BMW3シリーズvsメルセデス・ベンツCクラス徹底比較

輸入プレミアムセダンの両雄ともいえるモデルが、BMW3シリーズとメルセデス・ベンツCクラスだ。世界的に見ても、永遠のライバルと言える2台。

国内の販売状況を見ると、BMW3シリーズはここ数年メルセデス・ベンツCクラスの後塵を拝している状況。
3シリーズは、2013年に18,739台を売り、輸入車販売台数2位を獲得したが、翌2014年には、僅差でCクラスに負けてしまう。
その後、3シリーズがCクラスの販売台数を上回ることがなかった。

そんな3シリーズが、2019年3月にフルモデルチェンジ。Cクラスに再びチャレンジする。

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この記事の目次 CONTENTS
BMW3sシリーズ、メルセデス・ベンツCクラスの特徴
1.価格比較
2.燃費比較
3.デザイン比較
4.内装と使い勝手
5.走行性能の比較
6.安全装備の比較
7.リセールバリュー比較
8.購入時の値引き術
9.まとめ・総合評価
今のクルマを高く売るなら1~3月、5月中旬~7月

ライター紹介

クルマ評論家 CORISM代表

大岡 智彦 氏

CORISM編集長。自動車専門誌の編集長を経験後、ウェブの世界へ。新車&中古車購入テクニックから、試乗レポートが得意技。さらに、ドレスアップ関連まで幅広くこなす。最近では、ゴルフにハマルがスコアより道具。中古ゴルフショップ巡りが趣味。日本カー・オブ・ザ・イヤー実行委員

BMW3sシリーズ、メルセデス・ベンツCクラスの特徴

今回は、輸入車界の二大巨頭といえる3シリーズとCクラスを比較評価した。

BMW3シリーズの特徴

日本マーケットは、全幅1,800mm以下という立体駐車場が多い。
そのため、先代BMW3シリーズはドアハンドルなどを日本専用品とし、全幅を1,800mmに抑えた。
しかし、新型となった3シリーズの全幅は1,825mmとなっている。

また、3シリーズの魅力は、やはりスポーツセダンとしての走行性能。
ボディは約55㎏軽量化され、低重心化されたこともあり、一段と走りの質が向上。

走行性能だけでなく、3眼カメラを使用した予防安全装備や運転支援機能を投入した。
さらに「OK、BMW!」 で起動するインテリジェント・パーソナル・アシスタントを採用。
音声で、エアコンやオーディオなどの操作が可能になった。

今回のフルモデルチェンジで3シリーズは6代目となり、開発コードのF30とも呼ばれている。

メルセデス・ベンツCクラスの特徴

W205型となるメルセデス・ベンツCクラスは、2014年に登場。
Cクラスのコンセプトは「アジリティ&インテリジェンス」。
アジリティとは、敏捷性を意味し、優れた運動性能をアピール。
アルミを多用したボディとすることで、Cクラス史上、最もスポーティなモデルとなった。

メルセデス・ベンツが「インテリジェントドライブ」と呼ぶ、先進予防安全装備と運転支援機能は、ステレオカメラや多くのセンサーを駆使して、クルマの周囲360°をカバー。
背かトップクラスの安全性能を得た。

1.価格比較

ハイブリッドシステムを搭載したため、Cクラスはやや高価になった。

BMW3シリーズの評価は4.5点

3シリーズの価格は、320i Mスポーツで5,830,000円。
一般的に、モデルチェンジする度に価格はアップするものだが、新型3シリーズは、なんと価格据え置きとなっている。

最先端といえる3眼カメラを使った予防安全装備や、AIを導入したインテリジェント・パーソナル・アシスタントなど、装備向上分を考えると実質値下げともいえるプライスだ。
販売台数面で、Cクラスに負け続けたこともあってか、かなり戦略的な価格といっていいだろう。

メルセデス・ベンツCクラスの評価は3.0点

Cクラスの価格は、C200アバンギャルドで5,600,000円。
320i Mスポーツと比較すると23万円安い計算になる。

しかし、予防安全装備パッケージであるレーダーセーフティパッケージの約20万円、AMGラインの約38万円を加わえると、価格は約618万円になる。
3シリーズが最先端の技術を持ち込んでいることを加味すると、3シリーズの価格はかなりお買い得感がある。

