ホンダ シビックホンダ シビックという車名を聞くと、年配者は日本を代表するコンパクトカーというイメージが強いだろう。


2017年7月、あのシビックが再び登場!


1972年に登場したシビックは、優れた環境性能を誇るCVCCエンジンを搭載し、厳しい排ガス規制をパス。また、燃費性能も優れていたためオイルショックの追い風を受け、世界中で爆発的に売れた。
しかし、モデルを重ねる毎にボディは肥大化。8代目シビックは、全長4500㎜を超えるサイズとなり、国内マーケットではイッキに売れなくなっていく。
こうした傾向になったのは、ホンダが北米マーケットの意向を重視した結果でもある。そのため、9代目シビックは日本には導入されなかった。 グローバル車となり、国内マーケットに合わないとされたシビックだが、同じCセグメントに属するプリウス、アクセラ、インプレッサなどの販売状況を見て、導入すればわずかだが売れるという判断をした。  

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Cセグメントの中でも、やや大きなボディサイズ。ハッチバックとセダンを用意


ホンダ シビック新型ホンダ シビックセダンのボディサイズは、全長4650㎜、全幅1800㎜、全高1415㎜。全長はCセグメントのライバル車より、やや大きい。5ドアハッチバックは、全長が130㎜短いがホイールベースは、2700㎜となっている。

エンジンは1.5Lターボのみ

搭載されるエンジンは、直4 1.5L VTECターボのみといった割り切った仕様。ハイブリッド車全盛の国内マーケットで、このエンジンのみという設定は、ある意味最初から負け戦に挑むようなものだ。しかも、イギリスから輸入される5ドアハッチバックモデルは、少々パワーアップしているとはいえハイオク仕様となっている。
セダンは国内の寄居工場で生産される。 1.5Lターボの出力は、173ps&220Nm(セダン)、182ps&220Nm(ハッチバック)、182ps&240Nm(ハッチバックの6MT)となっていて、なかなか力強い。

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スムースで扱いやすいエンジンとミッション


ホンダ シビック新型シビックの試乗場となったのは、千葉県にある袖ケ浦フォレストレースウェイ。アクセルを踏むと、スルスルとスムースに力強く加速する。ターボエンジン特有のターボラグがCVTとの組み合わせで上手く制御されていて、アクセル操作に対するレスポンスもよい。なかなか力強く、サーキットでも気持ちよく走ることができた。 5ドアハッチバックモデルは、セダンよりパワーが出ているのだが、ほとんど体感できるレベルには無かった。正直、これならレギュラーガソリン仕様にしてほしいと思う。
また、ダウンサイジングターボの特徴ともいえるのだが、低回転域から大トルクを発揮するため、高回転域ではパンチが無くなる。とはいえ、ホンダのエンジンということもあり、高回転域でのパンチ力に期待してしまうのだ。その期待感もあり、実際にシビックで全開加速をすると、高回転域がややストレスに感じてしまうのだ。まぁ、実用車なので仕方ないところだ。官能的な走りの部分は、シビックタイプRに期待したい。

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素直でややスポーティなハンドリング性能


ホンダ シビック新型シビックセダンのステアリングを切ると、新型シビックは想像以上にスッと曲がっていく。ステアリング操作によるレスポンスも早く、電動パワーステアリングのフィーリングも上質で、ひとクラス上のモデルに乗っているようだ。 速度を上げても、ややスポーティなハンドリング性能に変わりなく、クルマは素直に向きを変える。クルマのロール(傾き)スピードも穏やかで、クルマの姿勢を大きく乱すことなくカーブに侵入できる。とくに、フロントタイヤの接地感とグリップ感がシッカリとステアリングに伝わってくるので、運転していて楽しいしコントロールしやすい。タイヤがエコタイヤ系ということもあり、サーキット走行ではタイヤのグリップが足りなく感じるほど。 乗り心地は、サーキットは路面が良いので上質に感じた。試しにカーブでイン側の縁石にわざと軽く乗り上げてみたが、突き上げ感も少なく、動きもスムースだ。街中での乗り心地も良さそうだ。

ハッチバックとセダンの走りの違いはほぼなし

ハッチバックは、それほど走りの差が無いのが残念。ハイオク仕様になってパワーが若干高めだが、サーキット走行でもそれほど差を感じることはない。 ハンドリング性能面でも大差はなかった。どちらかというと、キビキビ感を出そうとした結果、リヤサスペンションがセダンより早めに外へ出ていくような動きがあった。 ただ、全般的にセダンもハッチバックも、ドライバーの操作に対して非常に素直にクルマが動く。だから、とても乗りやすい。  

後席スペースは十分の広さ。やや頭上スペースが狭い印象


ホンダ シビックホンダは、新型シビックをスポーティなモデルであることをアピールしている。クルマそのものの運動性能などは、確かにスポーティなものだった。ただ、気持ちよく走ると、シートのサポート性がやや足りないと感じた。腰と脇回りのサポートがもう少しあると、体をシッカリと支えてくれるので、より気持ちよく走ることができるだろう。 また、全長が4600㎜を超えているモデルなので、後席の足元は十分に余裕があった。ただ、セダンのデザインは、クーペのように滑らかに後端に流れるようなルーフラインをもつため、やや頭上のスペースはタイトな印象を受けた。

。新型シビックは売れるのか?

今回の試乗で、新型シビックの完成度はかなり高いことが体感できた。ただ、日本マーケットは、ハイブリッド車が強い。ホンダもハイブリッドシステムを持っているのに、新型シビックには搭載されておらず、1.5Lターボのみというのはマーケットニーズとややかけ離れている感がある。 ライバルとなるアクセラは、1.5Lガソリンに2.0Lハイブリッド、1.5Lと2.2Lクリーンディーゼルを用意する。こうした部分を比べると、新型シビックは、一部のホンダファンのためのモデルという印象が強い。そう考えると、月販数千台規模というような販売台数は難しいだろう。新型シビックは、ジックリと売っていくタイプのクルマだろう。

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執筆者プロフィール
クルマ評論家 CORISM代表
大岡 智彦 氏

CORISM(http://www.corism.com/)編集長。自動車専門誌の編集長を経験後、ウェブの世界へ。新車&中古車購入テクニックから、試乗レポートが得意技。さらに、ドレスアップ関連まで幅広くこなす。最近では、ゴルフにハマルがスコアより道具。中古ゴルフショップ巡りが趣味。日本カー・オブ・ザ・イヤー実行委員。