ホンダは、オープンスポーツカーである「S660」に特別仕様車「Bruno Leather Edition(ブルーノ レザー エディション)」を新設定し発売を開始する。ホンダS660
このブルーノ レザー エディションは、期間限定の特別仕様車で2017年6月2日(金)から 2017年11月30日(木)までの発売となる。

ホンダブランドを支えるS660の魅力とは?


S660は、ホンダブランドを象徴する軽自動車のオープンスポーツカーとして2015年4月に登場。S660は、1991年に登場した軽オープンスポーツカーであるビートの後継ともいえるモデル。2013年の東京モーターショーでコンセプトモデルが発表され話題となった。

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S660は、特別なモデルとして扱われ通常のモデルと異なる設計や生産方式をとった。まず、軽自動車なので国内専用車となる。さらに、特殊な車両のためたくさん売れるモデルではないので多額の開発コストはかけられないのが一般的だ。しかし、S660は、そうした常識を打ち破り、プラットフォーム(車台)を含め多くの部分を専用設計として開発されている。これは、かなり異例なことだ。

スポーツカーこそがホンダらしさの象徴

ホンダS660これには訳があった。当時のホンダには、ホンダを象徴するスポーツカーが無かった。スポーツカーの存在は、ホンダブランドを支える重要な要素。このスポーツカーに憧れ、そうしたホンダブランドに共感しミニバンやコンパクトカーを買う顧客が多い。徹底的にこだわったスポーツカーこそがホンダらしさの象徴でもあるのだ。

だからといって、会社の経営に大きなインパクトを与えるような過大な投資はできるだけ避けたいという現実もある。そこでホンダは、多額の設備投資を避けるために、少量で手作りな要素を残した生産方法を選択。実際の生産は、八千代工業に委託した。これは、生産設備に対する投資をできるだけ下げたかったからだ。

当然、大量生産できなかったことから、発売直後は大量のバックオーダーを抱えた。発売直後は、約1年待ちという状況になったほどだった。

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軽自動車の馬力自主規制がもどかしいS660


ホンダS660S660の走行性能は、専用設計されたプラットフォームや足回りなどの効果もあり、非常に爽快で楽しい走りを披露する。ミッドシップエンジン・リアドライブ(MR)レイアウトを採用し、低重心と理想的な前後重量配分である45:55を実現。まさに、意のままに走る感覚をもつ。
その上、オープンエアの爽快感も格別だ。タイトなコックピットに収まり走り出すと、クルマが体の一部となったような一体感がある。スポーツカーなのだが、気難しいところもなくCVTも用意されていることから、誰もが爽快な走りを楽しめる。

ただ、軽自動車の馬力自主規制である64psがもどかしい。もっとパワーが欲しいと思う。S660は、オープンカーであることから、やや車重が重い。瞬発力でいえば、軽いアルトワークスの方が速く感じる。S660は特別なモデルなのだから、軽自動車の馬力自主規制を超えたパワーを出しても良かったと思うほどだ。

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納期問題も解消! 期間限定特別仕様車S660ブルーノ レザー エディション


ホンダS660デビュー時は、約1年待ちという納期になっていたS660だが、デビューから2年が経過し、ようやく納期が安定してきたようだ。今回登場した期間限定車S660ブルーノ レザー エディションは、そうしたことを踏まえ話題喚起と新たなS660の世界観を表現したモデルと言える。

S660ブルーノ レザー エディションは、αグレードをベースとし、ボディーカラーをベルベットマルーン・メタリックを特別色として設定。ブラックドアミラーやオールブラックアルミホイールを装備し、精悍な外観とした。

上質なインテリアでシックな印象に

インテリアは、ジャズブラウンインテリア(スポーツレザーシート/本革巻ステアリングホイール/インパネソフトパッド)、専用アルミ製コンソールプレート、センターディスプレイ(internavi POCKET連携)を装備。上質なスポーティ仕様に仕上げられている。