2.燃費比較

マイルドハイブリッドを採用するCクラスだが、燃費性能は3シリーズが上回る。

BMW3シリーズの評価は4.0点

今のところ出力の異なる2タイプの直4 2.0Lターボエンジンが用意されている。

売れ筋グレードの320iは、184ps&300Nm。
ハイパワーな330iは190ps&400Nmとなった。
燃費性能はJC08モードで、320iが15.2㎞/L、330iが15.7㎞/Lとなっていて、ハイパワーな330iの方が燃費がよい。

メルセデス・ベンツCクラスの評価は3.0点

燃費に対して考え方が全くことなるメルセデス・ベンツCクラス。
こちらは、2018年のマイナーチェンジで、大幅なダウンサイジング化を行った。

売れ筋のC200では、直4 2.0Lターボから、直4 1.5Lターボへ変更。
しかも、この1.5Lターボには、48Vのマイルドハイブリッドシステムが組み合わされている。
出力は184ps&280Nmで、燃費はJC08モードで13.6㎞/Lだ。

燃費XXkm/L※JC08モード 燃料消費率(国土交通省審査値)記載している燃料消費率は、新車時のカタログ燃費で、グレード・駆動方式・車両重量などにより異なります。燃料消費率は定められた試験条件のもとでの値です。使用環境(気象・渋滞等)や運転方法(急発進、エアコン使用等)に応じて燃料消費率は異なります。

3.デザイン比較

より精悍さが際立ちスポーツセダンらしさをアピールする3シリーズ。やや
古さを感じてきたCクラス。

BMW3シリーズの評価は4.5点

BMW3シリーズのデザインは一見、先代とよく似たように感じる。
しかし、近くで見ると全く異なるデザインになっている。

BMW車の象徴ともいえるキドニーグリルは、従来の2パーツに分かれたデザインから、1つのフレームで縁取られ、より立体的なデザインとなった。
また、キドニーグリルは、より水平方向への広がりみせている。
このデザインにより、よりワイド&ローな低重心感あるスポーティなフロントフェイスになった。

メルセデス・ベンツCクラスの評価は4.0点

メルセデス・ベンツCクラスのデザインは、マイナーチェンジでもそれほど大きな変更はなく、前期と後期の区別がしにくいのが特徴。
大きく変更されなかったということは、デザインに関しては、世界的に支持されているということになる。

Cクラスのデザインは、大きなグリルを最前方に配して、ヘッドライトなどはやや後方に設置。グリルの押し出し感を強調した。
睨みの効いたヘッドライトと組み合わせ、より威圧感ある迫力フェイスに仕上げており、日本人好みの顔と言える。
ただ、洗練さという面では、3シリーズが上回る印象だ。

4.内装と使い勝手

3シリーズにはカスタマイズ可能な12.3インチのメーターが搭載されより自分好みのクルマへアレンジできる。

BMW3シリーズの評価は4.5点

BMW3シリーズのセンタコンソールは、ドライバー側にわずかに傾斜したドライバー主体のコックピットを継承。

水平基調のデザインを採用したインパネは、シャープなエッジを利かせスポーティさを表現した。
アルミ風の加飾とブラックのインテリアという、ハイコントラストなカラーを使うことで、精悍さをアピールしている。

メーターには、ついに12.3インチのフルデジタルメーターを新採用。
自分好みにカスタマイズでき、近未来感もある。
メーターは、従来の3シリーズとは大きく変化している。

メルセデス・ベンツCクラスの評価は3.0点

メルセデス・ベンツCクラスのインテリアは、今となってはオーソドックスなデザイン。
機能的に配置された操作系スイッチ類などは、とても扱いやすい。

しかし、メルセデス・ベンツは1クラス下のAクラスにもすでにデジタルメーターを採用。

3シリーズもデジタルメーターを採用していることもあり、やや古臭く見えてしまう。

5.走行性能の比較

3シリーズとCクラスの走りは、随分異なる印象だ。
新しい3シリーズの方が古典的で、Cクラスは先進的に感じる。

BMW3シリーズの評価は4.5点

BMWは前後の重量バランス50:50にこだわっている。ステアリング操作に忠実なハンドリング性能を楽しんでいると、自分がクルマの中心にいる感覚がダイレクトに伝わってくる。
これほど走っていて楽しいセダンは無いだろう。

