三菱の燃費不正によるイメージダウンから復活を狙うデイズルークス


日産デイズルークス日産は、軽自動車のデイズルークスに特別仕様車「Vセレクション」を設定し発売を開始した。

日産デイズルークスは、2014年にデビューしたモデルでスーパーハイト系と呼ばれるセグメントに属する軽自動車だ。今でこそ三菱は、日産の傘下となったが、デイズルークスは、三菱のeKスペースと姉妹車関係にある。当時、日産と三菱の軽自動車に関する合弁会社であるNMKVにより企画開発され、デイズに次ぐ第2弾となるモデルだ。

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デイズルークスの属するスーパーハイト系は、とにかく背の高さがウリだ。全高はデイズルークスで1,775㎜。ダイハツのウェイクは、1,835㎜という全高になる。こうしたスーパーハイト系は、ワゴンRやムーヴといった人気モデルを抑えて、軽自動車マーケットで最も高い人気を誇るカテゴリーに成長した。子育て層だけでなく、幅広い顧客層に支持されていて、自転車まで積載できるスペースが高く評価されている。

こうした人気モデルを得た日産は、軽自動車で国内シェアの拡大を狙った。デイズとデイズルークスを合算した販売台数では、2014年度は約17万台を販売。国内日産販売を支える重要な車種となり、日産の目論み通りになった。ところが、突然、2016年に三菱の燃費偽装問題が発覚。この影響で、デイズルークスも一時販売を中止し2016年度の販売台数は、約10万台となり大幅に台数を落としてしまった。日産の普通乗用車の主力は、ノートとセレナのみ、と売れているモデルが少ない。そのため、デイズルークスは、顧客を増やすのと同時に、他社に流出する顧客を食い止めるために重要な車種なのだ。

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装備を充実させながら、価格アップを抑えたお買い得特別仕様車「Vセレクション」で販売台数増を狙う

日産デイズルークス今回投入された特別仕様車「Vセレクション」は、販売台数増を狙った特別仕様車のようだ。デイズルークスは、2016年12月にマイナーチェンジし、2017年2-3月の繁忙期を迎えたものの、前年同月比は2016年を超えることができなかった。販売台数が伸びない理由はいくつかあるものの、まずは目先のお買い得感を出す必要があると判断されたのだろう。

そこで、投入されたのがお買い得車「Vセレクション」ということになる。量販グレード「X」および「ハイウェイスターX」をベースに、両側リモコンオートスライドドア、X Vセレクションには14インチアルミホイール、ハイウェイスターX Vセレクションには15インチアルミホイールを設定。利便性の高い人気の装備を追加した。。インテリアには、X Vセレクションにはエボニー(黒)色内装、ハイウェイスターX Vセレクションには、プレミアムグラデーションインテリアなど、質感の高い内装を採用した。

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日産デイズルークスボディカラーには、従来の設定色に加え、X Vセレクションには、エアグレー(PM)のボディにブロッサムピンク(M)のルーフの2トーンを設定。ハイウェイスターX Vセレクションにはブラック(P)のボディにピンクゴールド(M)のルーフの2トーンを用意した。カラーバリエーションは全20種類と豊富。選択肢を増やし顧客の細かなニーズに対応している。
ただ、安くしたから売れるというものではない。根本的な問題があるのだ。デイズルークスの燃費22.0㎞/Lに対して、クラストップのスズキ スペーシアは32.0㎞/Lを達成している。その燃費差は、なんと10.0㎞/Lにもなる。燃費が良くなくても軽自動車販売台数ナンバー1を誇るホンダN-BOXでも、25.6㎞/L。どうしても、デイズルークスの燃費の悪さが目立ってしまうのだ。また、自動ブレーキが標準装備化されているのは高評価なのだが、スペーシアには歩行者検知式の自動ブレーキが用意されているのだ。

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なんと、エコカー減税未対応! お買い得な特別仕様車とはいえ、値引きは必須条件

日産デイズルークス日産デイズルークス特別仕様車Vセレクションの価格は、1,490,400円となった。ハイウェイスター X Vセレクションは1,693,440円。どちらもベース車に対して、64,800円高と標準装備されていない両側リモコンオートスライドドアだけで、64,800円のオプションなので、アルミホイールや内装分がお買い得という計算になる。ビックリするほどの安い、というわけではない。

一般的にこうしたお買い得な特別仕様車で値引きを要求すると、「元々お買い得なモデルなので値引きができない」というセンスのないセールストークで、その場しのぎをする営業マンが多い。こうした営業マンは、現実を理解していない。そもそも、売れていないからお買い得車を設定し、販売台数増を狙っているのだ。顧客もそんなことは十分に分かっているのに「値引きしない」と言われたら、「じゃぁ、買わない」で終了だ。こうした営業マンと長く話していても時間の無駄。他のお店に行くことをおすすめする。

日産デイズルークスなぜ、お買い得な特別仕様車なのに、更なる値引きを要求するのには訳がある。デイズルークスは燃費が悪い。燃費が悪いので、エコカー減税にも対応していない。ライバル車は、エコカー減税に対応しているモデルが多いので、ここで減税分支払総額に差が出る。燃費が悪いので燃料費が高くつくのに、減税効果が無いのなら、値引きで対応してもらうしかない。

さらに、三菱の燃費不正問題の影響で、デイズルークスもリセールバリューは高いとは言えない。このあたりも、値引きで補てんしてもらう必要がある。Vセレクションは、一定の値引きありきで買わないと、顧客側にはあまりメリットがない。

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日産デイズ ルークス Vセレクション価格


日産デイズ ルークス Vセレクションの価格は以下の通り。

2WD

・デイズ ルークスX Vセレクション 1,490,400円
・デイズ ルークス ハイウェイスター X Vセレクション 1,693,440円

4WD

・デイズ ルークスX Vセレクション 1,611,360円
・デイズ ルークス ハイウェイスター X Vセレクション 1,814,400円

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執筆者プロフィール
クルマ評論家 CORISM代表
大岡 智彦 氏

CORISM(http://www.corism.com/)編集長。自動車専門誌の編集長を経験後、ウェブの世界へ。新車&中古車購入テクニックから、試乗レポートが得意技。さらに、ドレスアップ関連まで幅広くこなす。最近では、ゴルフにハマルがスコアより道具。中古ゴルフショップ巡りが趣味。日本カー・オブ・ザ・イヤー実行委員。