スバルWRX STIスバルのスポーツセダン、「WRX STI」が大幅改良を施し2017年6月20日に発売される。

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モータースポーツがルーツのスポーツセダン、WRX STI


スバルWRX STIの歴史は、モータースポーツとの歴史でもある。元々、WRX STIはインプレッサのスポーツモデルだった。WRC(世界ラリー選手権)に参戦し、シリーズチャンピオンを複数回獲得。さらに、最近では、インプレッサの名前は外されWRXという単独の車名が与えられ、よりスポーツモデルであることをアピール。
最近では、ニュルブルクリンク24時間耐久レースでクラス優勝を果たすなど大活躍。WRX STIは、モータースポーツを通じて、その走りの質を進化させ続けている。

WRX STIのウリ

現在のWRX STIがデビューしたのは2014年8月。コンセプトを「Pure Power in Your Control」とし、スポーツセダンとしての「絶対的な速さ」と「クルマを操ることの愉しさ」を徹底的に鍛え上げた。

WRX STIの心臓と言えるエンジンは、もはや熟成の域に達した名機EJ20型。水平対向4気筒ターボで、308ps&422Nmという大出力を誇る。

スバルWRX STIプラットフォーム(車台)は、先代インプレッサのものをベースとし、ハイパワーエンジンの出力を受け止められるように大幅に進化させたものを採用した。

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サスペンションは、専用倒立式フロントストラットサスペンションを採用。タイプSには、ビルシュタイン製ダンパーが採用され、アルミ鍛造製フロントロアアームと組み合わされた。ブレーキは、ブレンボ製を装備。優れた制動力とコントロール性、耐フェード性を得ている。

WRX STIのウリは、卓越したハンドリング性能を誇るAWD。これを実現したのが、マルチモードDCCD[ドライバーズコントロールセンターデフ]だ。この機能は、ドライバーの好みやシチュエーションに合わせたセッティングが可能で、トラクション性能を自在に変えることができる。
また、コストパフォーマンスにも優れたモデルであることもWRX STIの人気を支えている。これほどまでのパフォーマンスを持ちながら、価格は3,790,800円。同等のパフォーマンスをもつ輸入車と比べると、半分程度の価格で楽しめるのだ。

新電子制御マルチモードDCCDが搭載され、より切れ味鋭いハンドリングマシンへ進化


スバルWRX STI今回の改良では、WRX STIの武器でもあるマルチモードDCCDが一新され電子制御マルチモードDCCDへ変更された。センターデフの締結力を緻密にコントロール、さらに他の機能と合わせ一段と優れた回頭性能を誇るようになった。
また、ブレーキや足回りも改良している。新開発ブレンボ製18インチベンチレーテッドディスクブレーキ、新開発19インチアルミホイール&タイヤを採用した。これは、電子制御マルチモードDCCDの採用による回頭性能の向上と合わせ、コーナリングの限界性能をさらに向上させているようだ。

WRX STIは、元々ステアリング操作に対する反応速度の早いコーナーリングマシン。今回の改良により、さらに切れ味鋭いハンドリング性能を手に入れたようだ。

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外観デザインも大きく変更されたWRX STI


機能面の進化だけでなく、外観デザインも変更されている。フロントバンパーのデザインが変更されている。 新デザインのフロントバンパーは、左右のエアダクト部分がより大きく強調されたデザインとなった。視覚的な低重心感があるもので、より精悍でスポーティなフェイスとなっている。インテリアでは、スバル初となる電動調整式レカロ製フロントシートがオプション設定された。
安全装備面では、ステアリング連動ヘッドランプやドライバーの前方確認をサポートするフロントビューモニターが装備された。だが、MT車ということもあり、歩行者検知式自動ブレーキ関連の先進予防安全装備のアイサイトは装備されていない。

劇的進化をするはずのSGPを採用した新型WRXを待つのか? 熟成された現行車を買うのか?


スバルWRX STI大幅改良されたスバルWRX STIの価格は、標準車が3,866,400円、タイプSは4,060,800円となった。標準車は、約8万円アップしたが、逆にタイプSは装備などの変更が行われ約5万円安の価格となっている。

WRX STIの選び方としては、やはりビルシュタイン製ダンパーと19インチホイールの組み合わせとなるタイプSがおすすめだ。購入後カスタマイズを考えているのなら、標準車でも良いだろう。また、WRX STIのリセールバリューは少々高いので短期で乗り換える場合でも安心だ。

リセールバリューを期待して、現行車を今買うべき!

ただ、重要なのは、現行車を今買うのか? ということだ。最新のインプレッサは、新世代プラットフォームSGP(スバル・グローバル・プラットフォーム)が採用され劇的に進化した。この優れたパフォーマンスをもつプラットフォームが、いずれWRX STIにも採用されれば、現行モデルを超えるものとなることは確実だろう。そうであると、熟成された現行車を買うのか? それとも、しばらく待って、フルモデルチェンジしたWRX STIを買うべきなのか、非常に難しい選択になる。少々贅沢だが、予算に余裕があれば、WRX STIの高いリセールバリューをメリットに現行車を一度買って、フルモデルチェンジする直前に売却し、新型を買うというのも悪くない。

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スバルWRX STI 概要


スバルWRX STI主な改良内容は以下の通り。

デザイン

<エクステリア>
・ 新デザインフロントバンパー
・ 19インチアルミホイール(ダークガンメタリック塗装)&245/35R19タイヤ
<インテリア>
・ インパネ加飾パネル&ドアスイッチパネル(ハイグロスブラック)
・ 運転席&助手席8ウェイパワーシート付RECAROフロントシート
(レッドステッチ+レッドアクセント+STIロゴ入り)
・ レッドカラーシートベルト
・ マルチファンクションディスプレイ(高精彩9インチ大型カラー液晶)
・ ディーラー装着オプションで、8インチサイズナビゲーションを設定

メカニズム

・ 新電子制御マルチモードDCCD
・ brembo製18インチベンチレーテッドディスクブレーキ
ドリルドディスクローター&モノブロック対向6ポット/2ポッドキャリパー(イエロー塗装、STIロゴ入り)
・ サスペンション設定最適化

安全性・実用性

・ LED2灯ハイ&ロービームランプ+ステアリング連動ヘッドランプ
・ フロントビューモニター
・ ルーフキャリアブラケット

価格

・WRX STI 3,866,400円
・WRX STI Type S 4,060,800円

主要諸元諸元、燃費など

グレード WRX STI 「WRX STI Type S」
全長/全幅/全高(mm) 4595/1795/1475
ホイールベース(mm) 2650
エンジン 種類 2.0ℓ DOHC16バルブ デュアルAVCS ツインスクロールターボ
最大出力[ネット][kW(PS)] 227(308)
最大トルク[ネット][N・m(kgf・m)] 422(43.0)
燃費[km/ℓ](JC08モード) 9.4
トランスミッション 6MT
駆動方式 AWD(常時全輪駆動)
サスペンション形式[前/後] ストラット式独立懸架/ダブルウィッシュボーン式独立懸架
タイヤサイズ 245/40R18 「245/35R19」

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執筆者プロフィール
クルマ評論家 CORISM代表
大岡 智彦 氏

CORISM(http://www.corism.com/)編集長。自動車専門誌の編集長を経験後、ウェブの世界へ。新車&中古車購入テクニックから、試乗レポートが得意技。さらに、ドレスアップ関連まで幅広くこなす。最近では、ゴルフにハマルがスコアより道具。中古ゴルフショップ巡りが趣味。日本カー・オブ・ザ・イヤー実行委員。