3シリーズのMスポーツは、スポーツセダンとしてのキャラクターをもつだけに、カーブが連続するような道では、非常に楽しい走りを披露する。
より低重心化され軽量化、そしてワイドトレッドになったこともあり、まるで路面に張り付いているような走りだ。

BMW320iの出力は、184ps&300Nm。1,350回転で300Nmという大トルクを発生する。
BMWのエンジンらしく、非常にレスポンスが良く、滑らかに回転が上がっていく。
ただ、高回転域でのパンチ力はあまり感じない。
今まで通りのエンジンが洗練された印象で、とくに新鮮さは感じない。

メルセデス・ベンツCクラスの評価は4.0点

前期モデルのC200アバンギャルドは、パンクしても所定の速度で一定距離を走るランフラットタイヤを履いていたが、現行では通常のタイヤに変更した。
ランフラットタイヤの構造上、乗り心地が悪くってしまうからだ。

前期モデルでは、かなりゴツゴツした乗り心地で、メルセデス・ベンツ車らしくない印象もあったがスポーティではあった。

通常のタイヤに戻したことで、C200アバンギャルドは、しっとりとした乗り心地で、多くの人が快適と感じるだろう。
とにかく、カーブでの走りを楽しみたいというのであれば、320iMスポーツが十分に満足できる。
しかし、Mスポーツはサスペンションがかためられているので、普段使いでの快適さはC200アバンギャルドが上回る。

メルセデス・ベンツC200アバンギャルドは、184ps&280Nmの出力をもつ1.5Lターボエンジンにモーターを組み合わせたマイルドハイブリッドシステムを採用している。
ターボエンジンの構造上、最大トルクが発生するエンジン回転数まで少々時間が必要だ。(いわゆるターボラグ)
このターボラグによって、アクセル操作に対するレスポンスが悪化し、乗りにくさを感じる。
このレスポンスの悪さを補うことができるのが瞬時に最大トルクを発生するモーターだ。
こうした技術を使っている点は、古典的なターボエンジンで勝負する3シリーズとは大きな違いだろう。

6.安全装備の比較

3眼カメラを使った高性能タイプを採用した3シリーズに期待!

BMW3シリーズの評価は4.0点

BMW3シリーズの予防安全装備は、新世代に突入した。
なんと日本初の3眼カメラを採用し、より多くの情報を処理できる能力を身につけたのだ。
情報量はかなり膨大になっており、より高度な予防安全、運転支援が期待できる。

機能面では、歩行者検知式自動ブレーキなど、車両の360°をカバーする。
ユニークな機能は、リバース・アシスト/後退時ステアリング・アシストだ。
この機能は、35Km/h以下の走行時に、直近50mのドライビング・ルートを自動的に記録。
今まで走行してきたルートに沿って自動でステアリングを操作しながら後退できる。狭い道で、対向車とお見合い状態になったときなどで便利な機能だ。
こうした予防安全装備は、エントリーグレードの1グレードを除き、全車標準装備化されている。

メルセデス・ベンツCクラスの評価は2.0点

メルセデス・ベンツCクラスの予防安全装備は、レーダーセーフティパッケージと呼ばれる。
歩行者検知式自動ブレーキを含むレーダーセーフティパッケージは、デビュー当時から世界トップクラスの予防安全性能を誇っていた。
徐々に進化を続け、全車速追従式クルーズコントロールは車線を維持するだけでなく、自動再発進機能もプラスされている。

しかし、デビュー当時は1グレードを除き標準装備されていたが、現在は売れ筋グレードでさえオプション設定になっている。
軽自動車でも、歩行者検知式自動ブレーキを含む予防安全性能が標準装備化されている日本マーケットでは、物足りない仕様となっている。
「メルセデス・ベンツ車は安全」というイメージが強いが、安全をお金で買わなくてはならないのは残念なポイントだ。

7.リセールバリュー比較

ほぼ互角のリセールバリューで、両車ともグレードにより大きな差が出る。

BMW3シリーズの評価は3.0点、メルセデス・ベンツCクラスの評価は3.0点

両車共に人気モデルなのだが、登録済未使用車(※初度登録された車両で、かつ使用または運行に供されていない中古車)が多く出回るためリセールバリューは標準的なレベルに止まる。
特にこの2台に関しては、グレードによりリセールバリューが大きく異なることが多い。

日本マーケットは、エアロパーツ類や大径ホイールを履いたスポーティな仕様を好む傾向が強い。
そのため、3シリーズはMスポーツ、Cクラスではアバンギャルドの人気が非常に高い。
また、ボディカラーも白・黒・シルバーが人気だ。

乗り潰すような使い方をする人はどんなグレードや色でもよいだろう。
しかし7年程度以下で乗り替える場合、人気のグレードや色を選択したほうがリセールバリューは高く、追い金が少なくて済む。

8.購入時の値引き術

大幅値引きが期待できるCクラス。しかも未使用車は100万円以上安い?

