は難しい。
ただ、航続距離に関しては、両車共に長くはないので、ロングドライブを頻繁にする人にはあまり向かない。
一般的な使い方であれば、特に問題ない。
その上で、色々な使い方に対応するのは、やはりSUVのMX-30 EVだ。
マイルドハイブリッド車と基本的に同じなので、EVだからというような制約はない。
乗りやすく安定感ある走行性能も含め、誰にでもお勧めできる上質なEVといえる。
ホンダeは、4人乗りという制約がある。
しかも荷室が狭いので、4人で旅行といったパターンは難しい。
ただ、軽自動車並みの小回り性能は、狭い道が多い場所で扱いやすい。
ボディサイズが小さいことでやや制約もあるものの、卓越したスポーツ性能は非常に魅力的。
スポーツEVとしての価値もある。
マツダMX-30 EV MODEL | ホンダe | |
---|---|---|
総合得点(40点満点) | 26.5点 | 28.5点 |
1.燃費 | 3.0点 | 3.0点 |
2.価格 | 2.0点 | 2.5点 |
3.購入時の値引きしやすさ | 2.5点 | 2.0点 |
4.デザイン | 3.5点 | 4.5点 |
5.室内空間と使い勝手 | 3.5点 | 4.0点 |
6.安全装備 | 4.0点 | 4.0点 |
7.走行性能 | 4.5点 | 4.5点 |
8.リセールバリュー | 3.5点 | 4.0点 |
関連ページ
マツダMX-30 EV MODEL
MX-30EVモデルのカタログ情報
- 現行モデル
- 令和3年1月(2021年1月)〜現在
- 新車時価格
- 451.0万円〜501.6万円
MX-30EVモデルの在庫が現在0件あります
以下車両の保証内容詳細は画像をクリックした遷移先をご確認ください。