S660のようなスポーツカーは、ついついカーボンパーツやレーシングカーのようなエアロパーツを装備したくあるものだが、この特別仕様車は、そうした仕様とは異なり、ややおとなしいシックな印象をもつ。走りを重視したというより、より大人の上質感をアピールした仕様と言えるだろう。

iPhone向けアプリ「Rev Beat S660」で、もうひとつの楽しさをプラス

また、クルマだけに頼った楽しさの表現だけでなく、S660専用のiPhone向けアプリ「Rev Beat S660(レブビートエスロクロクマル)」が用意されている。このアプリは、シフトチェンジのタイミングを判定し、センターディスプレイに「Excellent」「Good」「Bad」表示と音声でフィードバック(6MT車のみ。CVT車はシフトポジション情報を表示)。それだけでなく、自らの走行履歴をiPhoneで保存・確認でき、Twitterへの投稿も可能としている。仲間同士で楽しめるというのも新しい手法だ。さらに、走行を重ねることで、専用楽曲などのアイテムが増えるゲーム性も加えている。

この「Rev Beat S660(レブビートエスロクロクマル)」は、センターディスプレイを装着している全てのS660で使用可能とのこと。これは、既存のS660オーナーにとってうれしいポイント。2017年6月2日(金)よりダウンロード可能となる。

期間限定車ながら、ややお買い得!?


ホンダS660ホンダS660ブルーノ レザー エディションの価格は、2,280,000円となった。ベースのαが2,180,000円なので、10万円の価格アップとなっている。

10万円の価格アップ分の内、5万円ほどのセンターディスプレイが標準装備化されている。その他は、特別塗装色など色味程度ということになるので、ややお買い得といった印象だ。全体的に大人っぽい仕様なので、ガンガン走りますというよりは、オープンカーでサラッっとクルマを楽しむといった人に向く仕様ともいえる。大人の女性にも合うだろう。

値引き交渉はダイハツ コペンを引き合いに

ホンダS660のリセールバリューは、なかなか高い傾向にあるので魅力的な1台。今回の特別仕様車が出たということは、バックオーダーが解消されたことを意味している。従来ならば、S660の値引きはほぼゼロだったが、今後は僅かだが期待できるようになりそうだ。異なる会社が経営しているディーラー同士で競合させたり、ダイハツ コペンなどとも競合させれば、一定の値引きは引き出せそうだ。値引きが厳しい場合、オプションなどからの値引きを迫ってみるといいだろう。

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S660α特別仕様車「Bruno Leather Edition」概要


車両概要は以下の通り。

車両価格

S660α特別仕様車 「Bruno Leather Edition」価格:2,280,000円(6MT/CVT)

主な特別装備

・ボディーカラーにベルベットマルーン・メタリックを特別色として設定
・ブラックドアミラー
・オールブラックアルミホイール
・ジャズブラウンインテリア(スポーツレザーシート/本革巻ステアリングホイール/インパネソフトパッド)
・専用アルミ製コンソールプレート
・センターディスプレイ(internavi POCKET連携)

Rev Beatの概要

・シフトチェンジのタイミングを判定し、センターディスプレイに「Excellent」「Good」「Bad」表示と音声でフィードバック(6MT車のみ。CVT車はシフトポジション情報を表示)
・自らの走行履歴をiPhoneで保存・確認でき、Twitterへの投稿も可能
・走行を重ねることで、専用楽曲などのアイテムが増えるゲーム性
・センターディスプレイを装着している全てのS660で使用可能

ボディーカラー(全3色)

ベルベットマルーン・メタリック(特別色)、プレミアムスターホワイト・パール、アドミラルグレー・メタリック

インテリアカラー(全1色)

ジャズブラウン

メーカーオプション

シティブレーキアクティブシステム(低速域衝突軽減ブレーキ+誤発進抑制機能※)

※ CVT車のみ

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執筆者プロフィール
クルマ評論家 CORISM代表
大岡 智彦 氏

CORISM(http://www.corism.com/)編集長。自動車専門誌の編集長を経験後、ウェブの世界へ。新車&中古車購入テクニックから、試乗レポートが得意技。さらに、ドレスアップ関連まで幅広くこなす。最近では、ゴルフにハマルがスコアより道具。中古ゴルフショップ巡りが趣味。日本カー・オブ・ザ・イヤー実行委員。

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