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「みんなの街のはたらくくるま」第9回 日産 パラメディック 救急車


わたしたちの生活を支えている「はたらくくるま」にスポットを当ててイラストとともにご紹介するこのコーナー。第9回は、出来ることならあまり乗る機会が無いほうがいいはたらくくるま・・・救急車です。事故によるケガも、急な病も、出来ることなら無いことに限りますものね。でも、救急車はゼッタイに必要な存在。乗員のみなさんも24時間体制で勤務しています。頭が下がる思いです。


◆日本で最初の救急車はメルセデス・ベンツ

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日本の救急車の歴史は古く、1931(昭和6)年に大阪の日本赤十字社に登場したのがはじまり。1933年には初めて消防署に配備され、それ以降全国に普及していきましたが、意外なことに配備が義務化されたのは1963年とのことです。現在の救急車の主流となっている「高規格救急車」は1991年から配備が開始されています。

高規格救急車とは同年に施行された救急救命士法(きゅうきゅうきゅうめいし)によって誕生した「救急救命士」が乗務することを前提に開発されたもので、国内最初の車種はメルセデス・ベンツ製でした。翌1992年にはトヨタがハイエースをベースにした「ハイメディック」を発売。追って同年、北海道の架装業者札幌ボデー工業が三菱・キャンタートラックのシャーシを利用した「トライハート」を、日産もアトラストラックをベースに「パラメディック」の発売を開始しています。


◆E50型エルグランド+E24型キャラバンのボディ


現在に至るまで高規格救急車はこの3メーカーのみが開発・発売していますが、ベースモデルのモデルチェンジや現場の声などを反映した改良・モデルチェンジが行われており、今回の一台、日産 パラメディックも1998年に現行型である2代目となりました。2016年現在でもまだ継続して製造されているため、デビュー後18年に達する隠れたご長寿モデルでもあります。

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copyright_izuru_endo_2017_w009_nissan_paramedic_1280_893(クリックで拡大)現行型パラメディックの特徴は、フロントが初代エルグランド(E50型)、後部が先々代キャラバン(E24型。兄弟車に最後のホーミーがあった)となっていることです。さらに、乗員の救命作業を容易にするために後部の車体幅はキャラバンよりも+210mm拡幅されているため、エルグランドのキャビンよりも後部が幅広いほか、車内でも立てるようにハイルーフ化も行われた結果、独特のスタイルとなりました。

エンジンは重たくなった車体と素早い移動のために170psのVG33型V6が選択されました。現在はVQ35型で一気に240psにパワーアップしています。

なお、E24型キャラバン改造の「パラメディック2」も存在しました。1994年に登場のこのモデルは高規格救急車としては最小サイズでした。キャラバンそのままの寸法のためスペース的に限りがありましたが、4ナンバーサイズのままのメリットで狭い道にも入れることから大都市などを中心に配備されました。現在では各自治体・医療機関でも退役が進み、見ることは難しくなっています。


【イラスト/文 遠藤イヅル】
フリーのカーイラストレーター/ライター。東京都出身。自動車雑誌、WEBサイトにクルマをテーマにしたイラストや記事を多数提供。世界各国の生活感があるクルマを好み、20年間で18台のクルマを乗り継ぐ。クレイジーなほど深くて混沌としたクルマ知識を持つ元自動車系デザイナー。自身のクルマ体験をもと、独創的な視点で切り込むイラストやインプレッション記事は、他にないユニークなテイストとして定評がある。2015年7月現在の愛車はプジョー309SI。最新の掲載誌は遠藤イヅルのfacebookで確認!

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