1. 目次
  2. ■ 21年ぶりにセンチュリーがフルモデルチェンジし3代目に
  3. ■ V12エンジン消滅? 新型センチュリーがハイブリッド化された訳
  4. ■ 一回り大きなボディで広々とした車内
  5. ■ 質素なデザインに宿る上質さが国産ショーファーカーの魅力
  6. ■ 極上の乗り心地を提供する新型センチュリー
  7. ■ トヨタ センチュリー スペックなど


 

21年ぶりにセンチュリーがフルモデルチェンジし3代目に

 

トヨタ センチュリートヨタは、ショーファーカーのセンチュリーをフルモデルチェンジ。東京モーターショーで初公開する。3代目となる新型トヨタ センチュリーは、2018年年央に発売予定だ。

 

長く販売されてきた2代目センチュリー

2代目センチュリーは1997年にデビューした。2018年にモデルチェンジされるとなると、21年振りのフルモデルチェンジということになる。

長期間に渡り販売された2代目センチュリーは、何度もマイナーチェンジや改良が加えられている。最終型のセンチュリーには、専用V12 5.0Lエンジンを搭載。出力は280ps&460Nmとなり、ミッションは6速ATが組み合わされている。

2代目センチュリーのボディサイズは、全長5,270×全幅1,890×全高1,475mm。サスペンションは、前後ダブルウィッシュボーンのエアサスペンション。最終モデルの価格は約1,250万円だった。

センチュリーは、生産方式も他のモデルと違う。一般的なトヨタ車のようなライン生産ではなく、熟練工による手作業工程が非常に多く、1台1台丹念に造り込まれている。

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V12エンジン消滅? 新型センチュリーがハイブリッド化された訳

 

トヨタ センチュリー3代目新型センチュリーのフルモデルチェンジで、最も注目したい点は、パワーユニットが変更されていることだ。2代目センチュリーに搭載されていた5.0L V12エンジンは姿を消すようだ。その代わりに3代目センチュリーに搭載されるのが、5.0L V8ハイブリッドシステム。このハイブリッドシステムの搭載により、3代目新型センチュリーは、クラストップレベルの低燃費性能を得るという。

新たに搭載されるハイブリッドシステムには、低燃費・高出力化を実現する直噴技術「D-4S」を採用したV8 5.0L 2UR-FSE型エンジンを搭載。ハイブリッドシステムは、信頼性の高いTHSⅡとなる。トランスミッションには、2段変速式リダクション機構を搭載した。エンジン型式は、レクサスLS600hと同じだ。

 

高級車でも燃費を求められる時代に

トヨタ センチュリーよく、センチュリーのような高級車で燃費を語るなんておかしいというようなネット上での書き込みをよく見かける。これは、大きな間違いだ。

CO2の排出量減は世界的に求めれている。アイドリングストップ機能などが標準装備化されているのも、皆で少しでもCO2を減らそうというものだ。ところが、こうした大排気量車がガンガンとCO2を垂れ流しているのは、多くの人が少しずつCO2の排出量を減らすための努力を無にするものだ。とくに、ハイブリッドシステムを核とし、CO2減戦略を続けるトヨタにとって、燃費の悪い5.0L V12をいつまでも使うということは、マッチポンプのようなもの。ブランドの根源を揺るがしかねない行為でもある。

そして、センチュリーのようなショーファーカーは、官公庁などでも使われる。CO2の排出量が多いクルマに乗りながら、CO2減をアピールする政治というのもまさにマッチポンプ以外ありえない状況なのだ。政治家もこうした行為がマイナスと判断しているようで、センチュリーの納入台数は減っているという。新型センチュリーがハイブリッド化されたことは、CO2の排出量が少ないショーファーカーとして世界的にアピールできる。

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一回り大きなボディで広々とした車内

 

トヨタ センチュリー新型センチュリーのボディサイズは、全長5,335×全幅1,930×全高1,505㎜、ホイールベースが3,090㎜となった。2代目センチュリーと比べると、完全に一回り大きくなっている。ホイールベースは、+65㎜となっている。

ホイールベースは、室内スペースに影響する。ホイールベース延長分は、後席スペースの拡大に使われている。また、乗員の膝まわりや足元に十分なゆとりを提供。そして、後席に乗るVIPの乗り降りのしやすさを追求。スカッフプレートとフロアの低段差化・ドア開口高さの拡大により、優れた乗降性を実現した。

 

