ライター紹介

クルマ評論家 CORISM代表

大岡 智彦 氏

CORISM編集長。自動車専門誌の編集長を経験後、ウェブの世界へ。新車&中古車購入テクニックから、試乗レポートが得意技。さらに、ドレスアップ関連まで幅広くこなす。最近では、ゴルフにハマルがスコアより道具。中古ゴルフショップ巡りが趣味。日本カー・オブ・ザ・イヤー実行委員

人気ミニバン、アルファード/ヴェルファイアの歴史

トヨタは、人気大型ミニバンであるアルファード/ヴェルファイアに、それぞれ特別仕様車を設定し発売を開始した。

アルファードには、特別仕様車 S“TYPE GOLD”を。ヴェルファイアに特別仕様車 Z“GOLDEN EYES”を設定している。

アルファード/ヴェルファイア 外観

現行のアルファードは3代目。ヴェルファイアは2代目となる。
初代10系アルファードは2002年、2代目20系アルファードは2008年に登場。初代ヴェルファイアは、2代目アルファードと同じ2008年にデビューした。
そして、現行3代目となる30系アルファード/2代目ヴェルファイアは、2015年にフルモデルチェンジし2018年にマイナーチェンジしている。

ヴェルファイアからアルファードへ?

トヨタ アルファード/ヴェルファイアは、大型ミニバンカテゴリーにおいて、完全に一人勝ちといった状態。しかも、新型コロナ不況下においても、想像を超えた販売台数を記録している。

2020年5月の登録車販売台数ランキングでアルファードは、なんと5,750台を売り5位。
驚きなのは、前年比が110.6%という数値だ。多くのモデルが前年比50%を切る中、前年比を超える販売台数を記録したモデルは新型車以外ほとんどない状態だ。

アルファード 外観

ただし、姉妹車関係にあるヴェルファイアは23位、販売台数は1,378台で前年比は48.6%と低迷している。ヴェルファイアの人気低迷は、さらに拍車がかかった状態だ。これは、デザインが大きな理由のひとつとなっている。

ヴェルファイア 外観

さらに2020年5月からは、トヨタ ディーラーで全車種販売へ移行したことも大きな影響を与えたのだろう。ヴェルファイアの取り扱い店だったネッツ店でも、アルファードが売れるようになった。

これで、アルファードを望む顧客に、営業力でヴェルファイアを買ってもらっていたが、アルファードを売れるようになったことで顧客の望むアルファードを提供できるようになっている。これにより、多くの顧客がヴェルファイアからアルファードへ移行したとも予想できる。

同様にトヨタ店でもアルファードが売れるようになり、クラウンの顧客などがアルファードに移行しているなどの影響もあるだろう。

トヨタディーラーの全車種併売により、売れるクルマ、売れないクルマが明確になり、ヴェルファイアは今後、非常に厳しい状況になりそうだ。ヴェルファイアの不調は、すでに中古車マーケットの影響を与えていて、ヴェルファイアのリセールバリューは、アルファードに比べ下落傾向にある。

絶妙な価格設定の人気特別仕様車で販売台数増を狙う

今回、投入されたとのは、特別仕様車アルファード S“TYPE GOLD”と、ヴェルファイア Z“GOLDEN EYES”。こうした特別仕様車は、先代20系アルファード/ヴェルファイアにも投入されている。もはや、定番となった特別仕様車で人気も高い。

アルファード/ヴェルファイア共に、特別仕様車のポイントはゴールド。外観にGOLDをアクセントとした仕様になっている点が特徴だ。

アルファード 外観

特別仕様車アルファード S“TYPE GOLD”は「S」グレードをベースに、ゴールドの専用フロントエンブレムのほか、スモークメッキと黒メタリック塗装を施したフロントグリル、スモークメッキ加飾のボンネットフードモール、フロントバンパーモール、バックドアガーニッシュなどを特別装備。

