この記事の目次 CONTENTS
未使用車が出回る4月を狙え!
未使用車は新車コンディションだが中古車扱い
未仕様車は軽自動車に多い
未仕様車購入時の注意点

ライター紹介

クルマ評論家 CORISM代表

大岡 智彦 氏

CORISM編集長。自動車専門誌の編集長を経験後、ウェブの世界へ。新車&中古車購入テクニックから、試乗レポートが得意技。さらに、ドレスアップ関連まで幅広くこなす。最近では、ゴルフにハマルがスコアより道具。中古ゴルフショップ巡りが趣味。日本カー・オブ・ザ・イヤー実行委員

年度末となる2~3月は、自動車販売業界において超繁忙期といえるもので、多くの自動車が売れる。
自動車メーカーの決算期もほとんど同じタイミングのため、とにかく1台でも多く売れという指令が販売会社に課せられるからだ。
そのため、完全に買い手が有利な時期で、大幅値引きも連発する。当然、少しでも安くクルマを買いたいというであれば、この時期を見逃す手はない。

未使用車が出回る4月を狙え!

しかし、例外もある。あえて、4月以降に買うという方法だ。
ターゲットは「軽自動車の未使用車」。大幅値引きが連発する2~3月の超繁忙期より安く買えることもある。

未使用車はなぜ生まれる?

まずは、「未使用車」が生まれる理由を解説する。

2~3月の超繁忙期は、極端に言えば利益より販売台数が優先される。これは、自動車メーカー側の都合によるもの。
自動車メーカーは、販売会社に多額のインセンティブを条件に、より多くのクルマを売るように仕向ける。
インセンティブ欲しさに販売会社も力を入れるのだが、高額商品なのでそう簡単に売れるものでもない。

そこで何が起きるかというと、買い手のいないクルマを自社名で登録してしまうのだ。
クルマの場合、登録(軽自動車は届け出)することで売ったことになる。
※ここからは、軽自動車も登録と表現する。

クルマは一度登録してしまうと中古車扱いになる。
ただ登録しただけで、ほぼ新車コンディションであることなどから「未使用車」と呼ばれている。

未使用車は新車コンディションだが中古車扱い

販売会社は、この「未使用車」をなるべく早く販売したい。しかしそう簡単に売れないのでオークションなどで売却し、中古車販売会社が購入する。
その結果、多くの中古車店でも売られるようになった。今では、未使用車専門店などという形態をとる中古車店もあるくらいだ。

「未使用車」は中古車扱いになるため、新車より大幅に安い価格設定がされていることが多い。
ほとんど新車というクルマが新車より大幅に安いのであれば、あえて新車を購入する理由もないだろう。

また、未使用車は税金面でもメリットがある。
軽自動車税は4月1日時点での所有者に課税され、1年分を納税する。
途中で売却しても、登録車のように月割で還付されることはない。

つまり、未使用車は4月1日時点での所有車に課税され支払いされているのだ。
4月2日以降に未使用車を購入すればその年度分、4月に買えばほぼ1年分の軽自動車税を払わなくて済む。軽自動車税10,800円を節約できるということだ。

人気モデルは手に入らない可能性も

ただ、デメリットもある。
まず、超人気モデルの新型車で、生産が間に合っていないようなモデルはほとんど流通していない。ただし、生産が十分に間に合っている人気モデルも多数ある。
また、一度登録したクルマなので、新車のように好きなグレード、オプションや色などが選びにくい。
ただ、流通量の多い未使用車なら、売れ筋のグレードやオプション装着車は比較的見つけやすいだろう。
そして、人気グレードや人気オプションなどが装備されたモデルはすぐに売れてしまう。

目当てのモデルが見当たらない可能性がある、自分好みのクルマにカスタムしにくい程度で大きな問題点ではないだろう。

未仕様車は軽自動車に多い

この未使用車のなかで、とくに多いのが軽自動車。
流通量が多ければ多いほど、選択肢も多く選びやすい。しかも、価格は安くなる。

また流通量の多い「未使用車」は、値引きも交渉もしやすい。
中古車はクルマにより走行距離や傷などコンディションが異なる。
ところが「未使用車」はほぼ新車コンディションなので、どこで買ってもほぼ同じクルマなのだ。
それなら安い方がよい。中古車店同士を競合させて安い方を買えばよい。

軽自動車のなかでも、とくにスズキとダイハツが多くの「未使用車」を生み出している。
きっかけは、過去にあったスズキとダイハツの軽自動車販売ナンバー1争いがきっかけともいわれており、決着がついた今もなお続いている状況だ。

  • スズキ:ワゴンR、ハスラー、スペーシア、アルトラパン など
  • ダイハツ:タント、ムーヴキャンバス、トコット など
  • 日産:デイズ など
  • ホンダ:N-BOX など

このように、人気の軽自動車も多いので選ぶのはそれほど難しくないだろう。

この中で、注意しなくてはならないのが日産デイズ。3月末にフルモデルチェンジしているので「未使用車」の多くは旧型だ。

また、ダイハツ タントは2019年にフルモデルチェンジする可能性が高く、買ってもすぐに旧型になる可能性がある。そして、スズキ アルトラパンもフルモデルチェンジが近い。

未仕様車購入時の注意点

未使用車を購入する際は、登録年月日がなるべく新しいものを選んでほしい。
たとえば、現在2019年4月だと仮定し、2019年3月の登録された未使用車と2018年9月に登録された未使用車では、コンディションが異なるということだ。
2019年3月の登録車は、ほぼ新車コンディションといっていい。

しかし、2018年9月登録車は半年以上店頭に並べられていたか、オークションなどで転売を繰り返されている可能性が高い。これは、もう新車コンディションとはいいにくい。
よほど安いのであれば別だが、こうした登録日をチェックして買ったほうが、よりよい未使用車に出会えるだろう。