センチュリー伝統のデザインを継承

そして、外観デザインは、ひと目でセンチュリーと分かるものとなった。トヨタは、フルモデルチェンジすると、先代モデルとは全く異なるデザインが採用することが多い。そんな中で、センチュリーが歴代モデルのデザインをリスペクトし、継承したというのはセンチュリーというモデルが、トヨタの中でも特別なクルマであるということなのだろう。センチュリーは、時代の流行りに左右されないデザインだからこそ、いつの時代でも変わらない威厳が保てるのだろう。

そんな新型センチュリーのフロントフェイスは、グリルを中心にランプなど各要素をすっきりまとめている。二重構造としたグリルの縦格子の奥側やクリアランスランプに七宝文様を施すなど、精緻な造りこみがセンチュリーらしさである。ヘッドライトは、プロジェクター式ヘッドランプ3灯とLEDアレイAHS一体化したものだ。

サイドビューは、まさにショーファーカーといったもの。水平基調の姿勢でエレガントさを維持。注目ポイントは、垂直に近いくらい立てられたCピラーの角度だ。これは、後席のスペースを確保するためのデザインでもある。

この角度とは正反対なのが、2018年に登場する新型クラウンや2017年10月末に登場するレクサスLSだ。この2台のCピラーはかなり寝かせたデザインが採用され、まるでクーペのようなルーフラインをもつ。最近のトレンドでもあるデザインだ。こうしたデザインが多いこともあり、センチュリーは逆に新鮮に見える。

リヤビューでは、横一文字に配したリヤコンビネーションランプのガーニッシュ部を黒色化。全体に引き締まった印象を与えている。リヤコンビネーションランプは、「和の光」をイメージ。線発光する立体的なレンズを採用した。

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質素なデザインに宿る上質さが国産ショーファーカーの魅力

 

トヨタ センチュリー新型センチュリーのインテリアは、かなり質素だ。海外のショーファーカーは、いかにもラグジュアリー感あふれていて華やかな印象が強い。センチュリーの質素さは、日本のショーファーカーの美点ともいえる。

質素な雰囲気の中に高い質感を備えているのが新型センチュリーだ。後席空間に折り上げ天井様式を採用。伝統的な柄を施すことで、最高級車にふさわしいしつらえを演出。後席は、高さを揃えた杢柄オーナメントを前席シートバッグやドアトリムショルダーに配し、横方向の広がりを強調している。

シート表皮には、伸縮性に優れ柔らかい触感を持つ100%ウールを採用したファブリック仕様を設定。その他、柔らかな触感の最高本革仕様もある。

前席は、後席同様に杢柄を横基調に施すことで広がりを強調。インストルメントパネル中央部に黒杢加飾をあしらうことで、端正かつ品位ある質感を表現している。

VIPがリラックスできるように、後席には無段階に調整可能な電動オットマンや、アジャスタブルリヤシート(リフレッシュ機能付)を採用。中央アームレストには、タッチ式液晶マルチオペレーショナルパネルを設定し、シートや空調、オーディオの音量など集中操作を可能とした。その他の快適装備も用意されている。

極上の乗り心地を提供する新型センチュリー

 

トヨタ センチュリーセンチュリーといえば、やはり乗り心地重視のクルマ。新型センチュリーは、専用チューニングを施したサスペンションや高剛性ボディに加え、乗り心地に特化した新開発のタイヤまで採用された。

路面から伝わる振動を抑えることで、走行安定性と上質な乗り心地を両立。さらに、エンジンマウント特性の最適化やアクティブノイズコントロールシステムを採用。エンジン起動時の音や振動を抑え、滑らかな発進と室内の圧倒的な静粛性を実現した。

3代目新型トヨタ センチュリーの発売は、2018年年央。2代目センチュリーの価格が約1,250万円。この価格よりも高額になるのは確実だろう。現在では、レクサスLS600h Lが約1,600万円となっている。レクサスLSの価格を上回る可能性も高い。

 

■トヨタ センチュリー スペックなど

 

主要諸元
全長×全幅×全高 (mm) 5,335×1,930×1,505
ホイールベース (mm) 3,090
トレッド フロント/リヤ (mm) 1,615/1,615
エンジン 型式 2UR-FSE
排気量 (cc) 4,968
バッテリー ニッケル水素

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執筆者プロフィール
クルマ評論家 CORISM代表
大岡 智彦 氏

CORISM(http://www.corism.com/)編集長。自動車専門誌の編集長を経験後、ウェブの世界へ。新車&中古車購入テクニックから、試乗レポートが得意技。さらに、ドレスアップ関連まで幅広くこなす。最近では、ゴルフにハマルがスコアより道具。中古ゴルフショップ巡りが趣味。日本カー・オブ・ザ・イヤー実行委員。


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