ヴェルファイア 外観

特別仕様車ヴェルファイア Z“GOLDEN EYES”は「Z」グレードをベースに、ゴールド加飾を施したヘッドランプ、漆黒メッキ加飾のフロントグリルやLEDフロントフォグランプモール、バックドアガーニッシュ、リヤランプガーニッシュなどを採用。ゴールドをアクセントとした特別感ある外観とした。

ヴェルファイア 内装

インテリアは、両車ともほぼ共通。共通装備は、パーフォレーション加工を施したウルトラスエードと合成皮革を組み合わせた専用シート表皮、メタルウッドの本革巻き4本スポークステアリングホイール、ルーフおよびピラーにブラックを採用。インテリアも外観同様に、高級感ある仕様としている。

ヴェルファイアのリヤエンド

また、装備面では3眼LEDヘッドランプ、LEDシーケンシャルターンランプ(フロント・リヤ)、LEDコーナリングランプのほか、パワーバックドア(挟み込み防止機能付)、アクセサリーコンセント(AC100V/100W)、ウェルカムパワースライドドア機能を追加したスマートエントリー+プッシュスタートシステムなどを特別装備した。

ボディカラーは、アルファードにラグジュアリーホワイトパールクリスタルシャインガラスフレークを含む4色、ヴェルファイアにスパークリングブラックパールクリスタルシャインを含む4色を設定している。

このふたつの特別仕様車、共にアルファード/ヴェルファイアらしさをより強調した仕様といえる。
ギラギラ感のある高級仕様で、アルファード/ヴェルファイアを好む顧客の嗜好を上手くとらえている。

元々、アルファード/ヴェルファイアは、徹底したマーケットインで開発されていて、顧客のニーズを徹底的に吸い上げ開発されているので上手に顧客のツボを押さえた仕様といえる。

絶妙な価格設定となった特別仕様車

ヴェルファイアZ“GOLDEN EYES”特別仕様車価格は、ハイブリッドモデルが5,040,000円。ベース車の価格が4,799,000円なので、約24万円高となっている。装備プラス分を含めると、まぁ妥当な価格アップといったところで、特にお買い得感はない。

お買い得感はないが、価格設定が上手い。同じS系グレードでひとつ上の上級グレードとなるSRの価格は5,491,000円と大幅に価格がアップする。SRグレードとSグレードの価格差は約70万円とかなり大きい。

予算が厳しい顧客にとっては、SRグレードでは高価過ぎる。だが、Sグレードでは高級ミニバンとしての装備が少々物足りない。Sグレードにやや物足りなさを抱いている顧客のツボを見事に押え満足感をアップさせた特別仕様車といえるだろう。

ヴェルファイア 内装

トヨタ アルファード/ヴェルファイアの値引き術

トヨタ アルファード/ヴェルファイアは、人気ミニバンだが、すでにモデル後期に入っているので、大幅値引きが期待できるモデルである。

とくに、現在は非常に買い手有利。新型コロナ不況下で顧客を奪い合う状態。しかも、トヨタのディーラーは全車種扱いになった。アルファード/ヴェルファイアそれぞれ経営が異なるトヨタディーラー同士で競合させることも可能。さらに、日産エルグランドやホンダ オデッセイなどを加え競合させれば、人気モデルだが大幅値引きが期待できる。

トヨタ アルファード/ヴェルファイア特別仕様車価格

2.5Lガソリン車 7人乗り FF 4WD
アルファード 特別仕様車S“TYPE GOLD” 4,240,000円  4,495,000円
ヴェルファイア 特別仕様車Z“GOLDEN EYES” 4,240,000円 4,495,000円
2.5Lハイブリッド車 7人乗り E-Four(電気式四輪駆動)
アルファード 特別仕様車S“TYPE GOLD” 5,040,000円
ヴェルファイア 特別仕様車Z“GOLDEN EYES” 5,040,000円