BMW3シリーズの評価は1.5点

BMW3シリーズは、デビューしたばかりの新型車なので、しばらくの間値引きは厳しい。ただ、これも時間の問題のはず。
2019年10月に消費税増税が予定されている。
増税後はしばらくクルマが売れなくなる状態になると予想でき、値引きは緩む。
しかも、2019年末になれば、輸入車メーカーの決算期を迎えるため、値引きが一気に加速するだろう。
当然、CクラスやアウディA4などと競合させることが条件だ。

メルセデス・ベンツCクラスの評価は4.0点

Cクラスは2018年にマイナーチェンジしたばかりで、一定の値引きが引き出せる。
ライバル車である3シリーズやA4、トヨタ クラウンなどと競合させると効果的だ。

Cクラスも、そろそろモデル末期に入る時期だ。
輸入車は、クルマが古くなってくると値引き額が非常に大きくなってくるので、しっかりと商談したい。

また、メルセデス・ベンツとBMWは、登録済未使用車(※初度登録された車両で、かつ使用または運行に供されていない中古車)を多く生み出す。
3シリーズは旧型の売れ残りが登録済未使用車として流通している。Cクラスはやや少ないが、いずれ登録済未使用車が多く流通するだろう。
この登録済未使用車が、新車価格より100万円以上も安いことがあるので、商談で長時間値引き交渉するより、登録済未使用車を買ったほうがリーズナブルだったりする。

9.まとめ・総合評価

永遠のライバルとえる2台がだが、やはり、BMW3シリーズの方が新しいということもあり、多くの面でメルセデス・ベンツCクラスを上回っている。

BMW3シリーズの総合点

30.5/40点

メルセデス・ベンツCクラスの総合点

26/40点

安全装備は3シリーズが大きくリード

特に大きな差となるのが予防安全装備の設定。
Cクラスは予防安全装備であるレーダーセーフティパッケージが、売れ筋グレードのほとんどにオプション設定という物足りない状況。
軽自動車でも標準装備化が進んでいるのに、高級車の代名詞といわれるメルセデス・ベンツがこの程度ではブランドイメージを落とすことにつながってしまう。
それに対して3シリーズは、価格訴求のエントリーグレード以外、標準装備化している。

走行性能やデザインは大きく変わらない

最近の輸入車は、急速にデジタルメーター化が進んでいる。
3シリーズもようやくデジタルメーターになったことで、視認性が向上し先進性を増した。
メルセデス・ベンツもデジタルメーター化を進めているが、Cクラスはややタイミングを逃した感がある。
2014年デビューということもあり仕方のないことだが、モニターも小さく見えて、最新モデルの3シリーズと比べると古臭く見えてしまう。
走行性能の味付けやデザインという部分は、好みによりどちらが優れているかというのは微妙なところだろう。ただ、3シリーズの運動性能の高さはこのクラストップレベルである。

装備が向上したが価格は据え置きの3シリーズ

価格面では、一見Cクラスの方が安く見えるものの、レーダーセーフティパッケージなどがオプション設定になっていることもあり、割高感がある。
3シリーズは、装備が向上しているのにもかかわらず価格を据え置きにした点は高評価だ。
Cクラスがフルモデルチェンジしたときに、どんな価格設定をするのか注目したい。

今のクルマを高く売るなら1~3月、5月中旬~7月

最大の繁忙期はクルマ会社の決算期となる2~3月。1月に入ってからが売り時だ。
また、6~7月のボーナス期も繁忙期で、5月の連休明けくらいからが売り時だ。

さらに、高価で売却するためにはタイミングが大切。
買取ったクルマは中古車として売られるため、中古車が売れる時期の少し前がベストだ。
繁忙期前になると、中古車店の多くは店頭に並べる中古車をオークションで仕入れる。
そのため、オークションでは通常期以上に相場が上がる。特に人気モデルはその傾向が強くなる。

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